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3章 頑張る冒険者家業
高校デビュー the あなざー スワンの大冒険② 後編
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「そうか! 分かるぞ! それは辛かったな!」
「ギギッ!? ギッギギギィ!!」
号泣するキング種だと思われるゴブリンがスワンに縋りつき、その大きなナリをしたゴブリンの背を叩きながら貰い泣きするスワン。
「辛くも村一番のゴブリンの強さを示してゴブリンキングになったのに、クィーンになる幼馴染を初戦負けしたゴブリンに寝取られて、一族総出で襲われたのだからな?」
友達になったゴブリンにここにいる事情を聞き出したスワンは「酷いな?」と慰める。
勿論、友達になった方法はスラ吉と同じで指と指のコンタクトで一発であった。
聞き出したところによると、このゴブリンは負けて逃げ出したようだが、村にいるゴブリンの半数を半殺しにまでしてから逃げてくるほど強者であった。
「で、ここで泣いてたぐらいだから心残りがあるのだろう? 私が聞いてやろう」
無駄に自信に溢れた笑みを浮かべながら胸を叩くと強く叩き過ぎて咳き込むスワンを見つめて大丈夫だろうか? と首を傾げるゴブリン。
しかし、どことなく頼りになりそうな気がしたゴブリンは自分の意思を伝える。
「ふむふむ、村の奴等を叩きのめして、幼馴染の女に自分から振ってやりたい、と? 復讐を考えるなら殺さなくてもいいのか?」
スワンの言葉に真剣な目をしたゴブリンが力強く被り振る。
「そうか、お前は男だな! 恨みがあるとはいえ、生まれた故郷の相手を殺すまでするのは忍びないとは……お前の村の者達は立派な王を見逃したものだ……ヨシッ!」
ナイスアイディアだ、と言いたげに膝を叩くスワンがゴブリンを指差しながら高笑いしながら告げる。
「お前のようなできる男を野に放つのは惜しい! 我が社の社員に雇ってやる。お前は今日からゴブ郎と名乗れ、我が社の係長待遇で向かい入れよう!」
そういうがゴブリン、ゴブ郎は不満そうに両手を上げて、「ギッギギギ!」と鳴く。
うんうん、とゴブ郎の気持ちは分かるとばかりに頷くスワンが説明する。
「何故、係長なのか、言いたい事は分かるが、お前は弱い立場の平社員を体を張って守ってくれる良い上司になりそうだからな! お前ほど中間管理職が似合うヤツもいない!」
ナンダッテェ! と驚愕の表情を浮かべるゴブ郎であったが反論する言葉も思い付かないらしく、弱々しく鳴きながら頷く。
スカウト成功したと満足げに頷くスワンは背後に控えているスラ吉に指示を出す。
「ゴブ郎は我が社の社員になった。その社員が被害を受けた。当然、黙っていられない。そうだろう、スラ吉?」
スワンの言葉にプルプルと力強く震えるスラ吉に「よく言った!」と頷いてみせる。
ゴブ郎に村の位置を聞いたスワンが村の方向に指を差して高笑いを上げる。
「わっははは! クリューソス商会、出発だぁ!」
▼
それから数時間後、スライムに乗ったゴブリンキングがゴブリンの村に襲撃をかけた。
その強さは凶悪で村に居る者達は、ほぼ一発で昏睡状態にされていき、逃げ出す事すら許されなかった。
村の最奥の本当ならゴブ郎の城になったゴブリンキングの家にいる幼馴染のゴブリンと間男のゴブリンが震えながら平伏すのをゴブ郎が見下ろしていた。
2人に凄まじい勢いで罵るゴブ郎のセリフを聞いてたスワンが眉を寄せる。
「憤りから仕方がないのだろうが、もうちょっと上品に言えないものか……今後はその辺りの教育も必要だな」
半泣きのゴブ郎の言っている言葉を人が理解できる言葉にしてテレビに写されたら、最初から最後までピィ――――――! と鳴りっぱなしの内容を叫び続けていた。
叫んでたゴブ郎が急に黙ったのを見ると満足したのではなく語彙が尽きて言うべき言葉を失くしたらしく、うろたえた様子を見せた後、首を掻っ切る素振りを見せると鼻を鳴らしてスワンの方に歩いてくる。
「少しは溜飲が下がったか? それでは行こう!」
そういって3人? が仲良く村を歩いて出ていこうとすると追いかけてきたクィーンと目を覚ましたゴブリン達が前に廻り込んで平伏す。
すると、スワンの前に金銀財宝、捨て値で売ってもスワンが借金した金額よりあるかもしれない物を差し出そうとするのを無表情でスワンが見つめる。
クィーンが言った言葉に驚きを見せたゴブ郎が不安そうにスワンを見つめる。
「ゴブ郎を返して欲しい? ゴブ郎が私に帰りたいから、と懇願してきたら考える話だが、どうしてこんな『はした金』でゴブ郎を手放さなければならない?」
喜色を見せるゴブ郎と反対に慌て出すクィーンは他の者達にもっと持ってくるように指示するがスワンが被り振る。
「この100倍用意しようとも返事は変わらん! 人材は金に替えられない。金など私にかかれば、いくらでも稼げる。何故なら私はスーパーお金持ちだからな!」
わっははは! と楽しげに笑うスワンの足に縋りつくゴブ郎。
ゴブ郎の頭を撫でるスワンが口の端を上げる笑みと共にキラリと歯を輝かす。
「良し、死ぬまで付いてこい!」
高笑いするスワンに連れられてスラ吉とゴブ郎はゴブリンの村を後にした。
村を出た所でスラ吉がスワンに問いかけてくる。
「んっ? どこを目指しているのか、知りたいのか? そうだな……」
辺りをキョロキョロするスワンが木の枝を発見すると手にして空中に放り投げる。
そして、枝の細い方が指す方向をスワンも指差しする。
「きっとこっちにいけば良い事がある気がする!」
スラ吉は素直に信じて嬉しげにプルプル震え、ズンズンと迷いもなく歩くスワンを追いかける。
ゴブ郎は余りの適当さに付いて行く人を間違ったかもしれないと首を横に振るが先を歩くスワンに声をかけられる。
「ゴブ郎! ボケェとしてたら置いて行くぞ!?」
そう言ってくるスワンはゴブ郎が付いてくると疑いすら持っていないようである。
ゴブ郎は、この行き当たりばったりな男、スワンに付いて行くのも楽しいのかもしれないと嬉しげに鳴くと置いて行かれないようにスワンを追いかけて走り始めた。
「ギギッ!? ギッギギギィ!!」
号泣するキング種だと思われるゴブリンがスワンに縋りつき、その大きなナリをしたゴブリンの背を叩きながら貰い泣きするスワン。
「辛くも村一番のゴブリンの強さを示してゴブリンキングになったのに、クィーンになる幼馴染を初戦負けしたゴブリンに寝取られて、一族総出で襲われたのだからな?」
友達になったゴブリンにここにいる事情を聞き出したスワンは「酷いな?」と慰める。
勿論、友達になった方法はスラ吉と同じで指と指のコンタクトで一発であった。
聞き出したところによると、このゴブリンは負けて逃げ出したようだが、村にいるゴブリンの半数を半殺しにまでしてから逃げてくるほど強者であった。
「で、ここで泣いてたぐらいだから心残りがあるのだろう? 私が聞いてやろう」
無駄に自信に溢れた笑みを浮かべながら胸を叩くと強く叩き過ぎて咳き込むスワンを見つめて大丈夫だろうか? と首を傾げるゴブリン。
しかし、どことなく頼りになりそうな気がしたゴブリンは自分の意思を伝える。
「ふむふむ、村の奴等を叩きのめして、幼馴染の女に自分から振ってやりたい、と? 復讐を考えるなら殺さなくてもいいのか?」
スワンの言葉に真剣な目をしたゴブリンが力強く被り振る。
「そうか、お前は男だな! 恨みがあるとはいえ、生まれた故郷の相手を殺すまでするのは忍びないとは……お前の村の者達は立派な王を見逃したものだ……ヨシッ!」
ナイスアイディアだ、と言いたげに膝を叩くスワンがゴブリンを指差しながら高笑いしながら告げる。
「お前のようなできる男を野に放つのは惜しい! 我が社の社員に雇ってやる。お前は今日からゴブ郎と名乗れ、我が社の係長待遇で向かい入れよう!」
そういうがゴブリン、ゴブ郎は不満そうに両手を上げて、「ギッギギギ!」と鳴く。
うんうん、とゴブ郎の気持ちは分かるとばかりに頷くスワンが説明する。
「何故、係長なのか、言いたい事は分かるが、お前は弱い立場の平社員を体を張って守ってくれる良い上司になりそうだからな! お前ほど中間管理職が似合うヤツもいない!」
ナンダッテェ! と驚愕の表情を浮かべるゴブ郎であったが反論する言葉も思い付かないらしく、弱々しく鳴きながら頷く。
スカウト成功したと満足げに頷くスワンは背後に控えているスラ吉に指示を出す。
「ゴブ郎は我が社の社員になった。その社員が被害を受けた。当然、黙っていられない。そうだろう、スラ吉?」
スワンの言葉にプルプルと力強く震えるスラ吉に「よく言った!」と頷いてみせる。
ゴブ郎に村の位置を聞いたスワンが村の方向に指を差して高笑いを上げる。
「わっははは! クリューソス商会、出発だぁ!」
▼
それから数時間後、スライムに乗ったゴブリンキングがゴブリンの村に襲撃をかけた。
その強さは凶悪で村に居る者達は、ほぼ一発で昏睡状態にされていき、逃げ出す事すら許されなかった。
村の最奥の本当ならゴブ郎の城になったゴブリンキングの家にいる幼馴染のゴブリンと間男のゴブリンが震えながら平伏すのをゴブ郎が見下ろしていた。
2人に凄まじい勢いで罵るゴブ郎のセリフを聞いてたスワンが眉を寄せる。
「憤りから仕方がないのだろうが、もうちょっと上品に言えないものか……今後はその辺りの教育も必要だな」
半泣きのゴブ郎の言っている言葉を人が理解できる言葉にしてテレビに写されたら、最初から最後までピィ――――――! と鳴りっぱなしの内容を叫び続けていた。
叫んでたゴブ郎が急に黙ったのを見ると満足したのではなく語彙が尽きて言うべき言葉を失くしたらしく、うろたえた様子を見せた後、首を掻っ切る素振りを見せると鼻を鳴らしてスワンの方に歩いてくる。
「少しは溜飲が下がったか? それでは行こう!」
そういって3人? が仲良く村を歩いて出ていこうとすると追いかけてきたクィーンと目を覚ましたゴブリン達が前に廻り込んで平伏す。
すると、スワンの前に金銀財宝、捨て値で売ってもスワンが借金した金額よりあるかもしれない物を差し出そうとするのを無表情でスワンが見つめる。
クィーンが言った言葉に驚きを見せたゴブ郎が不安そうにスワンを見つめる。
「ゴブ郎を返して欲しい? ゴブ郎が私に帰りたいから、と懇願してきたら考える話だが、どうしてこんな『はした金』でゴブ郎を手放さなければならない?」
喜色を見せるゴブ郎と反対に慌て出すクィーンは他の者達にもっと持ってくるように指示するがスワンが被り振る。
「この100倍用意しようとも返事は変わらん! 人材は金に替えられない。金など私にかかれば、いくらでも稼げる。何故なら私はスーパーお金持ちだからな!」
わっははは! と楽しげに笑うスワンの足に縋りつくゴブ郎。
ゴブ郎の頭を撫でるスワンが口の端を上げる笑みと共にキラリと歯を輝かす。
「良し、死ぬまで付いてこい!」
高笑いするスワンに連れられてスラ吉とゴブ郎はゴブリンの村を後にした。
村を出た所でスラ吉がスワンに問いかけてくる。
「んっ? どこを目指しているのか、知りたいのか? そうだな……」
辺りをキョロキョロするスワンが木の枝を発見すると手にして空中に放り投げる。
そして、枝の細い方が指す方向をスワンも指差しする。
「きっとこっちにいけば良い事がある気がする!」
スラ吉は素直に信じて嬉しげにプルプル震え、ズンズンと迷いもなく歩くスワンを追いかける。
ゴブ郎は余りの適当さに付いて行く人を間違ったかもしれないと首を横に振るが先を歩くスワンに声をかけられる。
「ゴブ郎! ボケェとしてたら置いて行くぞ!?」
そう言ってくるスワンはゴブ郎が付いてくると疑いすら持っていないようである。
ゴブ郎は、この行き当たりばったりな男、スワンに付いて行くのも楽しいのかもしれないと嬉しげに鳴くと置いて行かれないようにスワンを追いかけて走り始めた。
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