262 / 379
かなしみのなみにおぼれるー14
しおりを挟む
その間にも遊大は吐血し、血涙を流し始める。しかし遊大は右手で握った何かを放すのをやめない。
それどころか、勝ち誇った笑みを浮かべていた。
「下の毛も生え揃ってないガキになるのはお前だ……! そんな奴に死に方を選ぶ権利があると思うな……!」
仁は遊大の言っている意味が分からなかった。
「お前、何を言って」
そう声に出した時に仁は気づいた。自分の声が少し高くなっていることに。
「まさかお前……! 掴んだな! 僕の体の一部の灰を! それを時間逆行させて、僕を子供に戻す気だな!」
完全に子供の声に戻った仁が叫ぶ。
「子供……? それで済むと思うな……! 受精卵のさらに前……、精子と卵子の状態まで戻してやる……!」
赤ん坊になり、ユニゾンを使える精神でなくなった仁を遊大が取り押さえる。それでも遊大は時間逆行をやめない。
「お前がやろうとしたことは! 親の罪を子供に着せるようなものだ! そんなめちゃくちゃがまかり通ってたまるかぁ!」
遊大がそう叫ぶ頃には、仁は服だけを残して消えてしまった。
「……。今助けます。秋晴さん」
息も絶え絶えな遊大は、小麦に向かって歩いていく。自分も死にそうだというのに、そんなことは一切気にしていなかった。
そして遊大は小麦に触れた。
『遊大君』
遊大の視界が例の鳥籠の中に変わった。目の前には小麦がいる。
「……。え?」
『これで12回目の試練だよ。おめでとう。君はすべての試練に打ち勝ったんだよ』
「……。嘘だ……」
『嘘じゃない。私は死んだ。でもそれでいいの。お陰で遊大君のユニゾンは新たな可能性を引き出せたんだから』
「待って。あと10秒。あと10秒だけ」
『泣かないで。確かにあなたは大切なものをすべて失った。けどあなたはそれをすべて取り戻す力が手に入った。それを使えばまた会える』
「そんな……! そんなこと……!」
それどころか、勝ち誇った笑みを浮かべていた。
「下の毛も生え揃ってないガキになるのはお前だ……! そんな奴に死に方を選ぶ権利があると思うな……!」
仁は遊大の言っている意味が分からなかった。
「お前、何を言って」
そう声に出した時に仁は気づいた。自分の声が少し高くなっていることに。
「まさかお前……! 掴んだな! 僕の体の一部の灰を! それを時間逆行させて、僕を子供に戻す気だな!」
完全に子供の声に戻った仁が叫ぶ。
「子供……? それで済むと思うな……! 受精卵のさらに前……、精子と卵子の状態まで戻してやる……!」
赤ん坊になり、ユニゾンを使える精神でなくなった仁を遊大が取り押さえる。それでも遊大は時間逆行をやめない。
「お前がやろうとしたことは! 親の罪を子供に着せるようなものだ! そんなめちゃくちゃがまかり通ってたまるかぁ!」
遊大がそう叫ぶ頃には、仁は服だけを残して消えてしまった。
「……。今助けます。秋晴さん」
息も絶え絶えな遊大は、小麦に向かって歩いていく。自分も死にそうだというのに、そんなことは一切気にしていなかった。
そして遊大は小麦に触れた。
『遊大君』
遊大の視界が例の鳥籠の中に変わった。目の前には小麦がいる。
「……。え?」
『これで12回目の試練だよ。おめでとう。君はすべての試練に打ち勝ったんだよ』
「……。嘘だ……」
『嘘じゃない。私は死んだ。でもそれでいいの。お陰で遊大君のユニゾンは新たな可能性を引き出せたんだから』
「待って。あと10秒。あと10秒だけ」
『泣かないで。確かにあなたは大切なものをすべて失った。けどあなたはそれをすべて取り戻す力が手に入った。それを使えばまた会える』
「そんな……! そんなこと……!」
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
1
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる