異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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8章 DT、海を渡る

215話 必死に隠し続けてきた想いらしいです

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 バイオレンスタイフーンこと、巴の蹂躙があった現場の次の日の早朝、訓練に出てきたのは、ホーラ達3人のみで、子供達は1人も出てきていない。

 確かに巴に大怪我を負わされて現場で転がっていたが、雄一にこの事を巴が告げに来ていたので、雄一に癒されて体は問題はなかった。

 だが、負った傷は何も体だけではなかった。

 心に受けた傷が深すぎて、宿に帰ると子供達はベットに潜り込んでしまった。

 その時の事を、雄一は遠い目をしながら思い出しているのか、ホーラ達3人と模擬戦をしていたが動きに精彩さが欠けていた。
 とはいえ、そんな雄一相手ですら3人は一撃すら入れる事が叶わなかったのは、ご愛嬌だろうか?



「今日の訓練はここまで、解散。汗はしっかり拭いておけよ」

 そう言うと雄一はどこかに歩いて行った。

 雄一を見送った汗だくの3人は、周りに人目がない事を良い事に上半身半裸、テツに至ってはパンイチになって汗を手拭で拭い始める。

 ホーラとポプリからすればテツは男としての勘定に入っていないので平気で下着姿を晒す。

 当初はテツはドギマギしていたが、さすがにこの2人限定で慣れた。

 ちなみに、ラッキースケベを発動させたテツがティファーニアの着替えに遭遇した時は、シホーヌが頭にパトランプを載せて緊急出動という騒ぎになったほど、テツは未だにウブであった。


 それはともかく


 ホーラ達は、心ここに非ずといった雄一を見送った後、汗を拭いながら顔を突き合わせて相談を始めた。

「ユウ、やっぱり、だいぶ堪えてるぽいさ……」
「ええ、必要だとは思っても、やっぱりまだ早かったのではないかと思うのでしょうね。巴さんの言う意味は理解はできますが、僕も少し性急かな? と思いましたし」
「そんな風に思い悩むユウイチさんに掠らせる事もできない私達のふがいなさは無視するとして、具体的にどうします? 直接、ユウイチさんにしてあげられる事が思い付きませんけど?」

 3人寄れば文殊の知恵とは言うが、3人集まっても良いアイディアが浮かばない。

 汗を拭き終えた3人は手早く服を着直す。

「とりあえず、引き籠ってたら、どんどん沈み込む一方さ」
「引きずり出してでも気分転換させましょう!」
「えっと、偏見だと分かって言いますが、お二人は女性ですよね? 女性らしい配慮からチャレンジしようというか、ソフトな対応から入ろうという配慮はないんですか?」

 いきなり力技に訴えようとする2人に冷や汗を流すテツは一応、突っ込んでみるが綺麗に受け流され、なかった事にされた。

「ちょっと奮発して良い店で驕ってやれば、少しは持ち直すさ!」
「辛い時こそ、食べる! それが食に秘められたパワーです」
「どうして、2人はそうも男らしい解決方法からスタートするかな……」

 遠回しに雑だと突っ込みもスル―する2人にダメージを与えようと思ったら雄一が傍にいないと無理とテツは諦める。

「グダグダ言ってても始まらないさ、宿に戻る」

 頷き合う2人はテツを横切る時に頭を叩いていく。

 多少は気にしていたらしい事をテツは知り、姉達にまだ乙女心が存在した事に安堵の溜息を吐いた。





 宿に戻るとホーラとポプリは女の子の部屋に向かい、テツは男部屋のダンテを連れてくるために一旦、別れる。

 ホーラ達が部屋に入るとシャーロットとメリーが居り、シャーロットが溜息を吐きながら首を横に振ってくる。

「頑張って慰めたつもりだが、まったく効果の兆しが見えない。すまない」
「有難う、きっとシャーロットがそっちはやってくれてると思ったから、別のアプローチを考えてきたさ」

 ホーラとポプリは力強く頷いて見せる。

 男部屋に言ってるテツが居れば、嘘臭そうに見つめただろうがいないのが幸いであった。

 そのテツが男部屋から、ダンテを引きずってやってくる。

「ダンテを連れてきたよ?」
「じゃ、こっちもチャッチャとやっちゃいますかぁ」

 そう言うと腕捲りをするようにするポプリは手近のベットのシーツを剥ぎ取ると小さく丸まるスゥが現れる。

 同じ要領でホーラとポプリは次々とシーツを剥いで行き、ベットから叩き出す。

「あれ? レイアがいないさ?」
「あっ、レイアならさっき出ていったが、戻ってこないな」
「あちゃぁ、一番ほっとくと危なっかしいのがいないとか」

 ホーラとポプリ、シャーロットが顔を見合わせて眉を寄せているとテツが少し考え込んだ顔をするとダンテをホーラに預けてくる。

「レイアの事は僕に任せてくれませんか? 多分だけど、レイアの気持ちを分かってあげられる気がするんです」

 そう言ってくるテツを3人は見つめて、お互いの顔を見つめ合う。

 この面子の中で一番扱いが面倒なレイアの気持ちが分かると言える自信など3人にはなかった。

 しかも、一番、こういう事で見栄を張らないテツが言ってきてる事で2重で驚きが隠せない。

「大丈夫? あのレイアを解き伏せられるさ?」
「説き伏せられるかは分かりませんが、レイアの気持ちを理解できてるという事を伝える事はできると思っています」

 そう言うテツは、「いつか、腹を割って話さないと思ってた事なので」と照れと自信を感じさせる笑みを浮かべる。

 何に対して照れてるのかは分からないが3人はレイアの事をテツに任せる事にする。
 正直、3人ともレイアと触れ合っても余計に意固地にさせる絵しか浮かんでいなく困っていたのだ。

「本当に大丈夫、テツ君?」
「はい、任せてください。今回の件のレイアが抱える問題だけには誰にも、ユウイチさんにも負けないつもりです」

 テツが雄一にも負けないと言い切る頼もしさを信じたホーラは頷く。

「レイアの事は任せた。でかい口を叩いたんだ、失敗しました、と言って帰ってきたら新技の実験体にするさ?」
「成功しても同じ道を辿りそうですけど、了解です。勿論、レイアのほうですよ?」

 僅かな期待を添えてテツは言い含めるが、当然のようにホーラには流される。

 苦笑いしたテツは、ホーラ達に、いってきます、と伝えると宿を後にした。





 昔、まだザガンが今より小さかった時があった。

 その時に築かれた城壁があったが、今は更に街も大きくなり、その古い城壁は大半が崩されて街の片隅にひっそりと名残として残る使い道もない見張り台があった。

 誰も必要とされない、その見張り台の上に膝を抱えた少女、レイアがいた。

 誰にも会いたくないという思いでやってきたが、ここの存在を考えていると、まるで自分の事のように思えてきて鬱になりそうになっていた。いや、既になってるような気分になっているのは間違いなかった。

「アタシ、何やってんだろ……」

 ここにいる事もそうだが、巴に抗う事も牙も剥く事もできず、そのうえ、言い返す事すらできなかった。

 物理的に話せなかった事もあるが、時間を設けられても今の状態でも何も言えない事を認められるぐらいにはレイアも冷静になっていた。

「なんで、アタシ、冒険者になりたいと思ってたんだっけ?」
「認めて欲しかったからじゃないのかい?」

 独り言のつもりだった言葉に返事がきて、思わず立ち上がるレイア。

 塀に手がかかり、ヒョイと身軽に飛び越えてくる白髪の少年、テツが現れる。

「なんで、テツ兄がここに? 見つけられると思ってなかったのに」
「ん? それはレイアが誰かに捜して欲しいと思ってたからかな?」

 レイアの言葉にテツは当然のように反対の意味を口にする。

「いやぁ、高い所から見渡して、最初にアタリを付けた場所にレイアがいるとは、さすがに思わなかったけどね?」
「どうして、そうなるんだよ! アタシは誰にも見つけられたくないと思ってたのに」

 顔を歪めて、辛そうに言ってくるレイアにテツは笑いかける。

「誰にも会いたくない、でも、1人は寂しいとレイアが思ったから、ここに来たんだよ? 本当に見つかりたくなかったら、どこかの建物の奥に隠れればいいんだ。僕は勿論、ホーラ姉さん達が近くに来て、覗き込んだら一発にばれる場所に隠れたとは言わないね」

 何でもないように言うテツに絶句するレイア。

 おそらく、その自覚症状はなかったのであろうが、言われるとシックリきたようで否定し辛いようだ。

「でも捜しに来て欲しかったのは僕じゃないよね、ごめんね?」

 テツにそう言われて目を見開くと怯えるとテツと反対側の塀に後ずさり逃げようとする。

 だが、テツがレイアの手を取って逃げようとするのを阻止する。

「逃げないで、レイア。僕は前から、そうじゃないかと思ってたけど確信がない事と機会がないと今まで口にしてこなかった。もっと僕が思いきっていれば良かったと今は後悔してるんだ」

 そう言いながらレイアの両肩を掴んで地面に座らせる。

 同じように座るテツが優しげな瞳でレイアを見つめる。

「でも、今回、他の子達が落ち込んで動けないのに、1人こうしているレイアを見て、僕は確信したよ。前から思ってた事は間違ってなかったって」

 アリア達と違ってレイアには冒険者に成りたいという芯が存在していたから、こうしていられるとテツに言われる。

 レイアは泣きそうな顔をして首を横に振り、イヤイヤするようにテツの言葉を聞くのを拒否するように耳を塞ぐ。

 そんなレイアの腕を優しく解くテツは温かい視線をレイアの瞳に送る。

「単刀直入に言うよ? レイア、君はユウイチさんの事をお父さんとして大好きだよね?」

 テツにそう言われたレイアは顔をクシャクシャにしてポロポロと大粒の涙を零し、嗚咽を必死に殺しながら静かに俯いた。
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