イレブン

九十九光

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♯16ー5

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関ではない。私たちの教育方針は、基本的にすべて自分たちで考えて作り上げたもの。何もかも教育委員会の指示で動いてるわけじゃないの」

 私は顔だけ振り返り、一般の人がよくする勘違いをしていた内田庵に説明した。

 愛車に乗り込んだ私は、途端に胸の中がスッとした。カッコつけていかにも教師っぽいことを口にでき、小林先生の敵討ちもできた。随分と安っぽい理由だったが、この時の私は上機嫌になっていた。

 私は自宅に戻るため、知多市の西側の住宅地を抜けて、近くの田んぼや畑からやってきた乾いた泥がついたアスファルトの道を進んでいく。市の東西を行き来という役割も持つ、片側一車線のこの道では、明らかに農作物や農具を積んでいないと予想できる、きれいな車体をした車が何十台も走っていた。目の前を走る車の黒い車体は、こちらの車のフロント部分を鏡写ししている。

 そんな道が終わり、普段から使っている東中北側の道を走り始める。周囲の風景は、殺風景な畑に雑木林と竹藪。道行く対向車は急にいなくなり、ともすればにぎやかだった道は急に静かになった。

 私は急に現実に引き戻された感じになった。

 私は確かに、内田庵の警鐘を鼻で笑うようなことを言った。だが冷静に考えれば、内田が二学期以降クラスになじむという可能性が出てきたわけではない。そもそも彼が今日の一件から立ち直ったという確証はなく、このまま人間嫌いが加速して引きこもりになる可能性だってあった。そもそも東中の三年生は、一応状況だけ言えば不登校のままである。よく考えると、話は何一つ進んでいなかった。私が内田平治に関する話で内田庵にマウントを取った気になっているだけで、東中の問題は一つも好転していなかった。閑散とした道を走っていると、そんな非常な現実が待っているのがよく分かった。

 気がつくと私は、自宅アパート前の駐車場に車を停めていた。時刻は午後五時。あとは車から降りて今夜のご飯のことを考えるだけである。

 だが私は、今夜の献立のことは考えなかった。

 あの生徒たちの担任として、今から自分にできることはなんだろう。どうすれば本当の意味で、内田庵の鼻を明かしてやれるのだろう。

 そんな大雑把なことを考えていた。たぶん何十分と、車の運転席から降りることなく、背もたれに思いっきり背中を預けながらそんなことを考えていた。

やがて私は、一つの結論に行き着いた。
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