自然に口無し されど罰の花束を

六月 鵺

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その葛藤に意味はないの

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はっと目を覚ます。息が荒い。じっとりと汗をかいて、張り付いた服が気持ち悪い。

「ゆ……夢…?また、あの化物の夢……?」

上半身を起こして、口を押さえる。じゃないと吐きそうだ。

「はは……夢じゃないとなんなんだよ。あ、あんな……あんな……」

あんなのが現実な訳ない。化物に腐らされるなんて、あんなの……!
顔洗おう。んで、何か飲もう。汗だくで喉が渇いてるから、あんな夢見るんだ。
それに、今の時間なら誰もいないし。
部屋から出て、ゆっくり一階に下りて洗面所で顔を洗うと、リビングに入る。はは、相変わらず小綺麗だな。僕は汚くてもいいけど、家は綺麗じゃないと嫌とか。
それで僕には汚すなとか、とんだ理不尽だ。
冷蔵庫を開けて何が入ってるのか見る。大した物ないな。麦茶でいいや。コップに注いで一気に飲む。空っぽの胃に冷たい飲み物が通る感覚が気持ちいい。
あの女もクズもいないし、偶にはテレビでも見るか。あの二人いたら見れないし。夕方だからニュースくらいしかないだろうけど。
スイッチを入れたら、案の定ニュース。女子小学生が行方不明……ねぇ。誘拐されて殺されてるか、監禁されてるか、無事ではない可能性の方が高いよな。
そういえば昔、両親に心配して欲しくて誘拐を偽装した事件があったっけ。羨ましい限りだな。放ったらかしでも、それでも心配してくれる人がいるのは。
次のは豪雨で甚大な被害か。毎年毎年水害の被害は甚大だな。何日か前の夜中にとんでもない雷と雨降ったしなぁ。地響きがするくらいの凄まじい雷だった。
また次のニュースに切り替わる。親子の変死体か。また物騒な。娘は真っ黒に腐り果てミイラのような状態で、母親は内臓が腐ってて肌の至る所に黒い腐蝕の痕が、か。第一発見者は父親。仕事から疲れて帰ってきて、第一発見者になるなんて。
あの親子の名前、母親が谷原佑美たにはらゆうみで、娘が麻友まゆだったっけ?父親が泰斗たいとだったはず。
画面に写真と名前が出てきた。

「………………はっ?」

ちょっと待てよ、嘘だろ?夢の中に出てきた、化物に殺されて死んだ親子と同じ顔と名前。そもそもぼ、僕はなんで、名前まで知ってるんだ?
なんで?なんでなんでなんでなんでなんでなんで?
気持ち悪い。吐きそう。なんであの親子の死に様が、記憶の中にあるんだよ。化物に殺される場面が、何回も頭の中で再生される。
僕を襲った後にあの親子を襲った……?僕のせい?
違う、きっと夢だ。じゃないとおかしいだろ。あんな化物がいる訳ない。きっと精神が不安定だから、極度の不安があんな夢を見せるんだ。
簡単に何か食べて、シャワー浴びて寝よう。
大丈夫。あれはただの夢。不安を感じる必要はない。
眠りに落ちるまで、そう自分に言い聞かせる。
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