32 / 239
第32話 夢のハーレム冒険者パーティーでござるよぉお!
しおりを挟む
賢者の石。
それは所持する者に永遠の命を授け、死者をも蘇らせることができると云われている魔法の石。古今東西の権力者たちが求めてやまないものでした。
ただの伝説でしかないと考えられていたそれは、最近になって現実に存在するものと考える者が多くなっています。
その主な原因は、今は亡きセイジュー神聖帝国の皇帝が、賢者の石を入手するために大規模な兵力を動員したことにありました。
ドラン会戦で決定的な敗北を喫するまでは、破竹の勢いで多くの国々を侵攻していたセイジュー皇帝。
このままいけば確実に大陸の覇者となるであろう皇帝が、賢者の石を探し求めると言う行動に出たことは、権力者であれば誰もが納得できるものでした。明らかに戦略的価値のないある地域に、皇帝が幾度となく大兵団を送り込んだ事実。それは、権力者たちに賢者の石の実在を確信させるのに十分なものだったのです。
「ふーむ。なるほど。そうなのでござるか(棒)」
ユリアスから、賢者の石について詳しい話を聞いていたキモヲタですが、まったく興味が湧くことはありませんでした。
そんなキモヲタの様子に、ユリアスは落胆するどころか安堵の表情を浮かべます。ユリアスはキモヲタに顔を近づけると、そっと小声で話しかけました。
「これは内密に進めている話なので、他言無用でお願いしたいのですが……」
ユリアスの美しい顔が目の前に来たことにドギマギするキモヲタ。その目線は、ユリアスの桃色の唇に釘付けになってしまいました。
アワアワとキョドるキモヲタを見て、それを了承と勘違いしたユリアスが耳元で囁きます。
「我が主君であるフェイルーン子爵が、賢者の石が存在する確実な情報を入手され、これを手に入れる決断を下されました。他の貴族に悟られることのないよう、内密で進めていく必要があるため、少人数の精鋭を派遣することになったのです」
ユリアスの話によると、古代の魔導書に「賢者の石が力を発揮する際には激しい青い光を放つ」と記されており、その光らしきものを目撃したという証言が数多く集まっているようでした。
そのひとつは、アシハブア王国の王都ハルバラルト。王都に突如として出現したドラゴンによって引き起こされた「王都騒乱」では、ドラゴンが出現する直前に、青い光が輝くのを見たという多くの証言がありました。
もうひとつは、ドラン会戦での出来事。セイジュー皇帝が敗走した後の戦場で、何度も青い光を目撃したという兵士たちの証言がありました。
またこの戦いにおいては、戦場の大半が幼女になるという幻影魔法が使われたとも言われており、その魔力の源泉が賢者の石ではないかとも考られていました。
さらにドラン公国と国境を接するアシハブア北部では、度々ドラゴンや巨大なグレイベアが目撃されており、それらが出現する直前にも青い光が目撃されていたのです。
「他にも、ルートリア連邦中央部の大森林にいる魔神が、賢者の石を所持しているという噂があります。私たちはそちらに調査に向い、可能であれば賢者の石を入手せよとの命を受けております」
「その賢者の石の探索に我輩を同行させたいと? 他には誰が参加するのでござるか?」
何ならユリアスと二人きりがいいなぁと思うキモヲタでした。
焚火を前に見つめ合うキモヲタとユリアス。裸で見つめ合う二人、裸で抱き合う二人、裸で……。
「私とキモヲタ殿の他に、二名の同行者を予定しております。もし、そちらの奴隷をお連れするのであれば三人ということになりますね」
キモヲタの妄想は、あっさりと打ち砕かれてしまったのでした。
「一人は私の部下でセリア・アルトワイズという魔法剣士です。もう一人ですが、ルートリア連邦の森に詳しいレンジャーの女性を誘っているところです」
キモヲタのエロ感知アホ毛がピンッと立ちました。
(ユリアス殿の部下となれば白バラ騎士団。しかもセリアと言う名前からして間違いなく女性。もうひとりのレンジャーも女性。キーラ殿は女の子。つまり、これは、もしかすると、もしかして、いや間違いない。これは異世界転移者たる我輩が担うべき逃れ得ぬ運命……ハーレムパーティーではござらんかぁああ!)
キモヲタはガシッとユリアスの手を掴むと、大声で自分の決意を述べました。
「承りました! 改めてこのキモヲタ。ユリアス殿のお役に立たせていただきますぞ!」
こうして、男一人に女性四人のハーレムパーティーと勘違いしたキモヲタは、賢者の石の探索に同行することになったのでした。
「それで? いつ出発でござるか!? デュフコポー」
一刻も早くハーレムパーティーを経験したいキモヲタ。息を荒らげながらユリアスに詰め寄ります。
急に身体を近づけてくるキモヲタに驚いたのか、ユリアスが顔をポッと赤らめました。
「レンジャーの女性の参加が確認でき次第ということになりますが、おそらく週明けには出発できると思います」
その週末、キモヲタは出発のときをワクワクしながら待ちわびるのでした。
一方キーラといえば、正直なところ今回の探索には反対でした。せっかく安定した生活基盤を築きつつあったのに、それを放棄することになるのが嫌だったのです。とはいえ奴隷紋がある以上、キモヲタの意向に逆らうことはできません。
「まぁ、仕方ないか」
せめてもの腹いせにと、その日以降、朝のサービスチラ見せをやめてしまったキーラなのでした。
それは所持する者に永遠の命を授け、死者をも蘇らせることができると云われている魔法の石。古今東西の権力者たちが求めてやまないものでした。
ただの伝説でしかないと考えられていたそれは、最近になって現実に存在するものと考える者が多くなっています。
その主な原因は、今は亡きセイジュー神聖帝国の皇帝が、賢者の石を入手するために大規模な兵力を動員したことにありました。
ドラン会戦で決定的な敗北を喫するまでは、破竹の勢いで多くの国々を侵攻していたセイジュー皇帝。
このままいけば確実に大陸の覇者となるであろう皇帝が、賢者の石を探し求めると言う行動に出たことは、権力者であれば誰もが納得できるものでした。明らかに戦略的価値のないある地域に、皇帝が幾度となく大兵団を送り込んだ事実。それは、権力者たちに賢者の石の実在を確信させるのに十分なものだったのです。
「ふーむ。なるほど。そうなのでござるか(棒)」
ユリアスから、賢者の石について詳しい話を聞いていたキモヲタですが、まったく興味が湧くことはありませんでした。
そんなキモヲタの様子に、ユリアスは落胆するどころか安堵の表情を浮かべます。ユリアスはキモヲタに顔を近づけると、そっと小声で話しかけました。
「これは内密に進めている話なので、他言無用でお願いしたいのですが……」
ユリアスの美しい顔が目の前に来たことにドギマギするキモヲタ。その目線は、ユリアスの桃色の唇に釘付けになってしまいました。
アワアワとキョドるキモヲタを見て、それを了承と勘違いしたユリアスが耳元で囁きます。
「我が主君であるフェイルーン子爵が、賢者の石が存在する確実な情報を入手され、これを手に入れる決断を下されました。他の貴族に悟られることのないよう、内密で進めていく必要があるため、少人数の精鋭を派遣することになったのです」
ユリアスの話によると、古代の魔導書に「賢者の石が力を発揮する際には激しい青い光を放つ」と記されており、その光らしきものを目撃したという証言が数多く集まっているようでした。
そのひとつは、アシハブア王国の王都ハルバラルト。王都に突如として出現したドラゴンによって引き起こされた「王都騒乱」では、ドラゴンが出現する直前に、青い光が輝くのを見たという多くの証言がありました。
もうひとつは、ドラン会戦での出来事。セイジュー皇帝が敗走した後の戦場で、何度も青い光を目撃したという兵士たちの証言がありました。
またこの戦いにおいては、戦場の大半が幼女になるという幻影魔法が使われたとも言われており、その魔力の源泉が賢者の石ではないかとも考られていました。
さらにドラン公国と国境を接するアシハブア北部では、度々ドラゴンや巨大なグレイベアが目撃されており、それらが出現する直前にも青い光が目撃されていたのです。
「他にも、ルートリア連邦中央部の大森林にいる魔神が、賢者の石を所持しているという噂があります。私たちはそちらに調査に向い、可能であれば賢者の石を入手せよとの命を受けております」
「その賢者の石の探索に我輩を同行させたいと? 他には誰が参加するのでござるか?」
何ならユリアスと二人きりがいいなぁと思うキモヲタでした。
焚火を前に見つめ合うキモヲタとユリアス。裸で見つめ合う二人、裸で抱き合う二人、裸で……。
「私とキモヲタ殿の他に、二名の同行者を予定しております。もし、そちらの奴隷をお連れするのであれば三人ということになりますね」
キモヲタの妄想は、あっさりと打ち砕かれてしまったのでした。
「一人は私の部下でセリア・アルトワイズという魔法剣士です。もう一人ですが、ルートリア連邦の森に詳しいレンジャーの女性を誘っているところです」
キモヲタのエロ感知アホ毛がピンッと立ちました。
(ユリアス殿の部下となれば白バラ騎士団。しかもセリアと言う名前からして間違いなく女性。もうひとりのレンジャーも女性。キーラ殿は女の子。つまり、これは、もしかすると、もしかして、いや間違いない。これは異世界転移者たる我輩が担うべき逃れ得ぬ運命……ハーレムパーティーではござらんかぁああ!)
キモヲタはガシッとユリアスの手を掴むと、大声で自分の決意を述べました。
「承りました! 改めてこのキモヲタ。ユリアス殿のお役に立たせていただきますぞ!」
こうして、男一人に女性四人のハーレムパーティーと勘違いしたキモヲタは、賢者の石の探索に同行することになったのでした。
「それで? いつ出発でござるか!? デュフコポー」
一刻も早くハーレムパーティーを経験したいキモヲタ。息を荒らげながらユリアスに詰め寄ります。
急に身体を近づけてくるキモヲタに驚いたのか、ユリアスが顔をポッと赤らめました。
「レンジャーの女性の参加が確認でき次第ということになりますが、おそらく週明けには出発できると思います」
その週末、キモヲタは出発のときをワクワクしながら待ちわびるのでした。
一方キーラといえば、正直なところ今回の探索には反対でした。せっかく安定した生活基盤を築きつつあったのに、それを放棄することになるのが嫌だったのです。とはいえ奴隷紋がある以上、キモヲタの意向に逆らうことはできません。
「まぁ、仕方ないか」
せめてもの腹いせにと、その日以降、朝のサービスチラ見せをやめてしまったキーラなのでした。
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる