異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

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第44話 内緒でもないプレゼント

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 ステファンが資材を仕入れるためにバーグの街に出向くというので、俺は同行させてもらうことにした。

「ちょっと作ってもらいたいものがあってね。少々複雑な構造なんで、腕の良い鍛冶屋か細工職人がいるお店に連れてって欲しいんだ」

「わかりました。えーっと、ドワーフがやってる鍛冶屋ならひとつ良いところを知ってるのでご案内しますよ」

「えっ、ドワーフ!それはいいね!」

 まぁ、エルフがいるんだからドワーフだっているよな。

「それじゃ出発!……ってマーカスがいないな。一緒に行くって言ってたのに」

 俺が空っぽの御者台を見てステファンに声を掛ける。荷馬車に腰かけているステファンが首を振る。

 ん、マーカスのやつ遅刻なのか?と俺が首を傾げていると、背後からトトトッと音がして、トンッという音と同時に御者台にライラの姿があった。

「ライラ!?」

「マーカスさんはお腹が痛いということで、急遽わたしが御者を務めさせていただくことになりました」

「そ、そうなの?」

「そうなんです。さぁシンイチ様、出発しますよ。お隣へどうぞ」

 俺がよいこらしょと御者台に昇っているとき、ライラとステファンがお互いに親指をグッと立てているのが見えたような気がしたが、気のせいだろう。

 御者台に腰かけた俺が出発を告げるとライラが馬車を進め始めた。

 俺は視界の端でガタガタと馬車が揺れ動く度に、微かにフルフルと揺れるライラの健康的な太ももを捉えていた。

 あれに挟まれてみてぇなぁ~。なんてことを考えていると、自分がガン見していることに気が付いて視線を上げる。

 ライラと目が合った。

 口角の片方を上げた憎たらしい程のドヤ顔だった。

 くっ!

 悔しい! でも、めっちゃ可愛い。

「まっ、まぁ? ライラならマーカス程ではないけど、腕っぷしは強いから用心棒にはなるかー。頼りにしてるよー」

 照れ隠しで俺は適当な言葉を並べた。

「ふふふ。ありがとうございます。なんでしたら用心棒だけでなく、シンイチ様の寝所をお温めいたしますが?」

「それは遠慮しとく。我慢できなくて襲っちゃいそうだから」

「襲っていいんですよ?」

「よくないかなー」

 相変わらずライラとのコミュニケーションは下半身によくないが、最近はそれはそれとして彼女との会話を楽しむことができる余裕が俺にも出てきた。

 俺は自分の下半身への血流増加がバレないように腰をもぞもぞしつつ、ステファンにこれから向かう鍛冶屋についての話を聞く。

「やっぱりドワーフの鍛冶屋っていうと、頑固一徹の職人って感じの髭もじゃ親父なの?」

「確かにドワーフの職人と言えばそういうタイプが多いですね。でもタンドルフは全然違いますよ。当世風といいますか、気さくな人柄で髭も生やしてはいませんね」

「そうなの?」

「ええ。だけど腕は確かですよ。売り出し中ということもあって、どんな依頼でもこなしているようなので、シンイチ殿の依頼も恐らく受けると思います」

「シンイチ様、ドワーフに何を作ってもらうんですか?」

 ライラが聞いてきた。俺が荷物袋からスケッチブックを取り出し始めたので、ライラは俺が御者台から落ちないように馬を止める。

「まぁ黙って作ってプレゼントってわけにはいかないものだし、隠す必要もないか」

 二人がキョトンとした顔をこちらに向けている。俺はスケッチブックを開いてライラとステファンに見えるように向ける。

「これだ!」
「「えっ!」」

 スケッチブックには義手のざっくりとした図面が描かれていた。俺は二人が内容を理解したと判断したタイミングで紙を捲ると義眼のイメージ図が描かれたページが開かれる。

「ステファンの義手とライラの義眼だよ。さすがにこれはマーカスもネフューも、もちろん俺も作れないから、腕の良い職人さんに依頼しようと思ってね」

「シンイチ殿……そんな、俺なんかの為に……いえ、わたしたちの為にそんな……」

 バッ!

 ライラが俺に飛び着いてきた。俺の頭を自分の胸の中に力一杯抱きしめる。俺にとっては前世から今までで初めての顔面おっぱいであり、赤飯を炊いてもおかしくない程の慶事だったが、彼女の力が強すぎて頭が痛いのと息ができないのとで正直死にかけた。

 彼女の腕を死ぬほどタップしてようやく解放されたとき、俺は酸素のありがたみに感謝することしかできなかった。

 そしてライラの両腕が俺の両腕をガッシリと掴んで押さえながら叫ぶ。

「シンイチ様! わたしと結婚してください! いま! ここで!」

「ステファンとしなさい!」

「もうここで子どもを作りましょう! いま! ここで!」

「ステファンと作って!」

 茶番が終わったにも関わらず、彼女は俺の手を放そうとしない。俺の手を握ったままそれを自分の方に引き寄せて頬ずりしている。

 荷台のステファンが涙顔でお礼を繰り返す。

「ありがとうございます。ありがとうございます。ありがとう、ありがとう……」

「ま、まぁ、そういうことだから。早く街へ行こうよ! ねっ!」

 ライラが名残惜しそうに俺の手を放す。

「はい! 参りましょう!」

 こうして俺たちはバーグの街へと馬車を進めて行った。

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