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三日目 結末
三日目・1 救助が到着し、名探偵が降臨する
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次の朝。
僕らは、重機の音で目覚めた。真っ先に起き出したらしい戸田さんが、窓の前に立っている。みんな飛び起き、そろって窓に殺到した。すっかり晴れ渡った空の下、土砂を取り除く重機と何人かの作業員達の姿が確かに見えた。救助だ。こちらへ登って来る。やっと帰れるんだ。全員の顔に、希望の光が射した。
僕はとっさに振り返って、人数を確認した。一、二、三、四、五、六、七、八。僕を入れて九人。よかった。みんないる。
「俺、ちょっと見て来るわ」
そう言って戸田さんはふらっと教室を出て行った。大江さんと僕が、慌てて後を追う。戸田さんは早足で階段を降りると、ふいっと菅原さんの遺体のあるあの部屋の前に立った。
「拓……もう少しの辛抱だぜ。もう少ししたら、家に帰してやる。だから、な、そこで待ってろ」
そう言って、戸田さんはまた階段を降り始めた。大江さんが一回合掌してから、その後に続く。僕も同じように手を合わせてから、二人について階下へ降りた。
校門のところまで行くと、戸田さんは道の端に立って下を見下ろしていた。下では急な坂を、救助隊が登って来ている。
「危ないですよ」
僕は声をかけた。戸田さんはくるりときびすを返し、僕と大江さんのいるところまで戻って来た。
「ずみ君、賢、みんなを教室に足止めしとけ」
「え……」
「やりますか」
戸惑う僕を脇において、大江さんはすべてを了解した口調で答えた。
「ああ。幕を上げるぜ」
戸田さんは奇妙に嬉しそうに両目を細めた。笑ったようにも見えた。
「……いよいよクライマックスだ」
☆
戸田さんは僕らより一足遅れて戻って来た。一同の顔をぐるりと見渡し、全員いることを確認する。三沢さんは何かが起こることを察したのか、カメラを回し始めた。
「やっと迎えが来たところで、そろそろ始めようか」
「何をだ?」
「菅原拓巳を殺した真犯人を、この場で暴くことをさ」
戸田さんはきっぱりと宣言した。
「真犯人? 何を莫迦な──」
柴田さんが、どこかうろたえたような態度で反論した。
「犯人は木野だろ? 現にダイイング・メッセージが……」
「そう……そいつなんだよなあ、引っかかってんのは」
言いながら戸田さんは、ちらりとドアの方を見た。いつのまにか――まるで影のように、後ろのドアの前に大江さんの姿があった。前のドアには、やはり何気に木野さんが立っている。ここから何者をも逃すまいとするように。戸田さんは軽くうなずいた。
「結論から言うと、俺はあれ、拓が書いたもんだとはこれっぽっちも思っちゃいねえんだ」
と、戸田さんはひょい、と柴田さんに眼を移した。
「おや、顔色悪いねムラサキ田君。水子の霊にでも祟られてんじゃねーの? よかったらいい霊能者紹介するぜ、料金うーんとふんだくられる奴」
「う、うるさいな! 余計なお世話だ。……そんなことより、何の根拠があってあれを否定するんだ?」
「根拠? ああ、ダイイング・メッセージのことか。だって、あんなもんを拓が書くわきゃねーじゃん」
戸田さんは窓際に立っている。台風一過の素晴らしい青空が、彼の頭の向こうに見えた。僕らから見るとちょうど逆光になって、後光が差しているような感じだ。
「まず、状況を考えてみよう。時間的に言うと昨夜の夜中。真夜中に起き出して来た犯人は、寝ていた拓を起こして階下へ向かった。──そうだな? 寺内君」
いきなり話を振られた寺内君は、はあ、と間の抜けた返事をした。それから寺内君は戸田さんに言われて、もう一度みんなの前で昨日の証言を繰り返した。
「はい、さんきゅ。いいか、まずここで犯人はつまずいている。拓は高所恐怖症──つーより、階段恐怖症だった。そんな奴を、真夜中に、階下に連れ出そうとしたところで無理が生じる。もし俺──木野友則もしくは戸田基樹が犯人だとしたら、まだ段差の少ない渡り廊下を通って二棟の方へ行くね」
言葉を切る。
「犯人は、拓があれほどひどい階段恐怖症だとは知らなかった。だから、多分本来は一階あたりまで連れ出そうとしていたにもかかわらず、すぐ下の三階までしか連れて来れなかった。さぞドキドキしたろうね──いくら台風の真っ只中っつっても、すぐ上にみんないるんだ。もし不審な物音でも立てて誰かに気づかれたら、って思うと気が気じゃなかったはずだ。……ここで、重大な疑問が生じて来る」
戸田さんは……しゃべるに連れて、だんだん別な雰囲気をまとって来始めた。しゃきっと伸びた背筋とよく通る声が、彼を一段と大きく見せている。木野さんや大江さんとじゃれ合ってる時の子供っぽさが、今は完全に消えている。
──名探偵だ。昨日の舞台の。
「他でもない。あの髪の毛は、いつ拓の手の中に納まったのか、という疑問だ」
「いつ……って、殺される前に菅原が抵抗でもして、」
「それはない」
戸田さんは断定的な口調で、柴田さんの反論を遮った。
「今も言ったように、犯人は誰かに気づかれるようなマネは出来るだけ避けたかったはずだ。だとしたら、抵抗されてドタバタ取っ組み合うってのは最悪のパターンだ。犯人は恐らくこうしただろう……まず先に拓を部屋に入らせといて、隠し持った鈍器で思いっきり──」
殴った。……振りをした。
「俺の見た限り、死体の傷は後頭部に集中している。後ろからいきなり殴られて、倒れたところをめった打ちにした──と、俺はそう見た。取っ組み合うヒマなんかない」
そうだ──この人は、あの死体を調べてるんだ。この中の誰より冷静に、客観的に。
「とすると、あのダイイング・メッセージも怪しくなって来る。そんな状態の人間が、悠長に字なんか書いてられるか?」
「それは……犯人は殺したと思ってその場から去ったけど、菅原の方はまだしばらく息があったのかも知れない」
柴田さんが、また反論した。戸田さんは待ってましたとばかりに、にやり、と笑った。
「もしそうだとしても、あんなものを残せたとは思えねえよ。なあムラサキ田、おまえあの現場、なーんか不自然だとは思わなかったか?」
どきり、と僕の胸が鳴った。僕が感じた正体不明の違和感を、この人も感じていたのだ。いや、この人の観察力や洞察力を考えると、なんにも気づかない方がおかしいんだけど。
「ふ……不自然だ?」
「そうだ。あの現場には、死体以外に何も落ちてなかった。変じゃねーか──夜中、階段恐怖症の拓が、下に降りるのに足元を照らす明かりを持ってないはずがない」
戸田さんはずばりと言い切った。僕らは全員息を飲んだ。戸田さんはさらに畳み掛けるように、
「犯人は拓を階下まで連れて来た。その時は犯人も拓も、一つずつ懐中電灯を持ってたんだ。もっとも犯人は持っていただけで、使ってはいなかったのかも知れない。そして犯人は拓を殺す。そして戻ろうとして──突如として、自分の持って来た懐中電灯が点かなくなったことを知る。犯人は仕方なく、拓の持っていた懐中電灯を持って行く。……とまあ、そういう状況だったはずだ」
「見てきたように言うな、おまえは」
「犯人にはやることがあったんだ。確実に浴びたはずの返り血を、洗い落とすという仕事がな。そう……体育館裏のシャワー室で」
ああ、そうか。ようやく腑に落ちた。昨日戸田さんが言ってた「シャワー室の床がまだぬれてる」っていうのは、そういうことだったのか。
「昨日見てみると、確かに使った跡があった。まったく、よく風邪を引かなかったもんだぜ。一昨日はどいつもこいつもずぶ濡れになったから、ある程度はゴマカシがきく──そう思ったんだろうがね。……それはそれとして、明かりを持ってかれちゃ、まあ真っ暗だわな」
「だから文字なんか書けないと? 書いてあったのはカタカナだぞ。しかも『キノ』の二文字だ。目をつむってたって書ける」
柴田さんはなおも食い下がる。まるで昨日の戸田さんと大江さんの二人芝居を見ているようだ。戸田さんが軽く息をついた。
「やっぱ、話さなきゃいけねえか。……もしも百万歩譲って、あれを書いたのが拓自身で、しかもあの髪の毛も犯人から直接抜き取ったもんだとしたら、どうにも話が合わなくなるんだ。何故なら、」
と、戸田さんは木野さんを指差して、言った。
「そいつの名前は、木野友則じゃないからさ」
僕らは、重機の音で目覚めた。真っ先に起き出したらしい戸田さんが、窓の前に立っている。みんな飛び起き、そろって窓に殺到した。すっかり晴れ渡った空の下、土砂を取り除く重機と何人かの作業員達の姿が確かに見えた。救助だ。こちらへ登って来る。やっと帰れるんだ。全員の顔に、希望の光が射した。
僕はとっさに振り返って、人数を確認した。一、二、三、四、五、六、七、八。僕を入れて九人。よかった。みんないる。
「俺、ちょっと見て来るわ」
そう言って戸田さんはふらっと教室を出て行った。大江さんと僕が、慌てて後を追う。戸田さんは早足で階段を降りると、ふいっと菅原さんの遺体のあるあの部屋の前に立った。
「拓……もう少しの辛抱だぜ。もう少ししたら、家に帰してやる。だから、な、そこで待ってろ」
そう言って、戸田さんはまた階段を降り始めた。大江さんが一回合掌してから、その後に続く。僕も同じように手を合わせてから、二人について階下へ降りた。
校門のところまで行くと、戸田さんは道の端に立って下を見下ろしていた。下では急な坂を、救助隊が登って来ている。
「危ないですよ」
僕は声をかけた。戸田さんはくるりときびすを返し、僕と大江さんのいるところまで戻って来た。
「ずみ君、賢、みんなを教室に足止めしとけ」
「え……」
「やりますか」
戸惑う僕を脇において、大江さんはすべてを了解した口調で答えた。
「ああ。幕を上げるぜ」
戸田さんは奇妙に嬉しそうに両目を細めた。笑ったようにも見えた。
「……いよいよクライマックスだ」
☆
戸田さんは僕らより一足遅れて戻って来た。一同の顔をぐるりと見渡し、全員いることを確認する。三沢さんは何かが起こることを察したのか、カメラを回し始めた。
「やっと迎えが来たところで、そろそろ始めようか」
「何をだ?」
「菅原拓巳を殺した真犯人を、この場で暴くことをさ」
戸田さんはきっぱりと宣言した。
「真犯人? 何を莫迦な──」
柴田さんが、どこかうろたえたような態度で反論した。
「犯人は木野だろ? 現にダイイング・メッセージが……」
「そう……そいつなんだよなあ、引っかかってんのは」
言いながら戸田さんは、ちらりとドアの方を見た。いつのまにか――まるで影のように、後ろのドアの前に大江さんの姿があった。前のドアには、やはり何気に木野さんが立っている。ここから何者をも逃すまいとするように。戸田さんは軽くうなずいた。
「結論から言うと、俺はあれ、拓が書いたもんだとはこれっぽっちも思っちゃいねえんだ」
と、戸田さんはひょい、と柴田さんに眼を移した。
「おや、顔色悪いねムラサキ田君。水子の霊にでも祟られてんじゃねーの? よかったらいい霊能者紹介するぜ、料金うーんとふんだくられる奴」
「う、うるさいな! 余計なお世話だ。……そんなことより、何の根拠があってあれを否定するんだ?」
「根拠? ああ、ダイイング・メッセージのことか。だって、あんなもんを拓が書くわきゃねーじゃん」
戸田さんは窓際に立っている。台風一過の素晴らしい青空が、彼の頭の向こうに見えた。僕らから見るとちょうど逆光になって、後光が差しているような感じだ。
「まず、状況を考えてみよう。時間的に言うと昨夜の夜中。真夜中に起き出して来た犯人は、寝ていた拓を起こして階下へ向かった。──そうだな? 寺内君」
いきなり話を振られた寺内君は、はあ、と間の抜けた返事をした。それから寺内君は戸田さんに言われて、もう一度みんなの前で昨日の証言を繰り返した。
「はい、さんきゅ。いいか、まずここで犯人はつまずいている。拓は高所恐怖症──つーより、階段恐怖症だった。そんな奴を、真夜中に、階下に連れ出そうとしたところで無理が生じる。もし俺──木野友則もしくは戸田基樹が犯人だとしたら、まだ段差の少ない渡り廊下を通って二棟の方へ行くね」
言葉を切る。
「犯人は、拓があれほどひどい階段恐怖症だとは知らなかった。だから、多分本来は一階あたりまで連れ出そうとしていたにもかかわらず、すぐ下の三階までしか連れて来れなかった。さぞドキドキしたろうね──いくら台風の真っ只中っつっても、すぐ上にみんないるんだ。もし不審な物音でも立てて誰かに気づかれたら、って思うと気が気じゃなかったはずだ。……ここで、重大な疑問が生じて来る」
戸田さんは……しゃべるに連れて、だんだん別な雰囲気をまとって来始めた。しゃきっと伸びた背筋とよく通る声が、彼を一段と大きく見せている。木野さんや大江さんとじゃれ合ってる時の子供っぽさが、今は完全に消えている。
──名探偵だ。昨日の舞台の。
「他でもない。あの髪の毛は、いつ拓の手の中に納まったのか、という疑問だ」
「いつ……って、殺される前に菅原が抵抗でもして、」
「それはない」
戸田さんは断定的な口調で、柴田さんの反論を遮った。
「今も言ったように、犯人は誰かに気づかれるようなマネは出来るだけ避けたかったはずだ。だとしたら、抵抗されてドタバタ取っ組み合うってのは最悪のパターンだ。犯人は恐らくこうしただろう……まず先に拓を部屋に入らせといて、隠し持った鈍器で思いっきり──」
殴った。……振りをした。
「俺の見た限り、死体の傷は後頭部に集中している。後ろからいきなり殴られて、倒れたところをめった打ちにした──と、俺はそう見た。取っ組み合うヒマなんかない」
そうだ──この人は、あの死体を調べてるんだ。この中の誰より冷静に、客観的に。
「とすると、あのダイイング・メッセージも怪しくなって来る。そんな状態の人間が、悠長に字なんか書いてられるか?」
「それは……犯人は殺したと思ってその場から去ったけど、菅原の方はまだしばらく息があったのかも知れない」
柴田さんが、また反論した。戸田さんは待ってましたとばかりに、にやり、と笑った。
「もしそうだとしても、あんなものを残せたとは思えねえよ。なあムラサキ田、おまえあの現場、なーんか不自然だとは思わなかったか?」
どきり、と僕の胸が鳴った。僕が感じた正体不明の違和感を、この人も感じていたのだ。いや、この人の観察力や洞察力を考えると、なんにも気づかない方がおかしいんだけど。
「ふ……不自然だ?」
「そうだ。あの現場には、死体以外に何も落ちてなかった。変じゃねーか──夜中、階段恐怖症の拓が、下に降りるのに足元を照らす明かりを持ってないはずがない」
戸田さんはずばりと言い切った。僕らは全員息を飲んだ。戸田さんはさらに畳み掛けるように、
「犯人は拓を階下まで連れて来た。その時は犯人も拓も、一つずつ懐中電灯を持ってたんだ。もっとも犯人は持っていただけで、使ってはいなかったのかも知れない。そして犯人は拓を殺す。そして戻ろうとして──突如として、自分の持って来た懐中電灯が点かなくなったことを知る。犯人は仕方なく、拓の持っていた懐中電灯を持って行く。……とまあ、そういう状況だったはずだ」
「見てきたように言うな、おまえは」
「犯人にはやることがあったんだ。確実に浴びたはずの返り血を、洗い落とすという仕事がな。そう……体育館裏のシャワー室で」
ああ、そうか。ようやく腑に落ちた。昨日戸田さんが言ってた「シャワー室の床がまだぬれてる」っていうのは、そういうことだったのか。
「昨日見てみると、確かに使った跡があった。まったく、よく風邪を引かなかったもんだぜ。一昨日はどいつもこいつもずぶ濡れになったから、ある程度はゴマカシがきく──そう思ったんだろうがね。……それはそれとして、明かりを持ってかれちゃ、まあ真っ暗だわな」
「だから文字なんか書けないと? 書いてあったのはカタカナだぞ。しかも『キノ』の二文字だ。目をつむってたって書ける」
柴田さんはなおも食い下がる。まるで昨日の戸田さんと大江さんの二人芝居を見ているようだ。戸田さんが軽く息をついた。
「やっぱ、話さなきゃいけねえか。……もしも百万歩譲って、あれを書いたのが拓自身で、しかもあの髪の毛も犯人から直接抜き取ったもんだとしたら、どうにも話が合わなくなるんだ。何故なら、」
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