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第181話 グレイベア村侵攻 ~ 決着 ~
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グレイちゃんが深淵の黒腕を丁寧に一体ずつストンピングで潰していく。
それが終わると、俺を乗せたままグレイちゃんは残りのショゴタンや森の黒山羊の元へと向って行った。
今のところ名前はないが「グレイちゃんの頭に俺乗せアタック」は、これまで女神クエストで何度も行ってきたものだ。今では洗練せれた攻撃方法と言っていい。
しかも残っている妖異は、これまで散々狩ってきたショゴタンと森の黒山羊である。多少その数が増えたところで、俺とグレイちゃんのコンビの敵ではなかった。
グレイちゃんがショゴタンと森の黒山羊の間を掛け抜けた後には、
ボンッ! ボンッ! ボンッ!
という音と共に一瞬で幼女が現れて、
ポンッ! ポンッ! ポンッ!
一秒後には、瀕死の妖異が倒れていた。
妖異との戦いが終わり、グレイちゃんの頭頂部から戦場を見回してみると、
イゴーロナックル将軍の要塞馬車と、彼を守る魔族兵たちは既に退却を始めていたようだった。今では、この戦場からかなり離れたところまで移動している。
上空でも夜鬼たちが退却を始めていたようで、レッドドラゴンとグリフィンがその後を追おうとしているところだった。
「ルカちゃん!!」
俺が大声を張り上げると、レッドドラゴンが俺の方を見て、そのままグリフィンと共に戻ってきた。
ピカァァア!
目の前にドラゴンが降り立つ瞬間、強い光が放たれた。
そして光が消えた時には、
いつものドラゴン幼女と、小さな体で俺を肩車しているグレイちゃんがそこにいた。
「ルカちゃん! 怪我は!? 怪我はないの!? 大丈夫なの!? 触手刺さってたよね!?」
ルカがショゴスの触手槍に貫かれたのを見た時の、心臓を鷲掴みにされるような感覚に襲われて、俺はルカに詰め寄る。
「何、少々の傷は追ったがそんなもの賢者の石で即回復じゃ。それに貫かれたといっても飛膜じゃったからの、全く大したことなかったわ」
そう言って、ルカは両腕に腰を当てて踏ん反り返り、いつものドヤ顔になった。
俺はそんなルカを両腕で力一杯に抱き締める。
「なっ!? なんじゃシンイチ!? 発情でもしたのか!? 」
「よがっだぁぁああ! ルカがいぎでだぁぁぁあああ! あの触手でルカが死んだかと思っだよぉおお!」
「あんな小枝みたいなもんで、わらわが死ぬわけがなかろう! というか、わかった! わかったから、わらわの服で鼻水を拭うな! グレイ! シンイチをはがしてくれ!」
「うーっ! シンイチはルカが心配だっただけ、うーっ!」
グレイちゃんは俺をルカから引き剥がそうとはせず、俺の頭を優しくポンポンと撫でてくれた。
俺が完全に落ち着きを取り戻したのは、ステファンの海賊部隊が、俺たちのところに駆けつけてからのことだった。
海賊部隊にいたライラが、俺を背中から抱きしめる。そして優しくルカから俺を引き剥がすと、綺麗な布で俺の顔を拭ってくれた。
「はい。シンイチさま、鼻チーンしてください!」
ズズッ、ズズーッ!
ライラの言う通り鼻チーンした後、耳がツーンと詰まったような感覚を味わったとき、
そのときになってようやく、俺は戦いが終わったことを覚った。
グレイベア村は神聖帝国軍の撃退に成功した。
~ 後始末 ~
俺たちが神聖帝国軍に対して立てたのは『ダブルクロス作戦』。
これはレッドドラゴンが敵陣を縦に抜けながら攻撃するのに合わせて、俺が敵陣を側面から横に掛け抜けて【幼女化】するのを二回繰り返すというものだ。
当初の想定とは違って二度の攻撃は綺麗には決まらなかったけれど、結果として勝利したので問題ない。
神聖帝国軍の大将は逃してしまったものの、こちらの死傷者は出ていないことを考えれば完全勝利と言ってもいいだろう。
なので問題はない。
問題があるとすれば……
「えっと、フワデラさん? あの人たちはどなた?」
そう言って俺が指差した方向、戦闘が始まった際に敵大将の要塞馬車があった辺りに、大勢の人間が立っていた。
全員が薄い布の服で首輪をつけている。首輪からは鎖が伸びており、それが地面に垂れていた。
一人ひとりは、木の棒や石ころを手にして、俺たちを警戒していた。
「どうやらあれ奴隷のようです。恐らく私たちを足止めするために置いて行ったのでしょう」
「奴隷……って、ヴィルフォファング村長が言ってた……」
俺は言葉を途中で切ったが、その言葉をフワデラさんは察してくれたようで、俺の目を見ながら静かに頷いた。
妖異の食糧として連れて行かれた人々なのだろう。決して痩せぎすというわけではないが、身体つきを見る限り戦闘奴隷とは思えない。しかも棒や石を握る手は震えていた。
「全部で43人ですね。彼らをどうしますか?」
「うーん……まぁ、保護するしかないんだろうけど……」
彼らにをどう処遇するかを考えながら、近づいていくと、奴隷たちがビクッと驚いて身構えた。
神聖帝国軍に俺たちが恐ろしい連中だと吹き込まれているのかもしれない。まぁ、ドラゴンとかグレイベアとか目にしたら、その仲間である俺たちのことを警戒するのは当然だろうな。
カンッ!
パシッ!
ふと気が付くと、ライラが俺の前に出て、俺に向けて投げられた木の棒を叩き落としていた。俺の隣に立っていたフワデラさんが一歩前に出て、俺の頭にぶつかるところだった石を手に掴み取っていた。
ふむ。
そういうことなら……。
「【幼女化ビィィィィィム】(意識も幼女化。三日間)」
たちまち43人の幼女が現れた。
「はーい! みんな集まってー! これからとっても楽しいところに連れてってあげるよー!」
「「「わー---い!」」」
幼女との会話をこの部分だけで切り取られたら、俺即指名手配もののヤバサである。
ともかく、俺は幼女たちをショゴタンの乗ってた橇に乗せ、グレイベアになったグレイちゃんにグレイベア村まで曳いてもらったのだった。
あともうひとつ。
(ココロ:ピロロン! 【幼女化】スキルがレベル8となりました。幼女化時に容姿を指定できます。ゴーレムなどの魔法生物も一時的に幼女化可能となります。最大持続10年。魔力デポジット8%。リキャストタイム1分。幼女化ビームの距離30メートル。範囲発動が半径10メートルとなりました)
スキルレベルが上がった。
それが終わると、俺を乗せたままグレイちゃんは残りのショゴタンや森の黒山羊の元へと向って行った。
今のところ名前はないが「グレイちゃんの頭に俺乗せアタック」は、これまで女神クエストで何度も行ってきたものだ。今では洗練せれた攻撃方法と言っていい。
しかも残っている妖異は、これまで散々狩ってきたショゴタンと森の黒山羊である。多少その数が増えたところで、俺とグレイちゃんのコンビの敵ではなかった。
グレイちゃんがショゴタンと森の黒山羊の間を掛け抜けた後には、
ボンッ! ボンッ! ボンッ!
という音と共に一瞬で幼女が現れて、
ポンッ! ポンッ! ポンッ!
一秒後には、瀕死の妖異が倒れていた。
妖異との戦いが終わり、グレイちゃんの頭頂部から戦場を見回してみると、
イゴーロナックル将軍の要塞馬車と、彼を守る魔族兵たちは既に退却を始めていたようだった。今では、この戦場からかなり離れたところまで移動している。
上空でも夜鬼たちが退却を始めていたようで、レッドドラゴンとグリフィンがその後を追おうとしているところだった。
「ルカちゃん!!」
俺が大声を張り上げると、レッドドラゴンが俺の方を見て、そのままグリフィンと共に戻ってきた。
ピカァァア!
目の前にドラゴンが降り立つ瞬間、強い光が放たれた。
そして光が消えた時には、
いつものドラゴン幼女と、小さな体で俺を肩車しているグレイちゃんがそこにいた。
「ルカちゃん! 怪我は!? 怪我はないの!? 大丈夫なの!? 触手刺さってたよね!?」
ルカがショゴスの触手槍に貫かれたのを見た時の、心臓を鷲掴みにされるような感覚に襲われて、俺はルカに詰め寄る。
「何、少々の傷は追ったがそんなもの賢者の石で即回復じゃ。それに貫かれたといっても飛膜じゃったからの、全く大したことなかったわ」
そう言って、ルカは両腕に腰を当てて踏ん反り返り、いつものドヤ顔になった。
俺はそんなルカを両腕で力一杯に抱き締める。
「なっ!? なんじゃシンイチ!? 発情でもしたのか!? 」
「よがっだぁぁああ! ルカがいぎでだぁぁぁあああ! あの触手でルカが死んだかと思っだよぉおお!」
「あんな小枝みたいなもんで、わらわが死ぬわけがなかろう! というか、わかった! わかったから、わらわの服で鼻水を拭うな! グレイ! シンイチをはがしてくれ!」
「うーっ! シンイチはルカが心配だっただけ、うーっ!」
グレイちゃんは俺をルカから引き剥がそうとはせず、俺の頭を優しくポンポンと撫でてくれた。
俺が完全に落ち着きを取り戻したのは、ステファンの海賊部隊が、俺たちのところに駆けつけてからのことだった。
海賊部隊にいたライラが、俺を背中から抱きしめる。そして優しくルカから俺を引き剥がすと、綺麗な布で俺の顔を拭ってくれた。
「はい。シンイチさま、鼻チーンしてください!」
ズズッ、ズズーッ!
ライラの言う通り鼻チーンした後、耳がツーンと詰まったような感覚を味わったとき、
そのときになってようやく、俺は戦いが終わったことを覚った。
グレイベア村は神聖帝国軍の撃退に成功した。
~ 後始末 ~
俺たちが神聖帝国軍に対して立てたのは『ダブルクロス作戦』。
これはレッドドラゴンが敵陣を縦に抜けながら攻撃するのに合わせて、俺が敵陣を側面から横に掛け抜けて【幼女化】するのを二回繰り返すというものだ。
当初の想定とは違って二度の攻撃は綺麗には決まらなかったけれど、結果として勝利したので問題ない。
神聖帝国軍の大将は逃してしまったものの、こちらの死傷者は出ていないことを考えれば完全勝利と言ってもいいだろう。
なので問題はない。
問題があるとすれば……
「えっと、フワデラさん? あの人たちはどなた?」
そう言って俺が指差した方向、戦闘が始まった際に敵大将の要塞馬車があった辺りに、大勢の人間が立っていた。
全員が薄い布の服で首輪をつけている。首輪からは鎖が伸びており、それが地面に垂れていた。
一人ひとりは、木の棒や石ころを手にして、俺たちを警戒していた。
「どうやらあれ奴隷のようです。恐らく私たちを足止めするために置いて行ったのでしょう」
「奴隷……って、ヴィルフォファング村長が言ってた……」
俺は言葉を途中で切ったが、その言葉をフワデラさんは察してくれたようで、俺の目を見ながら静かに頷いた。
妖異の食糧として連れて行かれた人々なのだろう。決して痩せぎすというわけではないが、身体つきを見る限り戦闘奴隷とは思えない。しかも棒や石を握る手は震えていた。
「全部で43人ですね。彼らをどうしますか?」
「うーん……まぁ、保護するしかないんだろうけど……」
彼らにをどう処遇するかを考えながら、近づいていくと、奴隷たちがビクッと驚いて身構えた。
神聖帝国軍に俺たちが恐ろしい連中だと吹き込まれているのかもしれない。まぁ、ドラゴンとかグレイベアとか目にしたら、その仲間である俺たちのことを警戒するのは当然だろうな。
カンッ!
パシッ!
ふと気が付くと、ライラが俺の前に出て、俺に向けて投げられた木の棒を叩き落としていた。俺の隣に立っていたフワデラさんが一歩前に出て、俺の頭にぶつかるところだった石を手に掴み取っていた。
ふむ。
そういうことなら……。
「【幼女化ビィィィィィム】(意識も幼女化。三日間)」
たちまち43人の幼女が現れた。
「はーい! みんな集まってー! これからとっても楽しいところに連れてってあげるよー!」
「「「わー---い!」」」
幼女との会話をこの部分だけで切り取られたら、俺即指名手配もののヤバサである。
ともかく、俺は幼女たちをショゴタンの乗ってた橇に乗せ、グレイベアになったグレイちゃんにグレイベア村まで曳いてもらったのだった。
あともうひとつ。
(ココロ:ピロロン! 【幼女化】スキルがレベル8となりました。幼女化時に容姿を指定できます。ゴーレムなどの魔法生物も一時的に幼女化可能となります。最大持続10年。魔力デポジット8%。リキャストタイム1分。幼女化ビームの距離30メートル。範囲発動が半径10メートルとなりました)
スキルレベルが上がった。
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