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第47話 グレイベア討伐
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「巣を追い出されたグレイベアがこの辺の山中をうろついている」
ネフューがここ最近見たことのない真剣な表情でそう告げた。
「そのグレイベアって、前にネフューがコボルトたちの集落として候補に挙げてた巣穴に住んでるやつ?」
俺が尋ねるとネフューは小さく頷く。
「うん。そのグレイベアだ。巣穴に何か……確認はできていないけど恐らく強力な魔物が住み着いて、そいつにグレイベアは追い出されたんだと思う」
「うへぇ、グレイベアを追い出しちまうような魔物ってか? ドラゴンとかワイバーンとかだったら、この辺全体がそいつの狩場ってことになっちまうな」
「マーカスの言う通りだ。シンイチ、いまこの村は二つの脅威にさらされていると考えた方がいい」
「グレイベアだけでもスゲェやべぇのに、もう一匹やべぇ魔物が来ちゃったのか。兄ちゃん、早くなんとかしないと!」
「死人が出ますね……」
ステファンが俺の目を見据えて言った。空気が重くなってきたとき、マーカスがパンッを手を打ってみんなの注意を集める。
「大丈夫、早めに動いて対処すりゃ同時に二匹を相手にすることにはならなくて住む。グレイベアは岩トロル並みに固くて、グレイウルフより素早く、狩については大陸狐より頭が切れるが……」
めっちゃ怖い奴じゃん! それめっちゃヤバイ奴じゃん! と顔から血の気がひきつつある俺の肩をマーカスはバシンッと叩いて、
「坊主の【幼女化】があれば、一体ずつ相手にする限り負けるようなことはないさ!」
やっぱ俺ですか? 俺がグレイベアの相手をするんですか。そんなの無理だよ……って言おうとしたら、みんなの縋るような目線が俺に注がれていた。ネフューが俺の肩に手を置いて言う。
「シンイチ、以前のぼくたちであればグレイベアに勝てなかったとは言わないまでも、倒すのが非常に難しい相手ではあった。だけど今はシンイチの【幼女化ビーム】がある。岩壁も突き抜けるあのスキルがあれば、誰一人死ぬことなくやつを倒すことができるはずだよ」
「はぁ、わかってるよ。何せ俺はこのコボルト村の酋長だかんな。最初から戦うつもりだったぜ」
嘘である。
マーカスとネフューで何とかしてもらえるんじゃないかって最後の最後まで淡い期待を抱いてました。ええ、ましたとも。
「で、そのグレイベアってどれくらいの大きさなの?」
ネフューは黙って奥部屋の天上を指さした。
「えっ? 天上? この洞窟の天上くらい大きいの?」
「もうちょっと大きいかな」
ここの天上3mくらいあるんだが!?
「えっと、俺はグレイベアって全然知らないんだけど、それってクマじゃなくて巨人か何かかな?」
「でっかいクマだよ、坊主なら目を瞑ってでも【幼女化ビーム】を当てられるぜ」
「クマだよ、兄ちゃん! めちゃくちゃデッカイんだぜ!」
ヴィルよ、なんでお前がクマの大きさを自慢気に語ってるんだよ。
「まっ、なんとかなるよ!」
マーカスが適当な調子で言った。
~ クマ狩り ~
ドッ! ドッ!ドッ! ドッ!
森の中を山が動いている。
「ぐおぉぉぉぉぉぉ!」
その山は咆哮していた。
ドッ! ドッ!ドッ! ドッ!
森の中を巨大な影がネフューとヴィルとマーカスを追いかけている。
「「「ぬわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」
マーカスたちは必死の形相で木々の間を駆けていた。
ドッ! ドッ!ドッ! ドッ!
待ち伏せポイントで身を伏せていた俺は、まだ距離があるにも関わらず巨大過ぎるグレイベアのシルエットに失禁する。いや、ほんとマジでデカいの! 最低限でも小は漏らさざる得ないくらい大きいの!
電線の鉄塔あるじゃん? あれが突然走って追いかけてきたら怖いでしょ? 漏れるでしょ?実際の大きさは違うけど、それくらいのインパクトがあるの!
「坊主、やっちまえ!」
「シンイチ! 頼んだぞ!」
「兄ちゃん、いけー!」
マーカスとネフューとヴィルが俺の脇を通り過ぎていく。
グレイベアが俺の真正面から迫り寄ってくる。
デカい!デカい!デカい!
怖い怖い怖い怖い怖いぃ!
3階建てのビル(イメージ)が俺に向かって全速力で倒れ込んできた。
「【幼女化ビーム】!」
その瞬間の映像を見れば、巨大な建築物が倒れて地面にぶつかる衝撃音を誰もが想像するだろう。
だけど違った。
ボンッ!
音はそれだけ。一応、煙はグレイベアの身体を包む程には大きかったけれど、それも一瞬で消えた。
「あー、あー、あうー」
俺の目の前には幼女が一人立っていた。
~ 狩り終了 ~
俺たちは幼女(グレイベア)を囲むようにして立っていた。
毎度のことだが、何も知らない第三者から見たら通報事案でしかない。
「……で、どうすんのこれ?」
「どうすんのって、これグレイベアなんだよな?」
「グレイベアだよね」
「グレイベアだったぜ! 兄ちゃん!」
全員沈黙する。
「殺る?」
俺がつぶやくと、三人が鬼畜生を見るような視線を向けてきた。
「な、なんでそんな目で見るのさ! だいたいみんなだって、幼女(ゴブリン)をアレしてたじゃん」
さすがに幼女と殺すと言う単語を並べるのは憚られたので「アレ」って表現した。
「そ、そうだけどよぉ。あの時はゴブリン共に腹立ててたし、ぐずぐずしてると捕虜が危なかったし……なぁ」
「うむ。ぼくもあの時はそんな感じだった」
「うーん。なんかその時とは違う感じがするよ兄ちゃん」
「と、とにかく当分は幼女のままなんだよな?」
「確認してみる」
マーカスが尋ねてきたので俺はココロチンに確認すると、ココロチンが視界にログを表示してくれた。ちなみに視界にログは表示のオン・オフができるようになっていた。というか最初からそうだったんだけど、最近切り替えられることを知った。
≫ グレイベア亜種を幼女化しました。残り時間 364日 23:50:23
≫ EONポイントを32000獲得しました。
「あと1年はこのままだね」
「と、とりあえずは一安心ってところか」
「あと、ポイントが凄い! 沢山入ったよ! マーカスの欲しがってた黒ラベルのウィスキー買ってもいいかな」
「マジか!坊主! うひょぉぉ!」
「し、シンイチ、できればわたしもワインを……」
「兄ちゃん! 俺も! 俺も、乳酸菌ミルルンが飲みてぇ!」
ヴィル……なんて安い子。
「全部買ってもまだ余裕だ! 明日は宴会だな!」
「「「おう!」」」
「……とりえず、連れて帰りますかこの子」
「そうだな」
結局、俺たちは幼女(グレイベア)をコボルト村へ連れて帰ることにした。
途中、小川で休憩した俺はズボンを丁寧に洗ったよ。
ネフューがここ最近見たことのない真剣な表情でそう告げた。
「そのグレイベアって、前にネフューがコボルトたちの集落として候補に挙げてた巣穴に住んでるやつ?」
俺が尋ねるとネフューは小さく頷く。
「うん。そのグレイベアだ。巣穴に何か……確認はできていないけど恐らく強力な魔物が住み着いて、そいつにグレイベアは追い出されたんだと思う」
「うへぇ、グレイベアを追い出しちまうような魔物ってか? ドラゴンとかワイバーンとかだったら、この辺全体がそいつの狩場ってことになっちまうな」
「マーカスの言う通りだ。シンイチ、いまこの村は二つの脅威にさらされていると考えた方がいい」
「グレイベアだけでもスゲェやべぇのに、もう一匹やべぇ魔物が来ちゃったのか。兄ちゃん、早くなんとかしないと!」
「死人が出ますね……」
ステファンが俺の目を見据えて言った。空気が重くなってきたとき、マーカスがパンッを手を打ってみんなの注意を集める。
「大丈夫、早めに動いて対処すりゃ同時に二匹を相手にすることにはならなくて住む。グレイベアは岩トロル並みに固くて、グレイウルフより素早く、狩については大陸狐より頭が切れるが……」
めっちゃ怖い奴じゃん! それめっちゃヤバイ奴じゃん! と顔から血の気がひきつつある俺の肩をマーカスはバシンッと叩いて、
「坊主の【幼女化】があれば、一体ずつ相手にする限り負けるようなことはないさ!」
やっぱ俺ですか? 俺がグレイベアの相手をするんですか。そんなの無理だよ……って言おうとしたら、みんなの縋るような目線が俺に注がれていた。ネフューが俺の肩に手を置いて言う。
「シンイチ、以前のぼくたちであればグレイベアに勝てなかったとは言わないまでも、倒すのが非常に難しい相手ではあった。だけど今はシンイチの【幼女化ビーム】がある。岩壁も突き抜けるあのスキルがあれば、誰一人死ぬことなくやつを倒すことができるはずだよ」
「はぁ、わかってるよ。何せ俺はこのコボルト村の酋長だかんな。最初から戦うつもりだったぜ」
嘘である。
マーカスとネフューで何とかしてもらえるんじゃないかって最後の最後まで淡い期待を抱いてました。ええ、ましたとも。
「で、そのグレイベアってどれくらいの大きさなの?」
ネフューは黙って奥部屋の天上を指さした。
「えっ? 天上? この洞窟の天上くらい大きいの?」
「もうちょっと大きいかな」
ここの天上3mくらいあるんだが!?
「えっと、俺はグレイベアって全然知らないんだけど、それってクマじゃなくて巨人か何かかな?」
「でっかいクマだよ、坊主なら目を瞑ってでも【幼女化ビーム】を当てられるぜ」
「クマだよ、兄ちゃん! めちゃくちゃデッカイんだぜ!」
ヴィルよ、なんでお前がクマの大きさを自慢気に語ってるんだよ。
「まっ、なんとかなるよ!」
マーカスが適当な調子で言った。
~ クマ狩り ~
ドッ! ドッ!ドッ! ドッ!
森の中を山が動いている。
「ぐおぉぉぉぉぉぉ!」
その山は咆哮していた。
ドッ! ドッ!ドッ! ドッ!
森の中を巨大な影がネフューとヴィルとマーカスを追いかけている。
「「「ぬわぁぁぁぁぁぁぁ!」」」
マーカスたちは必死の形相で木々の間を駆けていた。
ドッ! ドッ!ドッ! ドッ!
待ち伏せポイントで身を伏せていた俺は、まだ距離があるにも関わらず巨大過ぎるグレイベアのシルエットに失禁する。いや、ほんとマジでデカいの! 最低限でも小は漏らさざる得ないくらい大きいの!
電線の鉄塔あるじゃん? あれが突然走って追いかけてきたら怖いでしょ? 漏れるでしょ?実際の大きさは違うけど、それくらいのインパクトがあるの!
「坊主、やっちまえ!」
「シンイチ! 頼んだぞ!」
「兄ちゃん、いけー!」
マーカスとネフューとヴィルが俺の脇を通り過ぎていく。
グレイベアが俺の真正面から迫り寄ってくる。
デカい!デカい!デカい!
怖い怖い怖い怖い怖いぃ!
3階建てのビル(イメージ)が俺に向かって全速力で倒れ込んできた。
「【幼女化ビーム】!」
その瞬間の映像を見れば、巨大な建築物が倒れて地面にぶつかる衝撃音を誰もが想像するだろう。
だけど違った。
ボンッ!
音はそれだけ。一応、煙はグレイベアの身体を包む程には大きかったけれど、それも一瞬で消えた。
「あー、あー、あうー」
俺の目の前には幼女が一人立っていた。
~ 狩り終了 ~
俺たちは幼女(グレイベア)を囲むようにして立っていた。
毎度のことだが、何も知らない第三者から見たら通報事案でしかない。
「……で、どうすんのこれ?」
「どうすんのって、これグレイベアなんだよな?」
「グレイベアだよね」
「グレイベアだったぜ! 兄ちゃん!」
全員沈黙する。
「殺る?」
俺がつぶやくと、三人が鬼畜生を見るような視線を向けてきた。
「な、なんでそんな目で見るのさ! だいたいみんなだって、幼女(ゴブリン)をアレしてたじゃん」
さすがに幼女と殺すと言う単語を並べるのは憚られたので「アレ」って表現した。
「そ、そうだけどよぉ。あの時はゴブリン共に腹立ててたし、ぐずぐずしてると捕虜が危なかったし……なぁ」
「うむ。ぼくもあの時はそんな感じだった」
「うーん。なんかその時とは違う感じがするよ兄ちゃん」
「と、とにかく当分は幼女のままなんだよな?」
「確認してみる」
マーカスが尋ねてきたので俺はココロチンに確認すると、ココロチンが視界にログを表示してくれた。ちなみに視界にログは表示のオン・オフができるようになっていた。というか最初からそうだったんだけど、最近切り替えられることを知った。
≫ グレイベア亜種を幼女化しました。残り時間 364日 23:50:23
≫ EONポイントを32000獲得しました。
「あと1年はこのままだね」
「と、とりあえずは一安心ってところか」
「あと、ポイントが凄い! 沢山入ったよ! マーカスの欲しがってた黒ラベルのウィスキー買ってもいいかな」
「マジか!坊主! うひょぉぉ!」
「し、シンイチ、できればわたしもワインを……」
「兄ちゃん! 俺も! 俺も、乳酸菌ミルルンが飲みてぇ!」
ヴィル……なんて安い子。
「全部買ってもまだ余裕だ! 明日は宴会だな!」
「「「おう!」」」
「……とりえず、連れて帰りますかこの子」
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結局、俺たちは幼女(グレイベア)をコボルト村へ連れて帰ることにした。
途中、小川で休憩した俺はズボンを丁寧に洗ったよ。
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