異世界転生ハーレムプラン ~ 最強のスキルが【幼女化】ってマジですか?~

帝国妖異対策局

文字の大きさ
201 / 243

第201話 八つ当たり

しおりを挟む
 ミリアの右腕であるダークエルフのフォーシアが、突然、俺の目の前に現れた。

 どうして俺がこんなところに一人でいるのかと、美しい眉根を寄せて俺を睨みつける。

 俺のことを心配してくれているからこその怒りだろう。

 それは本当にありがたいことだ。

 だが――

「なんでお前がここにいるんだよ! ライラはどうしたフォーシア! アサシンを追ってたんだろ!」

 俺はフォーシアの胸倉を掴んで、怒鳴りつけた。

 自分でも驚くほどの厳しい口調になった。

 フォーシアは目を見開いて俺の口を両手で塞ぐ。

「ライラ様を攫ったアサシンは、あの魔族兵軍の向こう側です」

 そう言ってフォーシアは北を指差した。

「それが分かってて、どうして追わないんだよ!」

「どうしてって、そこら中に魔獣を連れた魔族兵が警戒に回ってるからですよ! と言いますか、よく魔族兵に見つからずにここまで来れましたね」

 いや……何度も見つかったというか、先に見つけて全部【幼女化】して回ってたんだけど。
 
 俺はフォーシアから手を放し、彼女に無礼を働いたことを謝罪した。

「いえ、お気になさらず。シンイチ殿のお気持ちは分かっているつもりです」
 
「ごめん……それとありがと……」

 俺は凹むときはとことん凹む男だ! 

 さっき、思わずのこととはいえフォーシアの胸倉を掴んでしまったことを、今は激しく後悔している。こんな美人の胸倉を掴んで怒鳴りつけるなんて、前世のDT俺だったら、今の俺にツバでも吐くに違いない。

「それでシンイチ殿は、ここで何をしておられたのですか?」

 フォーシアが心配そうな表情を俺に向けて来た。
  
「そうだった! ライラを追わなきゃ」

「では、魔族兵たちが去るのをここで待ちますか?」

「いやっ!」

 俺は気持ちを切り替える。今大事なことは一刻も早くライラを追うこと。

 そして――
 
 神聖帝国軍の連中にはこのやりきれない怒りをぶつけて憂さ晴らしすることだ!

「こいつらはここで壊滅させる! フォーシア、魔族軍の最後尾の連中を煽って注意を引いてくれ! 頼んだぞ!」

 ちゃんと話したところで、どうせフォーシアは引き留めるだろうし、それでも俺は結局、最初の計画通りに行動するはずだ。

「えっ!? はっ!? シンイチ殿!?」

「最後尾で陽動してくれ!」

 だからフォーシアには考える暇を与えず、行動だけを指示して、俺はさっさと魔族兵団の先頭へと駈け出した。


~ 無茶は承知の正面突破 ~

 ゴロゴロ、シュタッ!

 俺は渡河を終えたばかりで、小休止している魔族兵団の戦闘に躍り出た。

「グギッ!? アイツは何だ!?」

 魔獣ジェボーダンに跨っている指揮官らしきオークが、俺の姿を認めて驚いていた。

 ツカツカツカ。

 俺は特に殺気を放つでもなく

「どもども皆さんご機嫌よろしゅう。本日はお日柄もよく行軍には最適ですよねぇー」

 と言ったノリで、実際にそんなことをしゃべりながら、指揮官の目の前まで歩いて行く。

「おい人間! 何用だ! 魔獣の餌にでも成りにき――」

 俺は指揮官の言葉を最後まで聞くことなく、

「【幼女化ビィィィィム】」

 30メートルの光線を左右に振って、丁寧に魔族兵に照射していく。

 ボンッ! ボンッ! ボンッ! ボンッ! ボンッ! ボンッ! 

 幼女の間を走りながら照射しているうちに、恐らく三百名はくだらない魔族兵の半数が幼女となった。

 オプション設定は意識継続、効果時間は10年。

 もし神聖帝国軍に従ったことを心から反省し、俺の元に辿り着くことが出来たなら、その時には元に戻してやってもいい。もし、その時の俺が【幼女化解除】できるようになってたらだけど。

 突然の出来事に、周囲の景色の突然の変化に動揺している魔族兵たちの中を、正面から突き進みながら俺は第二射を放つ。

「【幼女化ビィィィィム】」

 シュッ!

 シュバッ!

 誰かが矢でも放ったのだろう。俺の前方で何かが燃え上がって落ちた。

 俺はヴォルちゃんとリヴィの護りを信じて、そのまま突き進む。

 ボンッ! ボンッ! ボンッ! ボンッ! ボンッ! ボンッ! 

 【索敵】マップに青いマーカーが表示されているのが見えた。フォーシアだろう。

 俺はそのマーカーに向かって走り出す。

 フォーシアも俺の指示通り、彼らを煽ってくれているようで、残る魔族兵の半分はフォーシアの方を見て、俺に背を向けていた。

「【幼女化ビィィィィム】」

 三度目の【幼女化】で、魔族兵団は壊滅した。

【索敵】マップでは、周囲に散らばっていた赤マーカーが次々とこの場から離れて行くのが見える。

「はぁ……はぁ……まさか、こんなことをしながら追ってきていたのですか」

 フォーシアが俺の元に駆け寄ってきて、息を切らしながら質問してきた。

「こんなに多い数を相手にするのは初めてだよ。でもまぁ、やればできるもんだね」

 フォーシアが、まるで狂人の顔でも見るかのような呆れた表情で俺を見た。
 
 まぁ、今の俺は狂人なのかもしれない。

 今は、何よりライラのことで頭が一杯だし、他のことなんて魔族兵に八つ当たりすることしか考えられない。もちろん、目の前に妖異がいたら問答無用で即殺だ。

 周囲は、大混乱している幼女たちで溢れている。

 フォーシアは、幼女たちを見回した後、俺の顔を見る。

 この幼女たちをどうするのかを問うているのだろう。

 だが俺は、フォーシアの問いを無視して言った。

「さぁ、ライラを追いかけよう!」

 そして数百人の幼女を残して、

 俺たちは北へ向う。  

 ライラを取り戻すために。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

【薬師向けスキルで世界最強!】追放された闘神の息子は、戦闘能力マイナスのゴミスキル《植物王》を究極進化させて史上最強の英雄に成り上がる!

こはるんるん
ファンタジー
「アッシュ、お前には完全に失望した。もう俺の跡目を継ぐ資格は無い。追放だ!」  主人公アッシュは、世界最強の冒険者ギルド【神喰らう蛇】のギルドマスターの息子として活躍していた。しかし、筋力のステータスが80%も低下する外れスキル【植物王(ドルイドキング)】に覚醒したことから、理不尽にも父親から追放を宣言される。  しかし、アッシュは襲われていたエルフの王女を助けたことから、史上最強の武器【世界樹の剣】を手に入れる。この剣は天界にある世界樹から作られた武器であり、『植物を支配する神スキル』【植物王】を持つアッシュにしか使いこなすことができなかった。 「エルフの王女コレットは、掟により、こ、これよりアッシュ様のつ、つつつ、妻として、お仕えさせていただきます。どうかエルフ王となり、王家にアッシュ様の血を取り入れる栄誉をお与えください!」  さらにエルフの王女から結婚して欲しい、エルフ王になって欲しいと追いかけまわされ、エルフ王国の内乱を治めることになる。さらには神獣フェンリルから忠誠を誓われる。  そんな彼の前には、父親やかつての仲間が敵として立ちはだかる。(だが【神喰らう蛇】はやがてアッシュに敗れて、あえなく没落する)  かくして、後に闘神と呼ばれることになる少年の戦いが幕を開けた……!

レベルアップは異世界がおすすめ!

まったりー
ファンタジー
レベルの上がらない世界にダンジョンが出現し、誰もが装備や技術を鍛えて攻略していました。 そんな中、異世界ではレベルが上がることを記憶で知っていた主人公は、手芸スキルと言う生産スキルで異世界に行ける手段を作り、自分たちだけレベルを上げてダンジョンに挑むお話です。

欲張ってチートスキル貰いすぎたらステータスを全部0にされてしまったので最弱から最強&ハーレム目指します

ゆさま
ファンタジー
チートスキルを授けてくれる女神様が出てくるまで最短最速です。(多分) HP1 全ステータス0から這い上がる! 可愛い女の子の挿絵多めです!! カクヨムにて公開したものを手直しして投稿しています。

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

処理中です...