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僕らは泥を這い蹲るものー7
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そこから遊大と雨の追いかけっこが再び始まる。風切り音を出して使用中の教室横を遊大が通り過ぎると、中の人間たちが一斉に廊下に視線を向けた。
遊大は雨が第二理科室に、引き戸を泳いで通って入るのを確認した。
無策に入るわけがない。
一瞬でそう考えた遊大は速度を落とすことなく曲がり、膝蹴りで引き戸を吹き飛ばした。
吹き飛んだ戸は、教室後方の棚から物を取り出している最中の雨に当たった。雨の手にはホルマリン漬けの瓶が握られている。
「ホルマリンぶつけるとか物騒すぎますよ!」
「お前に言われたくねえ!」
雨は一言残して下に逃げた。遊大は床を材料別に戻してすぐさま追いかける。
最終的に遊大と雨は、F棟地下2階の廊下でにらみ合いになった。
遊大は広い通路で翼を広げ、雨は両手を床の下に潜り込ませていた。
「地下にナイフを隠す気ですか? そんなことしたら一発失格だと思いますけど」
遊大が雨に警告をする。雨はそれに対し、冷静にかつその中に熱いものを込めながらこう答えた。
「君は俺と同じ人間だ。普段は冷静に物事を考えられるのに、追い詰められると熱くなって後先考えずに行動する。お互い直さなきゃいけない部分だな」
雨が左手を床から上げる。その手に握られている物を見て、遊大は先ほどの言葉の意味を理解した。
雨の手には、理科室から持ち出したであろうマッチ箱が握られていた。
「この下は下水管が通ってる。可燃性ガスが自然発生する管だ」
*
その日の夕方になっても、遊大、雨、小麦の3人は医務室のベッドで気を失っていた。
「夜空と土竜、コイツらは加減というものを知らんのか。多少は物壊してもいいとは言ったが、そこら中穴だらけにする、段ボールを丸太に変える、本を数十冊もダメにする、挙げ句の果てにはガス爆発でトイレを使用不可にするときたもんだ。こんなもん一昼夜では直せんぞ」
「ホント、灰色君の教育はどうなってるんでしょうね~」
気絶する3人を見ながら、佰年と花子が呆れた様子で語り合っていた。
遊大は雨が第二理科室に、引き戸を泳いで通って入るのを確認した。
無策に入るわけがない。
一瞬でそう考えた遊大は速度を落とすことなく曲がり、膝蹴りで引き戸を吹き飛ばした。
吹き飛んだ戸は、教室後方の棚から物を取り出している最中の雨に当たった。雨の手にはホルマリン漬けの瓶が握られている。
「ホルマリンぶつけるとか物騒すぎますよ!」
「お前に言われたくねえ!」
雨は一言残して下に逃げた。遊大は床を材料別に戻してすぐさま追いかける。
最終的に遊大と雨は、F棟地下2階の廊下でにらみ合いになった。
遊大は広い通路で翼を広げ、雨は両手を床の下に潜り込ませていた。
「地下にナイフを隠す気ですか? そんなことしたら一発失格だと思いますけど」
遊大が雨に警告をする。雨はそれに対し、冷静にかつその中に熱いものを込めながらこう答えた。
「君は俺と同じ人間だ。普段は冷静に物事を考えられるのに、追い詰められると熱くなって後先考えずに行動する。お互い直さなきゃいけない部分だな」
雨が左手を床から上げる。その手に握られている物を見て、遊大は先ほどの言葉の意味を理解した。
雨の手には、理科室から持ち出したであろうマッチ箱が握られていた。
「この下は下水管が通ってる。可燃性ガスが自然発生する管だ」
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その日の夕方になっても、遊大、雨、小麦の3人は医務室のベッドで気を失っていた。
「夜空と土竜、コイツらは加減というものを知らんのか。多少は物壊してもいいとは言ったが、そこら中穴だらけにする、段ボールを丸太に変える、本を数十冊もダメにする、挙げ句の果てにはガス爆発でトイレを使用不可にするときたもんだ。こんなもん一昼夜では直せんぞ」
「ホント、灰色君の教育はどうなってるんでしょうね~」
気絶する3人を見ながら、佰年と花子が呆れた様子で語り合っていた。
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