カゴの中のツバサ

九十九光

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#10ー3

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けていた。端から端まで見渡せるほど狭い公園の、ほぼ真ん中に立っているアナログ時計は午後三時半を指していた。この公園の近所らしい公立の小学校の生徒と思われる男子たちが、適当な場所に自転車を止めて大声で騒ぎ、公園外の県道に面した道からは、カゴフードの店舗案内をする金属製の看板の一部が見えていた。
「大丈夫? ツバサ君?」
 ベンチのすぐ近くに備え付けてあった水道で濡らしたハンカチを持って、カナコがツバサのもとへ歩いてきた。
「……。うん、大丈夫。いつものことだから。」
 カナコに顔を拭いてもらいながら、ツバサは小さく頷いた。
 ツバサは、自分の心臓の音がはっきりとしてくるのを感じ取っていた。
 昨日夢の中で、とてもいけないことを考えてしまったカナコの顔が、すぐ目の前にある。さっき走ったせいで彼女も汗をかいており、いつか見た水色のブラジャーが白いワイシャツ越しに透けて見えていた。視線をそらさないとまたあのへんな浮遊感がやって来ると思い、ツバサは目線を下に落とした。
「さっきはゴメンね。あたしが来たせいで、ツバサ君……。」
 下を向いたままのツバサには、カナコの声に申し訳ない気持ちが入っていると感じた。
「……。だから大丈夫だって。ああいうの慣れてるし、カナコお姉ちゃんのせいじゃないよ。」
 ツバサは少し考えるように間をあけながら言葉を出していった。
「そう言ってもらえると……、嬉しいな。」
 続けてカナコが言った。それと同時にツバサの頬から冷たいハンカチが離れていった。
 ツバサが顔を上げると、カナコは背中を向けて、水道でハンカチを洗っていた。腰をかがめたことにより、こちらに突き出された彼女の尻は、紺色のプリーツスカート越しにも形がはっきりしていた。ツバサはすぐに視線を別方向に向けた。
「お詫びって言ったらあれだけど、今日はツバサ君のお願い、なんでも一つ叶えてあげよっか。」
 尻を突き出したまま、カナコはそんなことを口にした。ツバサは視線を、公園の外にあるアパートに向けたまま、何かを言ったりしなかった。その状態はカナコが体をツバサのほうへ向き直しても変わらなかった。
 カナコはそのまま公園内の時計のように立ち尽くす。ツバサの様子が明らかにいつもと違うことを感じ取ったらしかった。ツバサも視線をカナコへと向けようとしない。二人には
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