琉球お爺いの綺談

史実日本の地政学的背景事情

日本という国は、困ったことに広いのです

　歴史書には詳しく記載されていないが、日本に対する海外からの侵略は、「刀伊の入寇」「元寇」だけでなく、「戦国期のスペイン侵攻によるキリシタン大名による間接支配体制確立」があった。

　「刀伊の入寇」と「元寇」は、半島が敵地となったことによる、国土防衛戦争である。

　鎌倉幕府が、遠く樺太まで防衛対応をせざるを得ないくらいに、日本の国土は広大で守り難い島嶼列島であった。鎌倉幕府が、経済破綻から崩壊するのは、「元寇」そのものではなく、「元寇」以降の国土防衛費用を捻出できなかったことにある。鎌倉武士団は、世界最強ともいえる、重装弓騎兵であったが、陸上戦力であり、平時対応に特化した軍事力であった。平時対応というのは、武士の基本が「一所懸命」を目的とする防衛戦闘力であり、短期間の戦闘にしか対応していない、兵站機能を有していない軍事力であった。

　鎌倉武士団は、攻撃力防御力は高いが機動力が低い、拠点防御に特化した兵科であり、移動しにくい国土が生み出した軍事力であった。

　日本の兵站機能は、国内を移動しにくい日本国土の地理的な要因もあって、「本領」からの距離が長くなれば、極端に低下する貧弱さであった。義経の無能さが理解できるのは、義経が鎌倉武士団の兵站状況を理解せず、戦線を拡大させたことで兵站が追い付かず、前線が常に飢餓状態にあったことにある。敵を倒して土地が手に入っても、土地から食料が得られるわけではないし、略奪で土地で離反すれば、土地に住む人を失うことになる。南北朝期に北畠顕家が、陸奥将軍府から京洛へ略奪しながら遠征した結果、住民からの反発が酷くなり、このような行軍は日本国内では不可能となった。

　鎌倉末期に北条得宗家が、日本の大半を支配したのは、ほとんどの地域で御家人達が経済破綻した結果でもあった。

　日本にキリスト教が伝わったのは、天平期であり、景教と呼ばれるNestorianismネストリウス派のキリスト教である。Nestorianismネストリウス派は、エフェソスで開催された宗教会議431年でキリスト教から異端扱いされたため、欧米人が言う形でキリスト教は伝来していないということらしい。キリスト教の伝来が、天文18年1549年のザビエル来日となっているのは、景教が異端扱いのキリスト教であったためである。

　戦国期に行われた、スペインによる日本侵攻は、武器だけでなく商売を絡めた戦争でもあったので、日本国内が分裂していたこともあるが、地域対応の限界でもあった。本国から超遠距離で行動している、スペイン海上勢力に対してすら制海権を確保できず、地上での防衛対応しかできない状況であった。このためスペイン側が、好き勝手に各地で活動して、交易というエサを使って、日本各地にキリシタン大名を造って、間接支配体制を確立していったのである。

　織田信長の鉄甲艦は、砲撃に対する防御力確保であり、近海防衛艦の開発でもあった。

　豊臣秀吉による朝鮮出兵は、半島が敵地になると、日本海沿岸の国土が危険に晒されるからである。

　豊臣秀頼政権を本気で支えたのは、カトリック系キリシタン勢力であり、徳川家康の支援をオランダやイギリスといった新興キリスト教勢力が担っていた。豊臣が滅びたことで、カトリック系キリシタン勢力は、高山右近に代表されるように、消滅へと進む流れとなった。



　ポルトガル船の来航によって、カードゲームの基本である、カルタ＝現在のトランプが日本へ入ってきた。天正カルタとして、日本でも生産されるようになった、天正という言葉が、天主という言葉に繋がることから、テンシュ系と呼ばれていた。

　日本の花札が、四種類１２枚をセットした、４８枚で構成されているのは、天正カルタの構成からである。株札の１～９という数字は、天正カルタの数字１～９に準じているとされます。

　ポルトガルから日本に伝承され、青森県五所川原に伝わったカードゲームは、「ゴニンカン」と呼ばれて、現代まで伝わっており、毎年世界大会が五所川原で開催されていますが、来年の１月が最後の大会と書かれていました。



　日本は狭いというのは、あくまでも人間が利用しやすい居住面積が狭い印象があるだけであって、日本は非常に広い国であり、国土防衛を考えた場合、気が遠くなるくらいに守り難い国だったりするのです。