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eスポーツ部誕生
12 真紀の才能
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放課後のPC実習室。
授業終了のチャイムが鳴るとすぐに速人は駆け込んだ。電算部顧問の佐藤先生にはeスポーツ部勧誘のためにPCを使う許可を得ている。速人が一番乗りで、まだ電算部部員は誰も来ていなかった。
まずは二人にLoLの楽しさを知ってもらわないと始まらない。普段、電算部員があまり使わない実習室の奥の三台を陣取り、それぞれのPCにLoLのインストールを始めた。インストールにはかなり時間がかかるので、何とか二人が来る前に完了させておきたかった。
ところが、五分ほど経ったところで、翔と真紀が続けて入室してきた為、まだ準備は終わっていなかった。
「二人共、こっちこっち」
速人は二人に声を掛け呼び寄せた。
「よっ、光速」
「光田君、待たせちゃった?」
「全然、逆にまだインストール中だからもう少し待っててくれる?」
速人は二人に申し訳なさそうな顔をした。
「あぁ、ええよ。のんびり待っとるで。ところで原田ちゃん」
翔は真紀の方を見て問いかける。
「真紀でいいですよ」
「じゃあ、真紀ちゃん。LoLはやったことあるん?」
「LoLって言うのは知らないなぁ。私が好きなのは『ヘイ・デイ』とか『LINE ブラウン』といった牧場系のゲーム。やっていると癒されるから」
そう言うと真紀は、スマホで自分がやっている牧場ゲーム画面を開いた。とてつもなく巨大な農場に整然と野菜、家畜、建物が並んでいる。真紀は誇らしげに二人に見せた。
『あぁ、そっち系のゲームか……。真紀さんにはLoLはちょっと難しいかも』と速人は少し諦めを感じてしまった。
「それから、音ゲーもうまいんだよ」
「マジか。ちょっとやって見せてちょ」
翔が両手を合わせて真紀にお願いした。
「わかった。やってみるね」
そう言うと真紀はスマホの音ゲーを起動し、最高難易度に設定した。
「えっ?! 最高難易度なん?」
翔は少し驚いた顔をして聞いた。
「うん、そうだよ。何で?」
「何でって、それ超難しいがね」
「大丈夫。見てて」
ゲームがスタートすると真紀の顔つきが変わった。
このゲームは画面上部から音楽に合わせて降ってくる音符をタイミング良く押していくというものだ。
真紀は常人には目で追うことも難しいほどの高速かつ大量のノーツを完璧にとらえていた。そのスピードと正確さは鬼気迫るものがあり、速人も翔も息を止めるように見つめていた。
ゲームが終了した。
「やったぁ、パーフェクト!」
真紀は満面の笑顔で言った。
速人も翔もすぐには言葉が出てこなかった。
二人ともゲーマーなので、音ゲーは勿論やったことがあるし、友人で上手なヤツもいる。しかし、真紀のプレイは次元が違った。恐らく日本トップレベルのプレイだった。
「真紀ちゃん、でら凄いがね。女子じゃ最高難易度なんて無理やと思っとったんやけど、単なる思い込みやったわ」
「真紀さん、本当に上手くて驚いたよ。今までこんなにうまいプレイ見たことないよ」
二人が褒めると、ポリポリ頭を掻きながら「えへへ」と照れ笑いをした。
授業終了のチャイムが鳴るとすぐに速人は駆け込んだ。電算部顧問の佐藤先生にはeスポーツ部勧誘のためにPCを使う許可を得ている。速人が一番乗りで、まだ電算部部員は誰も来ていなかった。
まずは二人にLoLの楽しさを知ってもらわないと始まらない。普段、電算部員があまり使わない実習室の奥の三台を陣取り、それぞれのPCにLoLのインストールを始めた。インストールにはかなり時間がかかるので、何とか二人が来る前に完了させておきたかった。
ところが、五分ほど経ったところで、翔と真紀が続けて入室してきた為、まだ準備は終わっていなかった。
「二人共、こっちこっち」
速人は二人に声を掛け呼び寄せた。
「よっ、光速」
「光田君、待たせちゃった?」
「全然、逆にまだインストール中だからもう少し待っててくれる?」
速人は二人に申し訳なさそうな顔をした。
「あぁ、ええよ。のんびり待っとるで。ところで原田ちゃん」
翔は真紀の方を見て問いかける。
「真紀でいいですよ」
「じゃあ、真紀ちゃん。LoLはやったことあるん?」
「LoLって言うのは知らないなぁ。私が好きなのは『ヘイ・デイ』とか『LINE ブラウン』といった牧場系のゲーム。やっていると癒されるから」
そう言うと真紀は、スマホで自分がやっている牧場ゲーム画面を開いた。とてつもなく巨大な農場に整然と野菜、家畜、建物が並んでいる。真紀は誇らしげに二人に見せた。
『あぁ、そっち系のゲームか……。真紀さんにはLoLはちょっと難しいかも』と速人は少し諦めを感じてしまった。
「それから、音ゲーもうまいんだよ」
「マジか。ちょっとやって見せてちょ」
翔が両手を合わせて真紀にお願いした。
「わかった。やってみるね」
そう言うと真紀はスマホの音ゲーを起動し、最高難易度に設定した。
「えっ?! 最高難易度なん?」
翔は少し驚いた顔をして聞いた。
「うん、そうだよ。何で?」
「何でって、それ超難しいがね」
「大丈夫。見てて」
ゲームがスタートすると真紀の顔つきが変わった。
このゲームは画面上部から音楽に合わせて降ってくる音符をタイミング良く押していくというものだ。
真紀は常人には目で追うことも難しいほどの高速かつ大量のノーツを完璧にとらえていた。そのスピードと正確さは鬼気迫るものがあり、速人も翔も息を止めるように見つめていた。
ゲームが終了した。
「やったぁ、パーフェクト!」
真紀は満面の笑顔で言った。
速人も翔もすぐには言葉が出てこなかった。
二人ともゲーマーなので、音ゲーは勿論やったことがあるし、友人で上手なヤツもいる。しかし、真紀のプレイは次元が違った。恐らく日本トップレベルのプレイだった。
「真紀ちゃん、でら凄いがね。女子じゃ最高難易度なんて無理やと思っとったんやけど、単なる思い込みやったわ」
「真紀さん、本当に上手くて驚いたよ。今までこんなにうまいプレイ見たことないよ」
二人が褒めると、ポリポリ頭を掻きながら「えへへ」と照れ笑いをした。
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