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最終章 DTには『さようなら』は似合わない
314話 アリア達、ダンガへの帰途に着くらしいです
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ポロネの件でペーシア王国を中心に世界崩壊の危機の現場に立ち会ったアリア達は、復興を助ける為に奔走して数カ月が経ち、誕生祭まで2週間切った早朝、数ヶ月、寝起きした思い出の詰まった家の前でアリア達6人は立っていた。
全ての私物を、必要のないモノは処分し、必要なモノを荷物として纏めた旅支度を済ませたアリア達の姿がそこにあった。
「数ヶ月だけ住んでただけとはいえ、出ていくと思うと寂しさを感じるの」
「んっ、でも帰ってやらないといけない事がある!」
そう言うとアリアとスゥが手と手をがっしりと掴み合い、気合いの籠った視線を交わし合い頷き合う。
雄一に結婚する、と言わせる為であった。
それを見つめて苦笑いするヒースであるが、ダンテの冷静な判断から2人の結婚話は絶望視だと聞かされているので若干冷静にいられている。
ダンテの判断が違い、上手くいってしまえば、自分に巡り合わせがなかったと諦めるしかないぐらいには雄一の存在の大きさを感じ始めていた。
呆れる視線を姉、アリアに向けて肩で嘆息するレイアはここ数ヶ月の事を思い出すように呟く。
「結局、アタシ達、依頼で討伐依頼は勿論、雑用依頼以外受けなかったな?」
「そうだね、でも雑用依頼がいかに重要かは身を持って知る事になったよね。雑用依頼は日常の人々の願いの縮図がそこにあった」
「がぅ、ヒース、良い事言った。ミュウもそれが言いたかった!」
レイアのぼやきにヒースがこの数ヶ月で得た答えを言葉にすると明らかに便乗しただけのミュウが訳知り顔で頷いてヒースの肩を叩く。
ミュウの調子の良さに苦笑を浮かべるヒースと良いとこ取りをするミュウと取っ組み合いを始めるレイアが騒ぐのを気にしないダンテが黙って今日でお別れする家を見つめる。
数ヶ月、色々あったが、ほんの数週間もいなかったポロネとの生活の記憶が一番鮮明に思い出せる。
見た目はお姉さんのように頼りになりそうなのに、とても手のかかる少女で、すぐに泣くし、すぐに拗ねる。本当に子供のようなポロネを思い、ダンテは柔らかい笑みを浮かべる。
ポロネと契約した影響で封じられた精霊感応は未だに戻っていない。
だが、魔力行使に関しては、封じられる前と遜色ない程に使えるようになっていた。
使えると分かった時、いかにダンテは精霊の力を無駄に使っていたかを知る事なった。
情けない思いと同時に、これは好材料だとダンテは考えている。
精霊の力がなくとも以前と変わらない力が発揮できるということは、伸び代がまだまだあり、強くなれる事の証明であるからであった。
ダンテは自分の掌を握り締めて握り拳を作る。
「僕は強くなれる。だから、もう少し待っててね、ポロネ」
そして、アリア達は踏ん切りを付け合うように頷き合うと住み慣れた家を後にした。
▼
アリア達が手配した街道に繋がる門の傍に用意された馬車の周りには人だかりが出来ていた。
その人々がアリア達に気付くと笑みを浮かべて手を振ってアリア達の到着を待っていた。
人々の前にやってきたアリア達が見渡すと全ての人が見覚えがある人達ばかりであった。
冒険者ギルドの関係者から、解体工事で知り合ったガテン系の人々、そして教会の子供達に雑用依頼で知り合ったペーシア王国の王都の人々が100人はいるのではないかと思わせる程の人達がアリア達を優しい瞳で見つめていた。
そんななか、前に出てきたスーツ姿の少女、冒険者ギルドの受付のサラサがダンテに向けて手を差し出してくる。
「有難う、みんなのおかげで私達は目を覚ます事ができて、前に進む事ができたわ」
「いえ、僕達はたいした事はしてませんよ」
差し出された手を握り返したダンテに「私が目を覚めるような事を言われた時は、少しだけ恨んじゃったけど、ごめんね?」と耳元で囁かれてダンテは弱ったように苦笑いを洩らす。
その後ろからモヒカン頭とデブの見覚えがある2人組が頭を掻きながらやってくる。
「あの時は悪かったな……」
「えっと……ああ、初めてペーシア王国の冒険者ギルドに行った時に出会った絶滅危惧種!」
思い出して掌を叩くレイアに「絶滅危惧種、言うな!」と顔を真っ赤にするモヒカン頭。
それにレイアがケラケラと笑い、「ワリィ、ワリィ」と適当に謝る。
咳払いするモヒカン頭が気を取り直して言ってくる。
「アレ以降、心を入れ替えて、俺達も雑用依頼をメインに頑張ってるよ。いいもんだよな、感謝されるというのは酒が10倍美味く感じらぁ」
「結局、飲んでるのかよ? まあ、いいけどな」
頭の後ろで手を組んで楽しそうに笑うレイアに感謝するモヒカン頭とデブは照れた様子を見せて、「気を付けて帰れよ?」と言って足早に立ち去る。
それを見送っていると解体工事で知り合った親方達がやってくる。
「よう、嬢ちゃん達、里帰りするらしいな? 働き手が減るのはつれぇな?」
みんなを見渡すが特にレイア、ミュウ、ヒースを熱く見つめる。
やはりガテン系なだけあって力仕事ができるというのはステータスのようだ。
名残惜しいのか、その3人に熱く語り出す親方達を横目に見て苦笑していたアリア達に声をかけてくる商人がいた。
アリア達が住んでいた家を貸してくれた商人であった。
「まさか、あのそれなりに住みついてくれたら助かるぐらいにしか思ってなかったガキンチョ達がこんなに住人に慕われる存在になるとは思ってなかったな」
「あはは、でも、約束通り、住み切ったんで悪い噂の拡散は止まるんじゃないですか?」
ダンテがそう答えると肩を竦めてニヒルに笑ってみせる商人。
「そうでもないさ? 1年は空き家確定だ……それぐらいなら待ってやる。帰ってくる気があるなら貸してやるから顔を出せ」
「勿論、銀貨2枚なの?」
そう笑うスゥに言われた商人は、馬鹿野郎と言いそうになる言葉を飲み込むと「好きにしやがれ」と鼻を鳴らすとメインストリートへと歩いて行った。
それを見送っていると教会の子供達がアリア達を取り巻くように集まるとアリア達の荷物を協力して馬車へと運び出す。
慌てたアリア達が危ないから止めようとするのを教会のシスターが止めてくる。
「やらせてあげてください。貴方達、特にダンテ君にはとてもお世話になりました。依頼以上のものがあの子達の胸の内に残っているのです。あの子達は自分が出来る事を何かしたいのですよ」
そういうシスターの言葉にムズ痒い思いをしているとポロネと良く遊んでいた年少の子供達が花で作った花冠をアリア達に手渡してくる。
お金もなく気持ちだけでも伝えたいという子供達の気持ちに優しげな笑みを浮かべるアリア達は有難く受け取る。
荷物を積み終えた子供達にお尻を押されて馬車に乗り込まされる。
「いってらっしゃい、お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
「いってきます!」
子供達の言葉にアリア達は元気良く返事を返すと他の住人達からも「いってらっしゃい!」と大きな声で言われるのに合わせるようにダンテは馬車を走らせ始める。
それから馬車の後方から手を振る住人達が見えなくなるまで手を振り続けたアリア達であったが見えなくなると満足そうな顔をして吐息を洩らす。
「ペーシア王国に来て良かった」
そう呟いたアリアの言葉に残る面子は黙って頷く。
これ以上の言葉を足すのも引くのも無粋と感じるアリア達は静かな時間を過ごすが静寂が我慢できなくなったレイアが叫ぶ。
「それはそれ! アタシ達、ダンガの誕生祭の準備期間に間に合うかな? 誕生祭も楽しいけど、その準備も楽しいから参加したいんだけどさ?」
「どうだろう? 今日まで出発がホーラさんから許可されてなかったから日程の調整ができなくて仕方がないけど、あのホーラさんの性格だから前日入りになるように調整してそう。僕の見立てでもそれぐらいになるかな」
レイアの叫びにダンテが御者をしながら答える。
残念がるレイアを余所にアリアとスゥが顔を見合わせて気合いを漲らせる。
「ユウさんの事だからドレスは用意してくれてないかもしれないから現地で作るのはとっくの前に諦めてた!」
「そう、私達は念の為にペーシア王国で保険のドレスを仕立てたの! 完璧なの、抜かりはないの!」
「なぁ、2人共、考え直さないか?」
息巻く姉と友達の2人に思い留まらせようと一応、声をかけるが暴走列車のように止めるのは無理だと諦めが入り始めているレイア。
「なぁ、ダンテ、ザガンと違ってダンガは誕生祭がかなり派手と聞いたんだけどそうなの?」
「ちなみにザガンではどんなのだったの?」
そう聞き返す御者席に仲良く座る男2人が違いに関する話に華を咲かせる。
男と女で分かれて、やんややんや、と騒ぐのを尻目にミュウは欠伸を噛み殺しながら横になる。
「慌てない、慌てない。ほっといても誕生祭くる。一休み、一休み」
がぅぅ、と弱々しく鳴くと寝息に変わるミュウの頭に乗った花冠の花に蝶々が止まり、冬なのに暖かいペーシア王国の日差しに照らされてアリア達はダンガを目指して馬車を走らせ続けた。
▼
ダンガにある北川家の雄一の私室にシホーヌとアクアが雄一を訪ねていた。
ここ数ヶ月、家にいる時間が滅法減った雄一とまともに話すのが久しぶりの2人の顔には笑みはなく、悲しみに彩られていた。
「主様、ごめんなさい。ずっと黙っていたせいで駆け込みで方策を探る事を強要する事になってしまいました。ですが……分かった事は、それ以上の方策がない、という事実ではありませんでしたか?」
アクアの言葉に雄一は言い返せない憤りを堪えるように歯を食い縛り、握り拳を作る。
その硬く握られた拳を優しく包むようにするアクア。
俯く雄一に触れる程の距離まで近づいたシホーヌが目尻に涙を浮かべながら雄一を見上げる。
「ユウイチ、ユウイチ、ずるい私達を許して欲しいのですぅ。ユウイチならきっと分かってくれると辛い選択肢を選ばせる事を……」
寄りそうようにシホーヌとアクアが並び、雄一を見上げる。
「ユウイチ」
「主様」
目尻に溜めた涙を零しながら嗚咽混じりに告げる。
「「アリアとレイアの為に負けて頂けませんか?」」
全ての私物を、必要のないモノは処分し、必要なモノを荷物として纏めた旅支度を済ませたアリア達の姿がそこにあった。
「数ヶ月だけ住んでただけとはいえ、出ていくと思うと寂しさを感じるの」
「んっ、でも帰ってやらないといけない事がある!」
そう言うとアリアとスゥが手と手をがっしりと掴み合い、気合いの籠った視線を交わし合い頷き合う。
雄一に結婚する、と言わせる為であった。
それを見つめて苦笑いするヒースであるが、ダンテの冷静な判断から2人の結婚話は絶望視だと聞かされているので若干冷静にいられている。
ダンテの判断が違い、上手くいってしまえば、自分に巡り合わせがなかったと諦めるしかないぐらいには雄一の存在の大きさを感じ始めていた。
呆れる視線を姉、アリアに向けて肩で嘆息するレイアはここ数ヶ月の事を思い出すように呟く。
「結局、アタシ達、依頼で討伐依頼は勿論、雑用依頼以外受けなかったな?」
「そうだね、でも雑用依頼がいかに重要かは身を持って知る事になったよね。雑用依頼は日常の人々の願いの縮図がそこにあった」
「がぅ、ヒース、良い事言った。ミュウもそれが言いたかった!」
レイアのぼやきにヒースがこの数ヶ月で得た答えを言葉にすると明らかに便乗しただけのミュウが訳知り顔で頷いてヒースの肩を叩く。
ミュウの調子の良さに苦笑を浮かべるヒースと良いとこ取りをするミュウと取っ組み合いを始めるレイアが騒ぐのを気にしないダンテが黙って今日でお別れする家を見つめる。
数ヶ月、色々あったが、ほんの数週間もいなかったポロネとの生活の記憶が一番鮮明に思い出せる。
見た目はお姉さんのように頼りになりそうなのに、とても手のかかる少女で、すぐに泣くし、すぐに拗ねる。本当に子供のようなポロネを思い、ダンテは柔らかい笑みを浮かべる。
ポロネと契約した影響で封じられた精霊感応は未だに戻っていない。
だが、魔力行使に関しては、封じられる前と遜色ない程に使えるようになっていた。
使えると分かった時、いかにダンテは精霊の力を無駄に使っていたかを知る事なった。
情けない思いと同時に、これは好材料だとダンテは考えている。
精霊の力がなくとも以前と変わらない力が発揮できるということは、伸び代がまだまだあり、強くなれる事の証明であるからであった。
ダンテは自分の掌を握り締めて握り拳を作る。
「僕は強くなれる。だから、もう少し待っててね、ポロネ」
そして、アリア達は踏ん切りを付け合うように頷き合うと住み慣れた家を後にした。
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アリア達が手配した街道に繋がる門の傍に用意された馬車の周りには人だかりが出来ていた。
その人々がアリア達に気付くと笑みを浮かべて手を振ってアリア達の到着を待っていた。
人々の前にやってきたアリア達が見渡すと全ての人が見覚えがある人達ばかりであった。
冒険者ギルドの関係者から、解体工事で知り合ったガテン系の人々、そして教会の子供達に雑用依頼で知り合ったペーシア王国の王都の人々が100人はいるのではないかと思わせる程の人達がアリア達を優しい瞳で見つめていた。
そんななか、前に出てきたスーツ姿の少女、冒険者ギルドの受付のサラサがダンテに向けて手を差し出してくる。
「有難う、みんなのおかげで私達は目を覚ます事ができて、前に進む事ができたわ」
「いえ、僕達はたいした事はしてませんよ」
差し出された手を握り返したダンテに「私が目を覚めるような事を言われた時は、少しだけ恨んじゃったけど、ごめんね?」と耳元で囁かれてダンテは弱ったように苦笑いを洩らす。
その後ろからモヒカン頭とデブの見覚えがある2人組が頭を掻きながらやってくる。
「あの時は悪かったな……」
「えっと……ああ、初めてペーシア王国の冒険者ギルドに行った時に出会った絶滅危惧種!」
思い出して掌を叩くレイアに「絶滅危惧種、言うな!」と顔を真っ赤にするモヒカン頭。
それにレイアがケラケラと笑い、「ワリィ、ワリィ」と適当に謝る。
咳払いするモヒカン頭が気を取り直して言ってくる。
「アレ以降、心を入れ替えて、俺達も雑用依頼をメインに頑張ってるよ。いいもんだよな、感謝されるというのは酒が10倍美味く感じらぁ」
「結局、飲んでるのかよ? まあ、いいけどな」
頭の後ろで手を組んで楽しそうに笑うレイアに感謝するモヒカン頭とデブは照れた様子を見せて、「気を付けて帰れよ?」と言って足早に立ち去る。
それを見送っていると解体工事で知り合った親方達がやってくる。
「よう、嬢ちゃん達、里帰りするらしいな? 働き手が減るのはつれぇな?」
みんなを見渡すが特にレイア、ミュウ、ヒースを熱く見つめる。
やはりガテン系なだけあって力仕事ができるというのはステータスのようだ。
名残惜しいのか、その3人に熱く語り出す親方達を横目に見て苦笑していたアリア達に声をかけてくる商人がいた。
アリア達が住んでいた家を貸してくれた商人であった。
「まさか、あのそれなりに住みついてくれたら助かるぐらいにしか思ってなかったガキンチョ達がこんなに住人に慕われる存在になるとは思ってなかったな」
「あはは、でも、約束通り、住み切ったんで悪い噂の拡散は止まるんじゃないですか?」
ダンテがそう答えると肩を竦めてニヒルに笑ってみせる商人。
「そうでもないさ? 1年は空き家確定だ……それぐらいなら待ってやる。帰ってくる気があるなら貸してやるから顔を出せ」
「勿論、銀貨2枚なの?」
そう笑うスゥに言われた商人は、馬鹿野郎と言いそうになる言葉を飲み込むと「好きにしやがれ」と鼻を鳴らすとメインストリートへと歩いて行った。
それを見送っていると教会の子供達がアリア達を取り巻くように集まるとアリア達の荷物を協力して馬車へと運び出す。
慌てたアリア達が危ないから止めようとするのを教会のシスターが止めてくる。
「やらせてあげてください。貴方達、特にダンテ君にはとてもお世話になりました。依頼以上のものがあの子達の胸の内に残っているのです。あの子達は自分が出来る事を何かしたいのですよ」
そういうシスターの言葉にムズ痒い思いをしているとポロネと良く遊んでいた年少の子供達が花で作った花冠をアリア達に手渡してくる。
お金もなく気持ちだけでも伝えたいという子供達の気持ちに優しげな笑みを浮かべるアリア達は有難く受け取る。
荷物を積み終えた子供達にお尻を押されて馬車に乗り込まされる。
「いってらっしゃい、お兄ちゃん、お姉ちゃん!」
「いってきます!」
子供達の言葉にアリア達は元気良く返事を返すと他の住人達からも「いってらっしゃい!」と大きな声で言われるのに合わせるようにダンテは馬車を走らせ始める。
それから馬車の後方から手を振る住人達が見えなくなるまで手を振り続けたアリア達であったが見えなくなると満足そうな顔をして吐息を洩らす。
「ペーシア王国に来て良かった」
そう呟いたアリアの言葉に残る面子は黙って頷く。
これ以上の言葉を足すのも引くのも無粋と感じるアリア達は静かな時間を過ごすが静寂が我慢できなくなったレイアが叫ぶ。
「それはそれ! アタシ達、ダンガの誕生祭の準備期間に間に合うかな? 誕生祭も楽しいけど、その準備も楽しいから参加したいんだけどさ?」
「どうだろう? 今日まで出発がホーラさんから許可されてなかったから日程の調整ができなくて仕方がないけど、あのホーラさんの性格だから前日入りになるように調整してそう。僕の見立てでもそれぐらいになるかな」
レイアの叫びにダンテが御者をしながら答える。
残念がるレイアを余所にアリアとスゥが顔を見合わせて気合いを漲らせる。
「ユウさんの事だからドレスは用意してくれてないかもしれないから現地で作るのはとっくの前に諦めてた!」
「そう、私達は念の為にペーシア王国で保険のドレスを仕立てたの! 完璧なの、抜かりはないの!」
「なぁ、2人共、考え直さないか?」
息巻く姉と友達の2人に思い留まらせようと一応、声をかけるが暴走列車のように止めるのは無理だと諦めが入り始めているレイア。
「なぁ、ダンテ、ザガンと違ってダンガは誕生祭がかなり派手と聞いたんだけどそうなの?」
「ちなみにザガンではどんなのだったの?」
そう聞き返す御者席に仲良く座る男2人が違いに関する話に華を咲かせる。
男と女で分かれて、やんややんや、と騒ぐのを尻目にミュウは欠伸を噛み殺しながら横になる。
「慌てない、慌てない。ほっといても誕生祭くる。一休み、一休み」
がぅぅ、と弱々しく鳴くと寝息に変わるミュウの頭に乗った花冠の花に蝶々が止まり、冬なのに暖かいペーシア王国の日差しに照らされてアリア達はダンガを目指して馬車を走らせ続けた。
▼
ダンガにある北川家の雄一の私室にシホーヌとアクアが雄一を訪ねていた。
ここ数ヶ月、家にいる時間が滅法減った雄一とまともに話すのが久しぶりの2人の顔には笑みはなく、悲しみに彩られていた。
「主様、ごめんなさい。ずっと黙っていたせいで駆け込みで方策を探る事を強要する事になってしまいました。ですが……分かった事は、それ以上の方策がない、という事実ではありませんでしたか?」
アクアの言葉に雄一は言い返せない憤りを堪えるように歯を食い縛り、握り拳を作る。
その硬く握られた拳を優しく包むようにするアクア。
俯く雄一に触れる程の距離まで近づいたシホーヌが目尻に涙を浮かべながら雄一を見上げる。
「ユウイチ、ユウイチ、ずるい私達を許して欲しいのですぅ。ユウイチならきっと分かってくれると辛い選択肢を選ばせる事を……」
寄りそうようにシホーヌとアクアが並び、雄一を見上げる。
「ユウイチ」
「主様」
目尻に溜めた涙を零しながら嗚咽混じりに告げる。
「「アリアとレイアの為に負けて頂けませんか?」」
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