Alliance Possibility On-line~ロマンプレイのプレーヤーが多すぎる中で、普通にプレイしてたら最強になっていた~

百々 五十六

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『クランの町フラッグ』観光 祭り?いや、ただの日常

 俺たちは、本拠地から出た。
 玄関の扉を開けると、大樹の広場に、大樹を囲うように屋台が出ている様子が目に入った。
 屋台なんてあったっけ?
 そんな疑問が、よぎる。
 それと、俺たちが本拠地に入る前までは、大樹の広場に人がまばらだったが、今は、かなりの人が広場にいるようだ。
 もしかして、今日は祭りか何かの日なのかな?
 そう思った。
 2人も驚いたみたいでキョロキョロしている。

「なんだ?!」

「祭りか何かなのかな?」

 辺りを見回しながら、キョロキョロしながら会話をする。
 未だに、今がどういう状況なのかがわかっていない。
 お祭りなの?

「さっきまで全然お祭りムードじゃなかったわよね」

「こんな屋台、本拠地に入る前にはなかったよな」

「屋台ってそんなに早く準備できるものなのか?」

「とりあえず、近くの人に聞いてみましょう」

 ローズのその提案に乗って、俺たちは近くに居る人に、なんで屋台がいっぱい出ているのかを聞いてみることにした。
 そのときちょうど俺たちの近くを通った、おばさんとおばあさんの間ぐらいの年齢の方に、ローズが話しかけた。
 そんないきなり行くなんて、すごい勇気だな。

「今日は何かお祭りなんですか?」

 話しかけたおばあさんは、いきなり話しかけられるとは思っていなかったようで、少し驚いていた。
 その後、俺たち3人を見ていった。

「おや、知らないのかい。もしかして、あなたらは、今日初めて、この町に来た方?」

「そうです」

 ローズがそう答えて、俺とコルドは、その後ろでコクコクと頷いた。
 それを見て、「あぁ、あぁ」と納得したような仕草をしたおばあさん。
 その後、優しい口調で俺たちに向けて言った。

「それなら知らなくても当然だね。この町では、午後3時のおやつの頃から、夕食時の8時過ぎまで、この大樹の広場で大樹を囲むように屋台が出るのさ。そこで食べ物を買って、この広場内で食事を取るのがこの町の習慣なんだよ」

 へぇ、そんな習慣があったんだ。
 知らなかったな。
 面白そうな習慣だな。
 習慣っていうことは、明日からもこれを体験できるのか。
 毎日がお祭りみたいで楽しそうだな。

「そうなんですね」

 俺たちは3人して感心の顔をした。

「甘いお菓子から、丼物みたいなちゃんとしたご飯までいろんな屋台が出ているから、よかったら食べていくと良いよ」

「教えていただき、ありがとうございます」

 俺たちは、ローズがそう言って頭を下げたのに合わせて頭を下げた。

「まぁ、楽しみなさい」

 そう言っておばあさんは、広場の方へ歩いて行った。
 見ず知らずの俺たちに、うっとうしそうにせず優しく教えてくれる良いおばあさんだなと思った。
 結局、俺とコルドは、おばあさんと一言も話さなかったなと思った。
 まぁ、そういうこともあるさ。
 初対面の人と話すという緊張で、話に入る隙をうまく見つけられなかったな。
 まぁ、後から何か考えても仕方がないな。
 おばあさんが人混みに紛れて見えなくなったところで、再び3人で話し始めた。

「親切なおばあさんだったな」

「いい人もいるもんだな!」

「NPCとは思えなかったわね」

 確かに、あのおばあさんもNPCなのか。
 普通に人と話すテンションだったな。
 違和感なく話してたから、人と話している気持ちだった。
 今見えている人たちが、みんなNPCだということを忘れてしまっていた。
 それぐらい違和感がないな。
 さすがだな。
 APOの技術力の高さには何度でも驚かされるな。
 ローズの発言で、おばあさんがNPCだという事実を思い出し、驚きながらも雑談をしていく。

「どうする? せっかくだし何か食べていくか?」

「せっかくだし食べましょう」

「屋台から煙が出だしたし、良い匂いもしてきたしな!」

 2人ともかなり乗り気だな。
 俺たちは、祭りとかそういうこと大好きだからな。
 それに、めちゃめちゃ観光感があるし、観光の出だしとしては最適だな。
 俺たちは、遠目に屋台たちを眺めながら話している。

「どこの屋台もある程度並んでいるわね」

「じゃあ、それぞれが屋台から何品か3人分ずつ買ってきて、それを持ち寄って食べよう」

「それいいわね」

「俺も良いと思うぞ!」

 俺の提案が受け入れられて、バラバラで何品かずつ買いに行くことになった。
 良い匂いでだんだんとおなかがすいてきた。
 時刻としては、3時半近くと、昼食と夕食の間でほどよくおなかが減る時間だ。
 ローズが、本拠地の方を振り返り、本拠地の斜め前辺りにあるベンチを指さしていった。

「じゃあ、本拠地の方にあるあのベンチ集合ね」

 コルドが、拳を握りしめて、気合いを入れながら言った。

「あっと驚くものを探し出してくるぞ!」

「ストレージに入れたら冷めないとは思うけど、買ったものが冷めないうちに戻ってきましょう!」

「じゃあ、開始!」

 俺が合図をして、俺たちはバラバラに動き出した。
 俺は、2人がどこに行くのかをその場で見た。
 コルドは、俺から見て大樹の右奥の方に行った。
 ローズは、反対の大樹の左奥の方に行った。
 じゃあ、俺は手前で何か買い物をしようかな。
 俺は、大樹の手前に向けて歩き出した。

 大樹の手前側をぶらぶらと歩いていた俺が、最初に目をつけたのは、こういう中世の世界観だと大定番の串焼きの屋台だ。
 その屋台には、列はできていなかったから、すぐに買うことができた。
 俺は、頭にタオルを巻いたおっちゃんの店主に注文する。

「この串焼きを4本ください」

「はいよ!」

 4本なのは、3本はみんなで食べるようで、1本は、歩きながら食べる用だ。
 注文するときに、食べ歩きは、行儀はよくないとは思ったが、食べ歩きのわくわくに負けてしまった。

「4本で、300Gね!」

「まいどあり!」

 お金と商品の受け渡しをしながら、店主と軽く会話をした。

「4,50分前にこの広場に来たときには、屋台の1つも立っていなかったのに、今来たら、大量の屋台が建っていて驚きました!」

「おう! 兄ちゃんは、この町始めてか?! ここら辺の屋台は全部、小さいタイヤがついていて、店から押してくる方式なんだぞ!」

 店主がそう言いながら、串焼き4本を渡してきた。
 へぇ、その場で組み立てているんじゃないんだ。
 まぁ、確かに運搬から組み立てまでを1時間じゃ無理か。
 材料とかも一緒に持ってこられる、その方式が良いよな。
 串焼きを受け取りながら返事をする。

「そうなんですね。へぇ」

 商品の受け渡しが完全に終わった俺に、店主が言った。

「おう! また来いよ!」

 俺は、串焼きを3本ストレージに入れて、その店から離れた。
 食べ歩き用の1本を頬張る。
 これはかなりおいしいな。
 塩こしょうでシンプルな味付けなのに、かなりおいしい。
 噛めば噛むほど肉汁があふれてくる。
 人の流れの端の方で、立ち止まって、焼き串を食べた。
 食べ歩きをしようと思ったけれど、周りのことにも注意をしながら、食を楽しむということは、俺には少し難しすぎたみたいだ。
 早々に食べながら歩くことを諦めた俺は、人の往来の落ち着いた箸の方で静かに食べていた。
 焼き串を食べ終わると、次の屋台を探しに歩き出した。
 次に目をつけたのは、焼きトウモロコシ屋だ。
 甘塩っぱい良い匂いがしたから、匂いに釣られてやってきた。
 焼きトウモロコシ屋は、3人並んでいたけれど、そこまで時間がかからずに買うことができた。
 店主の人もかなり丁寧な人だった。

「この焼きトウモロコシを3本ください」

「はーい」

「3本で200Gです」

「お買い上げありがとうございます」

 さすがに焼きトウモロコシもつまみ食いしていたら、みんなで食べるときにあまり入らなくなりそうだから、つまみ食いしたいという気持ちをぐっと抑え込んだ。
 焼きトウモロコシを、ストレージに入れると、次の屋台を求めてまたまた歩き出した。
 次に目をつけたのは、団子の屋台だ。
 観光地とかでよくある、焼いてある大きめの団子の方じゃなくて、みたらし団子とか、三色団子とかの方の団子屋だ。
 そこでも、つまみ食いしたい気持ちをぐっと抑えて注文する。

「この、みたらしの団子を3本と、あんこの団子を3本ください」

「はいはい」

「6本で600Gだよ」

「まいどあり」

 受け取った団子をストレージに入れる。
 2人も何品か買うんだろうし、これぐらいでいいか。
 俺は、集合場所に向けて歩き出した。
 様々なおいしそうな匂いが、屋台から離れることを阻止しようとしてきたが、そのすべてに抗って俺は歩いた。


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