Night Sky

九十九光

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「我」貫き通せー4

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『熊田……犬子です……。よろ……しく……』

『犬子、本当に新しい学校で友達できてるのか? またひとりぼっちなんじゃないのか?』

『熊田さん、基礎科目はからっきし。実技科目もダメ。遅刻や忘れ物の常習犯。恵まれたユニゾンがあるんだからもう少しなんとかならないの?』

『私だって必死なんだ……。友達作ろうって努力してるし、勉強も運動も頑張ってるつもり……。でも成果が出ないだけ……。このままじゃ私……。いや、私は兵士適正ありなんだ。兵士になってユニゾンを思いっきり使えるようになれば、きっと変われる……。』

『発達障害……?』

『君は生まれつき記憶力、空間認知、コミュニケーション能力をつかさどる部位が弱いんだ。兵士は知識、基礎体力、コミュニケーション能力を要求される。それらが弱いんじゃ、兵士適正はなしに変更するしかないね』

『それで生きる目的を失い、一緒に自殺してくれる人を探してネットの裏掲示板に手を出したと。君は恵まれたユニゾンを持っているんだろ? それなのにその才能をここで消すなんてもったいない。この僕、シャルルと一緒に来てほしい。兵士になれるか否かでしか人間の価値を決められない世界を壊そう』

 リナルドは消滅した。人陰はやけどと痛みに苦しみながら、自身のユニゾンを解除した。



 そして大通りで対峙する太陽とテュルパン。テュルパンは距離を取って舌を伸ばして攻撃するが、太陽は爆破する槍でそれを振り払う。

「なんでそう抵抗すんだよぉ! あの軟弱野郎ならとっくにあきらめてるだろうよぉ! てめえもあきらめちまえよぉ!」

「人陰は簡単にあきらめたりしねえ! だから俺もあきらめねえ!」

 太陽はにじりにじりとテュルパンとの距離を詰める。ついにしびれを切らしたテュルパンは、遊大からの事前情報で得たカードを切ってきた。
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