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最終決戦
33.黒幕との決戦(2)
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轟音が神殿を揺るがした。
漆黒の魔力が奔流のように押し寄せ、荘厳だった神殿は瓦礫と化し、王都全体を呑み込まんとする。
石畳が裂け、大地が悲鳴を上げるように震え、空は血のように赤黒く染まっていた。人々の悲鳴が遠くから響き、鐘の音も断末魔のように掻き消されていく。
その中心に立つ魔導士アストレイア――かつて人間でありながら、禁忌を越えて魔へと堕ちた存在――その目は、絶望そのものを映し出すかのように冷酷だった。
「無駄だ。希望など、何も残らぬ」
言葉と同時に放たれる一撃は、城壁を貫き、数十名の魔導師が展開した結界を粉砕する。
レオンは咄嗟に氷魔法を繰り出し、飛び散る瓦礫を凍結させて人々を守った。氷の盾は幾重にも重なり、波のように押し寄せる衝撃を必死に受け止める。
だが、その腕は震えていた。
「アリシア……これ以上は、俺一人じゃ防ぎ切れない!」
アリシアは頷き、蒼穹に輝く星光を身に纏う。
星光魔法――彼女にしか扱えぬ稀少魔法。その輝きが夜を押し返すように広がり、黒き奔流を切り裂いていく。
彼女の姿を見て、王国騎士団や高位魔導師たちが奮い立つ。
「アリシア様を援護せよ!」
「恐れるな! 我らも力を尽くす!」
無数の剣が掲げられ、魔法の光が空を覆った。火球、雷撃、風刃……ありとあらゆる術が放たれ、黒幕へと殺到する。だが――。
「無意味だ」
アストレイアの身体を包む瘴気が渦を巻き、放たれた魔法を呑み込み、焼き尽くし、無に帰す。
騎士の剣は届いたかと思えば肉を裂くことなく弾かれ、逆に呪詛を返される。傷を負った仲間が呻き声を上げ、倒れていく。
アストレイアの再生能力は常軌を逸していた。深く斬られたはずの傷は瞬時に塞がり、焼かれた肉はみるみるうちに蘇る。
アリシアは歯を食いしばる。
「これでは、いくら攻撃しても……!」
レオンの声が重なる。
「奴の身体そのものが呪いで出来てるんだ。普通の魔法じゃ永遠に倒せない……!」
それでも退くわけにはいかなかった。王都を、人々を守るために。
戦場に響くアストレイアの笑い声。
「愚かなる者ども。お前たちは知らぬのだろう? この世界の根幹を支えるものがいかに脆いかを。人の祈りも、絆も、結局は裏切られる。私がその証だ!」
その声には狂気と悲哀が入り混じっていた。かつての人間としての記憶をにじませつつも、世界を憎み、滅ぼそうとする執念に満ちている。
アリシアは一歩前へ踏み出す。
「いいえ。あなたが裏切られたのは、世界のせいではないわ。憎しみに囚われたあなた自身の心……!」
アストレイアの目がぎらりと光る。
「黙れ! 希望を語るその口を、今ここで閉ざしてやる!」
漆黒の魔力が収束し、巨大な槍となってアリシアへと放たれた。
瞬間、レオンが叫ぶ。
「アリシアッ!」
氷の壁が連続して展開される。だが黒槍は次々と壁を砕き、最後の障壁をも貫こうと迫る。アリシアは星光を両手に宿し、その刹那、全身の魔力を解放した。
「――星光障壁!」
眩い輝きが広がり、黒槍と激突する。轟音とともに大気が震え、衝撃波が周囲を吹き飛ばす。アリシアの足が石畳にめり込み、血が唇を伝った。
それでも倒れない。
漆黒の魔力が奔流のように押し寄せ、荘厳だった神殿は瓦礫と化し、王都全体を呑み込まんとする。
石畳が裂け、大地が悲鳴を上げるように震え、空は血のように赤黒く染まっていた。人々の悲鳴が遠くから響き、鐘の音も断末魔のように掻き消されていく。
その中心に立つ魔導士アストレイア――かつて人間でありながら、禁忌を越えて魔へと堕ちた存在――その目は、絶望そのものを映し出すかのように冷酷だった。
「無駄だ。希望など、何も残らぬ」
言葉と同時に放たれる一撃は、城壁を貫き、数十名の魔導師が展開した結界を粉砕する。
レオンは咄嗟に氷魔法を繰り出し、飛び散る瓦礫を凍結させて人々を守った。氷の盾は幾重にも重なり、波のように押し寄せる衝撃を必死に受け止める。
だが、その腕は震えていた。
「アリシア……これ以上は、俺一人じゃ防ぎ切れない!」
アリシアは頷き、蒼穹に輝く星光を身に纏う。
星光魔法――彼女にしか扱えぬ稀少魔法。その輝きが夜を押し返すように広がり、黒き奔流を切り裂いていく。
彼女の姿を見て、王国騎士団や高位魔導師たちが奮い立つ。
「アリシア様を援護せよ!」
「恐れるな! 我らも力を尽くす!」
無数の剣が掲げられ、魔法の光が空を覆った。火球、雷撃、風刃……ありとあらゆる術が放たれ、黒幕へと殺到する。だが――。
「無意味だ」
アストレイアの身体を包む瘴気が渦を巻き、放たれた魔法を呑み込み、焼き尽くし、無に帰す。
騎士の剣は届いたかと思えば肉を裂くことなく弾かれ、逆に呪詛を返される。傷を負った仲間が呻き声を上げ、倒れていく。
アストレイアの再生能力は常軌を逸していた。深く斬られたはずの傷は瞬時に塞がり、焼かれた肉はみるみるうちに蘇る。
アリシアは歯を食いしばる。
「これでは、いくら攻撃しても……!」
レオンの声が重なる。
「奴の身体そのものが呪いで出来てるんだ。普通の魔法じゃ永遠に倒せない……!」
それでも退くわけにはいかなかった。王都を、人々を守るために。
戦場に響くアストレイアの笑い声。
「愚かなる者ども。お前たちは知らぬのだろう? この世界の根幹を支えるものがいかに脆いかを。人の祈りも、絆も、結局は裏切られる。私がその証だ!」
その声には狂気と悲哀が入り混じっていた。かつての人間としての記憶をにじませつつも、世界を憎み、滅ぼそうとする執念に満ちている。
アリシアは一歩前へ踏み出す。
「いいえ。あなたが裏切られたのは、世界のせいではないわ。憎しみに囚われたあなた自身の心……!」
アストレイアの目がぎらりと光る。
「黙れ! 希望を語るその口を、今ここで閉ざしてやる!」
漆黒の魔力が収束し、巨大な槍となってアリシアへと放たれた。
瞬間、レオンが叫ぶ。
「アリシアッ!」
氷の壁が連続して展開される。だが黒槍は次々と壁を砕き、最後の障壁をも貫こうと迫る。アリシアは星光を両手に宿し、その刹那、全身の魔力を解放した。
「――星光障壁!」
眩い輝きが広がり、黒槍と激突する。轟音とともに大気が震え、衝撃波が周囲を吹き飛ばす。アリシアの足が石畳にめり込み、血が唇を伝った。
それでも倒れない。
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