異世界で双子の娘の父親になった16歳DT-女神に魔法使いにされそうですー

バイブルさん

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11章 DT、見守る愛を貫く

304話 胸騒ぎの夜らしいです

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 空腹に負けたアリアとスゥが諦めた事により、逃げ切ったダンテとヒースはレイア達と合流して食事を取っていた。

 そこにはダンテとヒースにパンツを無理矢理に履かされたキッジも一緒にいた。

 履かせる時にも一悶着があり、「お願い、パンツは勘弁してくれぇ~、もうちょっとな気がするんだぁ!」と頬を紅潮させ、瞳を潤ませるキッジの様子から、多分、違う方面で、もうちょっとだったと思われた。

 などと色々、問題が山積させているが、当面落ち着いた事で食事をしながら近況報告を兼ねた世間話を始めていた。

「そういえば、キッジは以前、レイア達が開墾した山の方で薬草などを栽培する為に来たんだよね? どんな感じ?」

 ダンテは、今、ペーシア王国で新しい特産物などを作る為に力を入れている事を知っていた。その為にやってきたキッジの進捗状況が気になって聞いてみる事にした。

「ふむ、その事でレイア達に聞きたい事があって、こちらに顔を出させて貰ったのだ」
「ん? アタシ達に聞きたい事ってなんだ?」

 一時はキッジがおかしくなってる事に絶望を感じて泣いていたレイアであったが、案外あっさりと立ち直り、気持ちの切り替えが済んでる辺りが女の子しているレイアが聞く体勢になる。

「以前、開墾してる時におかしな事はなかったか?」
「おかしな事ねぇ?」

 キッジの言葉に首を傾げるレイアにヒースが思い出したように口を挟む。

「思い付くのは、あれぐらいかな? 白い糸が土の中で張り巡らしてるのがあったじゃない?」
「ああ、あの鍬やスコップを跳ね返すヤツね?」
「そう、その話を聞きたかった。詳しく頼める?」

 思わぬ食い付きを見せるキッジに目を白黒させるレイアとヒースが見つめ合うとその時の事を思い出し始める。

「詳しくと言われてもアタシもたいして知らない。糸が出てる範囲を外れた辺りから掘り返せば取る事が出来たから開拓しない場所に捨てただけだし?」
「ああ、そういえば、燃やそうとした人がいたそうだけど、普通の火だと燃える様子もなかったって聞いたかな?」

 レイアとヒースの言葉を聞いているキッジが難しい顔をするので、アリアが問いかける。

「私は植物の事はさっぱりだけど、そんなに珍しい事なの? 菌などや糸に見える木の根とかじゃない?」
「見た目だけなら、そういう菌はあるんだ。それだったら火で良く燃えるから処置が簡単だけど、ヒース君だったかな? が言うように燃えなくて、鍬やスコップだけでなく斧などの物理攻撃も受け付けない」

 そう言うキッジは、レイア達が開拓に入り始めた時点から既にあった出来事だった事を知り、難しい顔をしながらもアリアの言葉に律儀に返事をする。

 開拓が上手くいっていない事が伝わったアリア達は顔を見合わせる。

 それに気付いたキッジが肩を竦めながら言ってくる。

「確かに、それが理由で作業が停滞しそうな雰囲気は生まれたけど、先にペーシア王国から作業中止命令が下った。聞いたところによると、どうやら、スゥの母上のミレーヌ様が主導してるらしい」
「ええっ! お母様が来てるの!?」
「ミレーヌさんが来ているという事は、ユウイチさんも絡んでるね……」

 王位を譲ったといえ、他国の元女王が腕を振るえる状況など普通ではない。しかし、それが雄一が間に入っているとなればおかしくもなんともない。

 逆にそれ以外の理由でミレーヌが介入できる理由がない。ただでさえ、軍再編中で必要以上の介入は強いナイファ国の傀儡政権を国民達に強く意識させてしまう。

 今は、『救国の英雄』である雄一の公平さを信じて介入されている事を受け入れているが、そのバランスを危うくしていると言える配置から緊急性が見え隠れする。

「あの白い糸がそんなに危ないのか?」
「分からない。でも、魔法に反応を示すんだ。どの魔法でもいいけど、使うと糸が太くなったり、本数が増えるらしい。どうやったら処置できるのやら……」
「多分、生命の力でなら切れる」

 こちらの話に興味なさそうに最後の骨付き肉に齧りついていたミュウがボソッと言ってくる。

 一瞬、何を言われたか分からない顔を一同がした後、キッジがいち早く立ち直る。

「ミュウ、それってどういう事? 生命の力って!?」
「レイア、鍬で力一杯叩きつける時、息吹した。その息吹に糸が揺れた」
「ああ、確か、一発渾身の力で叩きつけた時にしたな……ってか、ミュウ、良くそんなところ見てたな?」

 キッジの質問に答えたミュウの言葉を聞いたレイアは素直に驚き、溜息を洩らす。

「つまり、生命の力、気の力でなら切れるんじゃないか、と言う事だね?」

 ミュウが言っている意味を理解したヒースが確認するように言うとミュウは頷くと肉の咀嚼に戻っていった。

 打開策が見えたとばかりに喜びの表情を見せるキッジが立ち上がる。

「早速、試してくれないか? レイアは気を操れるんだよな?」

 キッジが嬉しそうに言う言葉に頷こうとするレイアを阻むよう大声で止める者が現れる。

「駄目です! それはしてはいけません!」

 いつものボケーとした表情ではなく、必死さが滲むポロネであった。

 一番、話に介入してくると思ってなかった人物の強い言葉に面喰うレイア達であったが、

 隣に座っていたダンテがポロネに聞く。

「どうしたんだい? ポロネはこの事で知ってる事があるのかい?」

 そう聞いてくるダンテの言葉になんとか説明しようするが思い付かなく、戸惑いを見せるポロネが辛そうな顔をすると首を横に振ってくる。

「良く分かりません。ただ、世界の生命を殺す事になる、と漠然的にそう思うだけで……」
「そうか……」
「ダンテ! 『そうか……』じゃないよ? 世界の生命の意味ぐらい聞かないと!」

 ダンテとポロネのやり取りに耐えられなかったキッジが食い付くように言ってくるがダンテは申し訳なさそうに首を横に振る。

 ポロネは記憶喪失で、無理矢理聞いても答えらしい答えが得れないだろう、と伝えるとダンテが嘘吐くとは思わないキッジが悔しそうに引き下がる

 考え込むスゥが提案するように聞いてくる。

「さすがに大事な気がするから、思いきってお母様に会いに行くとか?」
「いいのかい? 俺達、ダンガ発の商人、職人はユウイチさんにアリア達が一介の冒険者として活動し、優遇せずに、縁故を利用しようとするのを邪魔するように言われてるんだけど?」

 キッジの言葉にスゥは、私達の力も必要かも! と言おうかと思ったが、この場だけであればキッジを騙せるかもしれない。しかし、間違いなくミレーヌは騙されてくれずにダンガに強制送還され、二度と大人扱いして貰えないと感じて黙り込む。

 もし、スゥ達の力が必要とされていたら、こちらから接点を求めなくても、例えば、ホーラ達を経由して話が来るはずである。

 スゥの葛藤を理解したらしいキッジが話を纏めに入る。

「まあ、どちらにしても作業停止されたと同時に立ち入りも禁止されたから手の打ちようがないよ。情報ありがとう」

 立ち上がって去ろうとするキッジを止めようとするアリア達であったが、そろそろ作業に戻って欲しいという声が後ろからして、後ろ髪ひかれる想いを飲み込んでアリア達は作業に戻っていった。





 その日の夜。

 月夜が美しく明日ぐらいには満月になりそうな月がやさしく照らす、そんな夜にダンテは不意に目を覚ます。

 目を覚ましたダンテは酷い動悸に荒い呼吸をしており、胸を掻き毟るようにして空気を求める。

 辺りを見渡すと同室のヒースが寝ており、眠りが深いのか、ダンテの声が伴う荒い息にも反応みせずに一定のリズムの寝息が聞こえる。

 意識して荒い息を落ち着かせる事に成功したダンテは、それが原因か喉が酷く乾いている事を意識してしまい、ベットから降りると部屋を出る。

 水を求めて台所を目指す為に玄関を横切ろうとした時、玄関の扉が開いており、見覚えがあるベールが落ちている気付く。

 駆け寄るようにベールを拾って見つめる。

「これはポロネの?」

 ベールを握り締めるダンテが玄関から覗く外の様子をジッと見つめるとダンテらしくない行動に出る。

「ポロネを探しに行こう」

 普段のダンテであれば、みんなを起こして探しに行くという選択肢を考えたはずだが、今のダンテの胸を占めるのは激しい焦燥感であった。


 家を飛び出したダンテはアテもなく走り続ける。

 依頼から帰ってくる時、いや、昼休み以降、ずっと様子のおかしかったポロネの事を思い出す。

 酷く思いつめる様子を見せていたので、何度となく「どうしたの?」などと聞いたが困った様子で笑うポロネが謝っていた。

 その時のやり切れない思いを唇を噛み締める事で耐えるダンテは、まるで導かれるかのように気付けば昼間に話をしていた開墾地の山にやってきていた。

 普段の訓練の準備体操代わりのマラソンの半分も走ってないのに肩で息するダンテが忙しなく辺りを見渡すと森の奥に淡い光が漏れているのに気付く。

 警戒心が強いダンテなのに、迷わず、その光の下へと走っていくと拓けたそこには探し人のポロネの姿があった。

 月を見上げながら涙を流すポロネに気付き、走っていた足がゆっくりと止まっていき、ポロネとの距離が10mほどの距離で足が止まる。

 ダンテが踏み抜いた小枝の音で気付いたのかダンテに振り返ってくるポロネは溢れる涙を拭わずに呟くように言ってくる。

「思い、思い出しちゃいました……」
「えっ? 何を?」

 ダンテは聞き返すが答えが分かってるのを先延ばしにするように聞き返す。

 唇を噛み締めながら口をへの字にするポロネがダンテに縋ってしまいたいのを耐えるようにする姿にダンテは胸を締め付けられる。

「もうちょっとだけ、気付かないまま、ダンテとみんなと一緒にいたかった……」
「何を言ってるんだ!! みんな一緒だ、ずっと一緒だよ、ポロネ!!」

 そうポロネにゆっくりと近づきながらダンテが叫んだと同時に月が雲に隠されたように闇に包まれる。




『見つけた』




 低く男の声が響くとポロネの足下に大きな穴が生まれ、吸い込まれるように落ちるポロネに駆け寄るダンテ。

 思わずという感じにダンテに差し出される手を掴む為にダンテは飛び出すが、後、ちょっとの所でダンテの手が空を切る。

 手を掴めなかったダンテの絶望に染まる顔を見て、ポロネが悲しそうに笑う。

「ごめんね?」

 その言葉と同時にポロネは穴の暗闇の中に消え、ダンテは絶叫する。

 飛び出した為、ヘッドスライディングするように滑るダンテは慌てて立ち上がると閉り始める穴に飛び込もうとする。

 だが、そんなダンテの腹を片手で担ぐようにする白髪のエルフの少年が穴があった方向と反対側に力強く跳ぶ。

「ダンテ、駄目だ! 周りが見えてないのか!?」
「テツさん!?」

 そう言われて初めて辺りを見渡すダンテ。

 ダンテを抱えて逃げるテツを追いかけるように黒い影のような触手が無数に追いかけてくる。

 黒い触手にパチンコで鉄球を放ち、爆発させる少女とそれを護衛するように並走するエルフの女性の姿を捉える。

「テツ、殿はアタイがするさ! だから、後ろを気にせずに走り抜け!!」
「ダンテを頼みます!」

 ホーラとディータがテツとダンテの脱出の援護にやってきてくれた。

 そのおかげで徐々に黒い触手との距離が離れていく。それと同時にポロネが消えた穴も離れていき、どんどん塞がっていく穴に手を伸ばすダンテは叫ぶ。



「ポロネェェェェェェ!!!!」



 悲しく響き渡るダンテの声を無視するように無情にもポロネを飲み込んだ穴は塞がった。
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