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伊豆綺談
竜の#皇女__ヒメミコ__#は、為朝を押し倒す
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伊豆大島の陽に照らされて、カンカンカン、カンカンカンと木槌の音が響きます。
碇を下して船をある程度固定すると、船に板材を運び込んで、舷側から縄で丸太を吊るして降ろし、応急作業にあたっておりました。
浸水区画の外板を張り替えて、海水を汲みだし、白漆喰で防水処理を施していったのであります。船底の修復は、板を貼って海水を汲み出すと、一時的に白漆喰で固めていく作業が行われておりました。切り倒した、主檣や高潮にやられた高楼は、修理することができないと判断され、そのままとなっていました。
和泉松浦党の大船、竜牙については、江戸時代に書かれた、「宵闇弓張月」によりますと、船身十三丈(39メートル)、船幅三丈五尺(10.5メートル)、船高一丈八尺(4.4メートル)、艫高二丈七尺(8.1メートル)、舳高二丈五尺(7.5メートル)、本檣十丈(30メートル)、艫檣三丈(9メートル)、弥檣五丈五尺(16.5メートル)と描かれ、三本檣の一般的な塩飽大船の造りで描かれています。
この頃には、平治の乱も終息し、平清盛公が隆盛を極めんとした頃合いでございました。
清盛公は、大輪田泊へ大船を大量に付けられるように改修し、難波湊と並び称されるほどの交易をおこなっておりました。特に、日宋貿易によって大量の宋銭と共に銅が輸入され、貨幣経済が拡大し、平家に莫大な富をもたらしておりました。
塩飽衆も住吉兎衆との混血が進み、四尺から五尺(120センチから150センチ)の兎耳を持った小柄な獣人となっていて、大船の船手方を務めておりました。塩飽造りの大船は、男船には、女衆が多く乗り、女船には男衆が多く乗るというのが慣例となっていました。「竜牙」の場合は、乗組員数百七十名、内百二十名が女性でありました。
伊豆大島が島長を務める、藤井三郎太夫忠重への挨拶のために、砂金五両を持って、小舟で島へと渡ったのは、西海竜王が嫡孫敖玲と鷺衆の志奈の二人でした。松浦泉と東海竜王の嫡孫敖光は、船を修理する指揮と、干し魚や魚醤、種籾と引き換えに、樽に水を汲むといった作業をおこなっていました。
島長への手土産とした、檸檬の蜂蜜漬けや琉球産シークワサァの蜂蜜漬けを一桶、焼酎一樽を藤井三郎太夫忠重が娘、妙と為朝への贈答とした。
島長への挨拶を終えて、為朝の屋敷に訪れた時には、夕闇が迫っていた。玲は、妙に土産を渡した。妙は、桶に詰められた、檸檬の蜂蜜漬けを一つとって食べると、
「あっまぁぁぃ、でも酸っぱい。凄く美味しいよ、ためともさん」
「あぁ、凄いものだ。なんだ、これは」
「檸檬という果実を、蜂蜜漬けにしたものだ」
「檸檬とは、聞いたこと無いな」
「天竺の山になっていた木の実だそうだ。最近では塩飽だけでなく、讃岐や淡路でも造っているぞ。この桶は、塩飽の蜂蜜漬けだ」
「違うのか」
「味は、それほど大きく違わないが、塩飽の者達が、塩飽の産でないと嫌がる」
「これを船手に食べさせるのか」
「大船に乗る者は、一日一個食べることを定められている」
「何。安いのか、これは」
「命には代えられない。長い航海では、檸檬の蜂蜜漬けともやしを食べていないと、血を噴き出す病気になるので、かなりの量が造られているからな。おかげで、宋との交易でもかなり儲けておる」
長距離航海で大量の病人を出した病、壊血病の予防食品として重要となっていた。大豆から造られるもやしも大量に用意されていた。蜂蜜そのものが高価ということもあり、宋との交易では一桶で銭十貫(37.5キロ)か、銅十貫(37.5キロ)で取引きされていた。
「酒も旨いな」
「これは、琉球で造られた焼酎だ。これも、酒壺に入れておくと、何年でも保つし、置いておいた方が旨い」
「ほぉ、琉球では、このような酒が造られているのか」
「あぁ、唐の酎という造り方から、丹波で造り始めたのだが、琉球の米で作った方が旨いぞ」
「酒の名はなんという」
「泡盛だ」
「この樽空けても良いか」
「この一樽で最後だ。飲み干すと次は無いぞ」
「玲姫様も呑むか」
「良ければ、呑ませて欲しい。妾のことは、玲で良いぞ、為朝」
「ためともさん。あたしも少しだけ呑んでみたい」
「いいぞ」
「良き、奥方だな」
「うん。良い女だろ」
「妾は、為朝を抱きたくて、挨拶に来たのだが、奥方がおられたのだな」
「れいさんも、ためともさんに惚れてるのか」
「あぁ、惚れてしまった」
「ためともさんは、良い男だからな、惚れるのも無理ねぇ、あたしは構わないだよ」
「良いのか、妙様」
「妙で良いだよ。ためともさんは、強いからあたし一人できつかっただ」
「ほぉ、強いのか」
くぃっと、盃の酒を呑み干すと、為朝に抱きついて、そのまま押し倒した。
「こら、玲、酒が零れる」
「呑み干さぬ、主が悪い。妾は、そなたが欲しい」
そのまま、大島紬をはぎ取っていく。為朝は、緋袴を合わせを開くと、巫女狐と同じように下帯をしていなかった。
「巫女狐は、尻尾が出るから、袴の合わせが開くが、竜族も尻尾が出るのか」
「あぁ」
為朝に弄られながら、為朝の下帯を解いていくと、天へ突き立つようにそそり立っていた。
「ほんに、凄いの見事な業モノじゃ。竜はミズチと同じで本性を顕しても、尻尾は出ぬ」
「ほぉ、そうなのか」
「我らは、ミズチと違うて、女陰は一つじゃ」
弄られながら、そそり立つ男根を、為朝の巨体に跨るように、女陰へとおさめて、腰を振るった。
「おぉ、凄い」
「ためともさん、おらも抱いて欲しい」
「妙も、こちらへ、妾と口吸いを交わそうぞ」
玲は、為朝に跨りながら、妙を抱き寄せて、口吸いを交わした。妙は、そのまま玲に弄られ、紬の帯を解かれて、裸に剥かれていった。
「あたしも、よろしいでしょうか」
おずおずと、自分で衣を脱いでいった、鷺衆の志奈が参戦する。
猥らな夕闇が宵闇へと移ろって、ピンクの淫気に溢れ、男と女の営みを、女女女で姦しく、為朝を貪りあっていったのであります。
碇を下して船をある程度固定すると、船に板材を運び込んで、舷側から縄で丸太を吊るして降ろし、応急作業にあたっておりました。
浸水区画の外板を張り替えて、海水を汲みだし、白漆喰で防水処理を施していったのであります。船底の修復は、板を貼って海水を汲み出すと、一時的に白漆喰で固めていく作業が行われておりました。切り倒した、主檣や高潮にやられた高楼は、修理することができないと判断され、そのままとなっていました。
和泉松浦党の大船、竜牙については、江戸時代に書かれた、「宵闇弓張月」によりますと、船身十三丈(39メートル)、船幅三丈五尺(10.5メートル)、船高一丈八尺(4.4メートル)、艫高二丈七尺(8.1メートル)、舳高二丈五尺(7.5メートル)、本檣十丈(30メートル)、艫檣三丈(9メートル)、弥檣五丈五尺(16.5メートル)と描かれ、三本檣の一般的な塩飽大船の造りで描かれています。
この頃には、平治の乱も終息し、平清盛公が隆盛を極めんとした頃合いでございました。
清盛公は、大輪田泊へ大船を大量に付けられるように改修し、難波湊と並び称されるほどの交易をおこなっておりました。特に、日宋貿易によって大量の宋銭と共に銅が輸入され、貨幣経済が拡大し、平家に莫大な富をもたらしておりました。
塩飽衆も住吉兎衆との混血が進み、四尺から五尺(120センチから150センチ)の兎耳を持った小柄な獣人となっていて、大船の船手方を務めておりました。塩飽造りの大船は、男船には、女衆が多く乗り、女船には男衆が多く乗るというのが慣例となっていました。「竜牙」の場合は、乗組員数百七十名、内百二十名が女性でありました。
伊豆大島が島長を務める、藤井三郎太夫忠重への挨拶のために、砂金五両を持って、小舟で島へと渡ったのは、西海竜王が嫡孫敖玲と鷺衆の志奈の二人でした。松浦泉と東海竜王の嫡孫敖光は、船を修理する指揮と、干し魚や魚醤、種籾と引き換えに、樽に水を汲むといった作業をおこなっていました。
島長への手土産とした、檸檬の蜂蜜漬けや琉球産シークワサァの蜂蜜漬けを一桶、焼酎一樽を藤井三郎太夫忠重が娘、妙と為朝への贈答とした。
島長への挨拶を終えて、為朝の屋敷に訪れた時には、夕闇が迫っていた。玲は、妙に土産を渡した。妙は、桶に詰められた、檸檬の蜂蜜漬けを一つとって食べると、
「あっまぁぁぃ、でも酸っぱい。凄く美味しいよ、ためともさん」
「あぁ、凄いものだ。なんだ、これは」
「檸檬という果実を、蜂蜜漬けにしたものだ」
「檸檬とは、聞いたこと無いな」
「天竺の山になっていた木の実だそうだ。最近では塩飽だけでなく、讃岐や淡路でも造っているぞ。この桶は、塩飽の蜂蜜漬けだ」
「違うのか」
「味は、それほど大きく違わないが、塩飽の者達が、塩飽の産でないと嫌がる」
「これを船手に食べさせるのか」
「大船に乗る者は、一日一個食べることを定められている」
「何。安いのか、これは」
「命には代えられない。長い航海では、檸檬の蜂蜜漬けともやしを食べていないと、血を噴き出す病気になるので、かなりの量が造られているからな。おかげで、宋との交易でもかなり儲けておる」
長距離航海で大量の病人を出した病、壊血病の予防食品として重要となっていた。大豆から造られるもやしも大量に用意されていた。蜂蜜そのものが高価ということもあり、宋との交易では一桶で銭十貫(37.5キロ)か、銅十貫(37.5キロ)で取引きされていた。
「酒も旨いな」
「これは、琉球で造られた焼酎だ。これも、酒壺に入れておくと、何年でも保つし、置いておいた方が旨い」
「ほぉ、琉球では、このような酒が造られているのか」
「あぁ、唐の酎という造り方から、丹波で造り始めたのだが、琉球の米で作った方が旨いぞ」
「酒の名はなんという」
「泡盛だ」
「この樽空けても良いか」
「この一樽で最後だ。飲み干すと次は無いぞ」
「玲姫様も呑むか」
「良ければ、呑ませて欲しい。妾のことは、玲で良いぞ、為朝」
「ためともさん。あたしも少しだけ呑んでみたい」
「いいぞ」
「良き、奥方だな」
「うん。良い女だろ」
「妾は、為朝を抱きたくて、挨拶に来たのだが、奥方がおられたのだな」
「れいさんも、ためともさんに惚れてるのか」
「あぁ、惚れてしまった」
「ためともさんは、良い男だからな、惚れるのも無理ねぇ、あたしは構わないだよ」
「良いのか、妙様」
「妙で良いだよ。ためともさんは、強いからあたし一人できつかっただ」
「ほぉ、強いのか」
くぃっと、盃の酒を呑み干すと、為朝に抱きついて、そのまま押し倒した。
「こら、玲、酒が零れる」
「呑み干さぬ、主が悪い。妾は、そなたが欲しい」
そのまま、大島紬をはぎ取っていく。為朝は、緋袴を合わせを開くと、巫女狐と同じように下帯をしていなかった。
「巫女狐は、尻尾が出るから、袴の合わせが開くが、竜族も尻尾が出るのか」
「あぁ」
為朝に弄られながら、為朝の下帯を解いていくと、天へ突き立つようにそそり立っていた。
「ほんに、凄いの見事な業モノじゃ。竜はミズチと同じで本性を顕しても、尻尾は出ぬ」
「ほぉ、そうなのか」
「我らは、ミズチと違うて、女陰は一つじゃ」
弄られながら、そそり立つ男根を、為朝の巨体に跨るように、女陰へとおさめて、腰を振るった。
「おぉ、凄い」
「ためともさん、おらも抱いて欲しい」
「妙も、こちらへ、妾と口吸いを交わそうぞ」
玲は、為朝に跨りながら、妙を抱き寄せて、口吸いを交わした。妙は、そのまま玲に弄られ、紬の帯を解かれて、裸に剥かれていった。
「あたしも、よろしいでしょうか」
おずおずと、自分で衣を脱いでいった、鷺衆の志奈が参戦する。
猥らな夕闇が宵闇へと移ろって、ピンクの淫気に溢れ、男と女の営みを、女女女で姦しく、為朝を貪りあっていったのであります。
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