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1章 スタートダッシュ
夜間移動
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夜になっていたと言うこともあって、町の南のゲートへと向かう道は、基本的にプレイヤーと思わしき人たちしかいないみたいだ。
暗くて、あまりよく他の人を見れないけれど、話し声からプレイヤーだろうこと伝わってくる。
まぁ、わざわざ現地の人がこの時間に動く必要はないからな。
それに、現地の人、NPCは1日が終わり疲れて家で寝ているだろう。
こんな時間に、活動できるのは、命知らずで、疲れ知らず、現地の人とは生活リズムの異なる我々プレイヤーぐらいだろうな。
もしくは、緊急の用事がある、現地の人か。
そう思いながら暗い道を進む。
町中は,夜中でも街灯が灯っていて、足下はかろうじて見えるような状況だったが、待ちの外はそういうわけにはいかない。
町の外に出ると完全な暗闇になっている。
町からある程度の明かりが発せられているため、町の場所はなんとなく分かるがそれ外は、ほとんど何も分からない。
だんだんと目が暗闇になれてくれば、ここが道なのかどうかぐらいは見えるようになった。
そんな中、周りの明るさとは関係なく見れるウィンドウ、地図と格闘しながら進んでいく。
暗闇だから、前から来る人とぶつかってしまったら申し訳ないな。
そう思いながら、頑張ってゲートに向かって進む。
これは、何か光が必要だな。
こちらがここにいると他の人に知らせるため、そして、俺達が周りの状況を把握するために、何かしらの光が必要だな。
松明とかそういうのを持ってくれば良かったな。
松明ぐらいなら多分売店でも売っていただろうし。
これは反省だな。
反省、反省。
反省しながら進んでいるとふと思いついた。
なーさんに魔法で光を出してもらうのはどうだろう。
これなら、行けるんじゃないかな。
光じゃなくてもかまわない。
松明のように、良い感じの炎でもかまわないだろう。
視界が確保できるほど、俺達の場所を知らせられる程度の、光源を出してもらおう。
これが出来れば、面倒な松明を買う必要もなければ、松明によって片手を塞がれることもない。
これはかなり良い案なんじゃないかな。
成功してほしいな。
暗い中、進むのって危険だしな。
成功するかしないかは、なーさんにかかっているな。
俺は、早速これを試すために、なーさんに言った。
「なーさん、継続的に明かりって出せるか? 光の球みたいなものを動かす感じでも、良い感じの火の球を動かす感じでも良いんだけど」
「なぁ!」
なーさんは、そう鳴いたと同時に、ふわっと明るく、数メートル先の地面の色が分かる程度の明かりを出してくれた。
これは使える。
いろんな意味で使える。
これで、他のプレイヤーにここにいることを伝えられるし、地面に何かあった場合気づけるようになった。
これはありがたい。
俺はなーさんに心からお礼した。
「なーさんありがとう。これなら、安全にダンジョンまで行けるな」
「なぁ」
なーさんは誇らしげに鳴いた。
俺に褒められたのがうれしかったのかな。
それとも、俺の役に立ったことがうれしいのかな。
まぁ、とりあえず、喜んでもらえて良かった。
俺は、少しだけ声を張って言った。
「頑張って、行くぞ!」
「なぁ!」
なーさんもそれにあわせて鳴いた。
俺達が移動すると、なーさんが出してくれた、光の球はふわふわと漂いながら俺達にあわせて移動した。
これなら、なーさんの魔力が続く限り使うことが出来るな。
ただ、俺は普段魔法を使わないから、MPポーションを持っていないんだよな。
だから、魔力を消費してしまうと、自然に回復させる以外の回復方法がない。
気持ち急ぐとするか。
なーさんの負担にならないようにするためにも。
俺達はそれから、気持ち早足でゲートに向かった。
そうして、ようやくゲートの近くまで来た。
ゲートの近くは、街灯が設置されている。
ある程度の明かりなら確保された状態だった。
へぇ、ゲートの周りって明かりが確保されているんだな。
これは、町にとって大事な施設だからかな。
とりあえず、別の光源を確保できたので、なーさんに光の球をしまってもらうように言った。
「なーさん、明かりありがとう。ゲートの近くは光源があるみたいだから、その光の球はもう大丈夫だ」
「なぁ」
俺が、なーさんをねぎらいながらそう言うと、なーさんは、うれしそうに鳴いて、光の球を引っ込めた。
ステータスを確認してみると、なーさんのMPの半数近くを使っていた。
町を出るときは満杯だったから、あの光の球だけでそれだのMPを使ったのだろう。
魔法って、それだけ継続にMPを使うんだな。
大変な技だな。
魔法って、瞬間火力がメインだよな。
継続して何かをするには、向かないのかもしれないな。
こんだけMPを使うのなら、節約のために、松明は必要だな。
せっかく、松明がいらなくなる案が見つかったと思ったけど、そう簡単にはいかないようだな。
これから、暗闇の中での移動時の光源は、松明にすることにしよう。
残念だ。
なーさんのMPが馬鹿みたいに増えて、このぐらいの光の球ならば、あまり負担にならないようになったら、光の球での光源確保も検討してみようかな。
そうなるのはもっと先だろうけど。
ゲートのそばには、明るい頃のような列は出来ていなかった。
いつでも、すぐにゲートをくぐれるようになっていた。
まぁ、さすがに夜まで列が出来るなんてことはないんだな。
これは、もう待機列が解消したとみるのか、それとも、夜だから待機列がないだけなのだろうか。
まぁ、そのどちらが正解だったのかは、明日の朝にでもなれば分かることだろうな。
今すぐ正解を知る必要はないよな。
俺は、なーさんに声をかけた。
「じゃあ、なーさん、ダンジョンに入っていくぞ。準備は良いか?」
「なぁ!」
なーさんは、もちろんと言いたげに鳴いた。
なーさんは準備万端のようだ。
じゃあ、早速行くか。
ゲートに向かって一歩踏み出しながら言った。
「じゃあ、行くぞ」
「なぁ!」
俺となーさんは、そう言ってゲートをくぐった。
いつも通りの1層にたどり着いた。
1層は、ダンジョンの外とは違い、昼間のような明るさだった。
思わず目を細める。
先ほどまで、限られた光源の中進んできたのに、急に真っ昼間のような場所に放り出されたのだ。
目が順応できない。
次の人の邪魔にならないように、数歩進んだところで立ち止まった。
ダンジョン内の明るさに衝撃を受けながら、少しずつ目を開いて、明るさに慣れさせていく。
完全に目が開いて視界が確保されるまで数分のときを有した。
これは、明確な隙だな。
次からは気をつけることにしよう。
ダンジョン内の時間、ダンジョン内の明るさと、ダンジョンの外の時間や明るさは全然違うと言うことを知っておかないと行けなかったようだな。
ダンジョンの中と外とで時間の連携はないんだな。
これは、完全に俺の知識不足だな。
反省反省。
それにしても、本当に嘘みたいに明るいな。
外が夜だとは思えないほどの明るさだな。
確かに、この世界に来てから、何度かダンジョンに入っているけど、常に真っ昼間のような明るさをしている。
戦闘とか依頼とか、そういうことに集中していたから気にしていなかったけど、もしかして、ダンジョン内の時間は常に同じ?
ということは、ここは昼のようなフィールドだけど、朝のような時間帯のフィールドだったり、逆に、夜のような時間帯のフィールドだったり、夕方、夕焼けの見えるようなフィールドもあるのかもしれないな。
それはそれで楽しみではあるな。
何層ぐらいから、時間帯までこり出すのだろうか。
仮設ではあるけど、それを楽しみに待ちたいな。
とりあえず、ダンジョン内では、明るさで時間経過がはかれないと言うことか。
ダンジョン内で寝るのは大変そうだな。
特に、こういう明るいフィールドの場合。
少なくとも、この光をある程度遮断できないと、寝れる気がしない。
そもそも、ダンジョン内で寝ることになるのかな?
そんなに長期間ダンジョンに居続けることがあるのかな?
多分今後増えてくるんだろうな。
もしかしたら、そこでログアウトとかをするかもしれないな。
そう考えると、睡眠って大切だな。
そこら辺もいろいろ考えていきたいな。
もしかしたら、売店に、昼フィールド用のテントがあるかもしれないないな。
目も順応できたことだし、そろそろ移動していくか。
俺は、とりあえず、なーさんに大丈夫か確認を取った。
「なーさん、急に明るいところに出て、目は痛くないか? 明るさに慣れたか?」
「なぁ」
なーさんは大丈夫だと言いたげに鳴いた。
なーさんが大丈夫というのだから大丈夫なのだろう。
少しでもつらそうなら、回復の時間を取るが、そのそぶりを見せないので、本当に大丈夫なのだろう。
俺は改めて確認をした。
「そろそろ移動しても大丈夫か? 移動できそうか?」
「なぁ!」
なーさんは、さぁ行こうと言いたげな雰囲気を纏いながら鳴いた。
なーさんはやる気みたいだな。
そういえば、なーさんはこっちの世界のモンスターでこっちの世界の従魔だけど、こっちの世界の人たちと同じように夜に眠くならないのだろうか?
そこはモンスターだから大丈夫なのかな。
気になったので聞いてみることにした。
「今は夜だけど、なーさんは眠くないのか?」
「なぁ!」
なーさんは、全然大丈夫と言いたげに、胸をトントンと叩きながら言った。
任せろってことなのかな。
まぁ、なーさんが大丈夫というのだから大丈夫なのだろう。
疲労値を確認しても、まだ50すら超えていない。
まだまだ行けるのだろうな。
じゃあ、もう何の心配もなく、3層に向かって進めるな。
俺は、気合いを入れてなーさんに説明をした。
「そうか、じゃあ、2層を目指していつも通りのルートで行くぞ。いつも通りとは言ってもなーさんは帰りでしか通っていないルートだけど」
「なぁ」
なーさんは任せるよと言いたげに鳴いた。
まぁ、なーさんにルート取りをさせる訳でもないから、良いか。
俺は元気よく言った。
「じゃあ、出発」
「なぁ!」
それに続いて、なーさんが元気良く鳴いた。
なーさんはそうなくと同時に、俺の肩にとまっているのを止め、大空に羽ばたきだした。
ここからはなーさんは飛んで移動するようだ。
そうしてくれると、肩が軽くなって助かる。
俺達は、2層へ向かうゲートを目指して移動を開始した。
ここまで、ゲートをくぐってから、10分弱の出来事。
その間、俺の後にダンジョンの外、町の南側のゲートからこの1層に入っているプレイヤーは1人もいなかった。
もうほとんどのプレイヤーがダンジョンにこもっているのかな。
それとも、夜だからとお行儀よく寝ているのかな。
時刻は、ゲーム内時間で20時を過ぎ多ぐらい、現実だとまだ15時にすらなっていないような時間帯。
ご飯などでログインが減っている訳じゃないよな。
もしかして、ガチのプレイヤー達は、このゲームの夜の時間にあわせて、休憩を取るようにしているのかな。
そうだとしたら、ガチ過ぎる。
とても俺ではまねが出来なさそうだな。
まぁ、でもガチのプレイヤーが夜に活動しない理由もないな。
あれかな。
一日活動すると、ちょうど夜疲労値とか諸々が限界になるから、強制的に休みになっている人が多いのかもしれないな。
あり得る。
それこそ、開始からここまでずっと戦い続けたガチ勢みたいな人ほどそうなっているのかもしれないな。
俺は、そもそも、いろいろ移動しながらやっていたし、昼食のときに仮眠室で休憩を取っているからまだ動けるんだよな。
運が良かったのか。
それとも、夜は寝た方が良かったのか。
それはまだ全然分からないな。
掲示板とかも確認していないし。
そんなことを考えながら、移動していった。
もちろん、2層に着くまでの道中に戦闘もした。
ただ、ほとんどの戦闘は、なーさんが敵のところまでひとっ飛びして、ダンジョンラビットを雑に倒していくというものだ。
俺よりも移動能力の高いなーさんが全部戦闘をしてくれているから、俺は、ただ前に進んでいくだけで良いのがすごく楽だ。
そうして、俺達は、いつも利用しているゲートから、2層に来た。
2層も、1層と同じように、外とは違いかなり明るかった。
いつものように森になっているので、日陰は多かったが、かなり明るく視界は良好だった。
2層に来たところでなーさんに声をかけた。
「3層目指して頑張ろうな。地図に載っている一番近い3層へのゲートまでの距離は、1層の始まりのゲートから、2層に行くゲートの間の倍ぐらいあるぞ」
「なぁ!」
頑張るぞと気合いを入れているような仕草をしながらなーさんは鳴いた。
俺は、なーさんのやる気にあわせて気合いを入れて言った。
「じゃあ、行くぞ」
「なぁ!」
俺達は、3層へと向かうゲートに向かって歩き出した。
距離は、1層から2層に移動するための距離の倍程度。
もしかして、この距離ってだんだんと遠くなっていくのかな?
そうだとしたら大変だな。
余計なことを考えながら進んでいく。
2層の敵はもはや敵ではないので、すいすいと進んでいく。
それでも1層の倍以上の時間をかけて攻略していった。
ようやく3層へのゲートを見つけた。
これをくぐれば3層に行けるのか。
そう思いながら、ゲートを眺めた。
暗くて、あまりよく他の人を見れないけれど、話し声からプレイヤーだろうこと伝わってくる。
まぁ、わざわざ現地の人がこの時間に動く必要はないからな。
それに、現地の人、NPCは1日が終わり疲れて家で寝ているだろう。
こんな時間に、活動できるのは、命知らずで、疲れ知らず、現地の人とは生活リズムの異なる我々プレイヤーぐらいだろうな。
もしくは、緊急の用事がある、現地の人か。
そう思いながら暗い道を進む。
町中は,夜中でも街灯が灯っていて、足下はかろうじて見えるような状況だったが、待ちの外はそういうわけにはいかない。
町の外に出ると完全な暗闇になっている。
町からある程度の明かりが発せられているため、町の場所はなんとなく分かるがそれ外は、ほとんど何も分からない。
だんだんと目が暗闇になれてくれば、ここが道なのかどうかぐらいは見えるようになった。
そんな中、周りの明るさとは関係なく見れるウィンドウ、地図と格闘しながら進んでいく。
暗闇だから、前から来る人とぶつかってしまったら申し訳ないな。
そう思いながら、頑張ってゲートに向かって進む。
これは、何か光が必要だな。
こちらがここにいると他の人に知らせるため、そして、俺達が周りの状況を把握するために、何かしらの光が必要だな。
松明とかそういうのを持ってくれば良かったな。
松明ぐらいなら多分売店でも売っていただろうし。
これは反省だな。
反省、反省。
反省しながら進んでいるとふと思いついた。
なーさんに魔法で光を出してもらうのはどうだろう。
これなら、行けるんじゃないかな。
光じゃなくてもかまわない。
松明のように、良い感じの炎でもかまわないだろう。
視界が確保できるほど、俺達の場所を知らせられる程度の、光源を出してもらおう。
これが出来れば、面倒な松明を買う必要もなければ、松明によって片手を塞がれることもない。
これはかなり良い案なんじゃないかな。
成功してほしいな。
暗い中、進むのって危険だしな。
成功するかしないかは、なーさんにかかっているな。
俺は、早速これを試すために、なーさんに言った。
「なーさん、継続的に明かりって出せるか? 光の球みたいなものを動かす感じでも、良い感じの火の球を動かす感じでも良いんだけど」
「なぁ!」
なーさんは、そう鳴いたと同時に、ふわっと明るく、数メートル先の地面の色が分かる程度の明かりを出してくれた。
これは使える。
いろんな意味で使える。
これで、他のプレイヤーにここにいることを伝えられるし、地面に何かあった場合気づけるようになった。
これはありがたい。
俺はなーさんに心からお礼した。
「なーさんありがとう。これなら、安全にダンジョンまで行けるな」
「なぁ」
なーさんは誇らしげに鳴いた。
俺に褒められたのがうれしかったのかな。
それとも、俺の役に立ったことがうれしいのかな。
まぁ、とりあえず、喜んでもらえて良かった。
俺は、少しだけ声を張って言った。
「頑張って、行くぞ!」
「なぁ!」
なーさんもそれにあわせて鳴いた。
俺達が移動すると、なーさんが出してくれた、光の球はふわふわと漂いながら俺達にあわせて移動した。
これなら、なーさんの魔力が続く限り使うことが出来るな。
ただ、俺は普段魔法を使わないから、MPポーションを持っていないんだよな。
だから、魔力を消費してしまうと、自然に回復させる以外の回復方法がない。
気持ち急ぐとするか。
なーさんの負担にならないようにするためにも。
俺達はそれから、気持ち早足でゲートに向かった。
そうして、ようやくゲートの近くまで来た。
ゲートの近くは、街灯が設置されている。
ある程度の明かりなら確保された状態だった。
へぇ、ゲートの周りって明かりが確保されているんだな。
これは、町にとって大事な施設だからかな。
とりあえず、別の光源を確保できたので、なーさんに光の球をしまってもらうように言った。
「なーさん、明かりありがとう。ゲートの近くは光源があるみたいだから、その光の球はもう大丈夫だ」
「なぁ」
俺が、なーさんをねぎらいながらそう言うと、なーさんは、うれしそうに鳴いて、光の球を引っ込めた。
ステータスを確認してみると、なーさんのMPの半数近くを使っていた。
町を出るときは満杯だったから、あの光の球だけでそれだのMPを使ったのだろう。
魔法って、それだけ継続にMPを使うんだな。
大変な技だな。
魔法って、瞬間火力がメインだよな。
継続して何かをするには、向かないのかもしれないな。
こんだけMPを使うのなら、節約のために、松明は必要だな。
せっかく、松明がいらなくなる案が見つかったと思ったけど、そう簡単にはいかないようだな。
これから、暗闇の中での移動時の光源は、松明にすることにしよう。
残念だ。
なーさんのMPが馬鹿みたいに増えて、このぐらいの光の球ならば、あまり負担にならないようになったら、光の球での光源確保も検討してみようかな。
そうなるのはもっと先だろうけど。
ゲートのそばには、明るい頃のような列は出来ていなかった。
いつでも、すぐにゲートをくぐれるようになっていた。
まぁ、さすがに夜まで列が出来るなんてことはないんだな。
これは、もう待機列が解消したとみるのか、それとも、夜だから待機列がないだけなのだろうか。
まぁ、そのどちらが正解だったのかは、明日の朝にでもなれば分かることだろうな。
今すぐ正解を知る必要はないよな。
俺は、なーさんに声をかけた。
「じゃあ、なーさん、ダンジョンに入っていくぞ。準備は良いか?」
「なぁ!」
なーさんは、もちろんと言いたげに鳴いた。
なーさんは準備万端のようだ。
じゃあ、早速行くか。
ゲートに向かって一歩踏み出しながら言った。
「じゃあ、行くぞ」
「なぁ!」
俺となーさんは、そう言ってゲートをくぐった。
いつも通りの1層にたどり着いた。
1層は、ダンジョンの外とは違い、昼間のような明るさだった。
思わず目を細める。
先ほどまで、限られた光源の中進んできたのに、急に真っ昼間のような場所に放り出されたのだ。
目が順応できない。
次の人の邪魔にならないように、数歩進んだところで立ち止まった。
ダンジョン内の明るさに衝撃を受けながら、少しずつ目を開いて、明るさに慣れさせていく。
完全に目が開いて視界が確保されるまで数分のときを有した。
これは、明確な隙だな。
次からは気をつけることにしよう。
ダンジョン内の時間、ダンジョン内の明るさと、ダンジョンの外の時間や明るさは全然違うと言うことを知っておかないと行けなかったようだな。
ダンジョンの中と外とで時間の連携はないんだな。
これは、完全に俺の知識不足だな。
反省反省。
それにしても、本当に嘘みたいに明るいな。
外が夜だとは思えないほどの明るさだな。
確かに、この世界に来てから、何度かダンジョンに入っているけど、常に真っ昼間のような明るさをしている。
戦闘とか依頼とか、そういうことに集中していたから気にしていなかったけど、もしかして、ダンジョン内の時間は常に同じ?
ということは、ここは昼のようなフィールドだけど、朝のような時間帯のフィールドだったり、逆に、夜のような時間帯のフィールドだったり、夕方、夕焼けの見えるようなフィールドもあるのかもしれないな。
それはそれで楽しみではあるな。
何層ぐらいから、時間帯までこり出すのだろうか。
仮設ではあるけど、それを楽しみに待ちたいな。
とりあえず、ダンジョン内では、明るさで時間経過がはかれないと言うことか。
ダンジョン内で寝るのは大変そうだな。
特に、こういう明るいフィールドの場合。
少なくとも、この光をある程度遮断できないと、寝れる気がしない。
そもそも、ダンジョン内で寝ることになるのかな?
そんなに長期間ダンジョンに居続けることがあるのかな?
多分今後増えてくるんだろうな。
もしかしたら、そこでログアウトとかをするかもしれないな。
そう考えると、睡眠って大切だな。
そこら辺もいろいろ考えていきたいな。
もしかしたら、売店に、昼フィールド用のテントがあるかもしれないないな。
目も順応できたことだし、そろそろ移動していくか。
俺は、とりあえず、なーさんに大丈夫か確認を取った。
「なーさん、急に明るいところに出て、目は痛くないか? 明るさに慣れたか?」
「なぁ」
なーさんは大丈夫だと言いたげに鳴いた。
なーさんが大丈夫というのだから大丈夫なのだろう。
少しでもつらそうなら、回復の時間を取るが、そのそぶりを見せないので、本当に大丈夫なのだろう。
俺は改めて確認をした。
「そろそろ移動しても大丈夫か? 移動できそうか?」
「なぁ!」
なーさんは、さぁ行こうと言いたげな雰囲気を纏いながら鳴いた。
なーさんはやる気みたいだな。
そういえば、なーさんはこっちの世界のモンスターでこっちの世界の従魔だけど、こっちの世界の人たちと同じように夜に眠くならないのだろうか?
そこはモンスターだから大丈夫なのかな。
気になったので聞いてみることにした。
「今は夜だけど、なーさんは眠くないのか?」
「なぁ!」
なーさんは、全然大丈夫と言いたげに、胸をトントンと叩きながら言った。
任せろってことなのかな。
まぁ、なーさんが大丈夫というのだから大丈夫なのだろう。
疲労値を確認しても、まだ50すら超えていない。
まだまだ行けるのだろうな。
じゃあ、もう何の心配もなく、3層に向かって進めるな。
俺は、気合いを入れてなーさんに説明をした。
「そうか、じゃあ、2層を目指していつも通りのルートで行くぞ。いつも通りとは言ってもなーさんは帰りでしか通っていないルートだけど」
「なぁ」
なーさんは任せるよと言いたげに鳴いた。
まぁ、なーさんにルート取りをさせる訳でもないから、良いか。
俺は元気よく言った。
「じゃあ、出発」
「なぁ!」
それに続いて、なーさんが元気良く鳴いた。
なーさんはそうなくと同時に、俺の肩にとまっているのを止め、大空に羽ばたきだした。
ここからはなーさんは飛んで移動するようだ。
そうしてくれると、肩が軽くなって助かる。
俺達は、2層へ向かうゲートを目指して移動を開始した。
ここまで、ゲートをくぐってから、10分弱の出来事。
その間、俺の後にダンジョンの外、町の南側のゲートからこの1層に入っているプレイヤーは1人もいなかった。
もうほとんどのプレイヤーがダンジョンにこもっているのかな。
それとも、夜だからとお行儀よく寝ているのかな。
時刻は、ゲーム内時間で20時を過ぎ多ぐらい、現実だとまだ15時にすらなっていないような時間帯。
ご飯などでログインが減っている訳じゃないよな。
もしかして、ガチのプレイヤー達は、このゲームの夜の時間にあわせて、休憩を取るようにしているのかな。
そうだとしたら、ガチ過ぎる。
とても俺ではまねが出来なさそうだな。
まぁ、でもガチのプレイヤーが夜に活動しない理由もないな。
あれかな。
一日活動すると、ちょうど夜疲労値とか諸々が限界になるから、強制的に休みになっている人が多いのかもしれないな。
あり得る。
それこそ、開始からここまでずっと戦い続けたガチ勢みたいな人ほどそうなっているのかもしれないな。
俺は、そもそも、いろいろ移動しながらやっていたし、昼食のときに仮眠室で休憩を取っているからまだ動けるんだよな。
運が良かったのか。
それとも、夜は寝た方が良かったのか。
それはまだ全然分からないな。
掲示板とかも確認していないし。
そんなことを考えながら、移動していった。
もちろん、2層に着くまでの道中に戦闘もした。
ただ、ほとんどの戦闘は、なーさんが敵のところまでひとっ飛びして、ダンジョンラビットを雑に倒していくというものだ。
俺よりも移動能力の高いなーさんが全部戦闘をしてくれているから、俺は、ただ前に進んでいくだけで良いのがすごく楽だ。
そうして、俺達は、いつも利用しているゲートから、2層に来た。
2層も、1層と同じように、外とは違いかなり明るかった。
いつものように森になっているので、日陰は多かったが、かなり明るく視界は良好だった。
2層に来たところでなーさんに声をかけた。
「3層目指して頑張ろうな。地図に載っている一番近い3層へのゲートまでの距離は、1層の始まりのゲートから、2層に行くゲートの間の倍ぐらいあるぞ」
「なぁ!」
頑張るぞと気合いを入れているような仕草をしながらなーさんは鳴いた。
俺は、なーさんのやる気にあわせて気合いを入れて言った。
「じゃあ、行くぞ」
「なぁ!」
俺達は、3層へと向かうゲートに向かって歩き出した。
距離は、1層から2層に移動するための距離の倍程度。
もしかして、この距離ってだんだんと遠くなっていくのかな?
そうだとしたら大変だな。
余計なことを考えながら進んでいく。
2層の敵はもはや敵ではないので、すいすいと進んでいく。
それでも1層の倍以上の時間をかけて攻略していった。
ようやく3層へのゲートを見つけた。
これをくぐれば3層に行けるのか。
そう思いながら、ゲートを眺めた。
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入院先の個室のベッドの上で、俺は途方に暮れていた。
今回の事故で腕に怪我をしてしまい、元の仕事には戻れなかった。
たまたま保険で個室代も出るというので個室にしてもらったけど、たいして蓄えもなく、退院したらすぐにでも働かないとならない。
そんな俺は交通事故で死を覚悟した時にひとつ強烈に後悔をした事があった。
『こんな事ならダンジョンに潜っておけばよかった』
である。
50過ぎのオッサンが何を言ってると思うかもしれないが、その年代はちょうど中学生くらいにファンタジーが流行り、高校生くらいにRPGやライトノベルが流行った世代である。
ファンタジー系ヲタクの先駆者のような年代だ。
俺もそちら側の人間だった。
年齢で完全に諦めていたが、今回のことで自分がどれくらい未練があったか理解した。
「冒険者、いや、探索者っていうんだっけ、やってみるか」
これは体力も衰え、知力も怪しくなってきて、ついでに運にも見放されたオッサンが無い知恵絞ってなんとか探索者としてやっていく物語である。
注意事項
50過ぎのオッサンが子供ほどに歳の離れた女の子に惚れたり、悶々としたりするシーンが出てきます。
あらかじめご了承の上読み進めてください。
注意事項2 作者はメンタル豆腐なので、耐えられないと思った感想の場合はブロック、削除等をして見ないという行動を起こします。お気を悪くする方もおるかと思います。予め謝罪しておきます。
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