Night Sky

九十九光

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僕ら 今、敬礼の合図をとり 三流映画の主役に成り下がったー4

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「……。魂売?」

「生きて合流できたら爆美ちゃんに伝えて。先に死んでゴメンって」

「待て、魂ば」

 霊子は引き金を引いた。それと同時に透明なボックスは解除された。

「ホラホラコンナニ♪ 悪イヤツラガ♪ ヒ・フ・ミ・ヨ♪」

 煽るように歌うロイドに向けて、雨は自動小銃を乱射する。周りの人形は破壊できたが、本体は硬くダメージにならない。

「応答しろ、土竜! 今魂売が自殺したように見えたが」

「あのロイドを潰すまで生き物は出てくるな! 閉じ込められたら殺し合いを強制させられる!」

 無線でそれを聞いた人陰はラストバトルを最大出力で呼び出し、外に出す。ラストバトルはロイドを掴むと、陶芸家が失敗作を叩き割るかのような勢いでそれを地面に叩きつけた。その後また掴みかかると、ラストバトルは力任せに顎を引き裂き、上顎部分の頭を叩き潰した。

「コレデコノロイドハ無力化デキタナ」

 ラストバトルが上から雨に言う。それに反応して雨も上を見上げる。

 その時雨は、再び衝撃的なものを見てしまった。

 住宅の屋根の上を四足歩行で歩き、背中にハリネズミのようにミサイルの発射口をいくつも生やした別のロイドがいたのだ。

「ラストバトル! 戦闘車を守れ!」

「リアルニブットバス! ドッカーン!」

 雨は地面に潜りながらラストバトルに指示を出す。それとほぼ同時に、ロイドはミサイルを大量に放った。

《ロイド番号:f4hb4Fyyylc 素体名:地個愛泥門(ジコアイ デイモン) ユニゾン名:キック・アス・リテラリー……体の各部からミサイルの発射口を生成して放てる。》

 目視でミサイルを確認し、その一部が戦闘車に向かっているのを見たラストバトルは、急いで戦闘車を覆って守ろうとする。しかしその途中でミサイルが数発ラストバトル自身に命中し、動きが鈍る。その間にもミサイルは戦闘車に迫る。

 全員を守るのは不可能。そこでラストバトルは考えた。

 ラストバトルは自身の根本、人陰と足で繋がっている部分を強引に動かし、人陰を戦闘車から脱出させた。

 人陰が見たのは、ミサイルに爆破されて燃え上がる戦闘車だった。
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