琉球お爺いの綺談

Ittoh

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World War ? 歴史if

大日本帝国海軍主計課課員八幡一郎 その1.八幡衆が血の流れ

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 ぼくの名は、八幡一郎。八幡と言っても、八幡の血を引くわけでは無い。
 皇紀二千百年、祭りと共に、主上の綸旨「衆民#遍く__あまねく__#、名を持って尊厳を有す」が下った。
 綸旨の内容は、日本国だけでなく、八幡衆の都市にも伝わっていた。二千百年正月を迎えた時に、八幡衆船長で、#姓__かばね__#無き船長には、八幡の名が下されることとなり、船の乗組員達は、船長の名を#姓__かばね__#とした。そして、八幡為朝血族衆である者達には、伊豆八幡、運天(琉球)八幡、竜胆八幡といった地名を冠することとなった。
 そんなぼくが、海軍士官学校に合格した。競争倍率37倍という難関を突破しての合格に、八幡の名を受けた祖父が歓喜して必死に伝手を辿り、神域嵯峨本島に為朝が開いた八幡衆の町にある八幡衆湯院に泊まる旅行手配をしてくれた。
 八幡衆湯院で、出逢ったのが、ぼくの上司、主計課課長笹井遥だったのです。当時は主計課係員だったそうです。
 竜族の蒼肌を持ち、金色の髪、大きな胸乳おっぱい絞られた腰から豊かなヒップラインを描いた女性は、竜胆八幡の分家筋笹井家当主だそうです。出逢った時に、闇討ちを受けて、ぼくが湯船に軍刀を持ち込んでいて撃退した後、遥さんと一代(三日三晩)の間愛し合った。
 そんな夢のような出来事に、ぼくは陶然としていて、あまり記憶が定かではなく、夢のような想い出となっていました。

 海軍士官学校の中で、必死で頑張って、首席八衆に選ばれた。首席八衆は、オール優の士官学校生全員に与えられる称号で、卒業にあたって第一種礼装に向かい笹菱の徽章を着けることができた。笹菱の徽章は、学生が着けることができる唯一の徽章であり、海軍士官学校首席の象徴でもあった。
 遥さんが着けていた、笹菱の徽章について訊ねると、数ある徽章の中で、唯一笹の紋章が象られた徽章は、笹菱だけであり、学生時代にしか得られない徽章だと言って笑った。源氏の笹竜胆を支える、笹の家系にふさわしい徽章が欲しかったのだと。あんまり綺麗だったので、ぼくはギュッと抱きしめてキスすると、遥さんまで昂ぶって、別れるのが遅れたのも想い出である。



「そなたも手に入れたのだな」
遥は、ぼくの視線に気づくように、遥は、襟に着けられた笹菱の徽章に手を添えた、そのままぼくの顎に手をかけて上向かせると、キスを交わした。
「あたしは、一郎おまえが欲しくて、無理にこの主計課に配属させた」
探るように、遥は視線を走らせて言った。
一郎おまえは、ここで良かったのかの」
「大丈夫です。ぼくも遥課長に逢いたくて、笹菱を目指しましたから」
「嬉しいのぉ、そう言うてくれると」
ぼくの方が不安だったので、
「あの、、、遥課長こそ、ぼくで良かったのでしょうか」
「あたしの奥底まで抱きしめて、満たしてもらえたのは、一郎そなたぐらいじゃ、、、職務終了まで、我慢できそうにないな。決めたぞ、付いて参れ」
「は、はい」
 そのまま遥さんは、部屋を出ると、査察部長の部屋へ行った。部長室の前で待っていると、遥さんが出て来て、
「そなたの分を含めて休暇を取ったので、出かけるぞ」
「はいッ」
遥さんに付いていくと、馬車が回されていた。
「ご苦労」
御者へ挨拶すると、
「どちらへ」
「屋敷へ戻る」
「はっ、了解しました」
そのまま、馬車に乗せられて、しばらく、言いづらそうにしていたが、決心したように
「一郎、そなたは、あたしを愛しんでくれた。あたし自身は、そなたと契を交わしたと思っている」
「は、はい。ありがとうございます」
「しかしな、あたしには許婿いいなづけがいるのだ」
「は、はい」
「あたしは一時、女護島で手習いを教えておってな、そこで晶に出逢ぉたのじゃ」
「八幡衆であればミヅチの許婿いいなづけは、普通でしょう。お気にされず」
どうやら、遥さんには、ミヅチの許婿いいなづけがいたらしい。八幡衆で長となれば、必ずミヅチに認めて貰わねばなれないと聞く。
「ただ、#晶__あきら__#はな、あたしに玲様の姿を見ていてな、為朝のような殿御でないと許せぬと言っておるのじゃ」
 ほぉ、ぼくだって、玲様には憧れているし、遥さんを愛しいと思う気持ちに敗ける気は無いよ。
「大丈夫ですよ、遥様。同じ女を愛した者同士ですから、仲良くやれます」
一郎のすっきりした笑顔を見て、遥は、何か地雷を踏み抜いてしまったような、そんな怖い未来が待ち構えているような恐怖を感じていた。



 悪い予感というのは、あたるものである。
 結果として、笹井遥と八幡一郎の休暇は、一週間の休暇となった。



職場に戻った遥の一言は、
「ぜったいに、他の男なんか無理。死んじゃう」
であったそうな。
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