孕めよ狼ちゃん!

山野まりも

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ごいっしょに

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「ごめん」
「気にしていませんよ」

 盛大なお漏らしのせいで、この人の服はびちゃびちゃになってしまった。

 今はとりあえずお互いの身体を洗い終え、汚れた服を分担して洗っている。

「あんまりにも可愛かったもので、ついやり過ぎてしまいました」
「かっ可愛い⁉︎」

 そんな事は初めて言われた。まあ外では大体雄のフリをしていたのもあるけれど。

「ええ…ウブで。僕のような者が、初物を奪うのは忍びないと我にかえるくらいに」
「初物?奪う?」

 男が何を言っているのか、よく分からなかった。

「そう言えば、街に戻らなくて大丈夫なんですか?」

 動くなら日が暮れる前の方がいいだろうと男は言うが、そもそも私はここに寝にきているのだ。

「戻らない。今夜はあの洞窟で過ごすつもりだ」
「なんでまた」
「だって、街にオークがくるかもしれなーーあっ」
「オーク、ですか?」

 しまった。
 つい正直に話してしまった。

(けどまあいいか)

 相手は人だオークじゃない。
 変に隠す事でもないかと、私は父の借金癖と今自分が置かれている状況を掻い摘んで話した。

「という訳なんだ」

 話終えると、男はポカンと口を開けていた。

(そりゃそんな反応するよな)

 まったく、我ながらろくでもない父の元に生まれたものだ。

「これから、メルさんはどうするんですか?行くあてはあるんですか?」
「あてはない。無いけどとりあえずこのまま南下して海を渡ろうかなと思ってる。さすがに海を渡ってまで追ってはこないだろうし」
「そうですか……」

 男は暫く考えこんでしまった。

(こんなものかな)

 水洗いついでに元々付いていた服の汚れも洗い流し、幾分綺麗になった。

(あとは絞って乾かして…乾かす場所がないな。長めの木の枝かなにか探すか)

 なんて考えいると、男から思ってもみない言葉が飛び出した。

「一緒に逃げますか?」
「え?」
「実は僕達もあてのない旅に出たばかりなんです。心細いと言っては情けないですが、1人より3人でいた方が敵の目も欺けるでしょう」
「んー」

 たしかにそうだ。
 1人で宿屋に泊まるより、3人組として泊まった方が足がつかないだろう。なによりこの男達はタッパがある。いざと言う時身を隠せるかもしれない。

「それに」
「ひゃ!」

 男は私を抱き寄せて、そっと耳元で囁いた。

「僕の指でよければ、いつでもお貸ししますよ」

 と…
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