和製切り裂きジャック

九十九光

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#22ー1

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#22(一人称)


 五月十日。橋本さんの死亡発覚から十六日が経過していた。
 当たり前の話なのだが、二人目の和製切り裂きジャックの出現は全国のニュース番組や新聞紙の一面で伝えられ、瞬く間に世界中に広まった。
 鈴木芳夫の逮捕でようやく平和が戻ったと思った名古屋市民は、また一人で夜道を出歩けない日々に逆戻りした。子供を車に乗せて送り迎えする親で混雑する小学校周辺の道がニュース番組で報道され、コンビニなどの夜勤のバイトは人が集まらなくなり、時給が昼間の倍近くにまで上がっていた。名古屋市内に支部や本社を置く会社の多くも、明るいうちに従業員を家に返すために、否応なしにノー残業デーを会社全体で推進することになった。
 逆に夜遅くまで働かざるをえないのは警察だけで、パパもまた連日本部に寝泊まりする日々に戻っていった。県警本部に橋本さん殺人事件の捜査本部が立ち上がったのだ。これを誰が仕切ってどんな方針で捜査を進めているのか、パパが再び連絡なしに残業する毎日に戻ったせいでわからなかった。
 だが捜査が難航していることは、メディアの報道ですぐにわかった。パパたち捜査本部は、これだけの時間が経過しているにもかかわらず、この新しい和製切り裂きジャックの犯人像をまるでつかむことができていなかった。この殺人鬼は次の犯行を起こすことを宣言しているくせに、いまだにその二件目を実行に移していなかった。犯人の意図はわからないが、これが警察の判断を鈍らせ、事件解決を遅らせているのかもしれない。
 こんなふがいない結果しか出せていない警察に対して、『いつになったらあの凶悪犯を捕まえられるのか』『いい加減にしてもらえないと安心して眠れない』と、多くの人々がSNS上で文句を言っていた。最初の和製切り裂きジャック事件捜査時に組織内で乱闘騒ぎを起こし、その後の推理まで大きく外したことで、一般市民が警察への不信感を募らせているのだ。「早期の段階から強盗殺人の線で捜査していれば、十人も殺されるようなことはなかった」と、警察に対して辛口な発言をするコメンテーターもいた。
 意図していたかどうかは別として、和製切り裂きジャックは名古屋の街に、再び連続殺人鬼の街のレッテルを貼りつけた。まだ二件目の事件を起こしていないというのに。
 かく言う私は、とっくに四年生の前期が始まったが、取った授業にあまり乗り気になれないでいた。単純に面白くないとかめんどくさいとか、それだけの説明で理解してもらえるような単純な理由ではない。新しく登場した和製切り裂きジャックが、どうしても頭から離れなかったからだ。もちろん、始めたばかりの就活も停滞してしまっている。
 この日の午後一時半には、三年生までに単位を取り損ねていた基礎英語の講義が入っていたが、私はそれをバックレて学内の適当な空き教室にいた。私以外誰もいない、薄暗い 
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