龍×龍

結城 凛月ーきじょう りつきー

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プロローグ

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あの日、あいつを助けた時、俺の目は輝いていただろう。自分より背丈も歳も上の奴を倒すのは楽しかった。
人を殴ることに快感を覚えた小5の夏。
ちょうど夏休みの初めだった。
その後喧嘩をしないわけもなく、荒れ狂うように喧嘩をした。
あいつは俺を止めるわけでもないのに、いつも喧嘩についてきた。
俺が戦ってるところを見ていつも笑ってた。
負けるところなんて見られたくないし、来て欲しくない時だってあったけど、俺が勝った時見せてくれるあいつのとびきりの笑顔が好きだったから、まあいいかって感じだった。
夏休みが終わってからは、学校帰りや週末に毎日ではないけれど、相手を選んで喧嘩をしていた。
その間もずっとあいつは、近くで見ていた。
そんな生活が1年半近く続き、もうすぐ卒業という時期に俺は親から勘当された。 
今までは喧嘩することが楽しくてやっていた。今回の事件での勘当は自分でも仕方ない、と思ってる。
同級生の男を病院送りにした。それもふたり。
それには理由があるのだが、それがどうであれ俺がやったことに変わりはない。相手を生死の狭間にまで追い込んだ。その事実は一生変わらない。
勘当されて、一番辛いのはあいつと離れることだ。
両親はいつも仕事や世間体ばっかり気にする。きっと子供のこと、いや、俺のことなんてどうでもよかったんだ。
あいつと離れたくない。思うだけ無駄なことなのに。
勘当されたから、俺と縁を切った親?が用意していただろうお世話になる義理の両親は、すごく優しそうな人たちだった。今すぐにでも引っ越して、中学はここから離れたところに通うらしい。
あいつと離れて寂しいのが本音。
「ねえ、また会える?」
「...絶対会う。俺のこと忘れんなよ」
「忘れないよ、だってキミはあたしの...」


もう俺は変わった。
あの頃お前が言ってたような奴じゃねぇ。
大切な仲間に出会って、守ることを知った。 
なあ、勘当された俺にも会う権利くらいはあるよな?
「会いたい。だってお前は俺の...」
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