32 / 43
第3章 冒険者ギルド
第32話 ドラゴン討伐。
しおりを挟む
「ドラゴン……」
今度こそは絶望の気持ちを抱いた。
無理だ、この連戦は流石に。幾ら今の俺でも。
「やぁあああああ!!」
赤髪の少女が巨大な龍に立ち向かう。
その勇姿を俺はしかとこの目に焼き付けた。
「あ、ははは……」
なんだよあいつ。
こんな格好いい所だけ持っていきやがって。
「リア!」
「姉さん……」
「へ?」
カトレア、今なんて?
姉さん??
いや、似てるとは思ったけど……ええ?
「魔法『重力球』ッ!!」
それは、ラケナリアという少女の無双劇だった。龍に臆すること無く、魔法を駆使して空を舞い戦いに没頭している。
俺達にはまるで気付いていない様子だった。
「リア?」
それも何か怖かった。戦闘狂の如く突進を繰り返し、攻撃の手を緩めない。俺の声が届かない。
目から閃光が迸る。獰猛に牙を剥く。
まずい、あのままだと殺されてしまうぞ。
「リア、落ち着け。くっそ……!」
「姉さん、待ってて。うっ……力が」
カトレアも動こうとするが、身体が動かせない。
当たり前だ、アンタレスの毒を受けてまだ生きていられるだけで奇跡なんだ。これ以上の無理は……。
なら俺しかいない。
今彼女を止められるのは。
「お兄さん。姉さんを……助けて」
「大切に思っているんだな。あいつの事」
行こう。
生存本能を掻き立てて奮い立つ。
皆で、家に帰る為に。
「俺に任せろ……!」
「【神装派・第五秘刀】《五月雨》ッ!!!」
これは連続技では無い。
一度に五個の斬撃が空間を裂く。
その全ての斬撃をドラゴンの翼に向けた。
ドラゴンの上体が傾く。そこに覆い被さるように、ラケナリアは黒稲妻をスパークさせた。
「【死の宣告】ッッ!!!」
白黒に明滅する光。
ドラゴンは弱々しく声を上げながら地面に落ちてくる。
「さあ終わりだ。【神剛派・第一秘刀】《一閃華》」
首に向けて、必殺必中の一撃を見舞う。研ぎ澄まされた一撃は何よりも重く鋭くその首へ確実に突き進んだ。
終わった。勝った。
「ぅ……ぁあ」
「リアっ!!」
まるで翼を失った鳥だ。
落ちてきたラケナリアをしっかりと抱き締めた。
が、堪えきれずに一緒に倒れた。
「リア、しっかりしろ。リア!」
「……ん、ここは」
僅かに開いたその目でラケナリアは俺を見る。
冷たい床に一緒に横たわる俺とラケナリア。
その身体は見るに堪えなかった。
肉は爛れ、手先は赤黒く汚れ、複数の深い傷が出来ている。
「あ……ぐら、す」
「おい、死ぬな。死ぬんじゃない」
「大丈夫よ、このくらいで魔族は死なないのよ」
本当か、とカトレアの方を見る。
見るからに大丈夫じゃなさそうだったが、カトレアは事実だと言うように首を縦に振った。本当だったのか。確かに昇格試験では傷を負う事を前提とした立ち回りをしていたが。
「それより、グラス。どこに行っていたの」
「いや、どこって言われても……下としか」
「凄く、心配したんだから」
目を潤ませて、身体を擦り寄らせる。
そこから、フルパワーの抱擁を受けた。
「いたたたた、死ぬ。死んじゃう!」
「残念だわ、グラス。今日で最後のお外ね」
「ナチュラルに監禁しようとするな。ていうか、このノリ前にもやっただろっ。落ち着け、俺はちゃんとここにいる。もう離れたりしない」
「そう。なら、一割安心したわ」
そっか、それは良かった。
あれ。残り九割は????
「ねえ、グラス」
「なんだ。まだ何かあるのか」
「妹と下で何をしていたのかしら」
ジトっと、訝しむ視線が俺に突き刺さる。
当人のカトレアは、ふいっと目を逸らした。
全部俺に任せる気かよ!?
「大丈夫。グラスの事は信用している。たまたま下で出会ってお互いに助け合いながらこうしてここまで帰ってきてくれたのよね」
「そうそう。本当に!」
「決してやましい事はなく、ただ生き延びる為に一緒にいた」
「うんうん、流石リアだなぁ、理解が早くて助かる」
「今みたいに抱き締めあったりして甘えてもいないのよね。はあ、良かったわ。妹は可愛いからいくらグラスでも落ちちゃうと思ったけど、杞憂だったのね」
……。あれ、なんでだろう。
あ、汗が止まらないぞ???
「ち、違うの、姉さん。あの時は私もどうかしていて、だから衝動的に甘えたくなったのはその、不可抗力と言うか」
「カトレア。何も言わなければ一番良かった」
「あっ、違う。いまのうそ、ちがう」
「グラス? ちょっとお話があるのだけど」
「なんで俺!? 向こうが誘ってきたから仕方なく!」
「お兄さん。私とは遊びだったんですか……?」
「よしお前は黙ってろ。話をややこしくするな?」
「残念だわ、グラス。両手両足とさよならしてね」
「怖いっ、いつになく怖い!?」
話がこじれにこじれたので一旦落ち着く。
ここはまだ、遠征先。帰らないと始らない。
「帰ろう、俺達の家に」
「でも……どうやって。誰も歩けないのに」
それもそうだ。
俺達は血を流し過ぎた。
まっすぐ歩く事もままならない。
指先の一本すら、動かすのに激痛が走る。
「リア。転移魔法はどうだ」
「魔力が絶望的に足りない」
そうか。無理か。
「お兄さん」
ぴったりと俺の背中に、カトレアの柔らかな感触が伝わる。
前からラケナリアが。後ろからカトレアがそれぞれ密着していた。
温かい、戦闘後の冷えた身体が優しい感覚に満たされる。
ここで全員死ぬのかな。
それは何だか、寂しいな。
ラケナリアの心の内が聞こえてくるみたいだ。
「グラス」
「なんだ、リア」
「私気付いた。グラスがいなくなって、死んじゃうかもって思った時、我慢出来なくなっちゃった。私、もうグラスと離れられない。ずっと一緒にいたい」
潤んだ瞳で俺の胸辺りから覗き込む。
控えめながらも確かにある柔らかい胸の感覚。
押し潰されたそこから、鼓動の音が一定のリズムで脈を打つ。
吐息が首筋にかかる。くすぐったい。
甘い香りが俺の理性を削りにくる。
これも、生存本能の一種だと信じたい。
血だらけで今にも死にそうなのに、俺はラケナリアに。魔族の少女にその瞬間目を奪われていた。目を逸らしたくても、まるで見えない引力に引き寄せられるように目が離せない。
お互いの息が荒くなる。
周囲の音が聞こえなくなる。
「姉さんだけずるい……」
掠れた声で、カトレアが身を寄せる。
背中側からラケナリアよりも柔らかい感触が伝わる。
「グラス、今失礼な事考えてる」
「違う」
「なら言ってみて、何を考えていたのか」
「どうなんですか、お兄さん」
「……違う、違うったら違う!」
なんだこの至福の時は。
人生最後の瞬間に、せめてもの褒美をくれたのか。
俺は深呼吸し、完全に脱力する。
ありがとう……みん、な……
「グラジオラス!!」
その声は唐突に響いた。
はるか頭上、陽光が差し込む岩場の隙間から。
『彼ら』はやって来た。
今度こそは絶望の気持ちを抱いた。
無理だ、この連戦は流石に。幾ら今の俺でも。
「やぁあああああ!!」
赤髪の少女が巨大な龍に立ち向かう。
その勇姿を俺はしかとこの目に焼き付けた。
「あ、ははは……」
なんだよあいつ。
こんな格好いい所だけ持っていきやがって。
「リア!」
「姉さん……」
「へ?」
カトレア、今なんて?
姉さん??
いや、似てるとは思ったけど……ええ?
「魔法『重力球』ッ!!」
それは、ラケナリアという少女の無双劇だった。龍に臆すること無く、魔法を駆使して空を舞い戦いに没頭している。
俺達にはまるで気付いていない様子だった。
「リア?」
それも何か怖かった。戦闘狂の如く突進を繰り返し、攻撃の手を緩めない。俺の声が届かない。
目から閃光が迸る。獰猛に牙を剥く。
まずい、あのままだと殺されてしまうぞ。
「リア、落ち着け。くっそ……!」
「姉さん、待ってて。うっ……力が」
カトレアも動こうとするが、身体が動かせない。
当たり前だ、アンタレスの毒を受けてまだ生きていられるだけで奇跡なんだ。これ以上の無理は……。
なら俺しかいない。
今彼女を止められるのは。
「お兄さん。姉さんを……助けて」
「大切に思っているんだな。あいつの事」
行こう。
生存本能を掻き立てて奮い立つ。
皆で、家に帰る為に。
「俺に任せろ……!」
「【神装派・第五秘刀】《五月雨》ッ!!!」
これは連続技では無い。
一度に五個の斬撃が空間を裂く。
その全ての斬撃をドラゴンの翼に向けた。
ドラゴンの上体が傾く。そこに覆い被さるように、ラケナリアは黒稲妻をスパークさせた。
「【死の宣告】ッッ!!!」
白黒に明滅する光。
ドラゴンは弱々しく声を上げながら地面に落ちてくる。
「さあ終わりだ。【神剛派・第一秘刀】《一閃華》」
首に向けて、必殺必中の一撃を見舞う。研ぎ澄まされた一撃は何よりも重く鋭くその首へ確実に突き進んだ。
終わった。勝った。
「ぅ……ぁあ」
「リアっ!!」
まるで翼を失った鳥だ。
落ちてきたラケナリアをしっかりと抱き締めた。
が、堪えきれずに一緒に倒れた。
「リア、しっかりしろ。リア!」
「……ん、ここは」
僅かに開いたその目でラケナリアは俺を見る。
冷たい床に一緒に横たわる俺とラケナリア。
その身体は見るに堪えなかった。
肉は爛れ、手先は赤黒く汚れ、複数の深い傷が出来ている。
「あ……ぐら、す」
「おい、死ぬな。死ぬんじゃない」
「大丈夫よ、このくらいで魔族は死なないのよ」
本当か、とカトレアの方を見る。
見るからに大丈夫じゃなさそうだったが、カトレアは事実だと言うように首を縦に振った。本当だったのか。確かに昇格試験では傷を負う事を前提とした立ち回りをしていたが。
「それより、グラス。どこに行っていたの」
「いや、どこって言われても……下としか」
「凄く、心配したんだから」
目を潤ませて、身体を擦り寄らせる。
そこから、フルパワーの抱擁を受けた。
「いたたたた、死ぬ。死んじゃう!」
「残念だわ、グラス。今日で最後のお外ね」
「ナチュラルに監禁しようとするな。ていうか、このノリ前にもやっただろっ。落ち着け、俺はちゃんとここにいる。もう離れたりしない」
「そう。なら、一割安心したわ」
そっか、それは良かった。
あれ。残り九割は????
「ねえ、グラス」
「なんだ。まだ何かあるのか」
「妹と下で何をしていたのかしら」
ジトっと、訝しむ視線が俺に突き刺さる。
当人のカトレアは、ふいっと目を逸らした。
全部俺に任せる気かよ!?
「大丈夫。グラスの事は信用している。たまたま下で出会ってお互いに助け合いながらこうしてここまで帰ってきてくれたのよね」
「そうそう。本当に!」
「決してやましい事はなく、ただ生き延びる為に一緒にいた」
「うんうん、流石リアだなぁ、理解が早くて助かる」
「今みたいに抱き締めあったりして甘えてもいないのよね。はあ、良かったわ。妹は可愛いからいくらグラスでも落ちちゃうと思ったけど、杞憂だったのね」
……。あれ、なんでだろう。
あ、汗が止まらないぞ???
「ち、違うの、姉さん。あの時は私もどうかしていて、だから衝動的に甘えたくなったのはその、不可抗力と言うか」
「カトレア。何も言わなければ一番良かった」
「あっ、違う。いまのうそ、ちがう」
「グラス? ちょっとお話があるのだけど」
「なんで俺!? 向こうが誘ってきたから仕方なく!」
「お兄さん。私とは遊びだったんですか……?」
「よしお前は黙ってろ。話をややこしくするな?」
「残念だわ、グラス。両手両足とさよならしてね」
「怖いっ、いつになく怖い!?」
話がこじれにこじれたので一旦落ち着く。
ここはまだ、遠征先。帰らないと始らない。
「帰ろう、俺達の家に」
「でも……どうやって。誰も歩けないのに」
それもそうだ。
俺達は血を流し過ぎた。
まっすぐ歩く事もままならない。
指先の一本すら、動かすのに激痛が走る。
「リア。転移魔法はどうだ」
「魔力が絶望的に足りない」
そうか。無理か。
「お兄さん」
ぴったりと俺の背中に、カトレアの柔らかな感触が伝わる。
前からラケナリアが。後ろからカトレアがそれぞれ密着していた。
温かい、戦闘後の冷えた身体が優しい感覚に満たされる。
ここで全員死ぬのかな。
それは何だか、寂しいな。
ラケナリアの心の内が聞こえてくるみたいだ。
「グラス」
「なんだ、リア」
「私気付いた。グラスがいなくなって、死んじゃうかもって思った時、我慢出来なくなっちゃった。私、もうグラスと離れられない。ずっと一緒にいたい」
潤んだ瞳で俺の胸辺りから覗き込む。
控えめながらも確かにある柔らかい胸の感覚。
押し潰されたそこから、鼓動の音が一定のリズムで脈を打つ。
吐息が首筋にかかる。くすぐったい。
甘い香りが俺の理性を削りにくる。
これも、生存本能の一種だと信じたい。
血だらけで今にも死にそうなのに、俺はラケナリアに。魔族の少女にその瞬間目を奪われていた。目を逸らしたくても、まるで見えない引力に引き寄せられるように目が離せない。
お互いの息が荒くなる。
周囲の音が聞こえなくなる。
「姉さんだけずるい……」
掠れた声で、カトレアが身を寄せる。
背中側からラケナリアよりも柔らかい感触が伝わる。
「グラス、今失礼な事考えてる」
「違う」
「なら言ってみて、何を考えていたのか」
「どうなんですか、お兄さん」
「……違う、違うったら違う!」
なんだこの至福の時は。
人生最後の瞬間に、せめてもの褒美をくれたのか。
俺は深呼吸し、完全に脱力する。
ありがとう……みん、な……
「グラジオラス!!」
その声は唐突に響いた。
はるか頭上、陽光が差し込む岩場の隙間から。
『彼ら』はやって来た。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる
竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。
評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。
身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
【運命鑑定】で拾った訳あり美少女たち、SSS級に覚醒させたら俺への好感度がカンスト!? ~追放軍師、最強パーティ(全員嫁候補)と甘々ライフ~
月城 友麻
ファンタジー
『お前みたいな無能、最初から要らなかった』
恋人に裏切られ、仲間に陥れられ、家族に見捨てられた。
戦闘力ゼロの鑑定士レオンは、ある日全てを失った――――。
だが、絶望の底で覚醒したのは――未来が視える神スキル【運命鑑定】
導かれるまま向かった路地裏で出会ったのは、世界に見捨てられた四人の少女たち。
「……あんたも、どうせ私を利用するんでしょ」
「誰も本当の私なんて見てくれない」
「私の力は……人を傷つけるだけ」
「ボクは、誰かの『商品』なんかじゃない」
傷だらけで、誰にも才能を認められず、絶望していた彼女たち。
しかしレオンの【運命鑑定】は見抜いていた。
――彼女たちの潜在能力は、全員SSS級。
「君たちを、大陸最強にプロデュースする」
「「「「……はぁ!?」」」」
落ちこぼれ軍師と、訳あり美少女たちの逆転劇が始まる。
俺を捨てた奴らが土下座してきても――もう遅い。
◆爽快ざまぁ×美少女育成×成り上がりファンタジー、ここに開幕!
ゲームの悪役パパに転生したけど、勇者になる息子が親離れしないので完全に詰んでる
街風
ファンタジー
「お前を追放する!」
ゲームの悪役貴族に転生したルドルフは、シナリオ通りに息子のハイネ(後に世界を救う勇者)を追放した。
しかし、前世では子煩悩な父親だったルドルフのこれまでの人生は、ゲームのシナリオに大きく影響を与えていた。旅にでるはずだった勇者は旅に出ず、悪人になる人は善人になっていた。勇者でもないただの中年ルドルフは魔人から世界を救えるのか。
異世界でまったり村づくり ~追放された錬金術師、薬草と動物たちに囲まれて再出発します。いつの間にか辺境の村が聖地になっていた件~
たまごころ
ファンタジー
王都で役立たずと追放された中年の錬金術師リオネル。
たどり着いたのは、魔物に怯える小さな辺境の村だった。
薬草で傷を癒し、料理で笑顔を生み、動物たちと畑を耕す日々。
仲間と絆を育むうちに、村は次第に「奇跡の地」と呼ばれていく――。
剣も魔法も最強じゃない。けれど、誰かを癒す力が世界を変えていく。
ゆるやかな時間の中で少しずつ花開く、スロー成長の異世界物語。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
