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しおりを挟む「なぁな、大丈夫かなぁ。
アイツ、信用できない。
なぁなに嫌なことしてないかなぁ。」
ブツブツ文句を言っている。
ツバサくんにとって、ナナちゃんは特別だ。
お母さんみたいに守ってもらって、
安心する存在。
工藤くんに取られちゃうかもって、
危機感はあるから、焦っているけど、
工藤くんがいい人って分かったら、
安心するかもしれない。
私たちはそこからだ。
ツバサくんは私を好きだって、
言ってくれた。
だから、信じる。
ツバサくんは嘘はつかないし、
言葉に責任も持つ。
ナナちゃんの事でこれからも、
嫉妬するはず。
でも、揺さぶって揺さぶって、
ツバサくんを私に夢中にさせないと。
「やっぱり戻ろうか。なぁなが心配だし。
様子がおかしかったよね?
工藤が、押さえつけるから、
顔も見れなかったし。
やっぱり、ダメだ、戻ろ」
振り返って戻ろうとするツバサくんの両腕を
引っ張った。
そのままひき寄せキスをした。
突然の事で目を見開いて、
フリーズするツバサくん。
「か、すみちゃん?」
真っ赤になって、許容範囲を超えている。
かわいい。
「ねぇ、あれ見て。」
砂浜が見える。
流木に寄り添うように座っているのは
工藤くんとナナちゃんだ。
工藤くんがナナちゃんを抱きしめ、
背中をトントンしている。
「ナナちゃん、嫌がってないよ。
工藤くんの背中に手をまわして、
しがみついてる。嫌じゃないんだよ」
まだフリーズしているツバサくん。
「あのね、抱きしめられて嫌だったら、
背中に腕は回さないの。好きだから、
嫌じゃないから、
自分からぎゅっとするんだよ」
分かった?
安心した?
「う、ん」
と、しどろもどろで、
分かったのか分からないのか。
これから、いちいち説明が必要だなぁ。
そう思った時だ。
ツバサくんにぎゅっと抱きしめられた。
え?
何?
驚いてツバサくんを見上げた。
そのままツバサくんの唇が私の唇に重なった!
キス?
ツバサくんから?
嘘。
嬉しくてそのままぎゅっと、
ツバサくんの背中に腕を回して抱きついた。
もっとぎゅっとして欲しい。。
なのに。
「やった!嫌じゃないって事だね」
はぁ、天然。
これは先が思いやられる・・・。
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