毎日記念日小説

百々 五十六

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11月8日 レントゲンの日

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よかったぁ、今日も雑談はあるみたいだ。
最近、雑談がどんな感じになるのかを想像することよりも先に、今日も雑談があることに感謝をしている気がする。
人は変化をするんだなぁ。
まぁ、そういうものだろうなぁ。
今日も『雑談部屋』を使えるみたいでよかったな。
さて、今日の雑談はどんな話題かな?
どれぐらいの長さになるかな?
どれぐらいの盛り上がりになるのかな?
どれもわからないなぁ。
でも、いい雑談になってくれるといいな。
その気持ちを胸に、俺は『雑談部屋』に入っていった。









今日もまた、白い空間に放り出された。
そしてどこからともなくアナウンスが鳴った。


”シチュエーションの設定、人物選択、話題選択が終了しました。
これより雑談を始めます。”

やっぱりアナウンスが止んだ。
やはり、雑談部屋で一番無駄な時間なう。
AIはここを修正しないのだろうか?
やっぱ、修正しないかぁ。
修正してくれないかなぁ。
毎回同じこと思ってるなぁ。
ある意味、これがルーティーンみたいなところあるしなぁ。
そう考えると、意味があるのかなぁ?
意味、あったのかな…
このルーティーンやめようかな?
どうしよう。
でも、これをやめて、調子崩したら辛いから、続けるかぁ。
再びアナウンスが鳴った。


”雑談所要時間は30分、盛り上がり等により自動で延長や短縮を行います。
シチュエーションは、『病院の待合室』です。
雑談に参加するメンバーは、『田中様』『渡辺様』『関様』『林様』です。
決まった役職、役割等はございません。ご気軽に参加してください。
それでは雑談を始めさせていただきます。
今回の話題は『レントゲン』です。
それでは楽しい雑談の時間をお過ごしください。”

アナウンスがやんで、光に包まれた。
レントゲンか。
レントゲンかぁ……
当たりの話題ではなさそうだな。
レントゲンを撮ったことがある人ってどれぐらいいるのかな?
それによって今日の雑談の難易度が変わってきそうだな。
ちなみに俺は今までで一度も取ったことがない。
少し不安だなぁ。
まぁ、不確定な未来を嘆いていても仕方がないか。
少しでも、成功の確率を上げるために、ちゃんとしたテーマを持って行こう。
何がいいかな。
”レントゲンをどういうシチュエーションで取ったのか”これでいこう。
これなら、一人でもレントゲンを撮ったことがある人がいれば、なんとかなる気がするし。
少しの不安を抱えていると、光が収まった。





「今日の話題は、『レントゲン』ですね、はい。皆さんは、レントゲンを撮ったことありますか?、はい」
「俺はないんじゃね?レントゲンを撮った記憶はないんじゃね。取り方とかも知らないんじゃね」
「あのぅ、僕は中学校の時に一度だけレントゲン写真を撮ったことがあります。あのぅ、階段から落ちちゃったときに、一応レントゲンを撮りました」
「俺は、ないぞ。病院も基本的に予防接種とかでしか行かないな。レントゲンってどういう風に取るもんなんだろう?興味はあるけど、知らないな」
「私は、何度かあります、はい。原因はバラバラです、はい」
「レントゲンって、骨が白く写るやつじゃね?」
「そうですよ、はい」
「あれって、どれぐらいの時間がかかるんだ?」
「あのぅ、取る分には1分もかからないんですけど、病院なんでその前後の待ち時間とか、お医者さんの問診とかに時間をかなり取られます」
「へぇ、そうなんだ」


それから雑談は、ぼちぼちの盛り上がりを見せた。
レントゲンを撮ったことある二人に、レントゲンを撮ったことない俺たち二人が質問するという形式が基本だった。
新しい知識をたくさん得られたから有意義な時間だったと思う。
それと、これぐらい難しい話題でこんだけしゃべれたのは、すごいと思う。
かなりのチームワークだったんじゃないかな?
大満足でセルフ反省会を終えると、アナウンスがなった。







”29分54秒99が経過しました。お話の途中かと思いますが、教室の方に転送いたします。話し足りないかと思いますが、この話題はこの場限りといたしますようよろしくお願いします。教室で同じ話題をしたとしても特に罰則等はございませんが、ご協力よろしくお願いいたします。それと同じように、教室での話題をこの場に持ち込まないようよろしくお願いいたします。このアナウンスの内容を何度もお聞きになっていると思いますがなにとぞご協力よろしくお願いいたします。


レントゲンですか。
私は取ったことないですね。
レントゲンを撮る時って、重大なけがとかかなりの病気とかのイメージがありますよね。
だからレントゲンを撮るような事態が起こらずに生きていければいいと思っています。
偏見だったら申し訳ないです。
私の発言に誰かをおとしめたり、何かを非難する意図はありません。
そこだけはわかってほしいです。




今日の残りの時間も頑張ってください。
それでは教室にお送りいたします。
それでは良い学校生活を”

アナウンスが止んだ。

教室に戻ってきた。
今日の雑談は、話題の割にはかなりよかったんじゃないかな?
ほとんど30分だったわけだし、かなりよい雑談になったといえるんじゃないだろうか?
このままの調子で、これからも頑張っていきたいな。
雑談が終わったからといって、気を抜かずに、俺は次の授業の準備を始めた。









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