to be Continued  ~ここはゲームか異世界か~

秋乃ヒダマリ

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1章 秋山とソレガシ

『アズ=ナ=ブール』

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 それからの秋山は、“そいつ”を守りながら必死で撃って撃って撃ちまくった。

 ひと一人を守りながらの群れとの戦闘は、想像以上に大変だった……と言うか不可能に近い。助かるにはどちらかを犠牲にしなければいけない――

 『選択肢A “そいつ”を放置して逃げる。秋山の良心に一億のダメージ。』

 『選択肢B 秋山、痛いのを我慢する。 スゲー痛いダメージ。』

 …………。


 ――結果、秋山はモロにダメージを貰っていた


 このレベルのモンスター相手では、死ぬ事はまずない。自動回復スキル〔リジェネ〕もある。
 しかし、物理的に死なないだけで、攻撃を受ければ普通に痛いのだ。
 秋山は泣きそうになりながらジャビットの群れと戦った。

 クッソ痛てぇ!! おいコラ!噛むな!!!


 ――そんな感じで三十分、ようやくジャビットの群れを壊滅させることみ成功した。

 辺り一面は血の海になっていた。今更だが、倒したモンスターはアイテムになって消えたりはしないらしい。
 戦闘が終わった頃には、もうズタボロだった。(精神的に……)

「やっと終わった……疲れた……」

 (主に精神が)

「で、こいつどうしよう……」

 未だ秋山の後ろでお寝んねしているヤツ。
 “そいつ”の事を秋山は知っている。と言うほどでもないが見たことがあった。

 “そいつ”の名前は――『赤井さん(仮)』。いや、違うと思うが、この世界に来たばかりの時に見た“あの赤い女の人”だった。

_______________________ 



「――んんっ……」

「やっと起きたか。大丈夫か?」

 赤井さんにポーションを飲ませてやって数十分、ようやく目を覚ましたようだ。
 ちなみに、服装はやっぱり真っ赤なあれだった。

「おい、立てるか?」

「え、は、はい……あの、ワタシ……」

 どうやら状況の整理が出来ていないようだ。ここは親切に教えてやることにする。

「ジャビットの群れが来た、オレ逃げようとした、キミ突っ込んでいった、キミ死にかけてた、オレ仕方なく助けた、……おーけー?」

 どうだ、オレの皮肉たっぷりの説明は――

「うぅ……ぐすっ……ずびばぜんでじだ」

 おっふ、泣くのは反則だろ。

「ま、まぁ全部倒したし結果オーライって事で!!」 

「うぅ……うえぇぇぇぇぇぇん!!!!!」

 ……マジかよ。


_______________________ 

「――落ち着いたか?」

「はぃ、すみませんでした」

 しゅん、と肩を落としている赤井さん。こうして改めて見ると中々の美人だ。歳は十八歳(慰めついでにしれっと聞いた)らしい。
 ちなみに本名はアズ=ナ=ブールと言うらしい(え、これ怒られない?)



「気にすんなって、生きてるんだし」

 ……痛かったけどな

「それで?なんで“武器も持たずに”こんな所に来たんだ?」

 前に見た時には、赤い剣を持っていたのに今は持っていなかった。驚くことに、素手で魔物の群れに突っ込んでいったらしい。

「装備は……お金がなくて……その……」

「売っちゃいました、的な?」

「はい…」

 なんか、訳アリっぽいな……

「いくら必要なんだ?」

「……金貨三枚…です」

 三十万か。ジャビットがいくらになるのか分からないが、かなり大変そうだな。

 それにしても、お金を稼ぎに無謀にも素手で森の中に入ったのか。ある意味勇者だな。このままじゃ埒が明かないし、危険な目に合うと分かっていて放置するのは心が痛い。

「これ、使ってくれ」

 取り出したのは白金貨一枚。軽い下心と共に差し出した。

「え?!は、白金貨?!受け取れません!!」

 慌てて断るアズ=ナ=ブールの手に、白金貨を無理矢理握らせた――

「……あ、ありがとうございます!」

「いいよ別に」

 どうよ、オレカッコよくね?惚れてもいいんだぜ?

「――これで旦那の借金が返せます!」

 なん……だと……?

「……ソレハヨカッタ」

 旦那……ダンナ……だんな……サヨナラ、オレの下心。




 ――それからの事は聞かないでくれたまえ。


______________________ 

「何から何まで本当にありがとうございました!!」

「気にすんな、次からは気を付けろよ?」

「はい!では、私は一度街へ戻ります!! また会えるといいですね!!」

 あははー、あんまり会いたくない……

 と、言う様な会話を交わしてアズを見送った後、オレはそこら辺に散らばっているジャビットの回収に取り掛かった。
 と言っても『インベントリ』に入れただけだが。

 そうこうしている内に日も暮れて、オレは街に帰る事にした。









――この後、再開したアズの手によって大変な事になるとも知らずに。

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