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明日の準備はまだできてないからー1
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管轄の詰所の隊長の殉職により、遊大たち第一部隊は1週間の長期調整を与えられた。立て続けに2名の隊員を失ったという精神的ダメージを癒すための措置でもあった。
初日の昼過ぎ、遊大は都内の大学病院から帰ってきた。
「おかえり」
信也が語りかける。共同スペースには全員が揃っておらず、テレビもつけられていなかったため、静まりかえっていた。
「髪や翼が一部白くなった原因、分からないとのことでした」
遊大は信也に伝え、彼の隣に座った。
医者からは、何か変化の要因になりそうな現象はなかったかと問われていた。遊大には思い当たる節があったが、伝えなかった。
怖かったからだ。第一部隊の誰かが死ぬ度にこの症状が進むと確定するのが怖かったからだ。
「テレビ、つけないんですか?」
遊大が信也に尋ねると、「みんなの総意でね」と彼は答えた。
テレビのニュースでは、連日革命隊による支部奇襲作戦と、千葉と埼玉で兵士サイドに殉職者が出たことに対する辛口な反応が報道されていた。
「ねえ、遊大君」
信也が遊大に何かを聞く。
「なんですか?」
「……。いや、なんでもない」
*
長期調整2日目。昼間の第一部隊にとんでもないものがクール便で届いた。人一人が抱えてようやく持てる大きさの発泡スチロールだった。
「送り主は?」
大樹が尋ねると、「中二野郎、文活の両親からだ」と颯天が答えた。
全員が何事かと思って開けてみると、巨大な車エビが何十尾と冷凍された状態で入っていた。
「車エビ!? しかもこの数!? 文活君ちってめっちゃ金持ちなの!?」
「いえ、たぶんこれ自分たちで育てたエビですよ。早乙女さんち、エビの養殖やってるんで」
文活の実家を知らない小麦が驚くと、遊大が事情を説明する。
「そうなのか? そんなの初耳だぞ。お前いつ知ったんだ、そんなこと」
太陽の質問に遊大は、「あ、その、2人で巡回した時に教えてもらったんです」と嘘で説明した。まさか彼の死後に彼から教えてもらったとは言えなかった。
初日の昼過ぎ、遊大は都内の大学病院から帰ってきた。
「おかえり」
信也が語りかける。共同スペースには全員が揃っておらず、テレビもつけられていなかったため、静まりかえっていた。
「髪や翼が一部白くなった原因、分からないとのことでした」
遊大は信也に伝え、彼の隣に座った。
医者からは、何か変化の要因になりそうな現象はなかったかと問われていた。遊大には思い当たる節があったが、伝えなかった。
怖かったからだ。第一部隊の誰かが死ぬ度にこの症状が進むと確定するのが怖かったからだ。
「テレビ、つけないんですか?」
遊大が信也に尋ねると、「みんなの総意でね」と彼は答えた。
テレビのニュースでは、連日革命隊による支部奇襲作戦と、千葉と埼玉で兵士サイドに殉職者が出たことに対する辛口な反応が報道されていた。
「ねえ、遊大君」
信也が遊大に何かを聞く。
「なんですか?」
「……。いや、なんでもない」
*
長期調整2日目。昼間の第一部隊にとんでもないものがクール便で届いた。人一人が抱えてようやく持てる大きさの発泡スチロールだった。
「送り主は?」
大樹が尋ねると、「中二野郎、文活の両親からだ」と颯天が答えた。
全員が何事かと思って開けてみると、巨大な車エビが何十尾と冷凍された状態で入っていた。
「車エビ!? しかもこの数!? 文活君ちってめっちゃ金持ちなの!?」
「いえ、たぶんこれ自分たちで育てたエビですよ。早乙女さんち、エビの養殖やってるんで」
文活の実家を知らない小麦が驚くと、遊大が事情を説明する。
「そうなのか? そんなの初耳だぞ。お前いつ知ったんだ、そんなこと」
太陽の質問に遊大は、「あ、その、2人で巡回した時に教えてもらったんです」と嘘で説明した。まさか彼の死後に彼から教えてもらったとは言えなかった。
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