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暁夫婦ファンタジー
手当は、治癒の技
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荷物の確認とかして、着物を畳み終えると、裕の傍に座った。
血は止まったけど、ズキズキした痛みがして、
テンプレみたく、
「ヒール」とか
唱えてみたけど、治らない。
まぁ、チートは無いか。
「篭なら、治癒は、使えなく無いと思うぞ」
裕。起きてたの。
「眠ったわけじゃない。少し意識が飛んだだけだ。久しぶりに、篭に抱かれたって感じが良い。でも、すまないな、加減ができなくて」
僕の傷口を撫でる、裕。
何か所か、裕は、自分が噛んだ跡を、撫でるように唇で触れると、暖かい何かが流れ込んでくる。すると、痛みが引いて、痒みが増える感じになる。
「ヒールとかは、無いよ、篭。あるのは、手当だ」
手当って、患部に手を当てて、治療するって奴。
「そうだ。身体に触れて、
熱があれば、熱を自分に移動させるとか、
息吹を送り込むように、気を流すと、回復が速くなるみたいだ。
できるのは、そのくらいだな」
手当か、僕にもできるかな。
裕は、僕を抱き上げるようにして膝に乗せる。
「篭は、昔、よくやってくれたじゃない」
え。あぁ、でもそれは裕が、風邪ひいた時とか、傍に居て手を握っただけだよ。
「それでも、一晩中そなたの手の中で、治って行く感じがした。篭なら、手当が使えると思うぞ」
そうかな。
裕が噛みついた場所に、手を当てる。裕が息吹を流すように、体へ巡らせる流れを思い出しながら、流れる気が巡るように、手から溢れ出る流れを紡ぎ築いていく。
ぼぉっと、ほのかに煌めくように、流れが生まれていく。湯気のように揺らめく、流れが傷へ流れていく。
血がにじむ傷は、血が赤茶けた瘡蓋のように固まって、さらに気を流すのを続けると、瘡蓋が剥がれるように外れていった。後は、赤みを帯びた肌が残る。
「さすが、篭だ。やはりできたな」
こ、これは、
「あやかしの血は、様々な気を力とする。鬼は体を巡る気を、紅蓮の炎に変える力とできる。あたしは、鬼の血を引いているそうだ。篭も、何かの血を引いてると思うぞ」
そっかぁ、これだと、ちょっとしたチート能力って奴になるのかなぁ。
「治癒の技は、井伊谷でも三人しか使えない。あとは、龍潭寺の大婆様だけだ」
井伊谷って、もしかして、裕が直虎なの。
「あぁ、井伊谷で、井伊直盛の嫡女として生まれた。幼名が裕だ」
そうなんだ。でも、裕の方が、ゲームより綺麗だよな。
「そう言ってくれるのは、篭だけじゃないかな」
そんなこと無いって。
しっかしなぁ、確かに僕は、両親の血を引いていない、施設で育った。特別養子縁組で、両親に引き取られ育てられた。そういった意味では、あやかしの血を引いていてもおかしくはない。
しかも、「蹴飛ばしちゃったぁ~」とかだよな。
「篭。あまり気にするな。お前は、あたしの夫だろ」
う、うん。
「それだけでは、ダメか」
そんなことない。
けどさ、裕は、僕だけじゃないよね。
ちょっと、意地悪な確認をした。
「nっ」
言葉に詰まる、裕。
やっぱり。
好きな相手が、いるんだ。
「、、、篭。あたしは、五歳の時、井伊の人質として、駿河に送られた。
そこで、氏真にあったんだ。
十三の時に、裳着の後で、氏真の側室になった」
戦国転生とは、なかなかに厳しい世界だ。寝取られるまで、以前と一緒だ。
血は止まったけど、ズキズキした痛みがして、
テンプレみたく、
「ヒール」とか
唱えてみたけど、治らない。
まぁ、チートは無いか。
「篭なら、治癒は、使えなく無いと思うぞ」
裕。起きてたの。
「眠ったわけじゃない。少し意識が飛んだだけだ。久しぶりに、篭に抱かれたって感じが良い。でも、すまないな、加減ができなくて」
僕の傷口を撫でる、裕。
何か所か、裕は、自分が噛んだ跡を、撫でるように唇で触れると、暖かい何かが流れ込んでくる。すると、痛みが引いて、痒みが増える感じになる。
「ヒールとかは、無いよ、篭。あるのは、手当だ」
手当って、患部に手を当てて、治療するって奴。
「そうだ。身体に触れて、
熱があれば、熱を自分に移動させるとか、
息吹を送り込むように、気を流すと、回復が速くなるみたいだ。
できるのは、そのくらいだな」
手当か、僕にもできるかな。
裕は、僕を抱き上げるようにして膝に乗せる。
「篭は、昔、よくやってくれたじゃない」
え。あぁ、でもそれは裕が、風邪ひいた時とか、傍に居て手を握っただけだよ。
「それでも、一晩中そなたの手の中で、治って行く感じがした。篭なら、手当が使えると思うぞ」
そうかな。
裕が噛みついた場所に、手を当てる。裕が息吹を流すように、体へ巡らせる流れを思い出しながら、流れる気が巡るように、手から溢れ出る流れを紡ぎ築いていく。
ぼぉっと、ほのかに煌めくように、流れが生まれていく。湯気のように揺らめく、流れが傷へ流れていく。
血がにじむ傷は、血が赤茶けた瘡蓋のように固まって、さらに気を流すのを続けると、瘡蓋が剥がれるように外れていった。後は、赤みを帯びた肌が残る。
「さすが、篭だ。やはりできたな」
こ、これは、
「あやかしの血は、様々な気を力とする。鬼は体を巡る気を、紅蓮の炎に変える力とできる。あたしは、鬼の血を引いているそうだ。篭も、何かの血を引いてると思うぞ」
そっかぁ、これだと、ちょっとしたチート能力って奴になるのかなぁ。
「治癒の技は、井伊谷でも三人しか使えない。あとは、龍潭寺の大婆様だけだ」
井伊谷って、もしかして、裕が直虎なの。
「あぁ、井伊谷で、井伊直盛の嫡女として生まれた。幼名が裕だ」
そうなんだ。でも、裕の方が、ゲームより綺麗だよな。
「そう言ってくれるのは、篭だけじゃないかな」
そんなこと無いって。
しっかしなぁ、確かに僕は、両親の血を引いていない、施設で育った。特別養子縁組で、両親に引き取られ育てられた。そういった意味では、あやかしの血を引いていてもおかしくはない。
しかも、「蹴飛ばしちゃったぁ~」とかだよな。
「篭。あまり気にするな。お前は、あたしの夫だろ」
う、うん。
「それだけでは、ダメか」
そんなことない。
けどさ、裕は、僕だけじゃないよね。
ちょっと、意地悪な確認をした。
「nっ」
言葉に詰まる、裕。
やっぱり。
好きな相手が、いるんだ。
「、、、篭。あたしは、五歳の時、井伊の人質として、駿河に送られた。
そこで、氏真にあったんだ。
十三の時に、裳着の後で、氏真の側室になった」
戦国転生とは、なかなかに厳しい世界だ。寝取られるまで、以前と一緒だ。
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