Night Sky

九十九光

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僕らの革命前夜ー9

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「王子君が歌ってイメージあんまない」

「ねえな、この熱血野郎には」

「だ、大丈夫だ! 阿玉先生がしょっちゅう歌ってたアニソンの知識がある!」

 そう言って王子はJAM Projectの『THE HERO!!~怒れる拳に火をつけろ~』を、下手くそなりに熱唱した。やりきった感と自信は先の2人より上だった。

 その後も一同は、花子が歌っていたアニメソングをメインに歌う。糸美がつじあやのの『風になる』、太陽が米津玄師の『KICK BACK』を続けて歌った。

「風雅! じゃあ次はお前の番な!」

 太陽が風雅マイクとタッチパネルを渡す。

「え? 僕はその……」

 戸惑いを隠せない風雅。さすがにこの面子の中でアニメソングを歌うのは恥ずかしいというのが彼の気持ちだった。

「自分だけ歌わない気か、てめえ。こっちはデュエットしたんだぞ」

 ピザを食べながら光がにらみつける。

「歌うよぉ。歌えばいいんだろぉ」

 風雅はタッチパネルを受け取り、選曲を始める。そして選んだのは、BUMP OF CHICKENの『天体観測』だった。代表的なカラオケソング。おまけに歌唱力も可もなく不可もなくという具合。どこまでも普通な一曲だった。特に拍手は起こらず、全員が真顔をしていた。

「次、いっていいか」

 無難で終わってよかったと思う風雅をよそに、文活がタッチパネルを手に取った。始まった曲はBob Dylanの『Knockin’ on Heaven’s Door』。まさかの洋曲だった。それもかなりアレンジの効いた歌い方。なんて切ない歌い方をするんだと王子は思った。

 その後、信也が江崎とし子の『そこに空があるから』を、大樹がTOKIOの『宙船』を歌った。

「次誰歌う?」

 小麦が確認するが、一度歌ったメンバーは一巡するまでは歌わないつもりでいた。

「お前いけよ、陰キャ」

 その言葉を受けて人陰は、「え? え?」と、無理です絶対と言いたい気持ちを表現した。

「イイジャネエカ、相棒。セッカクノ祭リダゼ? オ前モ乗ラネエトシラケルゾ?」

 ラストバトルまで出てきてタッチパネルを手に取る。
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