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上海のロシア皇女
上海のロシア皇女殿下03 護衛総体水上機母艦、菊名と綱島
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昭和 5年(1928年)北京にアメリカ軍駐留キャンプが建設される
昭和 6年(1929年)アメリカ、株価の大暴落始まる。
アメリカと中華民国との間で、駐留軍について協定締結
昭和 8年(1931年)イギリス金輸出禁止
昭和 9年(1932年)アメリカ金輸出禁止
ソ連軍撤退と中共停戦協定交渉開始
昭和10年(1933年)アメリカ、国家資本として、上海に自動車工場建設
中共停戦協定締結
北京自治政府保安隊、アメリカ軍憲兵隊襲撃(公安門事件)
北京国民革命軍、アメリカ軍キャンプ襲撃事件発生(北平事件)
昭和11年(1934年)国民党と共産党の和解、国共合作
北京アメリカ移民居留地区で、米国市民虐殺事件(通州事変)
アメリカ軍による、北京占領
リットン調査団派遣「国際連盟米支紛争調査委員会」
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大日本帝国護衛総体は、敵を倒すためでなく、航路の調査や安全確保、支援業務を主としていた。このため、条約に抵触する、戦艦や空母を保有することはできず、機銃や105mm砲で武装する程度の護衛艦であった。菊名型は、2万トン級の輸送船に、港湾設備の無い地域での荷揚げを遂行するために、大発動艇を16隻を搭載し、16機の水上機を運用する水上機母艦として就航させていた。
護衛総体は、平時は郵便事業や鉄道事業の中で、輸送業務および護衛を担当するため、陸軍の工兵隊や海軍水上機隊といった支援任務部隊を独立させ所属させた部隊である。また、治水工事や架橋といった土木工事なども担当していた。
条約で除外される、千トン未満の小型船を武装させることで、護衛艦として就航させていた。二等駆逐艦からの発展型である。輸送船は、条約対象外であったので、大発動艇を搭載する揚陸用貨物船を建造し、水上機の運用もできるようにして、揚陸艦として完成させていた。
大発動艇搭載可能な、10トン未満の小型戦闘車両として、105mm砲を後方噴射を行う不反動砲を開発し、
護衛総体の仕事は、日本近海の哨戒だけでなく、大陸との物流と保護を担っていた。日本郵船や三井物産の東南アジアから豪州への通称ルート保護も対象となっていた。護衛総体は、武装105mm砲以下とされていて、日本郵船や三井物産の商船に工務大学校で艤装した、武装商船を主力としていた。内務省の中に、郵便事業だけでなく、電信や電話に無線といった通信事業、交通や物流事業を取り扱う逓信省から、信書や奉書を含めた物流事業を扱う郵政省を立ち上げ、旅客や物流事業そのものは、日本郵船や三井物産、安土航空といった民間企業への委託業務としていたが、現金や信書・奉書といった特定郵便物や、戦闘地域への輸送等に関する国際物流は、護衛総体による直営とされた。
現在、中華民国はアメリカ・ドイツとの戦争状態にあり、民間事業としての物流には、制限がかかっており、在留邦人の引き上げについても検討されていた。今回の護衛総体への命令として、戦域が南京や上海に及んだ場合、在留邦人の保護・救出に関する兵員を配置することにあった。日本郵船、三井物産は、2万トン級高速輸送艦8隻を動員して、上海へ寄港していた。救出対象としては、在留邦人だけでなく、ロマノフ帝室からの依頼で、在留ロシア人の救出も対象とされていた。
上海については、アメリカ領事館およびアメリカ陸軍300が上海租界の警護任務についていたが、南京や漢口といった上流の都市については、在留アメリカ人には帰国命令が出ており、既に上海へと移動していた。
この動きは、そのまま、イギリス、フランスといった国々にも伝搬し、上海には非常に多くの人々が集まっていたのである。
今回のアナスタシア皇女殿下の訪問は、危険が迫っていること、キリル大公から南京や漢口といった内陸都市からの撤収指示を出してもらうことにあった。
「大公閣下、それでは南京から、引きあげないのですか」
「殿下、此度の日本の支援は、大変にありがたい。しかしながら、ロシアは大陸から引くことはできん」
「大公閣下。何故なのです」
「我らは、既に祖国を失ったのだ。この租界では、杜月笙や幇の者達に助けられて、ようやく今の地位を築いたのだ彼らの敵は、我らにとっても敵だ」
「閣下、男は良いのでしょうが、女子供まで戦に巻き込むのですか」
「殿下。我とて、勝ち目の薄いことは、理解している。子らの多くは、上海や「特区」へと避難を進めている」
「閣下。どうしてもですか」
「この上海も、妻と息子に任せて、私自身も義勇兵を率いて、漢口へ向かう」
「閣下。どうあっても、引く気は無いというのですね」
「あぁ。確かに、アメリカ人に対する虐殺があったのは、事実であろう。それでもアメリカ人が、漢人を人と見ているようには思えない」
アメリカ軍が南下するにつれて、捕虜への虐待などが、少しづつ噂になっていた。アメリカは、アメリカで理性の箍が外れようとしていたのである。
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