Night Sky

九十九光

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僕ら 今、敬礼の合図をとり 三流映画の主役に成り下がったー12

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 そして景色は病院の中に変わる。遊大は後天性の病気で入院中の人を器具なしで自力で走れるレベルまで時間逆行させる仕事をしていた。有事の際に一人でも多くの人を助けるために。若返りも厭わなかった。

 新宿区の大通り。モニター越しに外の様子を確認する、糸美、信也、臣蛇、爆美、虫は衝撃的な光景を目にしていた。

 その辺のビルより遥かに高身長の、深い青をしたロボットが徘徊していたのだ。目測200メートルはある。

「マジか! あれエヴァンゲリオンじゃねえか!」

「えヴぁん……、聞いたことはあります。でもアニメの世界の話ですよね? なんであんなものが……」

 興奮する虫に疑問をぶつける糸美。そこに外部からの通信が入る。

「こちら第一詰所野田! 増援組は近くのネットカフェの横につけてくれ!」

 すでに前線にいる氷助の指示で、戦闘車は言われた通りネットカフェの横に停車した。そして外に出た訓練生たちは愕然とした。

「ピカピカ! ピカッチュウ!」

「てめえらに今日を生きる資格はねえ!」

「私が来たぁ!」

 ネットカフェの3階の窓から、マンガ、アニメ、ゲームの世界の住人たちが続々と飛び出し、前線の部隊と交戦していたのだ。

「……! 3階にユニゾン持ちの敵がいるんですね!」

 糸美がクモの糸でネットカフェの壁を登って3階を目指す。途中出てくるキャラクターは糸で拘束する。そして3階に入ると、通路内を見渡す。1ヶ所だけドアが開きっぱなしの個室があった。

 糸美がまっすぐそこに向かうと、リュックを背負った痩せた体の男がいた。今もパソコンを操作しており、画面には日曜朝の女児向けアニメの二人組が映っている。

「そこで止まりな」

 次の瞬間、その二人組が画面から無理矢理抜け出て糸美の前に立ちふさがった。

「光の使者、キュアブラック!」

「光の使者、キュアホワイト!」

「闇の力のしもべ達よ!」

「とっととお家に帰りなさい!」

「……! このユニゾン」

「枯レタ花ビラ……。ピンクノ空ニ……」

 窓の周囲の壁を破って、糸美が二人組とともに出てくる。糸を使って安全に着地した糸美は、地上の一同に報告する。
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