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平凡な人生?
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【平凡を絵に描いたような人】とは正に私の事だろう。
容姿は至って普通。
黒髪黒目、中肉中背、髪の長さも肩まで。
ファッションセンスがある訳では無い。
着ている物は、ジーパンにブラウスかTシャツだ。
化粧とは綺麗になる為のものではなく、身だしなみである。
時間をかけて、化粧や髪のお手入れなぞしたことがない。
毎日毎日僕らは鉄板の~♪なんて歌の如く、『家』と『会社』と、時々『実家』
決まったコースをグルグルぐるぐる・・・
普通の中の普通!
THE平凡!
それが私である。
「あれ、清子さん、何で居るんですか?」
「私、居ちゃいけないの?」
「だって、今日、イベント行くんでしょ?
ハロウィ~~~ンの!」
「ハロウィ~~~ン!のイベントは行くけど、仕事の目処が付いていない後輩を残して行けないよ・・・」
「清子さん、やっさしぃ~♪
で、本音は?」
「気になって、思いっきり楽しめないじゃない(笑)」
「ま、確かに!」
「さ、チャッチャとやっちゃいましょ!」
可愛い後輩の仕事を手伝い1時間!
待ち合わせの時間を決めていた訳じゃないケド、ちょっと・・・いや、かなり待たせちゃってるかな?
仕方がない、埋め合わせを考えておくか・・・
そんなことを考えながら休憩室へと向かう私達。
「遅くなちゃいましたね、すみません!」
申し訳なさそうにしているケド、想定内の時間ではあるのだ。
しかし、そんな素振りを欠片も見せず
「いいのよぉ~、今度ランチ奢ってくれれば!」
なんて言ってみれば
「奢ります、奢ります! 魚河岸屋の賄い丼をセットでどうです? 好きでしょ?!」
おおおおおっ!
言ってみるもんだ!
「チョー好き!あれは傑作だよね!
味噌汁はあおさが良いな。
小鉢2つはなんだっけ?
あ、平日にしてよね!平日だと大盛が無料になるから、たっぷり食べられる♪」
好物ひとつで疲れも吹っ飛ぶ♪
「了解ですっ!では作戦実行は来週の水曜日でどうでしょう?
駅ビルがレディースデイなので、魚河岸屋は割と空いていますよ!」
よし、水曜日の朝食は控えめにしよう!
「OK!水曜日は早めに出るよ~♪まっかない丼!まっかない丼♪」
るんるん気分で休憩室へ向かえばそこにはMY彼と、他課の美人さんがいた・・・
「高橋君、今夜アタシとデートしない?」
おおっ?!
なんか、くねくねしながら向かいに座ったぞ?!
「清子さんとハロウィンイベントに行く約束なので、お断りします。」
今時、テーブルに両肘ついて、顎乗せて。
「あんな子やめて、アタシとパーティーしましょ?」
小首かしげて、あざと~い!
でも、男子は好きだよね! ああいうの・・・
「あんな子ですか・・・」
あれ?! なんか怒ってる?!
「アタシの方が貴方と並んで、絵になるわよ!美男美女でお・に・あ・い♪」
なんか人差し指、メトロノームみたいに振ってる!
昔の映画を見ているみたい(笑)
忘年会の出し物の練習かな?
「笑わせないでください!
彼女の美しさに比べれば、貴女なんて足元にも及ばない!」
「何ですって?!アタシよりあの子の方が美しいっていうの?!」
「そうですね、比べるなんて烏滸がましいですね!」
「此処に居る全員に聞いてみなさいよっ!
アタシの方が綺麗だって言うに決まってるわっ!」
「自意識過剰ですね!
良いでしょう! 貴女より美しい点をまず、3つ上げましょうか・・・」
な、何か喧嘩を始めたよ?
「まず1つ目『姿勢が美しい』!
いつも前向きという意味もありますが、判りやすく言えば背筋が伸びて颯爽と歩く姿はとても美しい!
せかせか歩いているわけではないし、お手本の様に背中に棒が1本入ったような歩き方でもない。
清子さんに聞いたのですが、彼女の歩き方は和服の歩き方が取り入れられているそうですよ!
たまに映画で本を頭に載せて歩く練習をしているのを見ますが、あれはドレスなどの洋装の歩き方だそうです。
頭の上から紐で吊り上げられる様に歩くのが洋服の歩き方。
対して、和服は胸で歩くそうです。胸の上部を顔だと思って歩くらしいです。
でも、和服では歩幅が狭い。彼女の歩き方は彼女の今までの生き方の集大成です。」
あれ?
言い争になってない?
「お茶、どうぞ!」
後輩ちゃんが、温かいほうじ茶を出してくれる。
「ありがと! ね、なんか言い争いになっているケド、止めた方が良いよね!」
「清子さん、あれ、何言っているのか聞こえないんですか?」
「聞こえるの?耳、良いね!
遠いし、早口だし、あんまりよくは聞き取れないな!
聞き耳立てるのは良くないしさ!」
「放って置いて大丈夫ですよ!
ちょっと一息入れましょうよ!
大事な事を話し合っているだけですよ。」
「2つ目は『肌が美しい』!
彼女は殆ど化粧はしていません。ナチュラルメイク風ではなく、ナチュラルメイクなんです。
これは普段の食べ物に影響されていますね!
バランスの良い食事が大事だと、皆が知っていますが実行できている人はどれだけいますか?
ダイエットだと言って野菜ばかり食べて肉を全く摂らないと、脂分がなくなり肌が荒れますよ?!
今の時代、食品添加物を全く摂らないなんて不可能です。
魚肉玉子、野菜は5色、一汁三菜、朝昼晩と食事をきちんと摂るだけでお肌の調子はかなり良くなります。
彼女の肌はもっちりもち肌、すべすべで健康的ですよ!」
段々とヒートアップしているケド、大丈夫かな?!
「清子さん、清子さん!」
つんつんと肩を突いてくる彼女は、チョー可愛い♪
真似しても、似合わないだろうなぁ・・・
「清子さん、基礎化粧品は何を使っています?」
「ビ〇レ、一択!」
「中学生かっ!」
「よく言われる・・・(笑)」
おっ、こっちに気付いた。
「清子さんっ!お疲れ様です!仕事は?」
ぴゅーって音が聞こえそうな速さで、こっちに向かってくるMY彼道君。
「ゴメンね道君、お待たせ!区切りついたから帰ろ?!」
結構待たせた自覚はある!
「すみません、少し待っててもらっていいですか?
今、清子さんがどれだけ美しい存在か説明の途中で・・「いらんっ!」」
何言ってくれてんの?この人っ!
「え~、此奴ら、清子さんの事が解っていないから説明しないと!
どれだけ清子さんが素敵な存在か知らしめないと!」
「い~ら~な~い~っって言ってるでしょ!
早く帰ろ! 遅れるよ!
吸血鬼の恰好するんでしょ?」
結構、必死に止める自分!
「そうでした!清子さんの可愛い魔女姿を堪能する時間が減ってしまう!
清子さん、僕、着替えてきますね!
下のエントランスで待ってますから!
慌てず、急がず、素敵に着飾ってくださいね~♪」
呆気に取られている間に、あっという間に居なくなっちゃった・・・
「清子さん、さっきの凄い惚気に一言どうぞ!」
手にしたサインペンをマイクに見立て、コッチに向けてくる。
「え~?!良く聞こえなかったわぁ~ さ、着替えてこよ!」
逃げるが勝ちとばかりに、さっさと廊下へ逃げ出した。
その後、道君は吸血鬼姿に着替えてから戻って来たらしい。
いつの間にか其処に居た道君。
にっこりと、そして淡々と告げたと言う
「先程の話の3つ目ですが、清子さんは下着で補正していませんよ。
制服の上からでは分からないかもしれませんが、私服だと一目で解ります。
補正なしであのスタイルです。
女性なら其れがどれだけ難しいことか判るでしょう?!
これだけ言ってもまだ、自分の方が美しいと言い張るのなら、補正下着なしの素っぴんで出勤してきて下さい。
就業前に確認してあげますよ。」
にっこりと、冷たい目で、見下すように告げた道君は、壮絶に美しく、吸血鬼姿と相まってリアルな恐怖を感じたらしい。
気が付いた時には姿が無かったらしく、私がその事を聞いたのは、随分と後になってからだった。
「おおおっ、壮観だねぇ・・・」
古今東西、未確認生物の仮装した人間で溢れているよ!」
「清子さん、未確認生物って・・・」
あきれた声でつぶやく道君・・・
「だってドラキュラ伯爵にフランケン・シュタイン、ジャック・オウ・ランタン!
皆が知っているケド、存在を確認されていないじゃん。
だから、未確認生物でしょ?!」
此処の会場は、コスプレ禁止!
主催者が言うには「コスプレしたいだけなら他所に行け!」と、ハロウィンに相応しくない仮装はお断りしている。
魔女はOKだが、魔女っ娘や魔法少女はお断りらしい!
「洋物オバケばかりだと思ったら、日本産まで居るよ?
ほら、あそこに親父さんを頭に乗せた鬼〇太郎がいる!
あのゾンビ、メイクが凝ってるねぇ・・・
あ!あっちの女性、マミイの仮装している! 度胸あるなぁ・・・」
要するに、和・洋・中などの不思議生物は可!
「おおおっ、キョンシーが居る! 物凄い運動量だね!」
ビョンビョンと跳ねている姿はさぞかし良い運動になる事だろうと思う。
「よぉ、そこの吸血鬼~! 彼女かい?!」
いきなり、背の高い吸血鬼に声を掛けられる。
「従兄さん! 居たの?!」
へ? お兄さん?
「ひでぇ・・・いちゃ悪いか? ウチの親戚、何人も来ているよ!」
と言いながら道君の肩をバシバシ叩く吸血鬼・・・
「お~。お前らも来ていたのか!」
わらわらと寄ってくる、他の吸血鬼!
その数6人(+道君)
「なに?今年は親戚一同吸血鬼で行こうって決めたの?」
総勢6人の吸血鬼に囲まれた道君の後ろに隠れる私!
「いえ、ウチは大体毎年みんな吸血鬼です。」
今年のテーマじゃないんだ・・・
「吸血鬼が好きなんだね・・・」
「紹介しろよ~」とか「おじさんたちには紹介したのか~?!」と、うるさくなってきたので逃げる。
するとまた、違う親戚が寄ってくる。
逃げる。
するとまた・・・
「帰ろうか・・・」
「すみません、ウチの親戚一同がお邪魔をして。」
「ウチで仕切りなおそっか!」
「はい?」
ハイスペックなイケメン男子の高橋道輝君の噂は聞いていた。
優秀な人材が揃っていると評判な年代の中でも、彼は群を抜いていると評判だった。
そんな彼が、ある日仕事の帰りに声を掛けてきた。
「髙橋さん」と声を掛けられ、小走りで駆け寄ってくる彼。
「おや、高橋さんお疲れ様です。」と、形式的に返事をする私。
「お急ぎでなければ、少々お時間を頂けませんか?」と、恐る恐る尋ねられた。
怖い先輩だと思われているのかと、少しショックを受けながら、さりとて独り暮らしの我が身なれば夕飯のおかずを考えながらの帰宅である。
冷蔵庫と相談の上、目玉焼き丼を回避したくば買い物をして帰らずにはいられない。
如何なものかと思案中であった為、時間的には問題はない。
「何か相談事でもあるなら聞くよ?」
直の先輩じゃ聞きにくい事もあろうかと話を振れば
「お付き合いをお願い致します。」と、真摯に頭を下げられる始末。
そんなに重い相談事かと思いきや、「結婚を前提に!」
「・・・・・・・・・は?」
彼の事は優秀だと評判だったために、知ってはいたが話したことはなかった。
直接、話したことが無かったんだよ?!
それをいきなり結婚を前提にお付き合いの申し込みなんて何の冗談かと思うよね!
「えーっと、何かの罰ゲーム?」
「違います。」
「じゃ、ドッキリだ!」
「違います。」
「どっかに、動画を撮っている人がいるんでしょ?」
「いません。」
「じゃ、何のために?」
「僕は真面目にお付き合いの申し込みをしているのに、何で信用してくれないんですかっ?!」
「いやいやいや、私みたいな何処にでもいる平凡な女に、真面に話したことのないハイスペックイケメンがお付き合いを申し込むなんて、悪い冗談以外の何物でもないでしょ?!」
真剣に交際を求める彼と、冗談にしか思えない私。
段々とヒートアップしていく私達に「はい、そこまで!」肩をつかんだのは・・・お巡りさんだった・・・
駅に向かう通りで繰り広げられる言い争いに、邪魔だから退かして欲しいと交番に駆け込んだ人がいたらしい。
一気に血の気が引いた私は貧血を起こしかけ、結局交番のお世話になってしまった。
少し休ませてもらい、簡単な事情聴取を受け、すっかり意気消沈し帰ろうとした私に、「ご飯に行きましょう」と言われ、思考回路が停止していた私はおとなしく付いて行ったのだった。
「なんで私?
普通の極みなあたしに、結婚を前提なんていきなり重い事言うの?」
恐る恐る聞く私に、堂々と答える高橋さん。
「普通の何がいけないんですか?
普通の極みって言い方、凄いですね。
でも、普通を極めたって事がどれだけ凄いか判かっていないでしょ?
早寝早起きして、睡眠ちゃんと摂れていますよね?
そして、バランスの良い食事を三食必ず摂っているのも知っています。
今の時代、それが出来ている人がどれだけいると思っていますか?」
おや、思っていたのとチョット違うかな?
「一般的ではないけど、内面をみて判断したって事?」
それなら、嬉しいかも・・・
「いいえ、外見も素敵ですよ」
それはない!
「お世辞はいらんっ!」
お世辞以外の何物でもないだろうがっ!
「お世辞じゃありませんよ!
素肌を生かした自然な化粧だから、肌が荒れていないし化粧品の香料の臭いがしない。
肌はもっちりもち肌で、爪も何か塗っているわけではないのに健康的なピンク色。
髪は染めていないですよね?!しっとり艶やかなのに、触れるとふわふわ。
太過ぎず細過ぎず、健康的な体形を維持しています。
ジーンズだって、ちゃんとサイズがあっているから、足のラインが綺麗に出ている
特に香水やコロン等を付けていないのがとても良い。
かぐわしい香りです。」
チョット引いた・・・
「当たり前の生活をすればこんなにも人は美しくなるのだという見本のような人だと思います。」
「・・・ありがとう?!」
なんて、つらつらと付き合い始めた頃の事を考えながら、買ってきたお惣菜をテーブルに並べ、飲み物を用意する。
道君を部屋に上げたのは初めてで、パーティーの前にはこんなの予定には無かった訳で、きっとパーティーの余韻とアルコールでフワフワしてたのだと思う。
そして乾杯し、へらへらとパーティー前に何を話していたのかを聞いて、恥ずかしくて、挙動不審になって、ポヤポヤしてしていたらいきなり道君が叫びだした。
「あ~も~、可愛いっ、カワイイっ、かわいい~~~っっっ!
丸かじりしたいっ! よし、齧っちゃお~っ」
へっ? 齧るの?!
炬燵テーブルの向こうから道君が抱きついてきて、首筋を甘噛みし始めた。
ハムハム
かりっ
かぷっ
あ~ん・・・
ふと見た姿見に映る、道君の姿・・・
口を大きく開けて、目は赤く充血してる姿に思わずゾッとし
「かっ」
「か!?」
「食人嗜食~っ?!」
「違いますよっ!!」
すかさず突っ込み、私ビックリ!
「おかしいとおもったんだ!おかしいとおもったんだ!体型だの、手触りだの、匂いだの言っていたけど、えっちい意味かと思ってたけどっ、只の自分好みなんだっ!
薬を飲まないとか、血液サラサラとか拘ったのは、自分好みに味付けするんだっ!
注文の多い料理店だっ!」
「人なんて食べませんよっ」
「ミノタウロスの皿だっ」
「ミノタウロス・・・?
・・・って、マニアックな!
それに、あれはヒロイン、喜んで食べられてんじゃないですかっ!
食べられてくれるんですか?」
「マニアックって、解かるあんたも大概だわ!」
「ミュージアムに行ったことがあれば、知っているでしょ!」
「タイトルまで覚えている人はあまりいないわよ!」
「兎に角何で人喰い扱いなんですか?
あんなに前振りあったんだから、吸血鬼だと思うんじゃないですか?」
「齧ろうとしていたじゃん。
首がこそばゆかったし、吸血鬼じゃなくて蚊の間違いでしょ!」
「ひどっ!蚊の扱いは酷いです!」
「あくまで、吸血鬼と言い張るかっ!
イメクラごっこするつもりは「ホントに吸血鬼なのっ!」ないないない!」
「信じてぇ~~~っっ!」
最後にはアルコールの力もあってか、道君ったら、めそめそめそめそ・・・
「・・・わかった、わかった。
つまりは病気か・・・遺伝すると困るな」
「・・・結婚してくれるつもりはあるんですね・・・
でも、頭がおかしい訳でも「病気でしょ?」病気じゃな「感染症!」・・・・・・・・・は?」
「吸血鬼って、吸血衝動が起きる体液感染の病気じゃないの?
血を媒介にしているし、病気が劣化した状態で感染したのが吸血鬼化した僕でしょ?
血を吸われなければ吸血鬼化しないじゃん。
ニンニクは 嗅覚が過敏になる症状ってトコ?
十字架が弱点って事に関しては、キリスト教の象徴だから宗教的団結力を恐れていた説があるよ。
太陽の光で火傷する病気は存在しているし!
聖水は、塩水じゃん?!塩水吹っ掛けられりゃ誰でもダメージ大だよ。
鏡に映らない説は、吸血鬼って夜に訪れるからさ。
昔の鏡って今ほど綺麗に映らないし、蝋燭の灯りだったから暗くてよく見えなかったんじゃないの?」
道君は、眼を丸くして、フリーズしている・・・
「あれだ、海外のニュースでさ。
若い男が犯罪を犯して悪魔の仕業だっていっているけど、我々からすると単に殺人衝動が抑えられなかっただけ。
でも、本人は本気で悪魔の仕業だとおもっている。
それと同じ。
吸血鬼になったって思い込んでいる。
現代の視点で見れば、特殊な症状が出る病気だよ。」
道君は、真剣な顔をして聞いていた。
「低体温だから脈拍遅いんじゃないかな?
不老不死の所以はそれじゃないかな?
信長で有名な『敦盛』 あれにもあるじゃん。人間50年~って!
そんな時代に70歳とか、チョー長生きじゃん?!
100歳まで生きれば同年代なんかいないだろうし、不老不死なんて言われるんじゃないの?」
道君は、正座をして、こっちを向いていた。
「人と違えば病院なんて行きにくいよね?
会社や学校の健康診断はどうしているの?」
道君は少し考えてから、静かに答えてくれた。
「健康診断なんて、身長体重くらいですから。
マズイのは血液検査位ですか。
会社の上層部に、一族の者がいます。
ウチの会社は一族の持ち物って訳じゃないのですが、御用達みたいな感じで、世代毎に一人は居るんです。
医者をしている者が何人かいるので、彼らがいる病院で健康診断をするように持って行っています。
そもそも、病院に行かないように食事や体調管理に気を使う者が多いです。
長生きで痴呆になったら堪ったもんじゃないので、定年後にはボケ防止の為に仕事を与えられますしね。
仕事なら責任がありますので、趣味の外出の様に今日は辞めるなどとはできませんから・・・」
何かを諦めたような道君の姿は、ちょっと可愛い。
「そりゃ、長生きするわ。
そのお医者さんになった人とかは気が付いていると思うよ?
一族の上層部とかは報告を受けていると思うし・・・
まぁ、ホントに病気だった場合に限るけどね・・・」
もう夜も遅い。
ゆっくり食事をして、今日はもう、泊まっていってもらおう。
そんな風に思っていた私に、道君はそっと話し始めた。
「切っ掛けは、貴女の名前なんです。
凄い名前の人がいるな・・・と・・・」
凄い? 凄いか?
チョッと読み方は変わっているとは思うけど・・・
「高橋という名は日本で3番目に多い苗字ですが、【髙】は【高】の字の口の場所に梯子が掛かっています。
この梯子は「天まで通じる柱」と言う意味で、神職に関係した職業の方が多く使っていた文字なんです。」
へー、そんな由来があるんだ・・・
認印なんかは【高橋】を買って使ってるんだよね。
宅配なんかは三文判で問題ないし!
100均なんかでも【高橋】なら、幾らでも売っているからねぇ・・・
「そして、清子さんの名前。
澄んでいるという意味の【青】に水を現す【さんずい】を組み合わせた【清らか】という意味。
【子】の字は漢数字の【一】と終了の【了】の字から出来ているから、一生涯を意味し、つまりその人の存在そのものを意味します。
ご両親は【清く正しく美しく】【一生を過ごす】育って欲しいという願いを込めているのでしょう。
けれども僕にとっては、髙橋清子の名前の意味は【神聖な水】=【聖水】なんです。」
真面目に話している道君には悪いけど。
「・・・私、塩水?」
「何でさっきから聖水=塩水なんですかっ?
聖水が塩水って、聞いたことが無いんですけどっ?!」
おっ、調子が戻って来たかな?
突っこみが冴えてるね♪
「昔、聖水を作るのを何かで見て、お祈りした水に塩を入れているのを見たからさ。
聖水=塩水ってインプットされちゃってんだよね。
ま、聖水の作り方なんて、宗派毎に違うもんでしょうしね。
まあいいや、でも、私=聖水って故事付けだよね!」
幾らなんでも、故事付けにも程がある。
「故事付けだっていいんですよ。只の切っ掛けなんですから」
道君がふてくされてる。
可愛いな。
「でも、私じゃ、道君の隣にいるのは釣り合わないよ!
かといって、私は髪を染めるつもりもないし、華やかな化粧もするつもりもない。
華やかなハイスペックイケメンの道君には釣り合わないっていつも思っていた。」
「そんなに、見た目が・・・見た目のつり合いが大事ですか?
僕が清子さんを好きなだけじゃだめですか?」
嬉しいな。
でも、私にもポリシーってものがある。
「・・・あのね、昔ね、女の子が行方不明になったの
誘拐されたのか、事件に巻き込まれたのか、日本中が注目してね。
何日か経って見付かって、結局迷子だったんだけど、無事に保護されてメデタシ!メデタシ!で・・・
次のニュースで、今度は違う女の子が行方不明だったのね。
その子は茶髪で、おばあちゃんがこんな見た目だけど本当は良い子なんですなんて言って・・・
でも、おばあちゃんが「本当は良い子」なんて事を態々言うって事は、真面目な子って見られていなかったって事でしょ?
茶髪ってだけで、周りの人達から信用されていないって事だよね。
スタジオでも、どうせ遊び歩いているんでしょってコメントの後、直ぐニュースが切り替わったの!
同じくらいの年の女の子なのに、黒髪か茶髪かでこんなに扱いが違うのかと思ったよ!
人は見かけで判断してはいけないって解っていても、第一印象で決まるって言うよね。
見た目って、思っているより重要なんだよ!」
「貴女が、今のままの貴女でいたいという事と、僕の隣に立つのに華やかさが必要だって思うのは別物でしょ?
これから先、どうなるか分かりませんが、僕は清子さんと一緒に居たいです。
素のまま、そのままの清子さんが好きです。
清子さんじゃないと嫌なんです。
清子さん。
僕のお嫁さんになって下さい。」
結果として、吸血鬼としての特性が病気である可能性があるという事は、上層部に報告が上がっていなかった。
握りつぶされていたと言っても良いだろう。
高齢者にショックを与えないようにと耳障りの良いことを言っていたが、只々認めたくなかっただけであろう。
まともな人間なら、血を啜る行為に嫌悪感を感じるし、高齢者達の中には時代的に首を掻き切る行為もしたであろう・・・
「自分達は化け物なのだから!」と己に言い聞かせないと、精神的に破たんしていたのだろう。
病気だと認めてしまえば、人間を殺めた殺人者であるのだから・・・
しかし、悲痛な思いをせずに血を摂取していた若い世代は団結した。
一族の医者達に協力を仰ぎ、せめて我が子達には自分達のような思いをしないようにと、病の研究に協力的だ!
そして、そんな若い世代の纏め役には道君がなり、彼の妻として私が支えた。
まぁ、これから何十年も先の話であるが・・・
「清子さんの字はとても美しいんです。
携帯やパソコンばかりでみんな字を書かない所為か、今の人は字が汚い!
全身キラキラのブラント物で装備した、全身がギラギラしている女性に限って字が汚いんですよ。
せめて丁寧に書けば読めるのに、格好つけてサラサラ書いて読めないんです。
見た目を飾り立てて誤魔化す様な人って、中身は酷い欠陥品な事が多いですよね!
中身の方を少しは磨きやがれってなもんですよ!」
最近の道君は毒を吐く
そりゃーもう、真っ黒だ
離れたところから見れば、彼は明るく爽やかに微笑んでいる様子しか判からない。
うちの部署の者達は、人を見かけで判断しないようになったと言っている。
固定観念は良くない
タトゥーをしている人が全員怖い人だとは限らない。
大体そういう人は、怖がられないようにかえって礼儀正しいものだ。
ノリで入れて就活に支障が出て、慌てて消している人も多いとかと聞く。
かの有名な遠山金四郎は、若い頃入れた刺青を本当は隠していたらしい。
遊び人の金さんが、急きょ家を継ぐことになり大層慌てた。
お奉行様が刺青など以ての外なのだ。
ドラマと違い、コソコソ隠していたらしい。
「清子さん、清子さん。
母が清子さんを、早く連れて来いと煩いのです。
明日、時間はありますか?
迎えに行きますので、一緒に実家に行きましょう!」
はっはっはっ、此奴は何を言っているのか・・・
「お断りしま~す♪」
ショックを受けて、またフリーズしている道君は、放っておく(笑)
いきなり実家は、ハードルが高い!
せめて最初は食事会にして欲しい。
相手のホームグラウンドに、様子も見ずに突入できるかっ!
「何処かでランチなら、行きましょう。」
ぱぁぁっ!と効果音が聞こえるようなキラキラした笑顔で復活の道君。
決め手は「素のまま、そのまま」という言葉だ。
単純というなかれ!
人生、そんなもんだ。
自分の意志を貫き、その自分が好きだと言ってくれる道君に、プロポーズの返事をするのも近い・・・が、嫁姑の立ち位置を見極めるのが先だよね♪
【平凡を絵に描いたような人】とは正に私の事だろう。
容姿は至って普通。
黒髪黒目、中肉中背、髪の長さも肩まで。
ファッションセンスがある訳では無い。
着ている物は、ジーパンにブラウスかTシャツだ。
化粧とは綺麗になる為のものではなく、身だしなみである。
時間をかけて、化粧や髪のお手入れなぞしたことがない。
普通の中の普通!
THE平凡!
しかし、私の彼はハイスペックのイケメンで、私にベタ惚れである。
そして、自称吸血鬼である。
==========
2018年10月31日
アルファポリス投稿
もっちり道明寺♪作
容姿は至って普通。
黒髪黒目、中肉中背、髪の長さも肩まで。
ファッションセンスがある訳では無い。
着ている物は、ジーパンにブラウスかTシャツだ。
化粧とは綺麗になる為のものではなく、身だしなみである。
時間をかけて、化粧や髪のお手入れなぞしたことがない。
毎日毎日僕らは鉄板の~♪なんて歌の如く、『家』と『会社』と、時々『実家』
決まったコースをグルグルぐるぐる・・・
普通の中の普通!
THE平凡!
それが私である。
「あれ、清子さん、何で居るんですか?」
「私、居ちゃいけないの?」
「だって、今日、イベント行くんでしょ?
ハロウィ~~~ンの!」
「ハロウィ~~~ン!のイベントは行くけど、仕事の目処が付いていない後輩を残して行けないよ・・・」
「清子さん、やっさしぃ~♪
で、本音は?」
「気になって、思いっきり楽しめないじゃない(笑)」
「ま、確かに!」
「さ、チャッチャとやっちゃいましょ!」
可愛い後輩の仕事を手伝い1時間!
待ち合わせの時間を決めていた訳じゃないケド、ちょっと・・・いや、かなり待たせちゃってるかな?
仕方がない、埋め合わせを考えておくか・・・
そんなことを考えながら休憩室へと向かう私達。
「遅くなちゃいましたね、すみません!」
申し訳なさそうにしているケド、想定内の時間ではあるのだ。
しかし、そんな素振りを欠片も見せず
「いいのよぉ~、今度ランチ奢ってくれれば!」
なんて言ってみれば
「奢ります、奢ります! 魚河岸屋の賄い丼をセットでどうです? 好きでしょ?!」
おおおおおっ!
言ってみるもんだ!
「チョー好き!あれは傑作だよね!
味噌汁はあおさが良いな。
小鉢2つはなんだっけ?
あ、平日にしてよね!平日だと大盛が無料になるから、たっぷり食べられる♪」
好物ひとつで疲れも吹っ飛ぶ♪
「了解ですっ!では作戦実行は来週の水曜日でどうでしょう?
駅ビルがレディースデイなので、魚河岸屋は割と空いていますよ!」
よし、水曜日の朝食は控えめにしよう!
「OK!水曜日は早めに出るよ~♪まっかない丼!まっかない丼♪」
るんるん気分で休憩室へ向かえばそこにはMY彼と、他課の美人さんがいた・・・
「高橋君、今夜アタシとデートしない?」
おおっ?!
なんか、くねくねしながら向かいに座ったぞ?!
「清子さんとハロウィンイベントに行く約束なので、お断りします。」
今時、テーブルに両肘ついて、顎乗せて。
「あんな子やめて、アタシとパーティーしましょ?」
小首かしげて、あざと~い!
でも、男子は好きだよね! ああいうの・・・
「あんな子ですか・・・」
あれ?! なんか怒ってる?!
「アタシの方が貴方と並んで、絵になるわよ!美男美女でお・に・あ・い♪」
なんか人差し指、メトロノームみたいに振ってる!
昔の映画を見ているみたい(笑)
忘年会の出し物の練習かな?
「笑わせないでください!
彼女の美しさに比べれば、貴女なんて足元にも及ばない!」
「何ですって?!アタシよりあの子の方が美しいっていうの?!」
「そうですね、比べるなんて烏滸がましいですね!」
「此処に居る全員に聞いてみなさいよっ!
アタシの方が綺麗だって言うに決まってるわっ!」
「自意識過剰ですね!
良いでしょう! 貴女より美しい点をまず、3つ上げましょうか・・・」
な、何か喧嘩を始めたよ?
「まず1つ目『姿勢が美しい』!
いつも前向きという意味もありますが、判りやすく言えば背筋が伸びて颯爽と歩く姿はとても美しい!
せかせか歩いているわけではないし、お手本の様に背中に棒が1本入ったような歩き方でもない。
清子さんに聞いたのですが、彼女の歩き方は和服の歩き方が取り入れられているそうですよ!
たまに映画で本を頭に載せて歩く練習をしているのを見ますが、あれはドレスなどの洋装の歩き方だそうです。
頭の上から紐で吊り上げられる様に歩くのが洋服の歩き方。
対して、和服は胸で歩くそうです。胸の上部を顔だと思って歩くらしいです。
でも、和服では歩幅が狭い。彼女の歩き方は彼女の今までの生き方の集大成です。」
あれ?
言い争になってない?
「お茶、どうぞ!」
後輩ちゃんが、温かいほうじ茶を出してくれる。
「ありがと! ね、なんか言い争いになっているケド、止めた方が良いよね!」
「清子さん、あれ、何言っているのか聞こえないんですか?」
「聞こえるの?耳、良いね!
遠いし、早口だし、あんまりよくは聞き取れないな!
聞き耳立てるのは良くないしさ!」
「放って置いて大丈夫ですよ!
ちょっと一息入れましょうよ!
大事な事を話し合っているだけですよ。」
「2つ目は『肌が美しい』!
彼女は殆ど化粧はしていません。ナチュラルメイク風ではなく、ナチュラルメイクなんです。
これは普段の食べ物に影響されていますね!
バランスの良い食事が大事だと、皆が知っていますが実行できている人はどれだけいますか?
ダイエットだと言って野菜ばかり食べて肉を全く摂らないと、脂分がなくなり肌が荒れますよ?!
今の時代、食品添加物を全く摂らないなんて不可能です。
魚肉玉子、野菜は5色、一汁三菜、朝昼晩と食事をきちんと摂るだけでお肌の調子はかなり良くなります。
彼女の肌はもっちりもち肌、すべすべで健康的ですよ!」
段々とヒートアップしているケド、大丈夫かな?!
「清子さん、清子さん!」
つんつんと肩を突いてくる彼女は、チョー可愛い♪
真似しても、似合わないだろうなぁ・・・
「清子さん、基礎化粧品は何を使っています?」
「ビ〇レ、一択!」
「中学生かっ!」
「よく言われる・・・(笑)」
おっ、こっちに気付いた。
「清子さんっ!お疲れ様です!仕事は?」
ぴゅーって音が聞こえそうな速さで、こっちに向かってくるMY彼道君。
「ゴメンね道君、お待たせ!区切りついたから帰ろ?!」
結構待たせた自覚はある!
「すみません、少し待っててもらっていいですか?
今、清子さんがどれだけ美しい存在か説明の途中で・・「いらんっ!」」
何言ってくれてんの?この人っ!
「え~、此奴ら、清子さんの事が解っていないから説明しないと!
どれだけ清子さんが素敵な存在か知らしめないと!」
「い~ら~な~い~っって言ってるでしょ!
早く帰ろ! 遅れるよ!
吸血鬼の恰好するんでしょ?」
結構、必死に止める自分!
「そうでした!清子さんの可愛い魔女姿を堪能する時間が減ってしまう!
清子さん、僕、着替えてきますね!
下のエントランスで待ってますから!
慌てず、急がず、素敵に着飾ってくださいね~♪」
呆気に取られている間に、あっという間に居なくなっちゃった・・・
「清子さん、さっきの凄い惚気に一言どうぞ!」
手にしたサインペンをマイクに見立て、コッチに向けてくる。
「え~?!良く聞こえなかったわぁ~ さ、着替えてこよ!」
逃げるが勝ちとばかりに、さっさと廊下へ逃げ出した。
その後、道君は吸血鬼姿に着替えてから戻って来たらしい。
いつの間にか其処に居た道君。
にっこりと、そして淡々と告げたと言う
「先程の話の3つ目ですが、清子さんは下着で補正していませんよ。
制服の上からでは分からないかもしれませんが、私服だと一目で解ります。
補正なしであのスタイルです。
女性なら其れがどれだけ難しいことか判るでしょう?!
これだけ言ってもまだ、自分の方が美しいと言い張るのなら、補正下着なしの素っぴんで出勤してきて下さい。
就業前に確認してあげますよ。」
にっこりと、冷たい目で、見下すように告げた道君は、壮絶に美しく、吸血鬼姿と相まってリアルな恐怖を感じたらしい。
気が付いた時には姿が無かったらしく、私がその事を聞いたのは、随分と後になってからだった。
「おおおっ、壮観だねぇ・・・」
古今東西、未確認生物の仮装した人間で溢れているよ!」
「清子さん、未確認生物って・・・」
あきれた声でつぶやく道君・・・
「だってドラキュラ伯爵にフランケン・シュタイン、ジャック・オウ・ランタン!
皆が知っているケド、存在を確認されていないじゃん。
だから、未確認生物でしょ?!」
此処の会場は、コスプレ禁止!
主催者が言うには「コスプレしたいだけなら他所に行け!」と、ハロウィンに相応しくない仮装はお断りしている。
魔女はOKだが、魔女っ娘や魔法少女はお断りらしい!
「洋物オバケばかりだと思ったら、日本産まで居るよ?
ほら、あそこに親父さんを頭に乗せた鬼〇太郎がいる!
あのゾンビ、メイクが凝ってるねぇ・・・
あ!あっちの女性、マミイの仮装している! 度胸あるなぁ・・・」
要するに、和・洋・中などの不思議生物は可!
「おおおっ、キョンシーが居る! 物凄い運動量だね!」
ビョンビョンと跳ねている姿はさぞかし良い運動になる事だろうと思う。
「よぉ、そこの吸血鬼~! 彼女かい?!」
いきなり、背の高い吸血鬼に声を掛けられる。
「従兄さん! 居たの?!」
へ? お兄さん?
「ひでぇ・・・いちゃ悪いか? ウチの親戚、何人も来ているよ!」
と言いながら道君の肩をバシバシ叩く吸血鬼・・・
「お~。お前らも来ていたのか!」
わらわらと寄ってくる、他の吸血鬼!
その数6人(+道君)
「なに?今年は親戚一同吸血鬼で行こうって決めたの?」
総勢6人の吸血鬼に囲まれた道君の後ろに隠れる私!
「いえ、ウチは大体毎年みんな吸血鬼です。」
今年のテーマじゃないんだ・・・
「吸血鬼が好きなんだね・・・」
「紹介しろよ~」とか「おじさんたちには紹介したのか~?!」と、うるさくなってきたので逃げる。
するとまた、違う親戚が寄ってくる。
逃げる。
するとまた・・・
「帰ろうか・・・」
「すみません、ウチの親戚一同がお邪魔をして。」
「ウチで仕切りなおそっか!」
「はい?」
ハイスペックなイケメン男子の高橋道輝君の噂は聞いていた。
優秀な人材が揃っていると評判な年代の中でも、彼は群を抜いていると評判だった。
そんな彼が、ある日仕事の帰りに声を掛けてきた。
「髙橋さん」と声を掛けられ、小走りで駆け寄ってくる彼。
「おや、高橋さんお疲れ様です。」と、形式的に返事をする私。
「お急ぎでなければ、少々お時間を頂けませんか?」と、恐る恐る尋ねられた。
怖い先輩だと思われているのかと、少しショックを受けながら、さりとて独り暮らしの我が身なれば夕飯のおかずを考えながらの帰宅である。
冷蔵庫と相談の上、目玉焼き丼を回避したくば買い物をして帰らずにはいられない。
如何なものかと思案中であった為、時間的には問題はない。
「何か相談事でもあるなら聞くよ?」
直の先輩じゃ聞きにくい事もあろうかと話を振れば
「お付き合いをお願い致します。」と、真摯に頭を下げられる始末。
そんなに重い相談事かと思いきや、「結婚を前提に!」
「・・・・・・・・・は?」
彼の事は優秀だと評判だったために、知ってはいたが話したことはなかった。
直接、話したことが無かったんだよ?!
それをいきなり結婚を前提にお付き合いの申し込みなんて何の冗談かと思うよね!
「えーっと、何かの罰ゲーム?」
「違います。」
「じゃ、ドッキリだ!」
「違います。」
「どっかに、動画を撮っている人がいるんでしょ?」
「いません。」
「じゃ、何のために?」
「僕は真面目にお付き合いの申し込みをしているのに、何で信用してくれないんですかっ?!」
「いやいやいや、私みたいな何処にでもいる平凡な女に、真面に話したことのないハイスペックイケメンがお付き合いを申し込むなんて、悪い冗談以外の何物でもないでしょ?!」
真剣に交際を求める彼と、冗談にしか思えない私。
段々とヒートアップしていく私達に「はい、そこまで!」肩をつかんだのは・・・お巡りさんだった・・・
駅に向かう通りで繰り広げられる言い争いに、邪魔だから退かして欲しいと交番に駆け込んだ人がいたらしい。
一気に血の気が引いた私は貧血を起こしかけ、結局交番のお世話になってしまった。
少し休ませてもらい、簡単な事情聴取を受け、すっかり意気消沈し帰ろうとした私に、「ご飯に行きましょう」と言われ、思考回路が停止していた私はおとなしく付いて行ったのだった。
「なんで私?
普通の極みなあたしに、結婚を前提なんていきなり重い事言うの?」
恐る恐る聞く私に、堂々と答える高橋さん。
「普通の何がいけないんですか?
普通の極みって言い方、凄いですね。
でも、普通を極めたって事がどれだけ凄いか判かっていないでしょ?
早寝早起きして、睡眠ちゃんと摂れていますよね?
そして、バランスの良い食事を三食必ず摂っているのも知っています。
今の時代、それが出来ている人がどれだけいると思っていますか?」
おや、思っていたのとチョット違うかな?
「一般的ではないけど、内面をみて判断したって事?」
それなら、嬉しいかも・・・
「いいえ、外見も素敵ですよ」
それはない!
「お世辞はいらんっ!」
お世辞以外の何物でもないだろうがっ!
「お世辞じゃありませんよ!
素肌を生かした自然な化粧だから、肌が荒れていないし化粧品の香料の臭いがしない。
肌はもっちりもち肌で、爪も何か塗っているわけではないのに健康的なピンク色。
髪は染めていないですよね?!しっとり艶やかなのに、触れるとふわふわ。
太過ぎず細過ぎず、健康的な体形を維持しています。
ジーンズだって、ちゃんとサイズがあっているから、足のラインが綺麗に出ている
特に香水やコロン等を付けていないのがとても良い。
かぐわしい香りです。」
チョット引いた・・・
「当たり前の生活をすればこんなにも人は美しくなるのだという見本のような人だと思います。」
「・・・ありがとう?!」
なんて、つらつらと付き合い始めた頃の事を考えながら、買ってきたお惣菜をテーブルに並べ、飲み物を用意する。
道君を部屋に上げたのは初めてで、パーティーの前にはこんなの予定には無かった訳で、きっとパーティーの余韻とアルコールでフワフワしてたのだと思う。
そして乾杯し、へらへらとパーティー前に何を話していたのかを聞いて、恥ずかしくて、挙動不審になって、ポヤポヤしてしていたらいきなり道君が叫びだした。
「あ~も~、可愛いっ、カワイイっ、かわいい~~~っっっ!
丸かじりしたいっ! よし、齧っちゃお~っ」
へっ? 齧るの?!
炬燵テーブルの向こうから道君が抱きついてきて、首筋を甘噛みし始めた。
ハムハム
かりっ
かぷっ
あ~ん・・・
ふと見た姿見に映る、道君の姿・・・
口を大きく開けて、目は赤く充血してる姿に思わずゾッとし
「かっ」
「か!?」
「食人嗜食~っ?!」
「違いますよっ!!」
すかさず突っ込み、私ビックリ!
「おかしいとおもったんだ!おかしいとおもったんだ!体型だの、手触りだの、匂いだの言っていたけど、えっちい意味かと思ってたけどっ、只の自分好みなんだっ!
薬を飲まないとか、血液サラサラとか拘ったのは、自分好みに味付けするんだっ!
注文の多い料理店だっ!」
「人なんて食べませんよっ」
「ミノタウロスの皿だっ」
「ミノタウロス・・・?
・・・って、マニアックな!
それに、あれはヒロイン、喜んで食べられてんじゃないですかっ!
食べられてくれるんですか?」
「マニアックって、解かるあんたも大概だわ!」
「ミュージアムに行ったことがあれば、知っているでしょ!」
「タイトルまで覚えている人はあまりいないわよ!」
「兎に角何で人喰い扱いなんですか?
あんなに前振りあったんだから、吸血鬼だと思うんじゃないですか?」
「齧ろうとしていたじゃん。
首がこそばゆかったし、吸血鬼じゃなくて蚊の間違いでしょ!」
「ひどっ!蚊の扱いは酷いです!」
「あくまで、吸血鬼と言い張るかっ!
イメクラごっこするつもりは「ホントに吸血鬼なのっ!」ないないない!」
「信じてぇ~~~っっ!」
最後にはアルコールの力もあってか、道君ったら、めそめそめそめそ・・・
「・・・わかった、わかった。
つまりは病気か・・・遺伝すると困るな」
「・・・結婚してくれるつもりはあるんですね・・・
でも、頭がおかしい訳でも「病気でしょ?」病気じゃな「感染症!」・・・・・・・・・は?」
「吸血鬼って、吸血衝動が起きる体液感染の病気じゃないの?
血を媒介にしているし、病気が劣化した状態で感染したのが吸血鬼化した僕でしょ?
血を吸われなければ吸血鬼化しないじゃん。
ニンニクは 嗅覚が過敏になる症状ってトコ?
十字架が弱点って事に関しては、キリスト教の象徴だから宗教的団結力を恐れていた説があるよ。
太陽の光で火傷する病気は存在しているし!
聖水は、塩水じゃん?!塩水吹っ掛けられりゃ誰でもダメージ大だよ。
鏡に映らない説は、吸血鬼って夜に訪れるからさ。
昔の鏡って今ほど綺麗に映らないし、蝋燭の灯りだったから暗くてよく見えなかったんじゃないの?」
道君は、眼を丸くして、フリーズしている・・・
「あれだ、海外のニュースでさ。
若い男が犯罪を犯して悪魔の仕業だっていっているけど、我々からすると単に殺人衝動が抑えられなかっただけ。
でも、本人は本気で悪魔の仕業だとおもっている。
それと同じ。
吸血鬼になったって思い込んでいる。
現代の視点で見れば、特殊な症状が出る病気だよ。」
道君は、真剣な顔をして聞いていた。
「低体温だから脈拍遅いんじゃないかな?
不老不死の所以はそれじゃないかな?
信長で有名な『敦盛』 あれにもあるじゃん。人間50年~って!
そんな時代に70歳とか、チョー長生きじゃん?!
100歳まで生きれば同年代なんかいないだろうし、不老不死なんて言われるんじゃないの?」
道君は、正座をして、こっちを向いていた。
「人と違えば病院なんて行きにくいよね?
会社や学校の健康診断はどうしているの?」
道君は少し考えてから、静かに答えてくれた。
「健康診断なんて、身長体重くらいですから。
マズイのは血液検査位ですか。
会社の上層部に、一族の者がいます。
ウチの会社は一族の持ち物って訳じゃないのですが、御用達みたいな感じで、世代毎に一人は居るんです。
医者をしている者が何人かいるので、彼らがいる病院で健康診断をするように持って行っています。
そもそも、病院に行かないように食事や体調管理に気を使う者が多いです。
長生きで痴呆になったら堪ったもんじゃないので、定年後にはボケ防止の為に仕事を与えられますしね。
仕事なら責任がありますので、趣味の外出の様に今日は辞めるなどとはできませんから・・・」
何かを諦めたような道君の姿は、ちょっと可愛い。
「そりゃ、長生きするわ。
そのお医者さんになった人とかは気が付いていると思うよ?
一族の上層部とかは報告を受けていると思うし・・・
まぁ、ホントに病気だった場合に限るけどね・・・」
もう夜も遅い。
ゆっくり食事をして、今日はもう、泊まっていってもらおう。
そんな風に思っていた私に、道君はそっと話し始めた。
「切っ掛けは、貴女の名前なんです。
凄い名前の人がいるな・・・と・・・」
凄い? 凄いか?
チョッと読み方は変わっているとは思うけど・・・
「高橋という名は日本で3番目に多い苗字ですが、【髙】は【高】の字の口の場所に梯子が掛かっています。
この梯子は「天まで通じる柱」と言う意味で、神職に関係した職業の方が多く使っていた文字なんです。」
へー、そんな由来があるんだ・・・
認印なんかは【高橋】を買って使ってるんだよね。
宅配なんかは三文判で問題ないし!
100均なんかでも【高橋】なら、幾らでも売っているからねぇ・・・
「そして、清子さんの名前。
澄んでいるという意味の【青】に水を現す【さんずい】を組み合わせた【清らか】という意味。
【子】の字は漢数字の【一】と終了の【了】の字から出来ているから、一生涯を意味し、つまりその人の存在そのものを意味します。
ご両親は【清く正しく美しく】【一生を過ごす】育って欲しいという願いを込めているのでしょう。
けれども僕にとっては、髙橋清子の名前の意味は【神聖な水】=【聖水】なんです。」
真面目に話している道君には悪いけど。
「・・・私、塩水?」
「何でさっきから聖水=塩水なんですかっ?
聖水が塩水って、聞いたことが無いんですけどっ?!」
おっ、調子が戻って来たかな?
突っこみが冴えてるね♪
「昔、聖水を作るのを何かで見て、お祈りした水に塩を入れているのを見たからさ。
聖水=塩水ってインプットされちゃってんだよね。
ま、聖水の作り方なんて、宗派毎に違うもんでしょうしね。
まあいいや、でも、私=聖水って故事付けだよね!」
幾らなんでも、故事付けにも程がある。
「故事付けだっていいんですよ。只の切っ掛けなんですから」
道君がふてくされてる。
可愛いな。
「でも、私じゃ、道君の隣にいるのは釣り合わないよ!
かといって、私は髪を染めるつもりもないし、華やかな化粧もするつもりもない。
華やかなハイスペックイケメンの道君には釣り合わないっていつも思っていた。」
「そんなに、見た目が・・・見た目のつり合いが大事ですか?
僕が清子さんを好きなだけじゃだめですか?」
嬉しいな。
でも、私にもポリシーってものがある。
「・・・あのね、昔ね、女の子が行方不明になったの
誘拐されたのか、事件に巻き込まれたのか、日本中が注目してね。
何日か経って見付かって、結局迷子だったんだけど、無事に保護されてメデタシ!メデタシ!で・・・
次のニュースで、今度は違う女の子が行方不明だったのね。
その子は茶髪で、おばあちゃんがこんな見た目だけど本当は良い子なんですなんて言って・・・
でも、おばあちゃんが「本当は良い子」なんて事を態々言うって事は、真面目な子って見られていなかったって事でしょ?
茶髪ってだけで、周りの人達から信用されていないって事だよね。
スタジオでも、どうせ遊び歩いているんでしょってコメントの後、直ぐニュースが切り替わったの!
同じくらいの年の女の子なのに、黒髪か茶髪かでこんなに扱いが違うのかと思ったよ!
人は見かけで判断してはいけないって解っていても、第一印象で決まるって言うよね。
見た目って、思っているより重要なんだよ!」
「貴女が、今のままの貴女でいたいという事と、僕の隣に立つのに華やかさが必要だって思うのは別物でしょ?
これから先、どうなるか分かりませんが、僕は清子さんと一緒に居たいです。
素のまま、そのままの清子さんが好きです。
清子さんじゃないと嫌なんです。
清子さん。
僕のお嫁さんになって下さい。」
結果として、吸血鬼としての特性が病気である可能性があるという事は、上層部に報告が上がっていなかった。
握りつぶされていたと言っても良いだろう。
高齢者にショックを与えないようにと耳障りの良いことを言っていたが、只々認めたくなかっただけであろう。
まともな人間なら、血を啜る行為に嫌悪感を感じるし、高齢者達の中には時代的に首を掻き切る行為もしたであろう・・・
「自分達は化け物なのだから!」と己に言い聞かせないと、精神的に破たんしていたのだろう。
病気だと認めてしまえば、人間を殺めた殺人者であるのだから・・・
しかし、悲痛な思いをせずに血を摂取していた若い世代は団結した。
一族の医者達に協力を仰ぎ、せめて我が子達には自分達のような思いをしないようにと、病の研究に協力的だ!
そして、そんな若い世代の纏め役には道君がなり、彼の妻として私が支えた。
まぁ、これから何十年も先の話であるが・・・
「清子さんの字はとても美しいんです。
携帯やパソコンばかりでみんな字を書かない所為か、今の人は字が汚い!
全身キラキラのブラント物で装備した、全身がギラギラしている女性に限って字が汚いんですよ。
せめて丁寧に書けば読めるのに、格好つけてサラサラ書いて読めないんです。
見た目を飾り立てて誤魔化す様な人って、中身は酷い欠陥品な事が多いですよね!
中身の方を少しは磨きやがれってなもんですよ!」
最近の道君は毒を吐く
そりゃーもう、真っ黒だ
離れたところから見れば、彼は明るく爽やかに微笑んでいる様子しか判からない。
うちの部署の者達は、人を見かけで判断しないようになったと言っている。
固定観念は良くない
タトゥーをしている人が全員怖い人だとは限らない。
大体そういう人は、怖がられないようにかえって礼儀正しいものだ。
ノリで入れて就活に支障が出て、慌てて消している人も多いとかと聞く。
かの有名な遠山金四郎は、若い頃入れた刺青を本当は隠していたらしい。
遊び人の金さんが、急きょ家を継ぐことになり大層慌てた。
お奉行様が刺青など以ての外なのだ。
ドラマと違い、コソコソ隠していたらしい。
「清子さん、清子さん。
母が清子さんを、早く連れて来いと煩いのです。
明日、時間はありますか?
迎えに行きますので、一緒に実家に行きましょう!」
はっはっはっ、此奴は何を言っているのか・・・
「お断りしま~す♪」
ショックを受けて、またフリーズしている道君は、放っておく(笑)
いきなり実家は、ハードルが高い!
せめて最初は食事会にして欲しい。
相手のホームグラウンドに、様子も見ずに突入できるかっ!
「何処かでランチなら、行きましょう。」
ぱぁぁっ!と効果音が聞こえるようなキラキラした笑顔で復活の道君。
決め手は「素のまま、そのまま」という言葉だ。
単純というなかれ!
人生、そんなもんだ。
自分の意志を貫き、その自分が好きだと言ってくれる道君に、プロポーズの返事をするのも近い・・・が、嫁姑の立ち位置を見極めるのが先だよね♪
【平凡を絵に描いたような人】とは正に私の事だろう。
容姿は至って普通。
黒髪黒目、中肉中背、髪の長さも肩まで。
ファッションセンスがある訳では無い。
着ている物は、ジーパンにブラウスかTシャツだ。
化粧とは綺麗になる為のものではなく、身だしなみである。
時間をかけて、化粧や髪のお手入れなぞしたことがない。
普通の中の普通!
THE平凡!
しかし、私の彼はハイスペックのイケメンで、私にベタ惚れである。
そして、自称吸血鬼である。
==========
2018年10月31日
アルファポリス投稿
もっちり道明寺♪作
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