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第四章
第三十八話
しおりを挟む魔法の国では、最も強い魔法使いが王様になれる。それは、何千年も昔、まだ我らの先祖である悪魔がこの世界にいた頃から伝わる大切な伝統。ストリキ・ラピュア様は、今から十年前、王様になったばかりの新しい我らの王様。この国で最も力を持つ、最強の魔法使い。我らが国王様の名前。
ストリキ王は、ラピュアというとても強い魔力を持つ魔法使いの一族に生まれた、生まれながらの天才でした。しかし、ストリキ王はその生まれに傲らず、幼い頃から魔法の訓練を続け、子どもながらに強力な魔法と先天術を持つ、優秀な魔法使いとなった。この子が成長したら、きっと素晴らしい王になるだろう。ストリキ様は、幼いながらに将来を有望視され、いつか王になるだろうと周りの人々は口を揃えてストリキ様を称賛していました。
そして、十年前。ストリキ様が三十八の時、ついにその日が来たのです。その年、先代の王への反乱が起き、大きな戦争へと発展していきました。反乱軍は先代の王を殺め、自分たちが新しい王だと主張します。でも、誰もそれを認めはしませんでした。なぜなら、反乱軍は先代の王を数で圧倒し、勝利したから。王を決めるための戦いは、小細工なしの一対一と決まっている。そんなズルをした者が王になど、誰も認めるはずがありません。
反乱軍は「自分たちを王と認めない者は全員粛清してやる」と、王都から各地を蹂躙し始めます。これが、後に『血の七日間』と呼ばれる悪夢の日々。人々は反乱軍から逃げ惑い、たくさんの人が犠牲になりました。今でも癒えない傷にうなされる人がいることを、きっとみんなも知っているでしょう。
この反乱軍を鎮圧したのが、ストリキ様率いるラピュア家の魔法使いたちでした。ストリキ様は反乱が発生すると、すぐさまラピュア家に関係する全ての魔法使いを集め、反乱軍に挑んだのです。
どんなに強い魔法使いの一族といえど、反乱軍と比較すれば多勢に無勢。人々はストリキ様たちが反乱軍を止めてくれることを願う反面、あまりにも絶大すぎる数の差に、ほとんどの者が勝利を諦めていました。
しかし、ラピュア家の魔法使いたちは、ストリキ様は、何度負傷してもすぐに立ち上がり、反乱軍に立ち向かい続けました。どんな傷を負っても、数時間、翌日には立ち上がり、反乱軍へと向かって行く魔法使いたち。痛みを忘れ、傷を忘れ、前を向き続ける。その姿はまるで不死鳥のようで、人々を勇気づけました。そうしてストリキ様は、不可能だと思われた数の差をひっくり返し、反乱をたった一週間で鎮圧させたのです。
それ以来、圧倒的な強さを見せたラピュア家は、名実共に最強の魔法使いの一族と呼ばれるようになったのです。同時に、一族を率い、反乱軍を押し返した素晴らしい魔法使い。ストリキ様は、不在となった王位を務めることになったのです。人を纏め、自らも戦い、人々を守った、真の王。ストリキ様が王となることを認めない人は、一人もいませんでした。
「王」とは何なのでしょう。魔法が強ければ、それだけでいい? その考えはストリキ様が王になって以来、変わりつつあります。もし、「王様みたいになりたい」と願うのなら、何をすべきなのか。この図書館という場所では何ができるのか。未来を担うみんなが、ストリキ様のような素敵な大人になれることを願います。
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