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不都合な真実
不都合な真実・08 広大な日本を支配するために、地縁血縁が系列化された
しおりを挟む大王が、権威と権力を持ち、天皇は権威はあっても、権力を持たない。
この原因は、広大な日本国を支配するため、統治体制として創り上げたシステムであった。
良く日本は狭いと言われるが、日本は広いのである。青森から鹿児島まで、直線距離で1372kmあり、google mapでは、稚内-函館551km112時間、青森-下関1479km305時間、門司-鹿児島334km69時間である。リスボン-パリ1682km346時間であり、ローマ-パリが1352km278時間である。北京-厦門が2116km473時間、ニューヨーク-ロサンゼルスが4448km912時間、シカゴ-ニューオリンズ1475km301時間である。
つまり日本は、実際の距離で確認していくと、とっても広い国なのである。
古代の交通移動手段で、中央集権統治ができるわけもなく、国府を中心として統治体制が確立されていった。統治体制の根幹になったのが、縄文期に確立された地縁血縁であり、地縁血縁の象徴として神社を築き、神社を序列化して組み入れて、統治体制としたのが日本国なのである。
祖霊を神社に祀り、祖霊の上位に皇室を置いて、「祀ろう民」の系列化を図り、地縁血縁による統治体制を確立した。
実際に統治するのは、神社であり、統治体制は氏神氏子の関係となっていた。
神武陛下に始まり、崇神陛下が思い立ち、仁徳陛下に確立される日本は、皇室を上位とした序列系列を組み込んだ、地縁血縁支配の体制づくりであった。神社の格付けと系列・序列が、地縁血縁の統治体制となり、滅ぼすのではなく組み入れる支配体制の確立だったのである。
縄文期には、それこそ無数の祖霊を持つ部族が居て、畿内に「征伐」され「国を譲る」ことで、神社を建てて祖霊を祀り、神社を系列化することで、支配体制に組み入れる。勾玉の継承は、縄文期に無数の祖霊を持つ部族を、皇室を頂点とする民族の系列化を図って、ヤマト民族という形式に確立したことを示している。
しかしながら、この地縁血縁の系列化は、各地域で錯綜する序列があり、「出雲」のように例外を造ることでもあり、地域抗争の火種ともなったのである。特に序列系列の継承抗争は、非常に厄介であり、外に向かって団結する戦時はともかく、平時には内部抗争の激化を招くこととなった。さらに言えば、神社の伝承に残る、様々な事柄には、公にし難い話も多かったのである。
聖徳太子の頃、錯綜する序列と抗争の火種を治めるために、元々日本に無かった寺が利用されたのである。寺は中央の象徴であり、中央の権威そのものであった。口伝伝承というものを、明文化することで形を与えて、「風土記」という報告書として封印していったのである。
蘇我と物部の抗争は、単なる仏教と神道の抗争ではなく、地縁血縁を活用した神社による統治体制から、仏教を利用した中央支配体制への変革にあたる。
明文化に用いられたのが、外来文字である漢字であり、万葉仮名であった。
漢字もまた、「文様」に意味と音を持たせた文字であり、縄文の伝承口伝を、塗りつぶしていくのには、最も適した文字だったのである。「古事記」「日本書紀」に代表される、中央による国史編纂によって、ヤマト民族としての歴史を地方へと伝え、地方の伝承口伝を塗り替えたのである。地方の伝承口伝に不具合が生じるモノは、「風土記」に記述して征伐される妖の話となり、昔話として封印されていったのである。
神代文字や火焔土器の文様といった、縄文期に使われた記録方法は、各地で異なる字形をしており、主上の権威よりも上位に位置することが多かったため、使用するのには非常に都合が悪かったのである。外来文字である「漢字」であれば、既存権力に捉われず、新規に築くことが可能だったこともあり、「漢字」を国字として普及させていったのである。
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