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第42話 コボルト村
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昼食後に奥部屋でメンバー会議を開く。出席しているのは俺、マーカス、ネフュー、ヴィル、ロコ、ステファンである。
招集をかける際、ライラにお願いして女性たちを洞窟前広場に集めて、村の現状と課題について話し合ってもらうことにした。
最初は分けたりしていなかったのだけど会議を繰り返しているうちに、この村に根を張ろうとしている者とそうでない者との意見の差が目立つようになってきたからだ。
カレンとエルザそしてミモザはいつかはこの村を出て行くつもりのようで、その際にマーカスやヴィルも一緒に来てくれると考えているのが垣間見えた。
彼女たちの意見も尊重するつもりだけど、やはり村のことはこの村に根を下ろす覚悟を決めたメンバーで決めていきたい。ハッキリ言うと、マーカスとヴィルが救出してきた女性たちは、俺の中ではあくまで客人であり家族ではないのだ。
ええ、ええ、本当は【幼女化】に協力して貰っていた頃に嫌な顔されてたこととか、天の岩戸事件のときに「生理的に無理」とか言われたこととか、俺を未だにイチャラブ四面楚歌に追い込んでくることとか、そういうことが心に引っ掛かっていますぅ。〇〇タマの小さい男のひがみですぅ。ソレガナニカ?
「周辺探索と警戒はネフュー、村の防衛対策と建設をマーカスとロコ、資材の購入をステファン、俺とヴィルは手が必要なところにお手伝いってことでいい?」
会議メンバーの全員が頷く。
「それじゃ今日は以上です! みなさんお疲れ様でした」
俺は500ml缶ビールをみんなに手渡していく。ちなみに外の女性陣たち用には午前ティーとチョコクッキーをライラに持たせてある。
「かっー! この喉越しが溜まらん!」
マーカスはぐいっとビールを煽る。配達受け取りから二時間は立っていたが、佐藤さんが気を利かせてドライアイスを用意してくれていたので、ビールはまだキンキンに冷えていた。
「ぼくはこの柿の芽が好きだな。豆もおいしいけど、この辛いのが癖になるよ」
ネフューがポリポリと音を立てながら感想を述べる。
「それにしてもシンイチ様のお取り寄せになられるものは、いずれも眼を見張るものばかりですね。どの品ひとつとっても、王侯貴族たちが大金を叩いても手に入れたいと思うものばかりですよ」
ステファンが俺も考えていたことを言った。
「まぁ、何とかお金にできればと考えてはいるんだけど」
「確かに大金が手に入るかもしれねぇが、ここでしか手に入らないと知られたら、色んな連中に目を付けられちまうだろうなぁ。この缶ビール1本のためだけでも、この村を襲撃する理由になるだろうぜ」
マーカスが俺の缶ビールを欲しそうに見ながら言う。やらんけど。
「ぼくもそう思う。特に調味料はみな喉から手を出してでも欲しいはずだ。あのゆず塩コショウとポン酢というのは大金貨とでも交換できるだろう」
ネフューはポン酢にめちゃくちゃハマっていて、最近は食事の全ての品に掛けているほどだ。
「ブギーマン、うまい、コボルト、スキ、あじ」
もしやと思い、ドッグフードのブギーマンをロコに試食してもらったら大層好評だった。ペットの餌だということは内緒にしている。
「食べ物や調味料も素晴らしいですが、この美しい紙束とエンピーツも素晴らしいです。大金貨に値する品物ですよ」
そう言ってステファンは皮紐が付いたスケッチボードを肩に掛ける。スケッチボードの下方に付けられた紐を器用に左肘に通し、下方に引っ張っることでボードを安定させていた。
「ネフューさんが作ってくれたこの板を使えば、こうやって立ったままでも文字や絵図を描くことができるんです」
「おぉ、エルフ印のスケッチボードか」
俺の高評価に対してネフューの顔にちょっとだけドヤ顔が浮かんだ。普通の人が見たら気づかないかもしれないが俺は見切ったね。
俺がステファンのスケッチブックを覗き込むとコボルト村の地図が描かれていた。洞窟内部まで丁寧に表現されている。
「凄いなこれ! ステファンって絵の才能があるんじゃないの?」
「いや、これでも一応貴族出身なので、子どもの頃に絵を嗜んでいただけですよ」
「そうなの? それにしてもこれいいなぁ。村の設計とか色々使い出がありそう。後で少し借りてもいい?」
「ええ、もちろんです」
佐藤さんに頼んでコピーして貰えるか聞いてみよう。スケッチ自体は渡せないだろうけど、写メしてもらってそれをコピーしてもらうとか……。
(それでしたら、わたしの方でコピーしておきましょうか?)
(えっ? いいの?)
(ええ、大丈夫ですよ。スケッチを正面に持ってまっすぐ見つめてください)
「ステファン、今、そのスケッチ借りても良い?」
「どうぞ」
ステファンからスケッチブックを受け取った俺はそれを正面に持ってまっすぐと見つめる。
(OKです。明日の配送時に持っていきますね。コピーは何枚必要ですか?)
(んー、A3を50枚とかでも大丈夫?)
(EONポイントを1000ポイント消費しますがよろしいですか?)
(お願い。ココロチンがコピーに行ってくれるんだよね。ありがとね。あっ、明日の注文には乳酸菌入りヨーグルト入れとくからそれ取っといて)
(いえ、賄賂を受け取るわけには……)
(ただのお礼だから気にしないで。ずっとお世話になってばかりなんだし、コピーなんて俺の方が気が引けちゃうから)
(そうですか、では頂いておきますね)
(どうぞどうぞ)
ククク、こうして少しずつ賄賂漬けにしていってココロチンを俺の運命共同体に引き込んでいくのだよ。
(聞こえてますからね)
(うひぃぃ、ごめんなさい)
(まぁヨーグルトは頂いておきますけど……手間賃です)
(あっ、はい)
翌日の配送時にはちゃんと村の地図のコピー50枚が届けられた。
招集をかける際、ライラにお願いして女性たちを洞窟前広場に集めて、村の現状と課題について話し合ってもらうことにした。
最初は分けたりしていなかったのだけど会議を繰り返しているうちに、この村に根を張ろうとしている者とそうでない者との意見の差が目立つようになってきたからだ。
カレンとエルザそしてミモザはいつかはこの村を出て行くつもりのようで、その際にマーカスやヴィルも一緒に来てくれると考えているのが垣間見えた。
彼女たちの意見も尊重するつもりだけど、やはり村のことはこの村に根を下ろす覚悟を決めたメンバーで決めていきたい。ハッキリ言うと、マーカスとヴィルが救出してきた女性たちは、俺の中ではあくまで客人であり家族ではないのだ。
ええ、ええ、本当は【幼女化】に協力して貰っていた頃に嫌な顔されてたこととか、天の岩戸事件のときに「生理的に無理」とか言われたこととか、俺を未だにイチャラブ四面楚歌に追い込んでくることとか、そういうことが心に引っ掛かっていますぅ。〇〇タマの小さい男のひがみですぅ。ソレガナニカ?
「周辺探索と警戒はネフュー、村の防衛対策と建設をマーカスとロコ、資材の購入をステファン、俺とヴィルは手が必要なところにお手伝いってことでいい?」
会議メンバーの全員が頷く。
「それじゃ今日は以上です! みなさんお疲れ様でした」
俺は500ml缶ビールをみんなに手渡していく。ちなみに外の女性陣たち用には午前ティーとチョコクッキーをライラに持たせてある。
「かっー! この喉越しが溜まらん!」
マーカスはぐいっとビールを煽る。配達受け取りから二時間は立っていたが、佐藤さんが気を利かせてドライアイスを用意してくれていたので、ビールはまだキンキンに冷えていた。
「ぼくはこの柿の芽が好きだな。豆もおいしいけど、この辛いのが癖になるよ」
ネフューがポリポリと音を立てながら感想を述べる。
「それにしてもシンイチ様のお取り寄せになられるものは、いずれも眼を見張るものばかりですね。どの品ひとつとっても、王侯貴族たちが大金を叩いても手に入れたいと思うものばかりですよ」
ステファンが俺も考えていたことを言った。
「まぁ、何とかお金にできればと考えてはいるんだけど」
「確かに大金が手に入るかもしれねぇが、ここでしか手に入らないと知られたら、色んな連中に目を付けられちまうだろうなぁ。この缶ビール1本のためだけでも、この村を襲撃する理由になるだろうぜ」
マーカスが俺の缶ビールを欲しそうに見ながら言う。やらんけど。
「ぼくもそう思う。特に調味料はみな喉から手を出してでも欲しいはずだ。あのゆず塩コショウとポン酢というのは大金貨とでも交換できるだろう」
ネフューはポン酢にめちゃくちゃハマっていて、最近は食事の全ての品に掛けているほどだ。
「ブギーマン、うまい、コボルト、スキ、あじ」
もしやと思い、ドッグフードのブギーマンをロコに試食してもらったら大層好評だった。ペットの餌だということは内緒にしている。
「食べ物や調味料も素晴らしいですが、この美しい紙束とエンピーツも素晴らしいです。大金貨に値する品物ですよ」
そう言ってステファンは皮紐が付いたスケッチボードを肩に掛ける。スケッチボードの下方に付けられた紐を器用に左肘に通し、下方に引っ張っることでボードを安定させていた。
「ネフューさんが作ってくれたこの板を使えば、こうやって立ったままでも文字や絵図を描くことができるんです」
「おぉ、エルフ印のスケッチボードか」
俺の高評価に対してネフューの顔にちょっとだけドヤ顔が浮かんだ。普通の人が見たら気づかないかもしれないが俺は見切ったね。
俺がステファンのスケッチブックを覗き込むとコボルト村の地図が描かれていた。洞窟内部まで丁寧に表現されている。
「凄いなこれ! ステファンって絵の才能があるんじゃないの?」
「いや、これでも一応貴族出身なので、子どもの頃に絵を嗜んでいただけですよ」
「そうなの? それにしてもこれいいなぁ。村の設計とか色々使い出がありそう。後で少し借りてもいい?」
「ええ、もちろんです」
佐藤さんに頼んでコピーして貰えるか聞いてみよう。スケッチ自体は渡せないだろうけど、写メしてもらってそれをコピーしてもらうとか……。
(それでしたら、わたしの方でコピーしておきましょうか?)
(えっ? いいの?)
(ええ、大丈夫ですよ。スケッチを正面に持ってまっすぐ見つめてください)
「ステファン、今、そのスケッチ借りても良い?」
「どうぞ」
ステファンからスケッチブックを受け取った俺はそれを正面に持ってまっすぐと見つめる。
(OKです。明日の配送時に持っていきますね。コピーは何枚必要ですか?)
(んー、A3を50枚とかでも大丈夫?)
(EONポイントを1000ポイント消費しますがよろしいですか?)
(お願い。ココロチンがコピーに行ってくれるんだよね。ありがとね。あっ、明日の注文には乳酸菌入りヨーグルト入れとくからそれ取っといて)
(いえ、賄賂を受け取るわけには……)
(ただのお礼だから気にしないで。ずっとお世話になってばかりなんだし、コピーなんて俺の方が気が引けちゃうから)
(そうですか、では頂いておきますね)
(どうぞどうぞ)
ククク、こうして少しずつ賄賂漬けにしていってココロチンを俺の運命共同体に引き込んでいくのだよ。
(聞こえてますからね)
(うひぃぃ、ごめんなさい)
(まぁヨーグルトは頂いておきますけど……手間賃です)
(あっ、はい)
翌日の配送時にはちゃんと村の地図のコピー50枚が届けられた。
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