百々五十六の小問集合

ワンシーン小説

絶対的王者の風格に

全身の穴という穴から、何かしらの汁があふれだしている。
涙で視界が歪んでいるし、股間の辺りはじんわり温かい。

怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い



さっきまでの冷静さはどこへ行ったのやら、恐怖に体も心も支配されてしまう。
立つことも困難になり、その場に崩れ落ち、へたり込む。
その頃にはもう、まともな思考力はなく、ただ現実への拒否感だけが募る。
現実を受け入れられず、声も出ない。

嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだ嫌だ嫌だイヤだ嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだいやだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だイヤだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だいやだ嫌だイヤだ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ

いやだ嫌だイヤだ
いやだいやだいやだいｙｗｄいやだ嫌だ
いやｆｄいｙふぇｗいｆｊｈいやｄｗ


うまく感情を伝達することすらできなくなっている。
本能からくる恐怖に抗おうにも、もうその気力がわかない。
拒絶することで手いっぱいだった。
その拒絶すらもうまくできなくなった。
身体の感覚もだんだんとなくなっていく。
傷ついたわけではないのに、だんだんと身体が冷たくなっていくことを感じる。
あいつと対面しているだけなのに。
接触もなく、目すらあっていないのに、尊厳という尊厳が破壊された。
威圧されているのではなく、何か根源的な恐怖を植え付けられたように感じた。
前を見ているのに、涙と恐怖で物がよく見えない。
身体を動かそうにも、その権限をはく奪されたかのように、ピクリとも動かすことができない。
自分の体であるにもかかわらず、ただの閲覧者に成り下がってしまっているようだ。
感情すらうまく出力できないのに、果たして生きているといえるのだろうか。
もはや、何かのアクションを起こそうとする気すら起きない。
突然、頬に痛みを感じた。
恐怖からくる精神的なものではなく、切り傷による身体的苦痛。
軽く刃物で撫でられたようなきれいで浅い傷であった。
しかし、心身ともに壊れていたため、軽い傷から自己に深刻なエラーをもたらした。

痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い



心身ともに正常であったなら、少し痛いと言うだけですんだのかもしれない。
しかし、今の心身では、致命傷を食らったのかというくらいのリアクションになってしまう。
小さい傷口から、血が滝のように流れる。
塞ごうとする意志が、身体にはないかのように。
あいつに傷つけられたわけではないのに、あいつが目の前にいるだけで、植物による軽い切り傷が、致命傷に感じられる。
傷口だけが、やけに熱い。
それ以外の体の部位は、ひどく冷え切っているのに。





思考がクリアになっていく。
あいつが、去ったわけではないのに。
あいつの振り撒く恐怖感は変わっていないのに。
どうやら、死に対する恐怖と、あいつに対する恐怖を受け入れられなくなって壊れたらしい。
関が壊れ、感情の波にのまれる直前に一瞬心が軽くなったらしい。
自分の死を冷静に悟った。
それからその一瞬は穏やかなものであった。
冷静に、暖かな気持ちで走馬灯を見る。
それは走馬灯を見終わったときのことであった。


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人格が完全に破綻した。
それと同時に、人体に含まれる血液以上に出血したのではないかというほどの血しぶきをあげて、死んでいた。