弓張月異聞 リアルチートは大海原を往く

Ittoh

文字の大きさ
18 / 96
伊豆綺談

女護島紀行3 今宵の女護島は、淫らにござる

しおりを挟む
  賀茂斎宮は、両賀茂神社に仕える斎宮家であった。鴨川水系の水利管理が主たる役目であったが、鴨川沿いの川筋を航行する荷役からの運上金が増え続け、年々重要な役目となっていた。当初は、皇室からの皇女を迎えて斎宮家を形成していたが、平安中期頃より、賀茂斎宮家と伊勢斎宮家の二家を斎宮家として独立し、皇女ひめみこを当主とした。院司は、皇女ひめみことの間に子をなして、娘であれば次期斎宮家候補となり、息子は、院司となって、斎宮家に仕える者達となった。斎院は、斎宮家の未婚女性と、主上の娘が候補となり、次期斎宮が決定された。斎宮になれなかった者は、臣籍嫁下するか、斎院に寄進された地の管理として派遣された。樹は、斎院へ寄進された地の管理として、ミズチ衆イシバと契りを結んだのである。
 玲は、樹に向かって、
「ならば、この姫島と親島は、賀茂斎院家への寄進地となるのですね」
「そうじゃな隣りにある大島を親島と呼んでおるが、ミズチ衆で岡に上がった者達と人が住んで居る。この小島は姫島でな、わたしを含めて、海に生きるミズチ衆の妻達が住んでおる」
樹は、応えると、姫島には人の姿をしているのは、すべてミズチ衆の妻達であるようだった。
「ミズチの娘達もですね。樹様」
「そうじゃな、玲殿。今年は、初穂狩りの男衆十二名に、巣立ちの女衆が三十五名おったからな」
為朝が、女衆を抱いてしまったことを訊く、
「女衆を此処に居る、冴や瞳と一緒に、抱きあげてしまいましたが、良ろしかったでしょうか」
樹は、
「女衆が嫌えば、島に残すと約束せよ。巣立ちの儀も初穂の儀も、島の外には意味を成さぬ。だから、島から出る時には、本人が選ぶこととなる」
為朝と玲へ釘をさした。
「わかりました。明日、彼女達が船に乗るかどうかで決めましょうぞ」
樹は、満足そうに、
「今宵は、ここで泊まるが良い」
そういって、笑った。
為朝は、少し心配そうに、
「よろしいのでしょうか、俺は男ですが」
すると樹は、笑って言った、
「ははは、斎宮家は、子を成すために、斎宮に尽くす男の奥宮を造る家ぞ」
つまりは、斎宮家が、皇女姫みこひめに尽くすように、樹の屋敷では、樹に尽くす男の宮であるということらしかった。
「それは、知りませんでした」
「それに、夫達がおるのだぞ。わたしのおなごはすべて、夫達のものじゃ。今宵は夫達と海で過ごす故、そなた達は、屋敷で好きにするが良い」
「はッ。忝く思います」
「うむ、しかし、巣立ちの儀に、外ツ島の者が参加するとは思わなんだ」
「すまぬ。あまりに綺麗なミズチを見かけてな、欲しくなってそのまま飛び込んでしまったのじゃ」
「え、へへっ。綺麗だって」
弟の将が、変に悶えているのを見て、焦ったように、姉の琉威るいが為朝に訊いて来る、
「た、為朝ッ。あ、あたしは綺麗か」
「あぁ、可愛くて綺麗だった」
軽くキスをすると、
「あぁ」
真っ赤になって俯いた。
 樹は、そんな様子を見ながら、為朝に向かって、
「為朝殿、琉威るいを抱上げたと言っていたが、もう一度、ここで抱き上げてくれまいか」
「あぁ、良いぞ」
 真っ赤になって俯いている、琉威るいの身体を抱き寄せて、姫様抱っこで抱き上げた。琉威るいは、そのまま嬉しそうに為朝の身体に腕を廻してキスをして、舌を絡めていった。
「「「「おぉ、見事なり」」」「仕方ないのぉ」」
蜷局を巻いて、見ていたミズチのとと様達が喝采を上げる。
「妾は、ミズチ一族が子、将を連れて旅に出るが良いか」
「将が良ければ、構わぬ。島の娘でなかったは残念なれど、巣立ちの時じゃ」
「あ、あたしも、巣立ちじゃ。為朝についていくぞ。良いな」
「「「「えぇっ、仕方ないかのぉ」」」」
琉威るいは、島に残ってくれると思っていたとと様達が残念そうに言った。
樹が、
「仕方ないねぇ。琉威るいには、島のミズチと結んで、あたしの跡を継いで欲しかったんだけどねぇ」
かか様は若いから、また娘を作れば良いさ」
「そうだねぇ、次の島長は、次の娘に託すかねぇ。今日は寝かせないで抱いてくれるかい、イシバ様」
ミズチ衆の大長である、イシバ様が樹の言葉に応える。
「ははは、良いぞ、いつき
「ならば、海へ出ようぞ」
いつきは、衣を脱ぎ落すと、爆乳というべき、胸乳おっぱいが揺れて、為朝の視線を泳がす。イシバ様に跨ると、とと様達と共に、出掛けていった。残された、琉威るいが為朝に抱きついていく。
「た、為朝ぉ」
背中からは、冴と瞳がしだれかかる。
「ほほほ、三人の相手となれば、大変よのぉ、妾は、将と近くの池で戯れようぞ」
「あ、玲」
為朝が、少し離し辛いように、玲との手を解く。
「ほんに、そなたもここの池で戯れると良いぞ」
そのまま入口より出て、船橋を渡っていった。将が付き添うように、従って行く。
池を囲う壁の階段を昇ると、囲われたいくつもの池が見える。
「さて、将や」
「な、なに、玲」
「妾は、ここの池を知らぬ。どの池がそなたは好きじゃ」
「え、あぁ、じゃぁこっち」
そのまま玲の手を引いて、壁を伝って、登っていく。いくつかの壁や階段を越えて登っていくと、上の池から流れてくる水が湯気を纏っていた。
「おれは、ここが好き」
「ほぉ、温泉かや」
玲は、巫女装束を脱いでいくと、衣擦れの音が湯の流れに重なっていく。脱いだ衣を畳んで岩場に置いて、錘の石を置く、。
玲の素肌が、寝待ちの月に晒されて、蒼白い肌を照らしていく。
「ん。どうしたかや、将」
「ほんとに、綺麗だ」
 ぼぉーと見惚れる様に将が言った。
 壁に腰を掛けると、この池には壁から下へ、内側に白漆喰の階段が付けられていて、下へ降りていくと、湯面の下にも白漆喰の階段が続いていた。そのまま少し入っていって振り返り、
「将、傍に居て欲しいぞ、将」
「あ、はいっ」
壁から飛び込んだ。凄まじい水柱が上がった。
「百貫はあるかの」
水柱の高さを見ながら、将の重さを考えていた。階段を降りて行って、肩まで湯につかる頃に、ゆっくりと、将が湯面から顔を出して、玲に抱き着いていく。柔らかい肌を撫でながら、先ほどの重さを感じさせないくらいの小柄な体であった。そのまま、玲は、将を抱き寄せて、キスを交わし、舌を絡めていく。
「ん。んぐっ、あぁ、んッ」
互いを貪る様に、淫らに求めあっていく。将の手に引かれて、抱かれるように湯に入って、そのまま抱きしめあって愛し合った。山に連なる岩肌が、浅瀬を造っていた。浅瀬の中で、求めあっていた。
「あぁぁ、しょぉう、いぃッ」
将を組み敷きながら、下から突き抜かれて、二本の柱に支えられるように、身体が跳ね腰がくねり、突き抜かれるように子種を、女陰ほとと菊門の二つの穴に受けていた。アヘ顔を晒して、気絶するかのように背中が反り返り、玲は将を受け止めていた。
 ミズチの身体は、へびの流れを持つからだである。蛇という生き物は、交接のための器官を二つ持つように、二柱の猛り立つ逸物が突き抜く様にいきり立っていた。
「ほんに、話に聞く通りであったのぉ」
「何、話しに聞くって」
「ミズチに愛されて抱かれると、忘れられなくなると」
「へぇ、玲は、僕のこと、忘れない」
「あぁ、忘れない。この玲は、将以外のミズチの男は要らぬ」
「え、良いの」
「妾は、為朝と違って心が狭い故、何人も囲えぬのじゃ」
「玲の心は狭いの」
玲は、湯に抱かれた将の髪を手で梳くように、撫でていく。
「そうじゃ、心にこれ以上、男を入れたら、張り裂けてしまいそうじゃからな、他の男など要らぬ」
「嬉しいなぁ、竜族の女性って、そうなの」
「何がかの」
「え、たくさん男を抱えるんじゃなくて、何人かだけを愛するって」
「そのあたりは、人と同じではないか、種ではなく、個人によって違うのであろ」
「母様に、父様がたくさんいるように」
「そうじゃな、だが、母御は人の身でよく捕まえられるものじゃな」
「ん、多分、違う。父様達が言ってた」
「何が違うのじゃ、初穂狩りの儀なのであろ」
泳ぐミヅチを追いかけて捕まえるものだと聞いていた玲が、聞き返す。
「えっと、母様が、初穂狩りで海に入ると、母様を取り合うんだって。最初に母様に辿り着いたミズチがその年から母様のとと様になるんだって。父様達が自慢してた。俺は勝ったんだぞって」
本来であれば、追いかけて捕まえる、初穂狩りが、争って女を捕まえる初穂狩りに変わるということであった。
「将の母御は、綺麗だからのぉ、為朝の視線も母御を追いかけておった」
玲は、少し自分の胸乳おっぱいを測るように掴んだ。
「それほど、小さくもないハズじゃがのぉ」
「母様のはでっかいけど、玲の胸乳おっぱいは、綺麗でカッコいいよ」
「ほんに、嬉しいのぉ」
将を抱き寄せて湯に入ると、そのまま二回戦へと突入していった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

アブナイお殿様-月野家江戸屋敷騒動顛末-(R15版)

三矢由巳
歴史・時代
時は江戸、老中水野忠邦が失脚した頃のこと。 佳穂(かほ)は江戸の望月藩月野家上屋敷の奥方様に仕える中臈。 幼い頃に会った千代という少女に憧れ、奥での一生奉公を望んでいた。 ところが、若殿様が急死し事態は一変、分家から養子に入った慶温(よしはる)こと又四郎に侍ることに。 又四郎はずっと前にも会ったことがあると言うが、佳穂には心当たりがない。 海外の事情や英吉利語を教える又四郎に翻弄されるも、惹かれていく佳穂。 一方、二人の周辺では次々に不可解な事件が起きる。 事件の真相を追うのは又四郎や屋敷の人々、そしてスタンダードプードルのシロ。 果たして、佳穂は又四郎と結ばれるのか。 シロの鼻が真実を追い詰める! 別サイトで発表した作品のR15版です。

日本の運命を変えた天才少年-日本が世界一の帝国になる日-

ましゅまろ
歴史・時代
――もしも、日本の運命を変える“少年”が現れたなら。 1941年、戦争の影が世界を覆うなか、日本に突如として現れた一人の少年――蒼月レイ。 わずか13歳の彼は、天才的な頭脳で、戦争そのものを再設計し、歴史を変え、英米独ソをも巻き込みながら、日本を敗戦の未来から救い出す。 だがその歩みは、同時に多くの敵を生み、命を狙われることも――。 これは、一人の少年の手で、世界一の帝国へと昇りつめた日本の物語。 希望と混乱の20世紀を超え、未来に語り継がれる“蒼き伝説”が、いま始まる。 ※アルファポリス限定投稿

甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ

朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】  戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。  永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。  信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。  この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。 *ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

処理中です...