異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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6章 DT、出番を奪われる?

167話 事態は急変したらしいです

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 覚悟の決まったレイア達は、早朝から動き始める。

 まずは、宿の女将に協力を得るところから始めた。


 早朝の仕込みを始めようとしていたと思われる宿の女将が井戸で水を汲んでるところを発見して声をかける。

「朝の忙しいところ、ごめんなの。少し聞いて欲しい話があるの」

 全員勢ぞろいで人の目から隠れた場所にある裏庭の井戸で現れ、話しかけてきたスゥ達を訝しげに見つめながら逃げ腰になる宿の女将。

 警戒された事を知ったスゥは慌てて、手を振って勘違いだと伝える為に申し訳なさそうな顔をして説明する。

「本当なら中に入るまで待つべきだとは思うの。でも、いつ入ってくるか分からない上に話の内容を考えたらここがしやすかったと事情も……」

 若干、泥沼に陥るスゥ。

 それに嘆息したシホーヌが敵意など感じさせないユルイ顔を宿の女将に向けて話始める。

「本当にお話があったのですぅ。ただ、村長側に聞かれたくない話があったので人目を避けれるこのタイミングが有難いとスゥは言いたいのですぅ」

 シホーヌのユルイ笑みで毒気が抜かれた宿の女将は、

「そうなのかい?」

 と問うのでシホーヌは相変わらず力みがない笑みで、

「そうなのですぅ。だから、スゥの話を聞いてあげて欲しいのですぅ」

 そう言ってくるシホーヌを見て、先程まで警戒してた自分が馬鹿だったと思ったようで嘆息するとスゥと向き合ってくれる宿の女将にシホーヌは「ありがとうなのですぅ」とユルイ笑みを浮かべる。

 悪意から縁遠いシホーヌの大活躍である。嘘を吐いても見抜けると周りに自然に思われているだけかもしれないが……

 頬を若干染めたスゥが咳払いをしてシホーヌに軽く会釈する。

「これから私達はゴブリンが発見された洞窟に向かおうと思います。そこで宿の女将さんにお願いしたい事があるんです」
「なんだい?」

 自分にモンスター絡みで手伝える事はないと思ってるのが顔に出ており、困った顔をする宿の女将。

「村長一派を除いた村人にいつでも逃げれる用意をこっそりしてくれるように伝達を頼みたいの」

 はぁ? と声を出して身を乗り出すようにしてくる宿の女将にスゥは「最後まで聞いて欲しいの」と伝える。

 確かに、ここで判断するのは早過ぎると思ったらしく聞く体勢に戻ってくれる。

「村長に就任した経緯、それを反対した村人の消失。色々、疑わしい現村長だけど、まだ確定じゃない事柄で、前村長殺害、洞窟で発見されたゴブリンについても噛んでる疑惑が浮上し始めてるの」
「アンタ、本気かい?」

 スゥの覚悟を問うように声を顰めて言うがそれには怯まずにスゥは頷き返す。

 本気だと感じ取った宿の女将は深い溜息を零す。

「それが本当だとして、何故、逃げる準備を? ゴブリンぐらいなら……」
「そう、ゴブリンぐらいであれば、私達でも簡単に駆除できるの。仮に取り逃がしたとしても、村人も多少の被害を覚悟すれば2匹ぐらい敵じゃない」

 宿の女将の言葉に被せるように言うスゥを眉を寄せて見つめる。

 そこで何かに気付いた様子の宿の女将はスゥの両肩を掴む。

「ゴブリン以上のものが出てくるかもしれないと思ってるのかい?」
「私達は村長が1枚噛んでいるなら、その可能性は高いと見てるの。だって、ゴブリンぐらいを匿ってもたいした価値はないの。村での信用、それが理由で国に追われるリスクを背負うには割に合わないの」

 スゥの説明を聞いた宿の女将は一応の筋は通ってると思ってくれたようで悩むように顎に手を添える。

「でもおそらく、これ以上、外から捜し回ってもたいした情報は転がってないの。おまけにその判断が正しいなら時間を置けば置く程、状況は酷くなる一方」
「だから、突っつくと? その結果、アンタ達の手に負えない相手が出た時に避難する準備をということだね? でも村長が無関係だったらどうする?」

 宿の女将の言葉に頷くスゥは、それについての考えも披露する。

「私達が逃げ帰る時点では、村長達の立ち位置はどちら側かはすぐ分かるの。もし無関係でとんでもないのが出てきたら、村長達には申し訳ないけど身一つで逃げて貰うの」

 それを聞いた宿の女将が渋い顔をしたのを見て、その理由を理解したアリアが繋げる。

「村長が無関係だった時は、私達に強制されたと言ってくれていい」
「アンタ達みたいな駆け出しの冒険者といった子達に脅されたと言って納得してくれるかね?」
「僕達は、ダンガの冒険者ギルドの北川コミュニティの関係者です。それを知った宿の女将が聞かざるえなかったと言えば、渋々ながらきっと納得してくれるでしょう」

 困った顔をしたダンテが、責任を負うのを嫌った宿の女将にそう伝える。そして、村長も自分達が北川コミュニティの関係者である事は知ってるから疑われる事はない事を知らせて安心させる。

 ダンテとしても、あまり北川コミュニティの名前を使うのは良くないと思っていたが、宿の女将に納得して貰いやすく、人の命に関わる事だからと自分に言い聞かす。

 それを聞いた宿の女将は驚いたようにダンテを見た後、周りの面子を見渡す。

「アンタ達があのコミュニティの関係者かい。だったら、アンタ達が帰って強い人に来て貰ったら解決じゃない?」

 そう言われた子供達はお互いの顔を見合す。

 当然、宿の女将の言う事には一理ある。子供達が帰り難い理由もあるが、帰るのも不味い理由もある。

「それは、私達も1度は考えたの。でも、もし村長が黒幕だったら、私達が帰った時点で何かに感づいたと判断したら、どういう行動に出るかと考えたらできなかったの」

 村長はレイア達が北川コミュニティの関係者と知っていて、応援を呼ばれるという意味合いを理解している。だから安易にその手が使えないと、えっ? と固まる宿の女将にダンテが告げる。

「村長が黒幕だったら洞窟にいるのはゴブリンだけという事はないと思います。それに対応できる人が来ると思ったら、ただ逃げるだけだと思いますか? 自分達の事を知る者は少ない程いいんですよ?」

 そこまで言われて漸く2人が言いたい意味に行き着く。

 例えば、村長が西側に逃げたと村人が証言するだけでも辿る道を残す事になる。
 今はそこまで疑ってないから、気のせいと流していた事に気付いた村人の情報が致命傷にならないと言えない状況で、始末するのに大変でない相手を見逃すだろうかということである。

「そう言う訳で、私達の深読みが過ぎる可能性もあるけど、命に関わる事なの。騙されたと思って手を貸して欲しいの」
「わ、分かったよ。確か、ゼペット爺さんも村長の事を疑ってたみたいだしね。避難の準備だけでいいのかい?」
「後は、逃げる先をダンガにして北川コミュニティを頼ってください。コミュニティの誰かに、頼れとシホーヌ、アクアのどちらでも良いので言われたと伝えれば邪険にはされないでしょう」

 最後にアクアがそう締めると宿の女将は頷く。

 とりあえずの村側の最低限の処置は済んだレイア達は頷き合うと、宿の女将に早速行く事を告げると宿の中に急ぎ戻ったと思ったら紙袋にパンを詰めた袋をスゥに手渡す。

「腹が減ってたら戦えないよ」
「ありがと! おばちゃん!」
「パン、うれしい!」

 食いしん坊のレイアとミュウが真っ先に反応を示す。

 そして、宿の女将に苦笑いで見送られてレイア達は北側の海の傍にある洞窟を目指して出発した。







 しばらく歩くと海に面した場所に洞窟らしいモノを発見した子供達は岩場に隠れるようにして入り口を窺う。

 当然のように離れて見て分かる事などほとんどなく、かといって正面に廻れば身を隠す場所がないので対策を講じる事にする。

「まずは、僕が精霊に頼んで中の状況を見てきてもらうよ」

 ダンテが提案してくるが、それ以上の代案がないメンバーは頷く。

 頷く皆を見たダンテは座禅をするように胡坐を掻くと目を瞑って神経を集中させる。

『風の精霊、お願い、僕にあの洞窟の景色を見せて』

 そうお願いすると笑みを浮かべるようにした風の精霊は洞窟へと飛んでいく。

 風の精霊が洞窟にこれから入るという意思が飛んでくると更に集中を高める。

 すると脳裏にぼやけた感じの映像、サーモグラフィの映像のようなものがダンテの脳裏に浮かぶ。

 高い入口、3mはあろうかという入口から中の部屋まで短く、だが、その中はとても広い場所がある。
 ぼやけて分かりにくいが、中にはダンテ達と変わらない背丈の者が2つと2mはあろうかという大きいのが存在した。それを感じ取ったダンテは状況は悪い方の予想に流れている事に眉を顰める。
 それを皆に伝えようと思った瞬間、風の精霊から強い意思が伝わる。風の精霊が注視する場所、地面に意識を向けると光っているような地面がある事に気付く。良く分からないが模様が描かれていたので、その模様を覚える。

 そして、目を開けたダンテは無呼吸で耐えてた人のように荒い息を吐きながら両手を地面に着ける。
 親和性があるダンテといえど精霊と意識を同調させるのは凄まじい精神的圧迫を受けるのである。

 息を落ち着かせたダンテが顔を上げるとダンテ待ちしてる少女達の顔を見て苦笑してしまう。

 レイアとミュウはご飯を待てされている犬のようである。

「やっぱり、ゴブリンだけじゃないみたい。2mはある大きな存在が1つあったからゴブリンキングかもしれない」
「ゴブリンキングがいるなら、もっとゴブリンがいると思ったけど、どこから逃げ出したゴブリン達であればあるの?」

 ダンテの報告を受けて首を傾げるスゥを横目にダンテが続ける。

「それ以外に風の精霊が凄く反応した地面の模様があるんだ」

 そう言うとダンテは砂浜の砂を利用して覚えた模様を書いていくと、血相を変えたアクアに足でその模様を掻き消される。

「ダンテ、その続きは書いてはいけません」

 普段見せない緊迫した顔をシホーヌと目を交わす。

 頷き合うとアクアがカバンから紙を取り出して手紙を書き始める。

「アリア、クロを出して欲しいのですぅ」

 いつものユルイ顔をしてないシホーヌに言われて慌ててクロをカバンから出す。
 クロをシホーヌが受け取ったと同時にアクアの手紙が出来上がったようでクロの足に縛る。

 いきなり起こされて何が何か分かってないクロにアクアが伝える。

「クロ、出来得る限り最速で主様にその手紙を渡してきてください。最悪、主様がいないとどうにもならない」

 真剣なアクアにビビったクロはカクカクと頷くとシホーヌの手から飛び上がると目の色を変えたクロが飛び去る。

「な、何が起きてるの?」

 若干震えが出ているスゥはアクア達に問う。

 同じように息を飲む子供達も見つめる。

「よく聞いてください。時間がないので1度しか言いません。最悪、この村が、いえ、ナイファ国の危機が目の前にあります」

 アクアにそう言われ、説明を受けた子供達は目を剥いて固まった。
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