Night Sky

九十九光

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幸福なのは義務なんですー9

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 こうして必要なものを一通り揃えた一行は店を出た。どうせコインランドリーも銭湯もタダだから、これで今後の宿無し生活も問題なく過ごせるだろう。そう誰かが言った時だった。

「いや、宿どころか高級マンションに住めるかもよ」

 雨がそう言った。一同は「え?」と聞き返した。

 そして2時間後。12人は都市部の高級マンションの一室にいた。

「どうですか、この間取り! 4LDKの家具家電つき! 最寄り駅からは少し歩きますが、いい物件でしょう!」

 不動産屋の女性が自慢げに説明する。

「家賃は? 敷金礼金は?」

 小麦の質問に女性は「そんなものはありません! 不意の事故で壁に穴が開こうと、我々が完全無料で直します!」と、きっぱりと言いきった。

「でも部屋とか借りたことないからな。いろいろ手続きが必要なんだろ?」

 ベランダの王子が質問すると、「手続きは各部屋の責任者の氏名をこちらの紙面に記入していただくだけ! そうしたら即入居可能です! 緊急連絡が必要になれば備えつけの固定電話かお持ちのスマートフォンで我が社にかけていただければ、24時間対応いたします!」と女性は説明する。

「じゃあ同じ部屋を3部屋お願いします。各部屋の責任者は、八脚糸美、緑川大樹、土竜雨で」

 雨は驚く一同をよそに淡々と話を進める。そして選ばれた3人が紙面に名前を記載し、不動産屋に行く前に入手したスマホの電話番号も記載する。

 その横で太陽はこう考えていた。

 4LDKを3部屋ということは、単純に計算して4人で一部屋を使うということ。女子3人は当然一緒の部屋だとして、その部屋の最後の一人は男子のいずれかということ。そのハーレムに入れる選ばれし者はどうやって決めるのか。女子の選択か。男子の中での争いか。一体どうなるんだ。

「女子3人で一部屋、男子は4、5で分けて二部屋だ。お前、いい加減にしろよ」

 光の言葉に太陽は「はい」と答えた。

 そしてその日の夜。女子部屋では夕飯をどうするかで話し合っていた。
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