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屋上
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凱side
「ただいま」
いつも通りたまり場で寛いでいると朝、学校へ行った響が帰ってきた。ちょっと学校の様子見てくるわ、と言って学校に向かった響。学校へ行くときは普通だったのに、帰ってきてからなんだかいつもと違う。
「なんかあったの?」
首を傾げながら玖苑が聞く。やっぱりみんな気づくよな。いくら何でもあからさま過ぎだ。
「...変な女がいた」
「変な女?」
「あぁ。俺にまったくビビらねぇ黒髪おさげの女」
「そんな女いるわけねぇだろ。ビビらねぇなんてレディースか演技に決まってる」
「女なんて信用できないからね」
「僕も信じられない」
朝緋、千晃、玖苑の順で響の言ったことを信じようとしない。
正直に言ったら俺も女は信用出来ねぇ。
でも昔、いちばん女遊びが激しかったのは響だ。この中で女のことをよく知ってるのはこいつのはず。
響が興味を持つ女。気にならないわけがない。響は普段、女の話なんてしないからなおさら気になる。
「そいつの名前は?」
「え、なに。凱は興味あんの?」
「少しな」
「ひなた、そう言ってた」
ひなた、か。
このあと学校にでも行って、黒髪おさげの奴でも探しに行くか。どんな奴なのかだけ確かめておこう。
「ひなた?なあ、響。そいつの顔よく見たか?」
「なんだよ、結局お前も気になるんじゃねーか」
「...いや、やっぱいい。うん、そんなわけねぇよな。悪ぃ、なんでもねぇ」
ひなた、という名前を聞いて朝緋が反応した。
なんかあるのか?
ひなたという名前を聞いてからなんだか朝緋はそわそわしてる。落ち着いてない。そんなに気になる名前か?いつの間にか話は変わっていて、朝緋のようすも戻り、ダラダラしてると昼の時間になっていた。
そろそろ学校にでも行くか。
「凱。どこか行くの?」
「あぁ」
「そう。いってらっしゃい」
今からバイクで学校行ったとしたら昼休みの時間につくのか。人多そうだけど、黒髪の奴なんて珍しいからすぐ見つかるだろ。
そう思い、10分ほどバイクを飛ばすと学校についた。
校内に入るとすげーたくさんの視線を感じる。
「ねぇやばいよ!!あの人絶対如月さんだって!」
「うわーやっぱイケメン!今日は『龍虎』のメンバーがふたりも見れるなんて最高じゃん!!」
「朝、一ノ瀬さんもいたもんね!」
...うるせぇ。
女の甲高い騒ぐ声はどうしても好きになれねぇ。
どうにかなんねぇかな。見る度騒がれんの、うぜぇ。
女には良い思い出がねぇってのもイライラする原因のひとつかもしれない。
女の騒ぐ声を我慢しながら校内を見て回る。
黒髪おさげの奴を探してるのもあるが、一応、見回りも兼ねてる。
...おかしいな。黒髪おさげの奴なんていなかった。
しかもぶらぶらと歩いてるだけなのに女共にすげぇ絡まれる。イライラしてきた。
もうそろそろ5時間目始まる時間だ。人少なくなったけどめんどくさくなったからちょっと屋上行くか。
いちばん近くにあった階段から屋上に上がり、日陰になってる場所へ寝転ぶ。
あー、寝そう。
心地よい風に身を任せているといつの間にかほんとに寝ていたらしい。
だいたい1時間くらい寝てたか。まだ眠いけどそろそろ起きねーと。まあ、タバコ吸えば目ぇ覚めるだろ。
俺に権限とかそういうのはねぇけど、暗黙の了解っつーのかな。龍虎の幹部以外はまったくといっていいほど屋上には寄り付かねぇ。
だからこうして好きなことが出来る。
そういえば、黒髪おさげの奴見つかんなかったな。
また探しに行くのもいいが、今は気分じゃない。気が向くまでここにいるか。
風に前髪を揺らされながら俺は2本目のタバコを口にくわえた。
「ただいま」
いつも通りたまり場で寛いでいると朝、学校へ行った響が帰ってきた。ちょっと学校の様子見てくるわ、と言って学校に向かった響。学校へ行くときは普通だったのに、帰ってきてからなんだかいつもと違う。
「なんかあったの?」
首を傾げながら玖苑が聞く。やっぱりみんな気づくよな。いくら何でもあからさま過ぎだ。
「...変な女がいた」
「変な女?」
「あぁ。俺にまったくビビらねぇ黒髪おさげの女」
「そんな女いるわけねぇだろ。ビビらねぇなんてレディースか演技に決まってる」
「女なんて信用できないからね」
「僕も信じられない」
朝緋、千晃、玖苑の順で響の言ったことを信じようとしない。
正直に言ったら俺も女は信用出来ねぇ。
でも昔、いちばん女遊びが激しかったのは響だ。この中で女のことをよく知ってるのはこいつのはず。
響が興味を持つ女。気にならないわけがない。響は普段、女の話なんてしないからなおさら気になる。
「そいつの名前は?」
「え、なに。凱は興味あんの?」
「少しな」
「ひなた、そう言ってた」
ひなた、か。
このあと学校にでも行って、黒髪おさげの奴でも探しに行くか。どんな奴なのかだけ確かめておこう。
「ひなた?なあ、響。そいつの顔よく見たか?」
「なんだよ、結局お前も気になるんじゃねーか」
「...いや、やっぱいい。うん、そんなわけねぇよな。悪ぃ、なんでもねぇ」
ひなた、という名前を聞いて朝緋が反応した。
なんかあるのか?
ひなたという名前を聞いてからなんだか朝緋はそわそわしてる。落ち着いてない。そんなに気になる名前か?いつの間にか話は変わっていて、朝緋のようすも戻り、ダラダラしてると昼の時間になっていた。
そろそろ学校にでも行くか。
「凱。どこか行くの?」
「あぁ」
「そう。いってらっしゃい」
今からバイクで学校行ったとしたら昼休みの時間につくのか。人多そうだけど、黒髪の奴なんて珍しいからすぐ見つかるだろ。
そう思い、10分ほどバイクを飛ばすと学校についた。
校内に入るとすげーたくさんの視線を感じる。
「ねぇやばいよ!!あの人絶対如月さんだって!」
「うわーやっぱイケメン!今日は『龍虎』のメンバーがふたりも見れるなんて最高じゃん!!」
「朝、一ノ瀬さんもいたもんね!」
...うるせぇ。
女の甲高い騒ぐ声はどうしても好きになれねぇ。
どうにかなんねぇかな。見る度騒がれんの、うぜぇ。
女には良い思い出がねぇってのもイライラする原因のひとつかもしれない。
女の騒ぐ声を我慢しながら校内を見て回る。
黒髪おさげの奴を探してるのもあるが、一応、見回りも兼ねてる。
...おかしいな。黒髪おさげの奴なんていなかった。
しかもぶらぶらと歩いてるだけなのに女共にすげぇ絡まれる。イライラしてきた。
もうそろそろ5時間目始まる時間だ。人少なくなったけどめんどくさくなったからちょっと屋上行くか。
いちばん近くにあった階段から屋上に上がり、日陰になってる場所へ寝転ぶ。
あー、寝そう。
心地よい風に身を任せているといつの間にかほんとに寝ていたらしい。
だいたい1時間くらい寝てたか。まだ眠いけどそろそろ起きねーと。まあ、タバコ吸えば目ぇ覚めるだろ。
俺に権限とかそういうのはねぇけど、暗黙の了解っつーのかな。龍虎の幹部以外はまったくといっていいほど屋上には寄り付かねぇ。
だからこうして好きなことが出来る。
そういえば、黒髪おさげの奴見つかんなかったな。
また探しに行くのもいいが、今は気分じゃない。気が向くまでここにいるか。
風に前髪を揺らされながら俺は2本目のタバコを口にくわえた。
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