自然に口無し されど罰の花束を

六月 鵺

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その葛藤に意味はないの

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「あー疲れた!しっかしあのジジイの凄まじい匂い、どうにかなんねーかな?毎回あのジジイ、吐きそうになんだけど」

バイト終わり、同じ時間に終わった晃と話ながらロッカーで着替える。

「無理だろ。質悪いのは、何かにつけてクレーム言いまくる事だよな。あんな大声でよく恥ずかしげもなく言えると思う」

「言えてるわ!息止めてるからすぐ終わる時はいいけど、長い時は死にそうになるしな」

「唯一救いがあるとしたら、偶にしか来ない事ぐらいだな」

「あれで毎日来られたら俺辞めるかも」

「僕も辞めちゃうなぁ」

客一人のクレームで大袈裟なと思われそうだけど、それくらい臭くて理不尽な事ばかり言う奴だからなぁ。こんな事思うのは良くないのは分かってるけど、さっさとくたばれと毎回思う。

「お前はこの後どうすんの?俺はいつも通りあいつらいないけど」

「んー……今日はあの二人いない日だから、偶には帰るよ」

「……そうか?無理するなよ」

「うん、ありがとう」


♢♢♢♢♢♢♢♢


「じゃ、また明日な!」

「うん、また明日」

店から出て、お互い家が反対方向にあるからそこで別れる。角を曲がったところで、後悔が押し寄せてきた。
なんで晃の家に行くのを断ったんだろう?あの鴉が気になるから?あの鴉の言ったことを間に受けてるのか?
でも、行ってみないと気が済まなくなってきてる。あの化物の夢といい、ここ数日の僕はおかしい。なんなんだ、夜になった途端におかしなモノの数が半端なくなってる。
そいつらは僕を好奇の目で見てきて、べたべたと触ってくる奴もいる。ちゃんと感触がある。何か言ってるけど、何言ってるのかまでは分からない。
分からない事が怖い。こいつらの事も、あの夢か現実だったのか分からない化物の事も、僕自身に何が起きたのか、分からない事が凄く怖い。
助けて、怖い。あの鴉に会いに行けばこの恐怖が取り除けるのか?
約束では日付が変わる頃だけど、帰ったって憂鬱になるだけ。山に行ってみよう。
僕の頭がおかしくなってる事を祈ろう。
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