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第63話 結婚
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「よっ、おめっとさん! お前もこれでいっぱしの男だな!」
朝まで愛し合っていた俺とライラは昼を過ぎた頃にようやく、秘密基地を出て洞窟広場へ降りてきた。
もちろん手は恋人つなぎだぜ。やふぅ!
そして今日、ライラ以外で最初に顔を合わせたのがマーカスだった。
「兄ちゃん! つがいが出来て! よかったな!」
そして二番目がヴィル。
そして三番目がネフューとフィーネ。二人は何故か生暖かい目と優しい微笑みを俺たちに向けてきた。
「ライラァァァ! シンイチ殿ぉぉぉ! ついに、ついに、結ばれたのですね! よかった! 本当に良かった!」
ステファンが俺たちの前で男泣きを始めた。
気づくと洞窟前広場には村人全員が集まっていた。
「どうしてみんな集まってるの? どういうこと?」
「どういうことって……そりゃお前とライラが結ばれたことをみんな喜んでるんじゃねーか」
「えっ、なに言ってんの? 俺とライラがどうかしたって……」
段々と事情がつかめてきた――というより、受け入れがたい状況を受け入れざるえない状況に追い込まれているのを、俺は肌でひしひしと感じていた。
「おー、シンイチ! ようやくDTを卒業したのじゃな! これでようやくいっぱしの雄というわけじゃ! ワハハハ!」
「えーっと?」
俺がマーカスに目で問いかけると、このおっさんトンデモナイことをやりやがった。
「ライラは綺麗だっつってんだろぉぉがぁぁぁぁ!」(マーカスによるシンイチのモノマネ)
「おうふっ」
俺とライラは全身を真っ赤に染めた。二人とも頭から蒸気が出ている。
「そっから先は武士の情けで言わねぇけどさ……」
マーカスが頭を掻き、俺から目を逸らしてそんな恐ろしいことを言った。
「若さ故の暴走ってのも嫌いじゃないわ」
「夜中に外で大声出すと響いちゃうよねー」
いつの間にかマーカスの後ろにいたカレンとエルザがそんな恥ずかしいことを言った。
「ねっ、ミモザ。やっぱり外の方が気持ちいいんだよ」
「そうなのかなぁ。だったら今度試してみたいかも?」
「兄ちゃんの邪魔にならない日ならいいよ」
相変わらずハーレム・ヴィルは通報案件のようだった。ヴィル、お前、本当に都条例違反はしてないんだよな? 都民ではない大陸狼族のミッシールはともかく、ミモザは都条例だかんな。
俺とライラは彫像の様に固まっていた。
「傍から見てたらどっちも相手のことを好いてるってのに、イライラしてたんだよ。これでうまく収まって万々歳じゃねーか。なんならもう結婚しちまえよ」
マーカスの言葉に、俺とライラはお互いそっと目を交わす。
「あら、わたし神官だから正式なやつできるわよ」
「カレンって神官だったの? 凄いね!」
「今更!?」
カレンが神官だったことをエルザは今のいままで知らなかったようだ。
「おぉぉぉぉ! それは素晴らしい! ぜひそうしましょう! ええ、ええ、そうしましょう!」
ステファンが涙をボロボロと流しながら、トンデモないことを言い出した。その様子をみたマーカスが俺の方を見て、
「どうなんだ坊主、もちろん色々と時間を掛けることかもしれねぇ。しかし、人の運命にはタイミングってのがあって、今この瞬間、奇跡はその手にあるかもしれねぇんだぜ」
もちろん答えは決まっていた。もしこれが転生じゃなかったら、俺は前世と同じ失敗をしていたかもしれない。大切な人の手を握るタイミングを二度と逃してなるものか。
「ライラ……」
俺はライラの前に膝を付いてその手を取る。ライラの顔から戸惑いの表情が消えるまで俺は待った。そして――
「俺と結婚してください」
ライラは俺に握られていない方の手を口元に持って行き、目に涙を溢れさせる。流れる涙が地面に届くその前に、俺は答えを聞くことができた。
「はい……」
俺はライラの手の甲に口づけをする。立ち上がると同時にライラを両手で抱き上げる。今はまだ身体はライラの方が大きい。しかし、それはすぐに追いつくだろう。そしてすぐに追い越してしまうはずだ。
俺はライラの方に顔を寄せ軽いキスを交わす。ライラはそれだけでは物足りず、俺の顔を押さえて深い口づけをしようとしてきた。
俺がよろめいて数歩さがるとマーカスが背中を押さえてくれた。そしてライラとたっぷりと口づけを交わす。
「ちょっと待って!」
カレンが俺とライラの顔を引き離す。カレンは急いで身なりを整えた後、俺たちの前でラーナリア正教の印を結び、早口で祝詞を唱えた。
「女神に祝福されしフィルモサーナの土より生まれ、いま女神ラーナリアの愛によりて結ばれし二つの御魂、彼のものたち命尽きるまで女神を称えしもの、その全てを祝福し、その命尽きるとき、二つにしてひとつの御魂を女神ラーナリアの楽園にとく迎え入れ給え。はい! キスして!」
俺はライラと口づけを交わす。
「おめっとさん!」
「「おめでとう!」」
「兄ちゃん、おめでとー!」
「しんいち、おめでと、よき、よき」
「「「「「しんいちー、らいらー、おめでとー」」」」」
「シンイチ殿! ライラ! 本当によかった! よかった!」
それから三日間に渡ってコボルト村は大宴会となった。
こうして俺はライラと結婚し、
俺はライラの夫となり、ライラは俺の妻となった。
φ(・ω・ )φ(・ω・ )φ(・ω・ )
【 作者ノート】
・シンイチ殿もついにDT卒業してしまいましたな。
・これでこの物語は一区切りですな。
・第2章では悪魔勇者という強敵が登場しますぞ。
朝まで愛し合っていた俺とライラは昼を過ぎた頃にようやく、秘密基地を出て洞窟広場へ降りてきた。
もちろん手は恋人つなぎだぜ。やふぅ!
そして今日、ライラ以外で最初に顔を合わせたのがマーカスだった。
「兄ちゃん! つがいが出来て! よかったな!」
そして二番目がヴィル。
そして三番目がネフューとフィーネ。二人は何故か生暖かい目と優しい微笑みを俺たちに向けてきた。
「ライラァァァ! シンイチ殿ぉぉぉ! ついに、ついに、結ばれたのですね! よかった! 本当に良かった!」
ステファンが俺たちの前で男泣きを始めた。
気づくと洞窟前広場には村人全員が集まっていた。
「どうしてみんな集まってるの? どういうこと?」
「どういうことって……そりゃお前とライラが結ばれたことをみんな喜んでるんじゃねーか」
「えっ、なに言ってんの? 俺とライラがどうかしたって……」
段々と事情がつかめてきた――というより、受け入れがたい状況を受け入れざるえない状況に追い込まれているのを、俺は肌でひしひしと感じていた。
「おー、シンイチ! ようやくDTを卒業したのじゃな! これでようやくいっぱしの雄というわけじゃ! ワハハハ!」
「えーっと?」
俺がマーカスに目で問いかけると、このおっさんトンデモナイことをやりやがった。
「ライラは綺麗だっつってんだろぉぉがぁぁぁぁ!」(マーカスによるシンイチのモノマネ)
「おうふっ」
俺とライラは全身を真っ赤に染めた。二人とも頭から蒸気が出ている。
「そっから先は武士の情けで言わねぇけどさ……」
マーカスが頭を掻き、俺から目を逸らしてそんな恐ろしいことを言った。
「若さ故の暴走ってのも嫌いじゃないわ」
「夜中に外で大声出すと響いちゃうよねー」
いつの間にかマーカスの後ろにいたカレンとエルザがそんな恥ずかしいことを言った。
「ねっ、ミモザ。やっぱり外の方が気持ちいいんだよ」
「そうなのかなぁ。だったら今度試してみたいかも?」
「兄ちゃんの邪魔にならない日ならいいよ」
相変わらずハーレム・ヴィルは通報案件のようだった。ヴィル、お前、本当に都条例違反はしてないんだよな? 都民ではない大陸狼族のミッシールはともかく、ミモザは都条例だかんな。
俺とライラは彫像の様に固まっていた。
「傍から見てたらどっちも相手のことを好いてるってのに、イライラしてたんだよ。これでうまく収まって万々歳じゃねーか。なんならもう結婚しちまえよ」
マーカスの言葉に、俺とライラはお互いそっと目を交わす。
「あら、わたし神官だから正式なやつできるわよ」
「カレンって神官だったの? 凄いね!」
「今更!?」
カレンが神官だったことをエルザは今のいままで知らなかったようだ。
「おぉぉぉぉ! それは素晴らしい! ぜひそうしましょう! ええ、ええ、そうしましょう!」
ステファンが涙をボロボロと流しながら、トンデモないことを言い出した。その様子をみたマーカスが俺の方を見て、
「どうなんだ坊主、もちろん色々と時間を掛けることかもしれねぇ。しかし、人の運命にはタイミングってのがあって、今この瞬間、奇跡はその手にあるかもしれねぇんだぜ」
もちろん答えは決まっていた。もしこれが転生じゃなかったら、俺は前世と同じ失敗をしていたかもしれない。大切な人の手を握るタイミングを二度と逃してなるものか。
「ライラ……」
俺はライラの前に膝を付いてその手を取る。ライラの顔から戸惑いの表情が消えるまで俺は待った。そして――
「俺と結婚してください」
ライラは俺に握られていない方の手を口元に持って行き、目に涙を溢れさせる。流れる涙が地面に届くその前に、俺は答えを聞くことができた。
「はい……」
俺はライラの手の甲に口づけをする。立ち上がると同時にライラを両手で抱き上げる。今はまだ身体はライラの方が大きい。しかし、それはすぐに追いつくだろう。そしてすぐに追い越してしまうはずだ。
俺はライラの方に顔を寄せ軽いキスを交わす。ライラはそれだけでは物足りず、俺の顔を押さえて深い口づけをしようとしてきた。
俺がよろめいて数歩さがるとマーカスが背中を押さえてくれた。そしてライラとたっぷりと口づけを交わす。
「ちょっと待って!」
カレンが俺とライラの顔を引き離す。カレンは急いで身なりを整えた後、俺たちの前でラーナリア正教の印を結び、早口で祝詞を唱えた。
「女神に祝福されしフィルモサーナの土より生まれ、いま女神ラーナリアの愛によりて結ばれし二つの御魂、彼のものたち命尽きるまで女神を称えしもの、その全てを祝福し、その命尽きるとき、二つにしてひとつの御魂を女神ラーナリアの楽園にとく迎え入れ給え。はい! キスして!」
俺はライラと口づけを交わす。
「おめっとさん!」
「「おめでとう!」」
「兄ちゃん、おめでとー!」
「しんいち、おめでと、よき、よき」
「「「「「しんいちー、らいらー、おめでとー」」」」」
「シンイチ殿! ライラ! 本当によかった! よかった!」
それから三日間に渡ってコボルト村は大宴会となった。
こうして俺はライラと結婚し、
俺はライラの夫となり、ライラは俺の妻となった。
φ(・ω・ )φ(・ω・ )φ(・ω・ )
【 作者ノート】
・シンイチ殿もついにDT卒業してしまいましたな。
・これでこの物語は一区切りですな。
・第2章では悪魔勇者という強敵が登場しますぞ。
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