Night Sky

九十九光

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ドキドキしたいじゃんか誰だってー4

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「お前たち! 一体何がどうしてこうなった!」

 文活が襲われていた3人に質問する。その中の女子、火僧弔李が、震えを抑えようと必死になりながら答えた。

「私の……、私のユニゾンで出したんです……! 1923年、関東大震災の犠牲者の霊を……!」

《火僧弔李 ユニゾン名:リビング・ゴースト・イズ・アライブ……右腕に4桁の数字を入力できるダイヤルがある。ダイヤルを合わせることで、その年代にその周囲で死んだ人々の霊をこの世に呼び出せる。ある程度の意思疏通は可能で、強力な悪霊でなければダイヤルを動かすことで消すことができる。》

「今回出てきたのは特別強力な悪霊ばかりで……! ダイヤルを未来のものにして消そうとしても消せなくて……!」

 なんでそんな真似をしたのかはさておき、遊大たちは悪霊と呼ばれたものたちを透明な氷越しに確認する。彼彼女らの足は透明で見えなくなっており、絵に描いたような幽霊の姿をしていた。

「ヨギエソ ネラ!」

「イ サア カン ミンヂォッチェ!」

 悪霊たちは氷の壁を叩きながら、遊大たちが知らない言語で何かを訴える。とりあえずこのまま放置はできないというのは満場一致だった。

「ダイヤルの操作以外で消す方法は!?」

「き、気絶する程度のダメージを与えれば消えますが……!」

 遊大の鬼気迫る表情に、弔李は思わず敬語で返す。

「ならやることは一つ!」

 氷助は氷の壁に氷の階段を横付けし、壁の上に上がれるようにした。

「君たちは173(兵隊へつながる緊急通報用電話番号)へ通報して増援の要請を! 僕らは先にあれを叩く!」

 氷助は弔李たちに指示を出し、遊大、文活とともに階段を上る。

「ネリョ ワラ!」

「ッテリョ チュギンダ!」

 悪霊たちが壁の上の遊大たちに向かって何かを叫ぶ。相変わらずどこの国の言葉かも分からないが、遊大は他の2人を抱えて安全に降下する。

「気絶する程度のダメージで消えると言ってたな!」

 氷助は氷の棒を作り、遊大はすっかり得意技になった蹴り技で、悪霊の顎をとらえる。

「……! チャダ!」

「トゥルル コシンガ、イロン コンギョ!」

 しかし悪霊たちは消えることはない。普通の人間なら脳を揺らされ、仮に気絶しなくとも戦える状態ではなくなるはず。だが悪霊たちは怯みもしなかった。
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