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you're never coming backー10
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「もしかして僕が失うものって、全部で12あって……。その12って……」
だが一番肝心な部分の声が出せなかった。自分の予想通りの答えだったら怖いという思いが、最後の一歩を踏み出すことを止めたのだ。
『おそらくお前の予想しているもので合っている。ならば覚悟を決めろ。お前はそれを含めたすべてを失い、その後それを含めたすべてを手に入れる』
やはり要領を得ない発言。だがそれ以上質問する勇気は遊大にはなかった。
『これで俺に与えられた使命は終わった。だからここからは個人的な話をする』
そう言うと文活は両手をズボンのポケットに入れ、語り出した。
『俺は静岡の浜名湖にある、車海老養殖業者の長男として生まれた。親は俺にその仕事を継いでほしかったようだが、俺はそれを蹴って兵士候補生になった。別に海老の養殖をしたくなかった訳ではない。この世界の秘密に近づきたかったからだ。中露半島や空白の10年。絶対に何か裏があると、子供の頃からずっと思っていた。兵士になって偉くなれば、その秘密にたどり着けると思ったんだ。秘密を知りたい理由なんてない。何故山に登るのか。その問いに答えてはならない。とにかく登りに行け、とにかく登りに行け。日本の有名なクライマーの言葉だ。それと同じだ。だが俺はその夢を果たす前に死んだ。だからお前に俺の夢を託したい。利用するようで悪いが、お前は試練を越えるまで死なないからな。……。また会おう』
文活がそう言うと、遊大は現実に戻された。彼は窓を破って関東支部の会見会場に入っていた。
「夜空! 無事だったか!」
「見たか、マスゴミども! 兵士が本気を出せば、ガキの一人や二人の救出くらい」
「早乙女さんは!」
佰年と花子の言葉を遮って、髪と翼の白い部分が増えた遊大が問い詰める。
「早乙女さんはどうなりましたか!?」
その後会見場に、訓練生である早乙女文活と特級兵士である再火穂花の殉職の一報が入った。
だが一番肝心な部分の声が出せなかった。自分の予想通りの答えだったら怖いという思いが、最後の一歩を踏み出すことを止めたのだ。
『おそらくお前の予想しているもので合っている。ならば覚悟を決めろ。お前はそれを含めたすべてを失い、その後それを含めたすべてを手に入れる』
やはり要領を得ない発言。だがそれ以上質問する勇気は遊大にはなかった。
『これで俺に与えられた使命は終わった。だからここからは個人的な話をする』
そう言うと文活は両手をズボンのポケットに入れ、語り出した。
『俺は静岡の浜名湖にある、車海老養殖業者の長男として生まれた。親は俺にその仕事を継いでほしかったようだが、俺はそれを蹴って兵士候補生になった。別に海老の養殖をしたくなかった訳ではない。この世界の秘密に近づきたかったからだ。中露半島や空白の10年。絶対に何か裏があると、子供の頃からずっと思っていた。兵士になって偉くなれば、その秘密にたどり着けると思ったんだ。秘密を知りたい理由なんてない。何故山に登るのか。その問いに答えてはならない。とにかく登りに行け、とにかく登りに行け。日本の有名なクライマーの言葉だ。それと同じだ。だが俺はその夢を果たす前に死んだ。だからお前に俺の夢を託したい。利用するようで悪いが、お前は試練を越えるまで死なないからな。……。また会おう』
文活がそう言うと、遊大は現実に戻された。彼は窓を破って関東支部の会見会場に入っていた。
「夜空! 無事だったか!」
「見たか、マスゴミども! 兵士が本気を出せば、ガキの一人や二人の救出くらい」
「早乙女さんは!」
佰年と花子の言葉を遮って、髪と翼の白い部分が増えた遊大が問い詰める。
「早乙女さんはどうなりましたか!?」
その後会見場に、訓練生である早乙女文活と特級兵士である再火穂花の殉職の一報が入った。
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