マインハールⅡ

熒閂

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Kapitel 02

神代の邪竜 05

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 耀龍ヤオロンが発射した光線の着弾直後、凄まじい轟音と爆風が巻き起こって周囲を呑みこんだ。
 標的から離れているアキラまで熱風が届いた。ヴィントはアキラを片腕に抱いて標的に背を向けた。自身を盾にして庇ったが、アキラにも衝撃波がビリビリと伝わった。怒濤の爆発音が、アキラの悲鳴すらも掻き消した。

 局所貫徹型《徹砲》――――耀龍が麗祥リーシアンのプログラムを解析・再構築した即席の攻性プログラム。エネルギーの分散を極力抑え、射程を狭く影響範囲を絞り、貫通力を増した代物だ。《徹砲》そのものでも膨大なエネルギー量によって射線上にあるものをことごとく消し去る。さらにその威力を強化したなら、独力で展開する牆壁では到底持ち堪えられまい。
 それでも霜髪の怪物には致命傷とはならないと予測する。戦闘不能に至れば望ましい。それも高望みなら、手足の一本でも稼働不能となればよしとする。

「はっ、はっ、はあっ……」

 滞空する耀龍は、身体を大きく上下させて呼吸しつつ、標的を見据えていた。着弾地点から煙が立ち上り、標的の姿はまだ目視できない。
 予測どおりの結果となったのだろうか。期待と不安が入り混じる。幼い頃から並よりも聡く、秀でた実力を持っていたが故に、このように展開を案じることは慣れない感覚だった。

耀龍ヤオロン様。お身体に支障ございませんか」

縁花ユェンファこそ、ネェベルごっそり使っちゃったけど大丈夫?」

「問題ありません」

 言葉のとおり、縁花はいつもどおり平然としていた。
 耀龍は本来、攻性プログラムを得手としない。プログラムそのものは麗祥から貸与され、原動力として縁花のネェベルを使用した。《徹砲》に必要なネェベル量は厖大であり、プログラム実行者ひとりでは数発が限度。耀龍はプログラムの技術や知識こそ習熟しているが、ネェベルの総量に於いて縁花のほうが上回る。故に、耀龍は縁花のネェベルを使用した。
 プログラム実行者以外のネェベルを使用する場合、その受け渡しの際に損耗が生じ、通常よりも多くのネェベルが必要となる。縁花は他者に《徹砲》を発動するに足るネェベルを渡してもまだ顔色ひとつ変えないほどに、体質的にネェベルに恵まれていた。

 アキラはいまだに煙が晴れない着弾地点を凝視し、小刻みに震えた。

「あ……あれ……ティエン、生きて……る?」

「ネェベル反応はあります」

 ヴィントは煙に隠された標的を睨んだ。様々な可能性を逡巡したわけではなく、脅威に直面したシンプルな本能として、緊張が解けなかった。
 耀龍と縁花は標的近くの地面に降り立った。充分に警戒しつつ近づいた。〝飛鱗〟は動作しないようだ。主人の意識がないからだろうか。
 次第に煙が薄まって標的を目視できた。
 霜髪の怪物は地面に仰向けの大の字で倒れていた。衣服は破れ、皮膚の一部が爛れたように見えた。想定内ではあるものの、《徹砲》を上回る威力を受けて形状を保っているのは、やはり驚異的な肉体の頑丈さだ。ルフトの斬撃が通らないのも頷ける。
 耀龍は動かない怪物をしばらく観察したのち、はあ、と息を吐いた。

リーにも手伝ってもらって拘束しよう。リー、動けるかな」

 耀龍は麗祥のほうを振り向いた。

耀龍ヤオロン様!」と縁花が声を上げた。
 怪物の三叉の尾が地面から跳ね上がった。尾の先端が刃物のようにギラリと光って耀龍に襲いかかった。
 完全に気を抜いていた。このタイミング、この間合い、牆壁の創出は間に合わない。距離が近すぎて回避することもできない。
 ザシュウッ! ブシュッ! ドスンッ!
 縁花は耀龍を押し退けた。三叉の尾は縁花の足や腕を切り裂き、腹部に突き刺さった。

耀龍ヤオロン様! お逃げくだッ……」

 ズガァンッ! ――いつの間にか起き上がっていた霜髪の怪物が、縁花の顔面を殴り飛ばした。
 2メートルを超える巨体が吹き飛び、耀龍は咄嗟に縁花の行く先に目を奪われた。その隙に、黒い腕に首を捕まえられた。必死に身動きしてもびくともせず、足が地面を離れた。指が首にめりこんで気道を締めた。

「アッ……カハッ……カッ」

 窒息させられるのが早いか、首を折られるのが早いか、どちらにせよ耀龍には体捌きで以て抵抗する術はなかった。

「ティエン、ダメーッ!」

 アキラが叫ぶと、霜髪の怪物の意識がそちらへ向いた。耀龍の首を持って片腕で吊り上げたまま、アキラのほうへ顔を向けた。
 カッキィンッ!
 縁花は、耀龍の首を掴む霜髪の怪物の腕に刀剣を突き立てたが、表面の黒い鱗に弾かれてしまった。

(やはり通らん)

 縁花は霜髪の怪物からの反撃を予想して構えた。
 しかし、霜髪の怪物は耀龍から手を離した。自分を攻撃した縁花のことなど何も気にならない様子で、地面を蹴って目の前から消えた。
 彼奴の関心の矛先は予測できた。縁花は「ヴィント!」と警戒を促した。
 霜髪の怪物はヴィントの視界で消失し、再び現れた。そのときにはもう眼前にいた。

(ダメだ。何度でも消える! 追い切れないッ……)

 霜髪の怪物は、ヴィントが構える刀身を素手で捕まえて握り締めた。ヴィントを得物ごと突き飛ばした。
 自分を守ってくれる存在がいなくなったアキラは、霜髪の怪物と正面から対峙した。
 紫水晶の眼光は、とても冷たく見えた。おそらく、手折らんほど握っていた素っ首が実の弟のものだと分かっていない。ティエンと呼びかけられて振り向いたのも、己のことだと認識してではない。自分と過ごした時間もそっくり忘れてしまったに違いない。
 此処にいるのは、自分が知っている〝ティエン〟とは異なる存在。姿形が変容し、記憶を喪失し、人格も入れ替わってしまったなら、最早同一の存在であるはずがない。
 会いたいと願った人は、もうこの世にいない。

 ――いない。いないんだ、どこにも。
 もう二度と会えなくてもいいから、生きていてほしかった。
 いや、本当は最後にもう一度だけ会いたい。強くて自信家でワガママで、でも優しくて……そんな在るが儘のキミに、会いたかった。

 霜髪の怪物は手を天に掲げた。
 アキラは、それが自分の首を掻き切ろうとする動作だと悟っても避けようとしなかった。
 恋に心臓を捧げられるかと問われたとき、弟に世話が要る内は死ねないと思った。自分は家族のことを忘れて放り出すような無責任な人間ではないつもりでいた。しかし、実際に絶望してしまったらどうだ。もうどうとでもなれ。こんな世界、どうとでもなってしまえ。
 会いたいと毎夜毎夜願った。何度も祈った。たったひとつの願いが叶わぬなら、現実など生きるにはつらすぎる。喪失感と寂寥感に溺れて息ができない。もう充分に耐えた自覚はある。もうこれ以上は耐えられない。もう、終わりにしたい。

 ザクウッ! ――視界を一閃が切り裂いて血飛沫が舞い散った。
 アキラが流した血ではなかった。縁花は霜髪の怪物の爪を手甲で受け止めた。強靱な爪はそれを打ち砕き、縁花の皮膚を裂いた。
 縁花はアキラを抱えて上空に飛び上がり、霜髪の怪物から距離を取った。

「諦めてはいけません、姑娘クーニャン。我が主は兄君の幸せを、兄君と貴女との再会を、お望みです。その望みを叶えられるのは貴女だけです。貴女の望みも同じはず。どうか最後まで諦めないでください」

「ユェンさん……それは……」

 ――そんなことを言ってもどうしようもないじゃないか。
 最早、アキラには絶望しかなかった。自分ひとりがんばってもどうにもならないのに、諦めるなと鼓舞されるのはお門違いだ。自分が何か間違っているなら、何かやるべきことがあるなら、出し惜しみせずに教えてほしい。この命を懸けても構わないから。

「どうしたらいいんですか……。どうしたらっ……ティエンが戻ってくるんですか……ッ」

 アキラは必死に言葉を絞り出した。縁花の衣服を握り締め、表情を歪めてどうにか涙を堪えた。

 ヴオンッ、ヴンッ、ヴンッ。
 霜髪の怪物が宙を軽く掻くように手を動かすと、数本の光の槍のようなものが生じた。
 それらは、滞空している縁花に矛先を向け、一斉に発射された。
 縁花は牆壁を展開して光の槍の直撃を防いだ。
 次の瞬間には、再び光の槍が発射された。縁花はアキラを腕に抱いたまま中空を飛行してそれらを回避した。
 霜髪の怪物は光の槍を間髪を空けず次々に創出しては、縁花目がけて発射した。
 まさに無尽蔵のネェベル。息切れひとつ見てとれない。プログラムを起動実行するタイムラグさえもない。麗祥の言うとおり、彼の者にはプログラムという概念が必要ない。呼吸をするように当たり前にネェベルを恣意に扱える。

 地表では、ルフトとヴィントが、霜髪の怪物を直接攻撃しようと試みるが〝飛鱗〟に邪魔をされて接近することさえ儘ならなかった。
 耀龍は霜髪の怪物から解放されてすぐに麗祥の許へ向かった。麗祥の腹部の傷口を復元するためだ。

「すまないな、ロン。すぐにでも縁花ユェンファの加勢に行きたいだろうに……」

縁花ユェンファは大丈夫だよ。オレたちのなかで一番、戦闘能力も実戦経験もある」

「そうだな……。だから、アレは縁花ユェンファ姑娘クーニャンしか見ていない」

 麗祥は額に脂汗を浮かべていた。耀龍が傷口を塞いでゆくにつれて楽になってはゆくが、腹を破られた衝撃は、貴族の令息には当然、慣れないものだった。
 霜髪の怪物は、自身にとって最も滋養となるものと、脅威であるものとを、本能で分かっている。麗祥が観察する限り、彼奴が意識的に視線を向けたのは、そのふたつだけだ。それ以外のものは、彼奴にとって取るに足らないものだ。軽く手を振れば払い除けられる程度の虫螻と変わらない。

「これから……どうする、ロン

「いま考えてる」

「私の独自攻性プログラムも、私たちの最大火力である《徹砲ゲシュツ》も効かなかった」

「効かなかったわけじゃない。ダメージは与えた。もう一度《徹砲ゲシュツ》を実行すれば勝機はある」

縁花ユェンファは何発まで耐えられる。通常起動よりもお前を経由するほうが遙かにネェベルの消耗は激しいのだぞ」

「分かってる。縁花ユェンファなら大丈夫」

「本当に保つのか。あの侍従は、お前の望みならば何でもやるぞ。文字どおり、己の命を懸けて。お前がやれと命じれば、命をすり減らしてネェベルを絞り出す。お前はそれでよいのか。お前の望みのためにあの侍従を失うことになったとして、惜しくはないのか」

「じゃあ天哥々ティエンガコを見捨てろって言うのかよッ」

 耀龍は麗祥に向かって怒鳴った。その表情に冷静さはなかった。末っ子らしい楽天的気質は完全に鳴りを潜めた。
 それほどまでに事態は切迫していた。どうする、いま考えている、などという問答は上辺だけのものだ。あの神代から蘇った霜髪の怪物を相手にするには、縁花を電池が如く消費するしか手立てがないことは分かり切っていた。

「違う。選べと言っているのだ。お前が最も大切にすべきものは何なのか……」

 麗祥の傷口は、耀龍のお陰で塞がった。大量の血液を失った所為で疲労感や眩暈はあるが、自分の足で立つ体力は残っている。
 麗祥は蹌踉めきながらも立ち上がった。霜髪の怪物へと目線を向けた。

「先ほどは《邪視ブゼルブリク》をあのままにしておけないと言ったが、私たちにできる策は尽きた。今は選択すべきときだ」

「ッ……そんな簡単に言うなよ。第一、オレが天哥々ティエンガコよりも縁花ユェンファの命をとったらどうするつもり」

 麗祥は、心配ないさ、とでも言うように微笑んだ。

「そのときは私ひとりで天哥々ティエンガコをお救いするまで。私にはお前の侍従のような者はいないのでな」

 霜髪の怪物は光の槍を上空へ打ち上げると同時に、地面を蹴って高く跳び上がった。縁花の高度よりも高く跳び、降り注ぐ光の槍とともに縁花目がけて急降下。縁花の牆壁は光の槍を相殺したが、霜髪の怪物はその間隙を縫って縁花に襲いかかった。
 縁花は黒曜石の爪を刀剣で受け止め、弾き返した。
 霜髪の怪物は空中でくるりと身を翻し、足の爪を縁花の肩にかけた。
 ジャギィイッ!
 縁花の胴体は袈裟切りに大きく切り裂かれた。

「ユェンさん!」「縁花ユェンファッ‼」

 アキラの悲鳴のような声が谺した。耀龍の顔面は一気に蒼白。
 縁花の体躯がぐらりと斜めに傾き、真っ赤な血液が雨のように地表に降り注いだ。
 霜髪の怪物はいまだ宙にある縁花を足場にして高く飛び上がった。手の平を天に突き上げると、自身よりも大きな白球が生じた。
 あれは《徹砲》レベルの威力がある、と耀龍と麗祥は瞬時に察知した。
 耀龍は中空に飛び上がり、霜髪の怪物と縁花の間に割って入った。多重の牆壁を展開した。急造の物理牆壁だ。あの白球の威力に耐え得るかは分からない。しかし、何もせずに見ているわけにはいかなかった。敬愛する兄と天秤にかけて迷うくらいには、この侍従を失いがたく思っているのだから。

 キラッ。――霜髪の怪物の背後で何かが赤く輝いた。
 彼奴が手に翳す白球の目映さにも負けぬその輝きは、一瞬の内に視界を駆け抜けた。
 ズドォォオオーーンッ!
 赤い彗星が天から降ってきて霜髪の怪物を射止めて地表に突き刺さった。
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